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決算特別委員会第2分科会

平成21年11月11日

小野寺委員

 それでは、道教委所管のアイヌ政策について質問をしてまいります。
 
まず、アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業について伺ってまいります。
 
この事業については、昭和56年のアイヌ民俗文化財伝承教室事業から始まり、国からの支援を受けながら、現在のような形になったのは平成12年度からだと 聞いております。これまで、多くのアイヌの子弟や一般住民を対象に講座を実施し、アイヌ民俗文化財の保存伝承とアイヌ文化の理解の促進を図るべく、継続し て事業が行われてきたところでございます。
 
一方で、今回、私は、決算の書面審査をしましたが、本当に多くの問題を発見したところであります。これは、委託先のアイヌ協会に関しても問題がありましたし、委託者である道教委側にも多くの問題があったところでございます。
 
私は、この事業が、その趣旨が十分に生かされて、真に、アイヌの子弟や一般道民の皆さんにとって有益な事業になるよう願っているものであり、問題があるのであれば、道教委としても、早急に認め、これを改善する必要があるというふうに思っております。
 
そこで、幾つかの視点から質問をしてまいります。
 
冒頭で、アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業について触れましたが、この事業は、どのような目的及び内容で実施されているのか、まず、概要についてお伺いをいたします。
北出文化・スポーツ課参事
 アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業の内容についてでありますが、この事業は、それぞれの地域に伝承されている基本的なアイヌ用語や伝統的な風俗、習慣、伝統芸能などを学び、伝承者育成など、アイヌ民俗文化財の保存伝承とアイヌ文化の理解促進を図るものでございます。
 
平成20年度においては、アイヌ文化を理解するための、基本的なアイヌ用語の学習講座であるA講座については、道内の14会場で各16回、有形、無形のア イヌの風俗、習慣等に関する伝承講座であるB講座、及び、アイヌ古式舞踊など伝統芸能に関する伝承講座であるC講座につきましては、いずれも道内の17会 場で、B講座は各5回、C講座は各4回、社団法人北海道アイヌ協会に委託して実施しているところでございます。

小野寺委員

 そこで、この事業については、北海道アイヌ協会が、毎年、北海道教育委員会から受託をしております。
 
私は、本年の第2回定例会以降、この協会 が携わった別の事業について幾つかの質問をしてまいりましたが、なぜ道教委がこれに早急に対応しなかったのか、非常に疑問を持っておりますが、なぜ、道教 委はこれまで継続して委託先としてアイヌ協会を選んでいるのか、まずお伺いをいたします。
北出文化・スポーツ課参事
 事業の委託先についてでありますが、この事業は、アイヌ文化への理解の促進、伝承者育成など、アイヌ民俗文化財の保存伝承を図ることを目的としており、 その趣旨にのっとり、効果的な事業展開をする上では、北海道アイヌ協会が、アイヌの人たちの実態や文化を熟知している道内最大のアイヌ民族の団体であり、 また、会員を中心として、全道的な協力を得て、広範な事業を展開できる団体であることから、北海道アイヌ協会に委託することが最も適していると判断したと ころでございます。

小野寺委員

 今の御答弁の中で、北海道アイヌ協会に委託することが最も適していると判断したという答弁をいただきましたが、私はそうは思っておりません。
 
実は、道教委を通して、北海道アイヌ協会の各支部でどのように講座が行われているのか、聞かせてくれと言ったところ、アイヌ協会は、実施した日にちは知っ ておりましたが、実施した会場も時間も人数もわからないという答えでございました。本当にこの団体が最も適しているというふうに私は思えないわけですが、 その点はどうお考えか、お聞きをいたします。
遠藤生涯学習推進局長
 本事業の受託者でございます北海道アイヌ協会は、各地域で実施している事業の内容について把握していることが必要でございます。
 
例えば、講師あるいは助手の勤務状況などについても、逐次、開催時における日々の詳細な状況を確認すべきでございまして、そういう状況を十分把握していないということについては適切ではないと思っております。

