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平成25年 第1回北海道議会定例会 一般質問

平成25年 第1回北海道議会定例会 一般質問
平成25年3月8日(金曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 商工業振興事業などについて

(一)緊急雇用対策について

小野寺議員

 まず、商工業振興事業についてお伺いします。

 最初に北海道の緊急雇用対策についてですが、私はこの事業は非常に重要だと考えているものですが、その一方で、私には本事業のメニューの決定までのプロセスが、費用対効果の面からも、公平性の観点からも、道民にきちんと説明できる透明性が担保されたものであるとはとても思えないところがあります。

 例えば一例を挙げると、平成22年度、北海道は北海道商工会連合会に対し、道東の一エリアの4町村の物流調査を委託しましたが、「この地域には空き店舗対策が必要である」との流通調査結果の結論が専門家により出されるかなり前の時点で、道庁と4町村の商工会の方々は、次年度における空き店舗対策の議論をしていたことを知りました。

 年が明けて23年度になり、本事業の担当課の道庁職員は北海道商工会連合会と調査事業を行った4町村の中の2町村の商工会だけを訪問し、プロポーザルの情報を公示する前に本事業に関する書類を持参し「地域流通機能再生事業」の説明をして緊急雇用対策の事業に参加するよう依頼をしていた可能性が高いということを知ったわけです。

 結果、23年度の事業の採択の結果ですが、そのうちの1村が緊急雇用対策事業を、もうひとつの町は北海道商工会連合会からの空き店舗対策の事業を行っておりました。

 さらに翌24年度には、他の2つの町の1つの町がこの緊急雇用対策の事業の採択を受けております。

 この一連の経過を見ると、緊急雇用対策のメニューや受託先は22年度に、北海道が流通の調査を道商工会連合会に委託した段階で決まっており、緊急雇用の事業もプロポーザルをやるまでもない、出来レースと捉えかねられない危険性があると思うのであります。万が一、このようなプロセスで緊急雇用対策のメニューが決定し受託者が決定しているのであれば、それは公平性や透明性を欠くものであり、大きな問題であると私は考えるのであります。

 そこでお伺いしますが、北海道はどのようにして透明性・公平性を担保しながら緊急雇用対策事業のメニューを決定し、委託先を決定しているのかを伺います。

経済部長
 商工業振興事業などに関し、はじめに緊急雇用創出事業についてですが、この事業は、リーマンショックを契機として、急速に悪化した雇用環境に対応して創設され、国からの交付金を活用して、地域課題の解決に向けた調査や離職者の就職に向けた研修などを通じて一時的な雇用機会の創出を行っているものです。

 それぞれの事業の企画・立案にあたりましては、事業分野に応じた地域事情や事業者を取り巻く現状や課題を把握するため、必要に応じ、担当部局や市町村において、関係業界や企業からヒアリングや意見交換を行っているところです。

 また、個別事業の大半を占める委託事業については、指名選考委員会で企画提案方式など契約方法を決定した上で、道のホームページ等での告示や、関係業界への周知・説明会の開催などを通じ、広く提案を募集して企画提案のあった内容に係る優劣や適否について審査会及び指名選考委員会における審議を経て、委託先を決定することとしております。

(二)北海道商工会連合会について

小野寺議員

 次に、今の質問にも登場した北海道商工会連合会について伺ってまいります。

 北海道が商工振興事業を推進するにあたり、そのパートナーとしている団体はいくつかありますが、商工会連合会はその一員であると認識をしています。

 商工業振興を推し進めるためには、その礎に労働者が安心して働ける労働環境が無ければなりませんが、北海道商工会連合会はそのために、北海道中小企業退職金共済事業を行っており、全道の中小企業者から従業員の退職金を預かり、その運用をしているとの承知をしています。

 しかし、その共済の決算書や財産等を見ると掛け金の運用には重大な問題があるということがわかったわけです。

 それは、例えば平成23年度において本共済が保有している41億円のうち、約85%のものが外国債、いわゆる仕組債であり、非常にリスクの高いものであります。

 昨年、奈良県では県内市町村職員の退職金手当基金の運用目的で購入していた仕組債が、平成22年、23年に売却した際、約19億円の元本割れが発生しているということが大きな問題となりましたが、本共済で所有している外国債と奈良の市町村事務組合の外国債は非常に酷似をしていることから、本共済も奈良と同じように大きな額で元本割れしているという可能性は否定できないはずです。

