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第2回予算特別委員会第1分科会

平成20年06月20日

小野寺委員

 それでは、通告に従いまして、診療報酬の不正請求に関する質問を順次してまいります。
 
私は、この問題についてずっと調査をしてまいりましたが、保険制度自体が非常に複雑で難しく、今でも完全には理解をしてはおりませんが、それでも、いろいろな問題があることがわかりました。
 
例えば、私は、当初、病院が診療報酬の不正請求を行った場合、当然、国がその回収に当たると思っておりました。しかし、実際には、医療機関への監査、調査は、社会保険事務局と道が行いますが、不正請求額を確定し、返還請求をするだけで、結局は、その後、病院の近隣の市町村が、不正請求をしたお金を集金しなければならない仕組みになっていることに驚きました。
 
どう考えても、事実上つぶれている病院から億単位のお金を回収するというのは、ほぼ不可能であるというふうに思いますが、医療機関への調査権すらない市町村が、なぜ、このような病院の債権の回収を国からさせられなければならないのか、不思議でなりません。
 
そして、病院が不正請求をしていた額を市町村への交付金から減らすという、厚生労働省の強引なやり方にも非常に疑問を持つところでございます。
 
また、保険の種類、例えば、国民健康保険と老人保健の二つの制度は、市町村にとって、その取り扱いが天と地ほど違っていたこともわかって、非常に驚きました。
 
ほかにも、おかしいのではないかという点が多々ありましたので、以下、その点にかかわる部分を質問してまいります。
 
まず最初に、診療報酬の不正請求の内容についてであります。
 
診療報酬の不正請求は、全国的に見ても、北海道が突出をしております。道内における不正請求の内容はどのようなものなのか、お教えください。

高橋国民健康保険課参事

 診療報酬の不正請求の内容についてでございますが、道内において、過去5年間で、診療報酬の不正請求により、保険医または保険医療機関等の取り消し処分を受けた医療機関においては、いわゆる医師の名義借りによる不正請求が最も多かったところでございます。

小野寺委員

  わかりました。
 
では次に、返還金額についてお伺いをいたします。
 
北海道内において、過去5年間で、診療報酬の不正請求で保険医療機関の取り消しとなった道内の医療機関の数と、市町村に関連する国保と老健の返還金額をお教えください。

高橋国民健康保険課参事

 不正請求の件数等についてでございますが、過去5年間で、保険医療機関の取り消し処分を受けた道内の医療機関は20カ所であり、不正請求額は、国民健康保険分が11億7648万7000円、老人保健分が36億106万2000円、合計47億7754万9000円となっているところでございます。

小野寺委員

 医療機関の指定取り消しを受けた医療機関が約50億円の診療報酬を不正に受け取っていたということですが、その額のほとんどを道民が背負わされてしまっている形になっております。
 
また、たまたま不正を行っていた病院に近かったという理由だけで、自治体の住民がより多くの負債を背負うことになっております。こんな不条理があってよいのかと思うのは私だけではないと思います。
 
また、過去5年間で指定取り消し処分を受けた保険医療機関は20カ所とのことでありましたが、平成19年度だけで、医療機関による診療報酬の不正受給等の通報は、北海道に寄せられたものに限っても12件あり、そのうち、3件が自治体からの信憑性の高い通報であることを考えると、この5年で20カ所という数字は、氷山の一角ではないのかと疑わざるを得ない数字であると私は思っております。
 
では、次の質問に移ります。
 
生活保護における返還金額についてお伺いします。
 
道内の医療機関による診療費の不正請求があった場合、道も、市町村と同様に債権を持つわけでございます。ただし、北海道の場合は、生活保護に係る診療報酬分だけでありますが、北海道において不正に請求された生活保護関係分の診療報酬はどのようになっているのか、過去5年間で、不正請求を行った医療機関の数と不正請求金額、及び、道にまだ返還されていない額は一体幾らなのか、お示しください。

