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平成22年第3回定例会代表質問

平成22年第3回定例会代表質問
開催年月日 平成22年9月17日(金)
質問者自民党・道民会議小野寺秀議員

小野寺秀

 私は、自民党・道民会議を代表して、当面する道政上の諸課題について、質問をしてまいります。
 質問に先立ちまして、去る8月23日から24日にかけて大雨に見舞われた上川管内において、道路決壊などにより亡くなられた2名の方々に対し、哀悼の意を表し、遺族の方々に衷心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、昨年夏、民主党は政権を発足させ、財源の裏づけがない政権公約の実現に取りかかりましたが、鳴り物入りで事業仕分けを実施したものの、公約実現の財源を確保できず、子ども手当は、児童手当の仕組みを残しながら、手当額を半額に減額してスタートし、高速道路の無料化は、課題を把握するとして社会実験なるものに変え、土地改良事業は、昨年の本道の冷湿害でも効果を示していたにもかかわらず、半減しております。
 また、普天間基地移設問題では、東アジアをめぐる国際情勢と我が国の安全保障についての定見がないまま迷走し、国内外に無用な混乱を招いてしまっております。
 みずからが政権交代と声高に繰り返し、政権を担った以上は、国政全般にわたって、過去を含めて責任を負うことは当然であり、厳しい経済情勢や、国民生活に関する制度への対応を問われて、このような状況にしたのは我々ではないと答えて恥じない鳩山政権が退場せざるを得なかったのは当然でありました。
 後を継いだ菅政権も、円高傾向にあった為替市場に対して的確なメッセージを出すことができず、手をこまねいているうちに円高を急進させ、回復の兆しを見せていた我が国の経済にブレーキをかけ続けておりました。
 景気・経済対策を初め、我が国が抱える課題は、政権が、結果を急がず見守ってもらいたいなどと言っていられる状況にはなく、政権与党として迅速かつ的確な対応が求められていることをしっかりと認識すべきであります。
 以下、順次伺ってまいります。
 まず、政策コンテストについてであります。
 政府は、来年度予算の概算要求に当たって、民主党の政権公約や新成長戦略関連の予算を確保するため、1兆円を超える規模の特別枠を設け、その特別枠の配分については、外部の意見などを踏まえて優先づけを行う、政策コンテストを実施した上で決定するとしております。
 各省庁から要求された政策の中には、地域医療の確保事業、新卒者の就職支援、在日米軍駐留経費の負担といった、国民及び我が国にとって当然に確保されなければならない予算が含まれておりますが、こうした要求を含めて、政策コンテストというパフォーマンスによってゼロか百かの判断をしようとするものであり、この政策コンテストなるものは、本来の政治主導の趣旨とは異なるものであります。
 国の行く末を誤りかねないような、政策コンテストによる予算編成は行うべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 自民党・道民会議、小野寺議員の代表質問にお答えをいたします。
 最初に、私の政治姿勢に関し、まず、政策コンテストについてでありますが、平成23年度予算の概算要求組替え基準では、新たに、元気な日本復活特別枠が設定され、このたびの北海道開発予算の概算要求においても、農業農村整備事業の98億円を含む587億円は特別枠による要望であり、道としては、この特別枠を確保することが極めて重要な課題であると考えているところであります。
 また、特別枠の配分に当たって行われます政策コンテストにおいては、パブリックコメントを実施し、その結果等を参考としつつ、政策の優先順位づけを行う場として評価会議を設置することとされているところであります。
 私といたしましては、特別枠の配分に当たっては、地域の実情や意見を十分把握し、政府が責任を持って判断することが何よりも重要であると考えているところであり、このたびの新しい手法が、これからの我が国、特に、地域にとって必要な予算配分につながるか、注視していかなければならないと考えているところであります。
 いずれにいたしましても、高い食料供給力や多様なエネルギー資源などを有する北海道は、これからの我が国の発展を実現する上で、その果たすべき役割は大変大きいものと考えているところであり、今後とも、さまざまな機会を通じて、こうした北海道の役割や地域の実情について、国に強く訴え、必要な予算が確保されるよう、全力で取り組んでまいります。