小野寺委員

 そういうことで、答弁の中にあった、最も適していると判断したというのは、誤りだったとまず考えていただきたい。
 
そして、時間も把握していないということでございますが、実は、講師だとか助手の報酬や賃金は2時間単位で支払われておりますので、時間がわからないで報酬を払っているというのは、非常に不自然だと指摘させていただきます。
 
次に、事業実績についてお伺いしますが、事業の構成として、三つの講座があるということですが、平成20年度のそれぞれの事業実績はどのような状況だったのか、お伺いをいたします。
北出文化・スポーツ課参事
 事業実績についてでありますが、北海道アイヌ協会から提出のあった事業報告書によると、アイヌ用語学習講座──A講座は、14会場で合計368回開催さ れ、実参加者は428名で、延べ参加者は4560名、風俗習慣伝承講座──B講座は、17会場で161回開催され、実参加者は289名で、延べ参加者は 1728名、また、伝統芸能伝承講座──C講座は、17会場で109回開催され、実参加者は312名で、延べ参加者は1595名となっているところでござ います。

小野寺委員

 アイヌ用語に関するA講座だけでも、延べ参加者が4560人ということでございましたが、アイヌ協会は、各講座の出席者数がわからない段階で、よくこの計算をしたなと、不思議でならないわけでございます。
 
また、例えば、釧路市においては、釧路市の助成でアイヌ語教室をやっておりますが、別の財団においても、親子のアイヌ語教室というものをやっておりまし て、実際に、A講座というものがいろいろな政策とダブっている、そこら辺の精査も実は足りないということで、ここでは指摘をさせていただきます。
 
次に、事業評価についてですが、ただいま答弁のあった実績について、道教委ではどのように評価をしているのか、お聞かせください。
北出文化・スポーツ課参事
 事業評価についてでありますが、道の施策評価における成果指標、及び、道教委が実施している、活動状況に関する点検評価の目標指標では、ともに、目標値 として、アイヌ文化にかかわる講座、研修会等の参加者数を1500名としておりますが、平成18年度は1122名、平成19年度は1014名、平成20年 度は1029名と、目標に達していないところでございます。
 
しかしながら、アイヌ民俗文化財の伝承者は、高齢化などにより少なくなっており、保 存伝承が難しくなっている状況下にあって、実施後の事業成果報告によると、例えば、覚えた踊りや歌を地域の文化祭において発表することができたというよう なことが報告されており、目標値に対してはまだまだ不十分ではありますが、この事業を通して、アイヌ民俗文化財の伝承者の育成やアイヌ文化の理解の促進が 一定程度図られてきているものと考えているところでございます。

小野寺委員

 事業評価をするに当たって目標数値がある、その目標数値の一つは、参加者数を1500名としていて、それに足りないという答弁でございましたが、先ほども言いましたが、北海道アイヌ協会のほうでは、会場も時間も、それに参加した人数もわからない状況でございます。
 
さらに、道教委の書類に至っては、ほとんど、講座ごとに2行か3行の報告があるだけの支部報告書の羅列で、実際に、この実績報告がどれだけ信憑性のあるも のなのかという疑念を私は持っています。本当に1029人が参加をしていればいいのですが、後々話しますが、そういう話にはなっていないというふうに思っ ております。
 
次の質問に移りますが、数カ年の事業報告を見ると、ある支部の報告は、5年間、一言一句、全く変わらず、同じ報告書が上がっております。毎年度、事業成果報告書を見ていながら、道教委のチェックが甘かったと言わざるを得ないと思いますが、お伺いをいたします。
遠藤生涯学習推進局長
 事業成果報告についてでございますが、この事業成果報告は、各会場から提出された、各講座の年間の活動成果報告を北海道アイヌ協会で取りまとめたもので ございますが、会場によっては、継続して同内容の講座を実施しているところもございまして、表現が同じとなったものもあると思われるところでございます。
 