三角福祉援護課参事

 生活保護に係る診療報酬の不正請求金額などについてでありますが、過去5年間における、不正請求を行った医療機関数と不正請求金額は、16カ所、1億9153万2000円であり、このうち、現時点で返還されていない額は6074万9000円となっているところでございます。

小野寺委員

 北海道だけでも相当の額の負債を持っているということでございますが、市町村への返還額についてお伺いをしていきます。
 
国保と老健の不正請求された金額のうち、病院側から市町村に返還された額は幾らなのか、お示しください。

高橋国民健康保険課参事

 市町村への返還額についてでございますが、道が所管する国民健康保険や老人保健につきましては、社会保険事務局から道に送付された診療報酬返還関係書類に基づき、市町村ごとの返還額を算出し、医療機関へ請求するよう通知しているところでございますが、一部を除き、返還状況については把握していないところでございます。

小野寺委員

 市町村の返還金の回収状況について、道は、一部を除いて把握していないと今答弁をされましたが、どうして把握していないのか、もう一度お教えください。

高橋国民健康保険課参事

 市町村への返還状況についてでございますが、返還金に関する取り扱いにつきましては、健康保険法、国民健康保険法などの規定に基づき、国が策定した監査要綱関係実施要領により処理しているところでございます。
 
この監査要綱関係実施要領には、社会保険事務局、都道府県国民健康保険課は、それぞれ、該当する市町村等に対し、返還金の発生の事実、これに伴う支払い調整の方法及び返還金額について通知することと定められており、市町村に報告を求めることとなっていないことから、これまで、該当するすべての市町村の返還状況については把握していなかったところでございます。

小野寺委員

 指摘をしますが、把握をしていないで、よいはずはありません。不正に請求された診療報酬が現段階でほとんど返ってきておりません。それは、すべて道民の負担となるからでございます。
 
では、切り口を変えます。
 
2カ月ぐらい前だったと思いますが、私は、北海道の病院が不正に請求した診療報酬の返還状況がどのようになっているのかを社会保険事務局に問い合わせました。そうすると、社会保険事務局は、一切把握していないと答弁をされて、私は非常に驚きました。後期高齢者医療制度では、お年寄りの年金から保険料を天引きしておきながら、その一方で、社会保険事務局は、病院が不正受給をしていた診療報酬については、当然、返還を求めているのに、結局、どれぐらいの額が返還されているかまではわからないと言ったからであります。
 
では、本題に戻りますが、社会保険事務局も知らない、北海道もその全体を知らないのであれば、この世の中には、返還された額が幾らかを知っている人がいないということになります。道として、本当にこれでよいと考えますか、再度お伺いします。

高野保健医療局次長

 返還状況の把握についてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、監査要綱関係実施要領には、保険者からの返還状況について報告を求めることとなっておりませんことから、社会保険事務局においても、道と同様、返還状況を把握してこなかったものと考えております。
 
道といたしましては、今後、社会保険事務局と協議し、返還状況の把握について検討してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 わかりました。
 
返還金には、国庫負担金だけではなく、道の調整交付金も含まれているはずです。道として、返還金の回収状況を把握しておく必要があると思っております。これは指摘とさせていただきます。
 
次の質問に移ります。
 
国庫負担金等の取り扱いについて伺いますが、返還金には国庫負担金などが含まれており、返還金相当額は国に戻すことになっております。
 
質問の冒頭でもお話をしましたが、それぞれの保険制度の取り扱いが非常に違っておりますので、それを説明してください。
 
生活保護や老健、国保での国庫負担金等の取り扱いがどうなっているのか、お示しください。

佐藤国民健康保険課長

 返還金に伴います国庫負担金等の取り扱いについてでございますが、生活保護制度におきましては、時効や債務免除などとされた返還金を除き、返還金を調定した場合は、その調定額は国庫負担金の対象とならない取り扱いとされているところでございます。
 