 この中小企業従業員退職金共済、いわゆる特退共のパンフレットには、以下の記載があります。

======================================

掛け金は次のとおり安全・確実に資産運用されます

  1. 公社債
  2. 預貯金
  3. 共同運用信託
  4. 証券投資信託の受益証券

======================================

 もし8割以上の比率で、外国債の、しかも仕組債を運用しているのであれば、このパンフレットの文言にも、問題が発生すると思うわけです。

さらに決算方法にも疑念が残る部分があります。

 道商連が平成16年の財産目録に記載をしていたはずの米ドル建ての10億円という仕組債ですが、道商連が現在保有している外国債の一覧表にはその記載がありません。

 リーマンショック以前に購入したこの10億円分の米ドル建ての仕組債は、リーマンショック後は円高・株安による大きく元本割れしていた可能性が非常に高いわけですが、その外国債を処分した際の損益の報告も全くないからです。

 全国的に仕組み債の問題が指摘された21年度以降もそれらを買い増している事実も、私は看過できません。

 そこでまず、お聞きします。

 私は現時点において、額面の金額だけではなく保有する外国債の評価額を計算したく、正式な外国債の銘柄の一覧表を道を通し、道商連に請求をしましたが、2ヵ月経っても未だに調査中ということであり、最終的には公開できないとの回答をいただいたところですが、道内の一般の中小企業の従業員の方々のための退職金共済という性格から見ても、そこには自治体の公金が入っているという事実から見ても、説明責任があり、保有する外国債を教えないということは、あってはならないと思いますが、どのようにお考えになるでしょうか。

 また、私がこの件に関し道に指摘をして以降、約2ヶ月ありましたが、その間、道庁はこの問題に対し、どこまで事実を調べ、現在どの様に認識をしているのかを伺います。

経済部長
 次に、中小企業従業員退職金共済に関してですが、この事業は、連合会が定款等に基づき実施をする事業であり、連合会においては、規程に基づき資金計画を策定するとともに、その収支決算について、理事会の承認を得て所定の手続にのっとって行われているものと認識をしております。

 また、資金の運用についてご指摘があり、連合会に照会を行ったところ、金融委員会を設置し、必要に応じて専門家の意見も聞きながら、債券市場の動向を把握するとともに、格付機関の評価等も踏まえ、決定しているとのことであり、個別の債券の購入等については各団体において自主的に判断しているところです。

(三)連合会への道の関わりについて

小野寺議員

 次にこの団体と道との関わりについて伺いますが、私は団体が仕組債を購入し始めていた時期は、北海道が道職員を同団体に研修派遣していた時期でもあり、更に道は道商工会連合会の監督官庁であること、更に道は毎年人件費と事業費を合わせて約28億円の道税を拠出していること、更に道内の中小企業で働きながらこの制度を信用しお金を預け続けて、老後の制度設計をしている道民の方々のことを考えると、道はこの団体におけるこの問題を決して他人事で済ませることは出来ないというふうに考えますが、道の見解を併せて伺います。
経済部長
 連合会への道職員の派遣などについてでありますが、道から団体への職員の派遣は、「公益的法人等への北海道職員等の派遣等に関する条例」に基づく派遣の場合と、研修派遣とに分類されており、研修派遣につきましては、職員の給与等の全てが、派遣元である道が負担していることから、派遣先である商工会連合会は関与団体には該当しないものです。

 また、当該職員につきましては、資金運用などの業務とは別の業務を担当していたものであり、従業員退職金共済の運用等には関わってはいないものです。

(四)各地商工会について

小野寺議員

 次に各地の商工会について伺います。

 北海道商工会連合会と各地商工会に拠出されている税金は、国と自治体を会わせ年間約75億円ですが、その中でも北海道は道内の商工会や連合会に対し、経営指導員や補助員の給与として年間25億円を支出しています。

 しかしながら、152商工会の中にはほとんど事業を行っていないような商工会もあるのではないでしょうか。

 道の補助金に占める人件費割合の平均値ですら88%であることからも、そう推察ができるのです。

 また、全国商工会連合会の総会でも、職員の一元化の方向が決定し、費用対効果等の議論もなされているはずですが、北海道においては連合会においても道庁内においてもその議論が全くされている形跡がないのです。

