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平成24年 第2回北海道議会定例会 予算特別委員会第1分科会

平成24年 第2回北海道議会定例会 予算特別委員会第1分科会
平成24年7月2日(月曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 アイヌ政策について

(一)2008女性シンポジウムについて

小野寺委員

 それでは、通告に従いまして、アイヌ政策について伺います。
 初めに、平成20年度にアイヌ文化振興財団が北海道アイヌ協会札幌支部に助成をし、実施をされた、2008年女性シンポジウムについてですが、この会場となった施設が公表している会場使用料と、事業の実績報告に添付されていた領収書の金額に大きな開きがあったことから、私は道に確認調査を求めてきております。
 その結果についてお教え願います。
アイヌ政策推進室参事
 2008女性シンポジウム事業の調査結果についてですが、この事業は、平成20年度にアイヌ協会札幌支部がアイヌ文化振興財団から助成を受けて実施したものですが、先の第1回定例会予算委員会において小野寺委員からご指摘のありました、施設が公表している会場使用料と実績報告書に添付された領収証に開きがあったことから、財団が二度にわたって現地調査を行うとともに、道においても現地確認調査を行い、支出証拠書類や帳簿等の確認を行ったところです。
 その結果、領収証に記載された金額46,500円に補助対象外経費が含まれていたことが判明しましたことから、その差額28,020円を返還させることとしたものです。
 なお、この事業は、文化庁からも2分の1の助成を受けて実施していることから、文化庁とも協議を行った結果、2分の1相当額14,010円が、国及び道に、それぞれ返還されるところです。

小野寺委員

 ここで確認をしたいのですが、つまり、会場費が高く請求されていたということであり、この46,500円という金額は当初の計画で出されていた金額で、会場が変わったにも関わらず、まったく同じ金額で領収書が添付されていたというのは、非常に不自然であると思われます。
 私の認識で間違いがなければお答えください。
アイヌ政策推進室参事
 はい、間違いございません。

(二) 『エカシ・フチとエカッタラの集い』について

小野寺委員

 それでは次に、同じく札幌支部がアイヌ文化振興財団の助成により実施をした、『エカシ・フチとエカッタラの集い』について伺います。
 この事業は、夏にキャンプ場を利用して行い、冬には小樽の宿泊施設を使用して世代間交流事業として実施をしているものと承知をしておりますが、この冬に実施をした事業の会場使用料に疑義があったことから、これも道に調査を求めておりました。
 同じように、調査結果について伺います。
アイヌ政策推進室参事
 『エカシ・フチとエカッタラの集い』の調査結果についてですが、この事業につきましても、平成20年度にアイヌ協会札幌支部がアイヌ文化振興財団から助成を受けて実施したものですので、実績報告書に添付された支出書類などにつきまして、財団が調査を行うとともに、道においても現地調査を行い、支出証拠書類や帳簿等の確認を行ったところです。
 その結果、会場使用料として領収証に記載された金額84,750円が補助対象となる会場使用料ではなく、子どもたちの宿泊費など補助対象外経費であったことから、その全額を返還させることとしたものです。
 なお、この事業についても文化庁から助成を受けておりますことから、文化庁とも協議を行っており、2分の1の額42,375円が、国及び道に、それぞれ返還されるところです。

小野寺委員

 この事業についても、一点確認をいたします。
 この事業は一度不正がある、不適切な事業報告がある、ということで返還命令を受けた事業であるうえに、そもそもこの小樽のこの施設には研修を行う会場がなかったという認識で私はおりますが、間違いありませんか。
アイヌ政策推進室参事
 はい、間違いございません。

小野寺委員

 会場がないのに会場費を請求していたというのは非常に不自然であり、本当に不正はこれだけなのかと思わざるをえません。
 私が指摘をしていただけでこの返還が出たということは、もっと多くの不正があると私は考えておりますが、それらは後からお聞きいたしますので、次の質問に移ります。