また、老人保健におきましては、返還金が収入となった場合は、その収入額は国庫負担金の対象とならない取り扱いとされているところであります。
 
さらに、国民健康保険におきましては、返還金を調定した場合は、その調定額は国庫負担金等の対象とならない取り扱いとされているところでございます。
 
以上でございます。

小野寺委員

 再度伺いたいと思いますが、簡単に言うと、国保は返還金相当額を国に戻さなければならないけれども、生保と老人保健医療に関しては、返ってきた返還金分だけを国に返せばよいということで理解してよろしいでしょうか。

佐藤国民健康保険課長

 国保における負担金に関しまして、回収できない返還金については、先生のおっしゃった取り扱いとなります。

小野寺委員

 ということは、市町村にしてみると、老人保健医療の返還金に関しては、相手が、たとえ破産していようが、お金を払わない状況にあろうが、最終的に自治体にとっては全く問題とならないということですが、国民健康保険の部分だけに関しては、そうは甘くないということでございます。
 
そこで伺いますが、道は、市町村の立場に立って、国に対し、国保と生保の不正請求で生じた返還金の調定に関する取り扱いについて、老人保健と同様の取り扱いをするよう、ずっと要望してきたはずでございますが、要望してきた成果はあらわれているのでしょうか、お伺いをいたします。

佐藤国民健康保険課長

 国への要望結果についてでございますが、道といたしましては、これまで、国に対しまして、返還金の取り扱いについて、診療報酬の不正請求に係る保険医療機関からの返還金の未納額が多額であるなど、特別の事情がございます場合には、収入となった年度において国庫負担金等を調整するなど、制度の弾力的な運用につきまして、道単独のほか、北海道・東北ブロックあるいは13大都道府県の国保主管課長会の方から要望してきたところでありますが、現在までに、取り扱いの改正には至っていないところでございます。

小野寺委員

 今の答弁で、国に北海道の要望が届かず、取り扱いの改正に至っていないというふうに答弁をいただきましたが、実際のところは、国は、取り扱いの改正どころか、北海道の要望とは逆の方向を向いているのではないでしょうか。
 
というのは、老人保健医療制度が長寿医療制度になり、国保と同様の扱いとなる可能性が高いからでございます。市町村にとっては、より大変な事態に陥ると思いますが、道は、この状況をどのように考え、どうしていくおつもりなのか、お伺いをいたします。

高橋保健医療局長

 後期高齢者医療制度におきます返還金の取り扱いについてでございますが、本年4月から、老人保健法が、高齢者の医療の確保に関する法律に改正されまして、後期高齢者医療制度が実施されたところでございます。
 
これまでの老人保健法におきましては、ただいまお答えいたしましたとおり、収入となった年度に国庫負担金を調整することとされておりましたが、後期高齢者医療制度におきましては、国保と同様の取り扱いになると承知しているところでございます。
 
後期高齢者医療制度の運営主体は、北海道に一つの広域連合が担っておりまして、医療機関による不正請求により、多額の返還未納金が発生した場合には、運営に多大な影響を及ぼしますことから、道といたしましては、広域連合と協議し、これまでの老人保健と同様の取り扱いとなりますよう、国へ要望することについて検討してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 わかりました。よろしくお願いをいたします。
 
次に移ります。
 
私は、市町村は、不正請求をしていた病院からなぜ我々がお金を回収しなければならないのだと怒っていると思います。もともと、そのお金は、不正請求をした病院が支払うべきだと思っているからでございます。それを、そこに住んでいる住民に負担転嫁させるというのは、私はどうも納得ができませんし、国が無理な仕事だけを市町村に押しつけているように見えてなりません。
 
そこで伺いますが、道に対して、自治体から、国保や生保の返還金の調定に関する取り扱いの改善を求める要望などは来ていないのか、お伺いをいたします。

佐藤国民健康保険課長

 市町村からの要望についてでございますが、保険医療機関の不正請求に伴う返還金に多額の未納が生じた場合、国保財政に与える影響も大きいことから、国や道からの財源補てんや、国庫負担金等の算定に当たりまして、返還金を調定した際に控除する方法から、収入となった年度に控除する取り扱いとすることなどにつきまして、市町村の方から要望があったところでございます。