 道は今後、北海道商工会連合会や商工会に対し拠出している道税について費用対効果の観点から、毎年度ごとに補助金の拠出に関しての評価をすべきであると考えますが、見解を伺います。

経済部長
 商工会への道の補助などについてですが、小規模事業指導推進費補助金については、商工会・商工会議所が行う小規模事業者に対する経営指導に係る人件費や事業費への補助であり、三位一体改革以降、実態として国からの補助金の財源が大幅に削減されたため、根幹となる経営指導員等の人件費を中心に措置することとし、事業に関わる予算については、可能な限り国等の事業を活用して実施してきたものです。

 また、全国商工会連合会において、平成12年に、商工会の職員の人事の一元化について提案があり、北海道においても、統一試験制度を導入するとともに、一元化の可能性についても検討を行ったところですが、本道は広域分散型で商工会の数も多く、また、各商工会においても単会としての自主性を求める意見が多かったことなどから、なかなか進まなかったものと承知しております。

 各地域における商工会は小規模事業者の経理の指導をはじめとして、商工行政の下支えの役割も担っており、数値的な事業評価は、なかなか難しいところですが、事業効果などについては、不断に点検・見直しに努めてまいる考えです。

(五)事業効果の確認などについて

小野寺議員

 最後に北海道商工会連合会と各地商工会で行っている道の事業について伺います。

 北海道商工会連合会や商工会は、道の各種様々な事業を行っていますが、道税を効率的・効果的に執行するためには、しっかり事業評価をし、確認をする必要があると思っております。

 しかし、現在は、そのような確認は行っていないようですが、これでよいと考えるのか、知事の見解を伺います。

知事
 商工業振興事業の効果の確認などについてですが、商工会や連合会は、地域の商工業等を支える基盤であり、道が様々な施策や事業の検討を行うに際し、種々、地域の実情や道の構想に対する意見を聴取するなど、連携を図ってきており、補助事業の実施についても、商工会や連合会の意見・要望を踏まえ、厳しい財政状況でありますが、必要な予算について措置をしてきたところです。

 道としては、中小企業の振興や地域の活性化に取り組んでいる商工会が所期の役割を果たすことができるよう、補助事業についても、より効率的、効果的な執行に向け、不断の見直しに努めてまいる考えです。

小野寺議員

 指摘だけをさせていただきます。

 道と連合会との関わりについて私は聞きましたのは、何もその出向している職員が共済に関わっているかどうかということではなく、北海道と商工会連合会というのは、そういう職員も派遣していて、しかも28億円毎年お金を拠出している、そういう密接な関係であると、しかも指導監督官庁ですので、その団体における大きな問題が発生したときには、道は無関心ではいられない、もし、中小企業の方々が退職金をとれないというような事態になったときには、それを道は「知らない」というふうには言えないだろうということで質問をしたわけですが、先ほどのような答弁をいただき、実際に、道と私の間の考え方には相当な乖離があると感じた次第です。

 いずれにしましても、先ほど私が各商工会と連合会の事業において、しっかりとチェックがされていないというような話をしましたが、実際に事業ごとにチェックを行っておらず、商工会や商工会連合会の台帳、これを1年分見て把握をすることになっているようでは、事業における様々なチェックがほとんど出来ていないということを是非わかっていただきたいと思います。

 多くの事業でまだいろいろな問題がありますので、この問題は予算特別委員会で議論を深めるということで、私の指摘を終わらせていただきます。

二 私立高校のいじめ等について

(一) 私学における問題事案への対応例について

小野寺議員

 私立学校における問題事案の対応例についてですが、私は、これまでの議会議論の中で、公立学校の生徒に対しては、その設置者である教育委員会が、教職員への処分などの具体的な指導権限を有しているその一方で、私立学校に関してはその自主性が尊重され、道には教育委員会のような権限がないことから、例えば、いじめの問題や生徒への体罰、セクシャルハラスメントなど教職員による生徒指導上の問題のある事案などが発生した場合に、学校側の対応が不十分とならないよう、所轄庁として実効性のある取組を工夫すべきであると、質してきたところです。