(三) 北海道アイヌ協会札幌支部長の責任について

小野寺委員

 次に、北海道アイヌ協会札幌支部長の責任について伺います。
 先ほど伺いました二つの事業ですけれども、この二つの事業とも、アイヌ協会札幌支部が財団から助成を受けて実施をしたものであります。
 札幌支部長は財団の理事であり、国のアイヌ推進会議の委員でもあります。
 前回調査において、返還金があった支部であり、今回もまた返還金を生じるものになったものであり、この事業を行った支部長として大きな責任があると私は考えておりますが、これらの事案に対する責任の所在について、道としてどう考えているのかお教えください。
アイヌ政策推進室長
 返還金に係る責任についてですが、財団助成事業の執行に当たりましては、財団の定める助成要綱に基づき、適切に対応すべきものであると考えており、平成22年の調査において、一部返還金が生じ、今回、さらにこのような事案が発生したことは、残念なことだと考えているところで。
 北海道アイヌ協会においては、一連の不祥事を受け、平成22年3月に、財団の助成事業に係る不適切事案の再発防止のための改善策を取りまとめ、現在、その実施に努めているところです。
 道としては、今後、協会が改善策を進める中で、なお不適切な事案が発生するような場合には、協会本部はもとより支部運営のあり方など、法人運営体制の抜本的な改革について関係部と協議し、厳格に対応しなければならないものと考えています。

小野寺委員

 これだけ問題が出てきても、まだ「今後発生した場合は……」という答弁では、まったく満足出来かねますが、今後も出てきますのでご安心ください。
 そのときには厳格な対応をよろしくお願いをしたいと思います。

(四) 小中学生向けの副読本について

小野寺委員

 次に、小中学生向けの副読本について質問をさせていただきます。
 私が先ず、ここではっきりさせておきたいのは、何やら巷では、私がこの副読本の内容の書き換えさせたような話になっておりますが、そもそも、アイヌ文化振興財団が内容の書き換えの通知をした日は、参議院の委員会において、所管の官庁の国土交通大臣が「誤解を招く表記であると私も思う」と答える旨の答弁をした日の朝であり、タイミングから見ても大臣答弁を知った財団が、自ら取った行動であると考えるのが妥当であると考えます。
 私にいろいろ文句を言っている方々には、ぜひ民主党の国交大臣に文句を言ってもらいたいということを皆さんに認識していただきまして、質問に入ります。
 小中学生向けの副読本についてですが、アイヌ文化振興財団において誤解を招く表現を改め、修整を行う旨、全国の都道府県教育委員会及び道内市町村教育委員会に通知文を出したと承知をしています。
 道はこれまで、副読本の記載内容については基本的には関与しない旨の答弁をしてきましたが、今回の財団の修整通知について、どのように考えているのかお聞かせください。
アイヌ政策推進室参事
 副読本の修整についてですが、アイヌ文化振興財団が発行し、全国の小中学校に配布している副読本『アイヌ民族:歴史と現在』に対し、これまで寄せられた意見などを踏まえ、誤解を招きかねない表現について、財団において主体的に検討の上、修整を行い、3月27日に市町村教育委員会などに通知を行ったものです。
 道としては、財団から個別に編集委員への説明を行うとともに、財団の事業運営委員会に諮った上で修整した旨報告を受けていたところです。
 副読本の作成については、財団において編集委員を選任し、所定の内部手続きを経て、財団の責任において発行するものではありますが、この度の修整に当たっては、執筆者でもある編集委員への説明が必ずしも十分ではなかった面があるものと考えています。

小野寺委員

 その「執筆者でもある編集委員への説明が必ずしも十分ではなかった面がある」ですが、私はそういうことを聞いているわけではなく、道はこれまで「副読本の記述内容については基本的には関与しない」旨の答弁をしてこられましたが、今回のことについて、どう、今までの考えを改めるような考えなのか。それとも関与していかないのか、どうなのかという質問だったのですが、お答えいただけませんでしたので、次の質問に移ります。

(五) 今年度の対応について

小野寺委員

 今年度の副読本への対応について伺いますが、これまで、毎年発行してきた副読本については、今年度、発行予定がなかったものと承知をしておりましたが、新聞報道によると2学期の始まる前には配布をすることとなっておりました。
 発行することとなった経過とその編集方針などについてはどうなっているのかを伺います。
アイヌ政策推進室参事
 今年度の副読本の発行についてですが、財団においては、5月30日の評議員会、31日の理事会における議論を踏まえ、6月11日に、現行の副読本の編集委員への説明のための会議を開催し、多くの意見をいただいたところであり、さらに昨日、7月1日にも会議を開催したところです。
 財団ではその議論を踏まえ、今後、副読本の修整内容についての調整を行い、2学期を目途に全国の小中学校に配布できるよう、手続きを進めることとしているところです。