事業成果報告を見ますと、各支部ごとに、数カ年にわたって同じ内容の報告となっているものが多く、道教委といたしましては、実績報告書のチェックですとか、その根拠となっております実態の把握という面で、十分ではなかった面があったものと考えているところでございます。

小野寺委員

 例えば、2500万円ぐらいの事業についてでございますが、建設業の方々は、2500万円の工事を請け負ったときに、とんでもない量の報告書を出すわけ でございます。その中で、毎年毎年、同じ報告書を出すなんというのは常識的に考えられませんし、チェックが甘かったということでは済まない話だと私は思っ ておりますが、次の質問に移ります。
 
この事業については、アイヌの方々の子弟だけではなく、一般道民の方々も参加ができる事業であるというふうに私は思っておりますが、一般道民へのPRはどのように行われたのか、お伺いをいたします。
北出文化・スポーツ課参事
 一般道民へのPRについてでありますが、受託者である北海道アイヌ協会でも、一般道民への参加を呼びかけるPRを行っておらず、また、道教委においても、一般道民へのPRは行っていないところでございます。
 
このため、アイヌ民俗文化財の保存伝承とアイヌ文化の理解促進を図るために、今後、道教委としましても、一般道民へのPRをしっかりと行ってまいりたいと考えております。

小野寺委員

 PRしてこなかったということですよ。それで、一般道民がどうやってこれを受講できたのかということでございます。ここに税金が払われているわけですし、道民の受講のチャンスを奪ったということでございますので、これは重く受けとめていただきたいと思います。
 
次の質問に移ります。
 
道教委では、この問題に対して、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをします。
高橋教育長
 答弁に入ります前に、小野寺委員から、道教委が委託して実施しておりますアイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業にかかわって、委託料の適正な執行という面で問題点を指摘されていたところ でございますが、今日に至るまで、道教委として速やかに事実の確認を行ってこなかった点につきまして、大変申しわけなく思っているところでございます。
 
今後の取り組みについてでございますが、これまでも、各会場では、各地の特色を生かしながら、地域の実情に応じた講座を実施してきているところでございま すが、今後は、参加者の意見や要望を講座に反映するなど、より一層、改善検討を進めるよう、業務処理要領の工夫などにより、受託者に対して一層の改善を求 めていく考えでございます。
 
また、各会場での取り組みの成果が確認できるよう、報告様式の改善や、事業の実施箇所への現地調査等の取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

小野寺委員

 今までは、事業評価等々について聞いてきましたが、次は、委託料についてです。
 
まず、その中の積算についてちょっとお伺いをしたいと思いますが、この事業は、委託事業として実施をされておりますので、その委託料の積算内訳というものがあると思いますが、それがどのようになっているのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 委託料の積算内訳についてでありますが、各講座ごとに、1会場当たり1回実施するために必要となる標準的な経費を基本として、積算しているところでございます。
 
その内訳は、講座の講師に対する謝金、助手に対する賃金、講師などの旅費、用紙代等の消耗品費、連絡などの通信費、会場借上料などを計上し、会場数、講座回数により、総額を算出しているところでございます。

小野寺委員

 先ほども指摘をさせていただきましたが、この中に広告・宣伝費が入っていないということで、もともと、この制度に問題があるのだということで御理解をいただきたいと思います。
 
次に、受託者から、事業終了後に実績報告書が提出をされておりますが、その実績をどのように確認しているのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 事業実績の確認についてでありますが、委託業務終了後に、受託者から、実績報告書、収支精算書及び講座記録や講師名簿、参加者名簿、各講座の開催状況を 記録した写真が提出されておりますが、その内容を確認するため、北海道アイヌ協会の事務所に当課職員の2名が出向き、事務所保管の、各会場の事業報告書や 事業精算書、領収書等の書類と、提出された書類とを突き合わせ、確認したところでございます。

小野寺委員

 これは確認になっていないわけですよ。事務所保管の、各会場の事業報告書に、人数も時間も会場も書いていないのです。ですから、この確認作業についても、今後は、実効性の上がる確認というものをしっかり考えていただきたいと思います。
 