 これに対して道からは、前回の定例会の予算特別委員会において、全国的に初の試みとなる「私学における問題事案に関する対応例」を道自らが作成・配布し、適切な対応を促していく旨の答弁をいただいたところです。

 現在、いじめや体罰など、学校における問題事案の発生が連日報道され、学校としての適切な対応が強く求められてきていることから、私立学校において問題事案が発生した場合の道の対応について、改めて、知事の所見を伺います。

知事
 私立学校における問題事案への対応についてですが、いじめや教職員による体罰等の問題事案が私立学校で発生した場合には、就学環境の維持や健全な学校運営の確保の観点に立って、早期の解決に向け、学校が、事実関係の把握や児童生徒の心のケア、保護者への説明など、適切に対応していくことが大切と認識をいたします。

 一方で、私立学校の運営に関しては、その自主性を尊重しなければならないことから、道としては、都道府県として初の試みとして、問題事案が発生した場合の対応に当たっての基本的な考え方や留意事項などを取りまとめ、各学校に周知することにより、私立学校の適切な対応を促して参る考えです。

(二)今後の対応について

小野寺議員

 次に、これまで、対応例の作成に向け関係団体等とどのように連携してきたのか、また、今後具体的にどのように活用し、各学校における実効性のある取組を促していくのかを伺います。
総務部長
 「私立学校における問題事案に関する対応例」の活用などについてですが、道では、これまで、「対応例」の策定に当たりまして、私立学校の現場を踏まえたご意見を伺うなど、私学関係団体の協力を得るとともに、公立学校における対応も参考とするなど、道教委とも連携してきたところであり、年度内に策定できる予定にあります。

 この「対応例」については、策定後、速やかに各私立学校に対して送付するとともに、私学関係団体が主催する研修会等での周知、啓発を図るほか、経常費への助成に当たり、学校の取組状況を考慮するなど、十分な活用が図られるよう、取り組んで参る考えです。

三 学校給食について

小野寺議員

 最後に、学校給食について訊いてまいります。

 学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のため、栄養バランスのとれた食事を提供するために実施をされており、私は保護者や地域の方々の意見を取り入れた豊かな給食にすることが大切であると考えております。

 子どもたちは、おいしい給食を毎日楽しみにしていると思いますが、残念なことに、私の地元の帯広が多すぎる」という献立になっていたり、給食に使用する加工品を、業界団体が独自に基準を定め認定した工場で製造したものに限っていることから、学校給食への地場産物の活用が難しくしたりしていると聞いております。

 また、献立作成や食材選定のために、保護者などもメンバーとした組織を設けておりますが、現在提供されている給食の改善にはつながっていないとも伺っているところです。

 こうした状況を改善するために、道教委として、食育の推進の妨げになっているような行き過ぎた衛生管理を行っていないか、献立作成や食材選定に当たった地域の方々や保護者などの意見を反映させているかなどについて、全道の各市町村の実態を把握し、指導すべきところは指導すべきであると考えますが、教育長の見解を伺い、私の一回目の質問を終わります。

教育長
 小野寺議員のご質問にお答えいたします。

 学校給食の充実についてですが、給食は、児童生徒に栄養バランスのとれた食事を提供することにより、子どもたちの健康な体をつくることはもとより、学校給食を教材として活用することにより、食に関する知識と望ましい食習慣を身に付けさせ、地場産物の活用により、地域の自然や産業等に対する理解を深めさせ、郷土を愛する心を育ませるなど、大きな教育効果が期待されているところです。

 このため、各学校給食調理場におきましては、適切な衛生管理を確保しつつ、献立作成や食品選定、納品から配食までの調理過程などにおけるさらなる工夫改善を図っていくことが大切であるというように考えているところです。

 こうしたことから、道教委としましては、市町村教育委員会や学校給食調理場を対象に、多様な食品か、保護者などの意見をどのように取り入れているか、さらには、衛生管理上の制約など地場産物の活用の妨げになっていることはないかなどについて調査を実施し、その結果をもとに、関係部局と連携しながら、議員ご指摘の大規模調理場を持つ、あるいは、今後、整備を予定している帯広市をはじめとする市町村などに対しまして、素材の良さを生かした安全な調理技術や献立作成・食品選定における留意点、保護者との望ましい連携などについて、適切に指導してまいりたいと考えています。