小野寺秀

 次に、永住外国人への地方参政権の付与についてであります。
 民主党政権は、さきの通常国会において、永住外国人に対して地方参政権を付与する法案を提出するとしておりましたが、閣内からも反対意見があり、提案は見送られております。
 地方公共団体は、安全保障や教育などの国家の存立にかかわる事柄に深く関与しており、結果として、国政にも影響を及ぼしかねない、永住外国人に対する地方政治への発言権は認めるべきではありません。
 また、最高裁判例によっても、日本国民でない永住外国人に地方公共団体の議会議員及び長の選挙権などを付与することは、憲法違反と解釈せざるを得ないのであります。
 永住外国人の地方参政権に関する知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、永住外国人への地方参政権の付与についてでありますが、我が国に長年にわたり定住し、社会、経済、文化などのさまざまな分野で活動されている外国人の方々が数多くおられ、地域の一員として暮らしている外国人の方々に参政権を与えるべきといった意見もございます。
 しかしながら、国政と地方政治は明確に区分できるものではなく、地方参政権の付与によって、さまざまな混乱が懸念されるとの意見もあるところであり、私自身は、慎重な立場であります。
 ことし4月、この問題に関する立法化の動きに関し、全国知事会においても種々議論がなされたところでありますが、私といたしましては、国民の中で幅広い議論が必要と考えているところであり、また、国と地方の政治の密接な関係からも、立法措置であるから国会で決めればよいということではなく、国、地方全体で十分に議論を尽くしていくことが何より大切である旨、意見を申し述べてきたところであり、今後とも、そうした観点に立って議論してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、夫婦別姓についてであります。
 民主党は、選択的夫婦別姓の早期実現をとなえ、選択的夫婦別氏制度を含む民法改正を行うとしております。
 しかしながら、国立社会保障・人口問題研究所が平成20年までに行った4回の調査では、毎回、反対意見が過半数を超えており、夫婦別姓は国民世論となっておりません。
 また、最近、頻繁に伝えられる児童虐待やお年寄りの所在不明といった世の中の動きは、我が国の社会の基盤であり、かなめである、家族のきずなが崩壊の危機にあることを示していると考えます。
 家族のきずなを損ない、社会の安定を脅かし、国民世論ともなっていない夫婦別姓を認めるべきではないと考えております。見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、選択的夫婦別姓についてでありますが、女性の社会進出や個人の生き方の多様化により、結婚後も仕事上で旧姓を使用するケースがふえていることなどを背景に、国においては、選択的夫婦別姓についての議論がなされていると承知いたしております。
 この制度は、価値観が多様化する現在において、男女ともにライフスタイルを柔軟に選択できるという御意見がある一方、家族の一体感が損なわれることや、子どもと親の姓が異なることによる子どもへの影響などの懸念も指摘されているところであります。
 私といたしましては、この制度については、婚姻制度や家族のあり方を初め、将来の社会制度や国民生活に大きな影響を与える重要な問題であり、広く国民の皆様方の間で十分議論を深めるなど、慎重な対応が必要であると考えているところであります。

小野寺秀

 次に、大雨災害への対応についてお聞きいたします。
 このたび、8月23日からの大雨によって、天人峡美瑛線及び旭川旭岳温泉線において、4名の方々が死傷する痛ましい事態が発生しました。道内には、この2本の道道に類似した危険な道道もあるものと考えられ、直ちに道道の一斉点検を行うべきであります。見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、道政上の諸課題に関し、まず、大雨災害への対応などに係る道道の点検についてでありますが、道では、橋梁やトンネルなど公共土木施設は定期的に点検を実施しておりますが、近年、全国的にも、局地的な大雨が頻繁に発生するといった気象状況の変化もありますことから、今回の被災状況も踏まえ、急流河川と近接した道路などについて緊急に点検を行い、その対策を検討してまいります。