事業終了後の精算において、今も言いましたが、各講座の実施日ごとの実施時間帯や実施場所を確認することが必要だというふうに思われます。もう一度聞きますが、どのようにやったのか、お聞かせください。
北出文化・スポーツ課参事
 実施日ごとの実施時間帯等の把握についてでありますが、各会場ごとの実施日の実施時間や実施場所などの記録をもとに、1年間の実施回数を取りまとめた事業実績書が、各実施会場から北海道アイヌ協会に提出されることになっております。
 
道教委としては、これによって、それぞれの実績を把握しているところでありますが、実施会場にある実施日の記録簿の確認や、施設管理者の使用許可簿等の詳細の確認は行っていないところでございます。

小野寺委員

 何か、その答弁だけを聞くと、実施会場がわかっているような話なのですけれども、実際はわかっていないのです。どこでやったか、わかっていない。実際 に、実施会場の申請は年度当初に上がっているものの、その変更がかかったかどうかも全くわかっていないということでございますので、この把握はやっぱり問 題があると言わざるを得ません。
 
次に、今の説明でもございましたけれども、各講座の実施日ごとの詳細な内容を十分に確認せずに、事業実績を確認したということでございますが、これは本当に問題がないのか、お伺いします。
遠藤生涯学習推進局長
 実施日ごとの詳細な内容確認についてでございますが、各地域において委託事業が適切に実施されているかどうか、その事業実績の確認を適切に行うために は、御指摘のように、各講座の実施日ごとの実施時間帯や場所、あるいは具体的な講座内容など、詳細な事項を十分に確認する必要がございますが、道教委とし ては、これまで、北海道アイヌ協会で総括的に取りまとめられたものにより把握する形にとどまっておりまして、確認行為としては不十分であったと考えている ところでございます。
 
今後、委託業務完了後に提出されます実績報告に添付する様式の内容を見直しますとともに、事業の実施箇所への現地調査を行うなど、実施状況が適切に把握できるよう、早急に改善を図ってまいる考えでございます。

小野寺委員

 たしか、平成15年度か16年度だったと思いますが、それまでは、道への報告では、実施場所も実施したときの参加人数も、すべて報告をされておりまし た。17年度から急にこの記載がなくなったということは、逆に、道が、これを書かなくてもいいと容認したということでございます。そういうきれいごとの答 弁を言っておりますが、逆に、昔はちゃんとしていたということで御理解をいただきたいと思いますし、この点はしっかりやっていただきたいと思います。
 
また、北海道アイヌ協会で総括的に取りまとめられたものにより把握する形にとどまっているとおっしゃいましたけれども、アイヌ協会自体でも把握していない と言っているのですから、結局は、だれもわからないということでございます。この点についても、委託しているアイヌ協会にしっかりと指導すべきだというふ うに私は思っているところでございます。
 
次の質問でございますが、決算の状況として、委託料全体では、予算額と精算額が同額となっておりますが、積算の内訳で、科目ごとの予算額と精算額はどのような状況になっているのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 科目ごとの予算額と精算額の状況についてでありますが、平成20年度の各講座の総額では、報償費については、予算額は1235万円、精算額は1287万850円で、精算額が52万850円増加しているところでございます。
 
賃金につきましては、予算額は285万円、精算額は449万8938円で、精算額が164万8938円増加しているところでございます。
 
旅費につきましては、予算額は278万8000円、精算額は143万3107円で、精算額が135万4893円減少しているところでございます。
 
需用費につきましては、予算額は405万9000円、精算額は311万4042円で、精算額が94万4958円減少しているところでございます。
 
役務費につきましては、予算額は42万4000円、精算額は40万6293円で、精算額が1万7707円減少しているところでございます。
 
使用料及び賃借料につきましては、予算額は176万7000円、精算額は191万4770円で、精算額が14万7770円増加しているところでございます。

小野寺委員

 数字が羅列されたので、よくわからないのですけれども、賃金については、予算額の倍まではいかないですけれども、倍近い増加をしていて、逆に、旅費では 半分になってしまっている。積算根拠があって、積算に基づいて執行してもらわなければならない予算に、これだけの差異が発生するというのは、積算自体がど うだったのかと言わざるを得ません。
 