(六) 道の対応について

小野寺委員

 次に、この混乱についての道の対応について伺いますが、副読本の発行元である財団が今、揺らいでいる状態にあります。
 内容を書き換えるのか、それとも発行しないのか、どうするのか、私にもよく分からない状況であり、また、北方担当大臣も「誤解しやすい表現であった」とい副読本を評価しておりますが、これまで、小中学生はその副読本を使って教育を受けてきたのです。
 このような状況について、道はどう考えているのか、また、道は主体性を持って対応すべきものと考えますが見解を伺います。
アイヌ政策推進室長
 副読本発行に係る認識などについてですが、副読本については、これまで、学校教育の場で活用する補助教材として、道内外の小学校、中学校に配布してきたところです。
 副読本の作成に当たり、アイヌの歴史や文化に関する研究者や、アイヌに関する授業などの経験のある教員など9名の編集委員を選任し、編集委員会において検討を行って取りまとめ、発行をしてきたところです。
 道としましては、委員ご指摘のとおり、副読本の記述内容については、学校教育の場で利用される観点から、児童生徒の発達段階に則し、分かりやすいものとなるよう十分な配慮が必要と考えており、このような観点に立って、財団が不断に努めていくことが必要と考えているところです。

(七) 新たな副読本の作成について

小野寺委員

 新たな副読本の作成についてですが、2学期が始まる前に従前の副読本を発行・配布し、その後、新たな副読本の発行を行う予定となっていると聞いておりますが、その発行スケジュールについて伺います。
 また、今回新たな副読本の作成に当たって、編集委員の選任については、どうなっているのかも合わせて伺います。
アイヌ政策推進室参事
 新たな副読本の作成についてですが、財団では、近年のアイヌ政策を巡る状況の進展などを踏まえ、現行の副読本の修整後、速やかに新たに編集委員を選任し、今年度中を目途に改訂版を作成する方向で検討を進めることとしているところです。
 新しい編集委員については、アイヌの文化や歴史などに関する学術的な考証や記述の正確性を担保する観点を重視して、選任することとしております。
 副読本の記述内容については、学校教育の場で利用されることを考え、児童・生徒の発達段階に則し、より分かりやすく、適切な内容のものとする必要があることから、道とししては財団に対し、有識者の意見を幅広くお聞きし、十分な議論を重ねて編集に当たるなど、慎重に検討を進めるよう、助言・指導して参りたいと考えています。

小野寺委員

 今、答弁の中で「副読本の記述内容については、学校教育の場で利用されることを考え、児童・生徒の発達段階に則し、より分かりやすく、適切な内容のものとする必要がある」と、道の考えをお答えされました。
 また、先ほどの質問でも、「副読本の記述内容については教育現場の場で利用される観点から、児童・生徒の発達段階に則し分かりやすいものとなるよう十分な配慮が必要」というように答弁をされました。
 私は、この副読本の内容について問うているわけではなく、実際にその文章を読んだ子どもがAとでもBとでも取れると、非常に曖昧な文章であるということを問題にしております。
 道としては、その点についてどう考えているのか、お聞かせください。
アイヌ政策推進室長
 繰り返しになりますが、道としましては、作成主体である財団が、常に児童・生徒の利用に供するものであるという観点に立って、児童・生徒に十分配慮をし、分かりやすい表現ということについて、十分に検証・検討をする、不断にそういう努力を続けるということが重要だと考えております。
 現在、編集委員において、修整内容の調整を行う必要がある面からいいましても、児童・生徒への配慮、あるいは分かりやすい表現といった点では、十分ではない点もあったのではないと考えております。