小野寺秀

 道の災害対応は、限られた数の職員をやりくりしながら進められており、そこには、おのずと限界があるのではないかと危惧いたしております。
 今後の災害発生時における職員の対応については、8月23日からの大雨による災害への対応を検証した上で、全般的に見直すべきものと考えております。
 道職員とパトロール業務の委託事業者との連携強化や協力体制を築くために、関係者による連絡会議を設けてはどうかと考えますが、見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、委託業者との連携強化についてでありますが、近年、予測困難なゲリラ豪雨など、異常な降雨が発生するといった気象状況の変化もありますことから、道路パトロールなどの委託業者との連携強化も不可欠であると考えるところであります。
 今後、出張所ごとに、パトロール委託業者と、議員が御提案のような連絡会議を早急に開催し、気象情報の共有やパトロール体制の確認を行うなど、防災体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 8月23日からの大雨による災害時における職務怠慢は論外でありますが、道は、初期の非常配備体制が管理職員1人の体制では不十分であったと認識した上で、原則、複数体制とする当面の対応策を示しております。
 さきの常任委員会における我が会派の同僚議員の質問に対し、道は、管理職員1人の体制がこれまで見直されなかったことに関して、職員団体との関連はないと答弁をしております。非常配備への対応が特定の職員に偏ることがないよう、速やかに体制を整備すべきであります。見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、非常配備体制についてでありますが、このたびの上川総合振興局管内の道路災害において、旭川建設管理部の当番管理職が1名体制であったことから、結果的に、道路パトロールや通行規制が行われなかったことを踏まえ、去る9月2日、職員配備については、不測の事態を想定し、原則、複数人体制を基本とすることなど、各建設管理部に対し指示をいたしたところであります。
 今後の非常配備体制につきましては、初動においても一般職も含めた複数人体制とするなど、防災体制の強化に努めてまいります。

小野寺秀

 災害対応では、定められた手順で誤りなく進められるよう、日ごろからの訓練が欠かせないと考えております。
 上川総合振興局の建設管理部では、8月23日からの週内で訓練を予定していたとのことでありますが、上川以外の3カ所の建設管理部においても、いまだ実施していないと聞いております。
 他都府県において大雨災害が発生していたにもかかわらず、訓練を早期に実施していなかったことは問題であり、怠慢のそしりを免れません。訓練がおくれていたことについて、どのように受けとめているのか、お伺いをいたします。
知事高橋はるみ
 次に、防災訓練についてでありますが、各建設管理部におきましては、災害発生時において迅速かつ的確に応急対策活動を行うため、非常配備体制や、情報の収集、伝達の確認、道路パトロールなどの指示、関係機関への通報などについて実際に点検をし、危機意識の醸成を図ることを目的として、防災訓練を実施することといたしているところであります。
 今年度は、6地域で防災訓練が実施されたものの、4地域で未実施でありますので、今後、速やかに実施するよう指示したところでありますが、その対応のおくれについて重く受けとめているところであります。
 また、来年度以降は、人事異動後、速やかに防災訓練を実施するなど、防災体制の一層の強化に努めてまいります。

小野寺秀

 知事は、道の対応に不手際があったと述べられております。現在、道が認めているところに限っても、職員個々の対応、防災体制の不備があり、道としての責任をどのように考えているのか、伺います。
知事高橋はるみ
 次に、道の責任についてでありますが、今般の大雨に伴う災害に関し、道道旭川旭岳温泉線や道道天人峡美瑛線において、道路パトロールや通行規制が行われなかったことなど、今回の災害に対する初動対応がおくれ、道の防災体制が十分機能していなかったことを深く反省し、道民の皆様方におわびを申し上げる次第であります。
 現在、被害の発生に係る事実関係や、事故の原因等の確認を急いでいるところであり、これらの状況を見きわめた上で、道の責任の所在についても明らかにし、厳正に対処してまいりたいと考えているところであります。