次の質問に移りますが、各科目ごとの予算額と精算額は、このように乖離がございますが、この実態については、どのようにとらえているのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 科目ごとの予算額と精算額との乖離についてでありますが、委託業務に必要な経費につきましては、委託契約の業務処理要領に定める科目、金額に従って執行 しなければならないこととなっておりますが、各会場における講座の取り組み内容や実施回数が異なることから、各科目の精算額は、業務処理要領に定める額と 乖離が生じているところでございます。

小野寺委員

 これは大問題なのですよ。実施回数なんて、勝手に変えていいわけがございませんが、多分、道教委も、回数が変わっているのを年度途中でわかって、見て見 ぬふりをしていたのだというふうに思いますし、実施回数が変われば、賃金や報酬が変わってきて、それをたくさんもらう方が出てくるということでございま す。
 
この点に関して、さらに質問しますけれども、先ほど言われた事業の実績によりますと、道教委が示している全体の積算回数よりも多く実施をしているということでございますが、各会場ごとではどのような状況になっていたのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 各会場ごとの状況についてでありますが、業務処理要領では、アイヌ用語学習講座につきましては、開催回数を各会場当たり年16回設定しているのに対し、多いところでは40回実施している会場もございます。
 
風俗習慣伝承講座につきましては、各会場当たり年5回設定しているのに対し、多いところでは20回実施しているところもございます。
 
また、伝統芸能伝承講座につきましては、各会場当たり年4回設定しているのに対し、多いところでは14回実施しているという状況にあります。
 
なお、いずれの実施会場におきましても、業務処理要領で設定した、講座ごとの開催回数を下回っているところはないところでございます。

小野寺委員

 これは、業務処理要領で設定した、講座ごとの開催回数を下回っているとか、上回っているとか、そういう話じゃないのですよ。回数を多くすれば、報酬や賃 金が、ある人にいっぱい支払われてしまう、積算根拠がなくなってしまうという議論でございますので、そういうとぼけた答弁はしないでほしいというふうに 思っております。
 
次に、会場によって各講座の実施回数は異なっておりますが、各会場ごとの配分額、その精算額はどのようになっているのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 各会場ごとの配分額と精算額についてでありますが、業務処理要領に示す、各会場ごとの実施回数が同じであることから、それに基づき、北海道アイヌ協会から各会場に均等配分し、同額で精算されているところでございます。

小野寺委員

 でも、おかしいじゃないですか、参加している人数がわからないのですから。事業評価をするときに、1500人という目標数値を立てているのだとしたら、 この1500人に対して、参加をしている割合が支部によってどれだけばらつきがあるのかということで、普通は、それを一つの目安として配分額も変わってい くべきだと僕は思っておりますが、各支部に同じ額をすべて均等に支払うというのは、お小遣いのような気がしてなりませんし、各支部がお金を全部使い切って いるというのも、非常に不思議な感じがしてならないわけです。
 
各会場ごとに実施回数が大きく異なっているのに、配分額、精算額が全く同じというのは、なぜこのようになっているのでしょうか。使い切り予算のような形になっていて、おかしいのじゃないかと道民は感じると思いますが、見解を伺います。
遠藤生涯学習推進局長
 配分額と精算額が同額となっていることについてでございますが、ほとんどの会場では、参加者から、講座の実施回数をふやしてほしいとの要望がございまし て、北海道アイヌ協会では、その要望にこたえるため、できる範囲で回数をふやしていることから、実施回数にばらつきが生じているところでございます。
 