(八) 財団の助成事業について

小野寺委員

 ありがとうございます。それでは次の質問に入らせていただきます。
 先ほども言いましたけれども、最初の二つの質問について、本当に返還金はあれだけでよいのかと私は強く感じております。
 というのは、女性シンポジウムに関して言えば、誰が見ても明らかに改ざんの跡がある領収書が添付されている点や、それについては一切触れられていないという問題もありますし、また、先ほども答弁をいただきましたが、小樽の宿泊施設には、研修室自体が存在していなかったにもかかわらず、研修費の請求が行われていたなど、あまりに報告書がずさんであり、それに対するチェックもずさんであったと言わざるを得ないからです。
 そこで私はこれがすべてだとは思えないと考えていることから、次の質問に移ります。
 私は、道と財団にはもっと毅然とした対応を取っていただきたいと考えておりまして、財団の助成事業について、財団は、アイヌ政策を展開する唯一の指定法人として責任を持って施策を展開しなければならないのであり、今、事例を挙げたものだけでも、早急に改善しなければならないと私は考えておりますが、財団の取組はどうなっているのか、また、道として、どう対応していく考えなのかを伺います。
アイヌ政策推進室長
 財団の助成事業についてですが、財団においては、事業の執行に関する一連の不適切事案の発生に対応するため、平成22年3月に「再発防止に向けた取組」を取りまとめ、改善策を実施してきたところです。
 今回、平成20年度に実施された北海道アイヌ協会札幌支部への助成事業に関し、助成金の一部を返還する事案が生じたことなどを踏まえ、まず、助成対象事業には地方公共団体などからの受託事業を除外すること、また、申請時などにおいて他の団体等から講師の依頼を受けているかを確認するための書類を提出させること、さらに、実績報告書の添付書類に、使用した部屋名や使用時間、当該会場の料金表を提出させること、などを追記いたしました「再発防止に向けた取組の充実強化」策を取りまとめ、再び財団の助成事業に疑義を持たれることのないよう、事業執行に取り組むこととしているところです。
 道としましても、昨年度から実施している助成事業の現地確認はもとより、今回策定した新たな改善策が着実に実施されるよう指導して参る所存です。

(九) 財団の組織のあり方について

小野寺委員

 財団法人アイヌ文化振興財団ですが、多くの不適切な問題が発覚したことにより、平成21年度末に厳密に調査をし、再発防止策に向けた取組を取りまとめたはずです。
 しかし、今答弁にあったように、その後、私の指摘により、その取組に新たに取組を付け加え続けていることから、このようなことで本当に大丈夫なのかと私は思わざるを得ません。
 財団の半分の運営費3億円を支払っている道の議員として非常に腹立たしく思っております。もう少し、道も財団に厳しく対応すべきです。
 そこで最後に伺いますが、今後、アイヌ政策を全国展開する上でも財団の役割は極めて大きいものと私は考えております。
 様々な問題が浮き彫りになっており、この際、抜本的に執行体制や運営のあり方を見直す必要があると考えますが、部長の考えをお伺いします。
環境生活部長
 財団の組織のあり方についてのお尋ねですが、アイヌ文化振興財団は、いわゆるアイヌ文化振興法に基づく唯一の指定法人として、文化の振興や知識の普及啓発など、様々な事業に取り組んでおり、その事業の実施に当たっては、関係諸規則等を遵守することはもとより、細部にわたって疑念を持たれることのないよう適切に執行することが求められているところです。
 また、公益法人の役員は、その目的である公益を実現するために重要な職務を担っており、財団の評議員及び理事には、幅広い分野から就任をいただいているところです。
 道としましては、財団の運営に当たり、道民の皆様からのご批判を受けることがないよう、適切な執行体制の確保に努めていくことが重要であると考えており、今後、財団が改善策を進める中で、なお不適切な事案が発生するような場合には、運営のあり方などについて、国とも相談する必要があるものと考えているところで。

小野寺委員

 初めて、国とも相談する必要があるというふうに答弁をいただきましたので、私の質問はこの程度に留めますが、しっかりと国と話し合って、どうすべきかをしっかりと考えていただきたいということを強く申し上げて私の質問を終わります。
【以上の開催状況に補足して、以下は委員会中継動画からの聞き取り分を記します】
※小野寺委員の質疑と質問の終了後、民主党の委員による挙手・発言有
民主党委員
 今の小野寺委員の質問は財団含めて、様々な問題を含めての課題を指摘したところだと思いましたけれども、ただその質問の中で副読本の問題について、児童生徒への影響も含めてですね、これは所管とすれば、教育委員会の所管となるのではないかなという気がして聴いておりました。
 また環境生活部の方も児童生徒への影響についての答弁もされていたようですけれども、これもどちらかというと教育委員会の所管になるのではないかなと思って聴いていたところですので、委員長の主観をお聞かせ願えればと……。
委員長
 今の委員の発言につきましては後で理事会にて協議したいと思いますので、よろしくお願いいたします。