小野寺秀

 次に、危機管理についてであります。
 道の口蹄疫への対応は、10年前の経験を生かした、迅速で徹底したものでありました。
 しかしながら、8月23日からの大雨への道の災害対応では、非常配備につくべき職員が出勤せず、出勤したことの確認が行われず、結果として、パトロール出動指示、通行規制がおくれるなど、平成15年の第10号台風による災害対応の反省が生かされておりません。
 近年、全国の至るところで局地的な豪雨に見舞われており、本年も同様に、いわゆるゲリラ豪雨による大きな被害を受けていたのであります。本道においても、大雨警報が出された場合、最悪の事態を想定できたと考えられます。
 発生した災害や不祥事といった危機への対応にとどまらず、危機の予防、抑制といった、危機全般にわたる管理体制の整備が重要であります。
 道は、このたびの大雨災害対応をしっかりと検証し、危機管理マニュアルを含め、危機管理全体について見直すべきであると考えますが、見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、危機管理についてでありますが、危機管理には、職員の高い意識と、個々の業務における実効性のある対策の双方が重要でありますことから、道では、これまで、危機管理マニュアルにおいて、全職員が、危機の予防、抑制に努めるよう定めるとともに、想定されるリスクごとに個別マニュアルを作成するなどの対応を行ってきたところであります。
 しかしながら、このたびの大雨災害対応では、初動のおくれなどから危機を防止できなかったことはまことに遺憾であり、一層の意識の向上と対策の強化に向けて、早急な取り組みが必要と考えているところであります。
 このようなことから、各部、各振興局の防災体制について、現在、点検調査を行っているところであり、この調査結果を踏まえて防災体制を検討するため、庁内の関係部を構成員とする北海道防災体制検証チームを設置いたしました。
 さらに、道路決壊の原因などの分析についても、降雨や洪水の状況、道路決壊のメカニズムなど、専門的な検討が必要であることから、河川や砂防工学などの専門家で構成する調査委員会を設置し、調査、検証することといたしているところであります。
 私といたしましては、このたびの大雨災害対応をしっかりと検証し、各部、各振興局における危機管理体制や危機管理マニュアルなどを見直すとともに、新たに、訓練を含めた実践的な研修を行うなどして、危機管理の強化に努めてまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、水資源の保全及び活用についてであります。
 現在、国際社会において熾烈な土地の争奪戦が起こっております。これは、将来、世界的に水が不足すると予測されているからであります。
 そのため、日本政府は、国際的な土地取引の透明性や公平性を担保する国際ルール案をまとめ、横浜で開催されるAPECで提出を目指している模様であります。
 しかし、その一方で、本道の複数の森林が外国資本や外国の個人に買収されていたという事実が判明したにもかかわらず、我が国においては、森林の所有者の状況をしっかりと把握できないという実態があるのです。
 日本全体の4分の1の森林を有する本道は、さきの定例道議会において、日本政府や関係官庁に対し、今までの森林行政における不備や法整備の見直しについての意見書を提出しましたが、北海道としても、道民の財産である森林や水源を守るため、道みずからが速やかに行うべき対応があるはずです。
 道は、しっかりと危機意識を持ち、迅速に対応すべき問題があると考えますが、見解を伺います。
 また、本道の水資源に関しては、道が早急に水源や地下水脈等の調査を行うべきであると考えますが、あわせてお伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、水資源の保全と活用に係る道の対応についてでありますが、世界的に、水資源に対する関心が高まる中で、本道の豊かな水資源は、道民の皆さんの暮らしや、農業を初めとする産業に欠かすことのできない貴重な財産であると認識いたしているところであり、こうした水資源の保全と活用を図るために、強い問題意識を持って、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。
 さきの第2回定例道議会での議論を踏まえ、現在、庁内の横断的組織である北海道土地・水対策連絡協議会のもとで、森林や水源及び水道用水や農業用水などの実態の把握を行っているところであり、特に、所在地が海外となっている企業等が取得した森林に係る水源や地下水脈等の状況について速やかに調査してまいりたいと考えております。
 今後、こうした調査をもとに、課題の整理や必要な対策の検討を進め、本道の豊かで清らかな水を未来に向けてしっかり保全し、引き継いでいくことができるよう、関係部局が一体となった取り組みを早急に進めてまいります。