各会場では、講座ごとに増加となる回数を、北海道アイヌ協会から当初に示された配分額の中で実施することとして、科目間流用しながら執行したことから、結 果的に、配分額と精算額が同額となっておりますが、そもそも、実施回数の増加について、実施要領の趣旨と照らし合わせた検討などが不十分なまま、漫然と流 用を認めるなど、事務処理に問題があり、道教委として責任があると考えているところでございます。

小野寺委員

 わかりました。
 
流用しているという答弁がありましたが、流用の扱いについて、委託契約ではどのようになっていたのか、お伺いをします。
北出文化・スポーツ課参事
 委託契約における流用の扱いについてでありますが、委託契約の業務処理要領では、受託者は、各科目ごとに、その10%を超える予算の流用の必要が生じた ときは、あらかじめ書面により道教委へ申請し、その承認を受けた場合には、科目間において流用することができる旨、規定しているところでございます。

小野寺委員

 10%でなくて、100%を超えているものもあるわけでございまして、流用について協議をするということでございましたが、平成20年度については、どのような協議をされたのか、お伺いします。
北出文化・スポーツ課参事
 流用についてでありますが、平成20年度につきましては、平成21年4月2日に流用申請があったところでございます。
 
北海道アイヌ協会では、契約書に基づき、予算を流用する必要が生じた時点で申請したものと思い込んでおりましたが、失念した結果として、事後の申請となったものであるところでございます。

小野寺委員

 アイヌ協会が、申請したものと思い込んでいたけれども、失念したと。これは失念したで済むのですか。
 
しかも、平成20年度の事業において、平成21年4月2日に流用申請があったということは、年度をまたいでいるわけですよ。こんないいかげんな処理をしていたということで、これはしっかりと認識をしていただきたいと思うわけでございます。
 
平成20年度は年度を超えて流用があった、このことは、委託契約ではどのような問題があるのか、お伺いをしなければなりません。教えてください。
遠藤生涯学習推進局長
 平成20年度の流用についてでございますが、本来であれば、業務処理要領に基づき、あらかじめ書面により申請すべきものでございますが、ただいま申し上げましたように、結果として、事後の申請となったものでございます。
 
道教委では、北海道アイヌ協会の手続に問題はあるものの、流用の内容を書面により審査した結果、事業の目的に沿った執行がなされていたことから、やむを得ないものと考え、承認したところでございます。
 
北海道アイヌ協会からは、過去5年間を見ても、毎年度、流用申請がございまして、道教委が年度途中で執行状況を確認するなどの行為をとっておれば、このよ うなケースは避けられたものであり、事務の進め方に問題がございまして、道教委として責任があるというふうに考えております。

小野寺委員

 流用協議についてですけれども、各支部に均等割で同じ金額を道アイヌ協会が分配していた。各支部は、科目の流用などは全く気にせず、全額使い切ってい た。それを、多分、アイヌ協会が合算して、道に報告した。そして、その金額で申請したことにして、金額を合わせた。これは、勝手に使ってくれという話です よ、簡単に言うと。こんなずさんな事業が行われていたのかということで、私は、驚きを禁じ得ないわけでございます。
 
聞くところによると、会場使 用料として積算している使用料及び賃借料について、実態では、使用料が全くかからない会場を各支部の計画で申請されていたと。ただの会場を積算に入れてい るのも問題でございますし、会場費がかからないのに、そこに分配されたお金、その会場費分をどこかに使ってしまっているというアイヌ協会にも問題があると 思いますが、そのことについて問題はないとお考えなのか、お聞かせください。
遠藤生涯学習推進局長
 使用料、賃借料の使途についてでございます。
 
道教委では、使用料及び賃借料の積算内訳として、各講座を実施するために必要となる会場の借上料 を計上しているところでございますが、各実施会場では、利用料金が無料の施設を使用しておりまして、この借上料は、他の経費として執行されているところで あり、こうした経費が委託事業の目的に沿った支出であると報告されているところでありますが、使用料、賃借料の中には、執行に疑義を抱かせるものもありま すことから、さきに申し上げた、今後行う現地調査で、よく確認をしてまいりたいと思います。