小野寺委員

 やはり、そういう要望が来ているということですよね。ということは、これらの市町村の切実な悩みを道がしっかりと受けとめて、場合によっては、国と闘うぐらいの意気込みを見せてほしいと思うわけでございます。
 
次に、診療報酬の返還の仕組みについてお伺いをします。
 
現在、国内において、厳しい経営を強いられている医療機関が増加傾向にございますが、本道では、その傾向がさらに強くなっております。今後、道内において、経営不振に陥る医療機関が増加していくということは、そのような病院の増加により、計画的に不正請求を行う病院がふえてしまうかもしれないということでございます。
 
また、財政が厳しい市町村にしても、医療機関の不正請求に伴う返還金は、市町村が調定をした場合、国保では、国庫負担金の算定の際、市町村が返還金の相当額を国庫負担金から控除することになっていますが、医療機関に返済能力がない場合には、市町村が、返還金を調定せずに、返還金相当額を国庫負担金から控除しないような行為をしてしまうということも考えられなくはないのでございます。
 
このような、制度に欠陥のある仕組み自体、早急に改善することが道民に対する道の責務であると思うのです。道は、この制度の仕組みの改善を国に強く求めていくべきと私は考えますが、見解をお伺いします。

高橋保健医療局長

 国への要望についてでございますが、保険医療機関の不正請求に伴う返還金に多額の未納が生じた場合、国保の事業運営に与える影響は大変大きいと考えております。
 
このようなことから、国庫負担金等の算定に当たっては、これまでの、返還金等を調定した年度で控除する方法から、収入となった年度において控除する取り扱いが可能となるよう、関係団体や他の都府県などとも連携を図りながら、今後とも、国に対し強く要望してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 最後の質問でございます。
 
不正請求の未然防止についてお伺いします。
 
今後、本道において、医療機関による不正請求の事案を未然に防止していくために、医療機関への指導監督の強化などを図るべきと考えますが、見解を伺います。
 
あわせて、今後の道の対応についてもお伺いをいたします。

高橋保健福祉部長

 医療機関への指導等についてでございますが、保険医療機関に対する指導や監査につきましては、指導大綱あるいは監査要綱に基づきまして、社会保険事務局と共同で実施をしてきているところでございます。
 
また、保健所におきましては、医療法に基づきまして、医師など医療従事者が標準数を満たしているかといったことなどにつきまして、医療施設に対する立入検査を行っているところでございます。
 
道といたしましては、今後、不正請求を未然に防ぐために、保健所が行う立入検査との連携を図りながら、保険医療機関としての指定後、おおむね1年以内に実施する集団指導、あるいは、レセプト1件当たりの点数が継続して高い医療機関などを選定して実施する個別指導などにおきまして、適切な診療報酬の請求について強く指導してまいりたいと思います。
 
また、先ほど局長から答弁申し上げましたように、国への要望についても、関係団体、他の都府県などとの連携を図りながら、強く要望してまいりたいというふうに考えております。
 
以上でございます。

小野寺委員

 質問は以上で終わりますが、意見を述べさせていただきます。
 
保険医療機関に対する調査権限は、社会保険事務局と道には与えられておりますが、市町村には与えられておりません。
 
市町村は、全く手探りで、実質的につぶれた病院に対して債権回収を行わなければならない実態にあります。事実、社会保険事務局や道の調査ですが、億単位の不正請求を行った病院の調査においても、不正請求をした巨額のお金が、実際にどこに使われ、どこに消えたのか、調査をしていないはずでございます。これが、道民にとっても、全国の被保険者にとっても、債権回収をさせられる市町村にとっても、最も重要で、調べてほしいと思う情報なのではないでしょうか。
 
いずれにしても、本道における診療報酬の不正請求問題には多くの問題をはらんでおります。道としても、今後は、市町村と道民の立場に立って、おかしな点を国に要望していっていただきたいと思うわけでございます。
 
臭い物にふたをせず、この問題に関しては、相手が国であろうが、堂々と問題点を主張して、市町村に負担を強いている制度を改善するために全力で取り組んでくださることを願って、私の質問を終わります。