小野寺秀

 次に、国民保護計画を含む危機管理上の観点から、この森林問題についてお伺いをします。
 有事の際、行政が飲料水を確保できなければ、保護計画は絵にかいたもちになってしまうでしょう。また、道内の自衛隊基地に極めて近い場所にある森林が海外資本に買収されているという事案もあるはずです。
 北海道は、道民の安心、安全を守るために、危機管理上の観点から森林政策を展開する必要があるのは当然です。
 自衛隊の基地、または警察署等、国民保護計画を遂行する上で欠かせない関係機関の周辺の森林については、一刻も早く、その所有者を特定し、今後の動向についても注視していく必要があると考えますが、見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、森林所有者の把握についてでありますが、自衛隊や警察署等の国民保護関係機関の周辺における森林について、その所有者や利用目的等の実態を的確に把握することは、地域住民の安全、安心を確保するという危機管理の観点からも重要であると考えているところであります。
 このため、道といたしましては、国民保護関係機関の周辺の森林について、速やかに、海外資本などの所有者情報を把握するとともに、今後の森林売買の動向について注視してまいる考えであります。

小野寺秀

 本年7月、中国において国防動員法が施行されております。
 仮にこの法律が中国で発動された場合には、北海道にいるすべての中国国民が中国軍に帰属する可能性を秘めており、多くの森林を中国資本に買収されている本道にとっては、憂慮すべき問題であります。
 このような事態にならぬよう、国に対して強く働きかけを行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、国への働きかけについてでありますが、これまで、国の施策及び予算に関する提案、要望などにおいて、森林の売買等の情報を的確に把握するための関係法令の整備や、水源地域等の重要な森林の売買に関する新たな仕組みの整備などについて、国への働きかけを行ってきたところであります。
 今後は、本道の貴重な財産である水源を守り、森林資源を適切に管理し、さらには、地域住民の安全、安心を確保するという危機管理の観点から、現在調査しております道内の森林の所有実態をしっかりと踏まえ、関係機関に情報提供するとともに、課題の整理を行った上で、国への要望などについて早急に検討してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、景気・経済対策についてであります。
 先日公表された本年第2・四半期のGDP速報値は実質0.4%と、昨年の10月以降、1%前後の成長率で推移していた国内経済活動に大きくブレーキがかかった状況になっております。
 さらに、政府の無策に乗じて急進した円高によって、産業の空洞化が懸念されております。
 こうした国内経済の状況の中、道内経済については、日銀などの観測では、着実に持ち直しているとする一方、公共投資の減少を受けて、持ち直しの動きが鈍っているとの指摘があり、地元からは、秋以降、息切れする企業が出てくると、切実な声が上がるなど、依然として厳しい状況にあることを示しております。
 また、有効求人倍率が0.3台で低迷したままであり、来年度の新規高卒者に対する道内、道外を合わせた求人状況は、昨年の0.43から0.38へと悪化をしており、雇用状況も極めて厳しいままであります。
 道内外の経済状況についてどう受けとめ、対応されるお考えなのか、お伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、景気・経済対策についてでありますが、全国の経済状況は、引き続き持ち直してきているものの、最近では、急激な円高が進み、また、雇用情勢も悪化が懸念されているところであります。
 本道におきましては、国の対策に呼応しながら、道単独の取り組みも含め、数次にわたる経済・雇用対策を講じてきたこともあり、持ち直しの動きが見られるところではありますが、公共工事の減少や有効求人倍率の低迷など、依然として厳しい経済・雇用情勢が続いておりますことから、道といたしましては、国の新成長戦略に先んじて、本道の優位性を生かした食クラスター活動の本格展開や、低炭素化への取り組みなど、成長力強化に向けた取り組みを展開するとともに、国による追加経済対策が必要との考え方のもと、去る7月23日に、その早期実施を国に要請したところであります。
 国では、9月10日に、円高への対応、新成長戦略の前倒しによる経済の活性化を図るため、新たな経済対策を閣議決定したところでありますが、私といたしましては、国の公共事業が昨年度より大きく下回り、景気の先行きが懸念される中、本定例会に補正予算を計上させていただいた投資単独事業の執行のみならず、国に対しても、このたびの経済対策に基づき、雇用対策などの事業や補正予算の編成も含めた具体的な施策の早期実施を強く求めるなど、本道の景気、経済の回復に向けて、スピード感を持って全力で取り組んでまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、HAC問題についてであります。
 さきの特別委員会における我が会派の同僚議員の質問に対して、道は、減増資の考え方として、JALの持ち株比率を14.9%とするとともに、減増資に当たっては、発行済み株式数を変更せずに新株を発行し、現在5万円の株式価格を4万6200円として試算しております。
 この考えに基づいて、仮に4億円を増資することとした場合、JALの持ち株比率を14.9%に下げるため、株式を譲渡することとなり、JALに対して約1億円を支払わなければならないことが明らかになりました。
 約2億円の累積損失を抱えるHACの経営を担ってきたJALが、経営から一方的に撤退し、減資にプラスする負担もなく、1億円もの支払いを受けることは納得ができません。なぜこのような減増資の方法をとろうとしているのか、見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、HACの減増資の取り扱いについてでありますが、JALと道との間で本年7月に取りまとめた「新しいHAC経営体制の基本的な考え方」において、新しい経営体制の構築に当たっては、減資により累積損失を解消し、増資等により資金調達を行うことを基本に、経営基盤を確立することといたしているところであります。
 JAL側からは、減増資について、現在、国の支援を受けつつ、裁判所の管理下で会社更生を進めていることなどから、減資に当たっては、株式数を減少させずに出資比率に応じて行うこと、また、株式の譲渡に当たっては、HACの企業価値などに基づく適正な価格での譲渡が基本であることとの見解が示されているところであり、このJALの考え方と、第三者機関による資産査定等における株式評価額に基づいて減増資を行うこととした場合、JALの保有株の譲渡額が約1億円となるところであります。
 しかしながら、HACは、5期連続の赤字決算で、約2億円の累積損失を計上していることから、筆頭株主であるJALに対して、減資や14%程度への出資比率の引き下げに伴う経営責任を明らかにするよう、申し入れをしてきているところであります。
 これに対して、JAL側は、実質的に国の管理下にある財産を毀損することはできないとの見解であり、道としては、JALの考え方以外の方法をとることは難しいと考えているところでありますが、今後、専門家などの意見もお伺いしながら株式を評価するなど、減増資の取り扱いについて、JAL側と具体的な協議を行い、できるだけ早期に結論を得てまいりたいと考えております。