小野寺委員

 今の答弁の中で、執行に疑義を抱かせるものがあったと。これについては、この問題とは別ですので、しっかりと調査をしていただきたいというふうに思います。
 
会場費がかからないのに、積算に入れていたということは、既に10%以上の科目流用があることを暗に道教委が黙認していたということにもなりまして、契約自体が何だったのかという話にもなりますので、積算について、しっかりしていただきたいと思います。
 
過去5年間、毎年度、流用申請がなされているようでありますが、なぜ、積算も見直さず、漫然と流用を承認してきたのか、積算の仕方について改善の余地があると思いますが、見解を伺います。
遠藤生涯学習推進局長
 積算の仕方についてでございますが、本事業の積算は、各講座ごとに、1会場当たり1回実施するために必要となる標準的な経費をもとに、行っているところでございます。
 
道教委としては、こうした積算方式を見直すことなく、漫然と従前どおりの方式を踏襲してきたため、北海道アイヌ協会や実施会場において科目間の流用が毎年度生じることの原因となったところでございまして、こうした道教委の事務の進め方に問題があったところでございます。
 
道教委といたしましては、実態を十分に踏まえながら、積算について、できるだけ早期に改善してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 事業の実施状況に関して、事業の実態について、3点お伺いをいたします。
 
平成20年度の、A、B、C講座の事業執行に関して、私は、ここで、 個別具体の講座名や支部名を出して指摘をしたかったわけでございますが、通報者の方がおりまして、この方の身を守るというか、安全を守るという観点で、通 報者がわからない形で質問をするということで、道教委に、これこれこの講座のここの部分がおかしいだろうと御指摘をさせていただきました。
 
道教委のほうでも、それを調べたというふうに思いますが、実績報告と明らかに実態が異なる事業について、どのように情報を収集されたのか、お聞かせください。
北出文化・スポーツ課参事
 平成20年度の実施状況についてでありますが、本事業の実態に関して、実績報告と事業の実態とに相違があるとの情報が寄せられたことから、関係者に電話で確認したところ、委託料の返納につながるような不適切な請求の疑いも確認されたところでございます。

小野寺委員

 そういうことです。非常に疑わしい請求があるということでございます。
 
次に、道教委では、それに対してどのように対応したのか、お伺いをいたします。
杉浦教育次長
 情報への対応についてでございますが、ただいま参事から申し上げましたとおり、情報が今般寄せられまして、道教委としましては、それら情報について調べを進めましたところ、委託料の返納につながるような不適切な請求の疑いも確認できたところでございます。
 
これは、委託料執行上の疑義でもありますことから、道教委といたしましては、早急に体制をつくりまして、全体の事実関係をしっかり調査してまいりたい、このように考えているところでございます。

小野寺委員

 最後の質問です。
 
今、一連の質疑をさせていただきましたが、本当に多くの問題をはらんでいる事業でございますが、道教委として、今後どのように対応していくのか、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
高橋教育長
 今後の対応についてでございますが、道教委といたしましては、公費の適正な支出を確保するため、本委託事業が実績報告どおりに実施されたかどうか、今 後、道教委として、しっかりと調査体制を組んだ上で、直ちに、各会場における現地調査を行うなど、全容解明に向けて調査してまいる考えでございます。
 
また、委員が御指摘されましたように、道教委としましても、この委託事業に関し、例えば、業務処理要領に基づく、講座の開催、積算の仕方、さらには流用に関する事務の進め方に問題があったところでございまして、責任があるものと考えているところでございます。
 
私としましては、確認調査の結果も踏まえ、委託料の返還はもとより、関係職員の処分についても検討するとともに、改善すべき点につきましては、できるだけ速やかに改善に取り組む考えでございます。
 
道教委といたしましては、こうした取り組みを通じ、本道のアイヌ政策の充実発展に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

小野寺委員

 ぜひ、しっかりやっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。