小野寺秀

 また、札幌市とは、現在、出資割合を初めとしたHACへの支援について協議を重ねているところと承知をしておりますが、現在の状況と今後どのように臨まれるのか、あわせてお伺いをいたします。
知事高橋はるみ
 次に、札幌市との協議についてでありますが、この協議においては、HACへの出資比率、移転に伴う設備投資等に対する支援、丘珠空港ビルの賃料などが主な論点となっているところでありますが、HACの安定的な事業運営のために必要な支援、協力について、できるだけ早期に結論が得られるよう、鋭意協議を進めてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、高速道路の無料化についてであります。
 政府は、民主党の政権公約である高速道路の無料化が今年度実現できなかったことを覆い隠すように、本年6月末から無料化の社会実験を行い、さきに、実験開始後1カ月間の結果を明らかにいたしました。
 道内では、高速道路の通行量が実験前に比べ2倍を超える増加を示し、高速道路に並行する一般道路の通行量は1割強減少をしております。
 この間、一般道路沿線の商業施設などの利用客やJRなどの利用客が大きく減少していると伝えられており、我が会派が入手した国道12号線沿線のコンビニエンスストアにおける来客数のデータを見ると、実験前後の土曜日では2割、日曜日では1割減少しているのであります。
 こうした状況は、地域経済に大きな影響を及ぼすものと懸念をしておりますが、どのように認識をされているのか、見解を伺います。
 また、今後、政府が行う社会実験の結果の検証に向けて、道としても、市町村と連携をし、無料化の影響について十分把握し、意見を述べるべきであると考えておりますが、あわせて見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、高速道路の無料化についてでありますが、社会実験開始後、無料区間の高速道路は交通量が増加する一方、並行する国道では減少したほか、実験区間と並行するJRや都市間高速バスなどは旅客数が減少する傾向にあるところであります。
 また、商業施設や観光施設では、入り込み客や売り上げが増加している施設がある一方、減少している施設もあるほか、沿線自治体からは、深刻な影響を受ける地域経済への対策を求める要望が出されるなど、さまざまな影響があるものと認識をいたしております。
 道といたしましては、引き続き、その実態を調査し、他の交通機関や地域経済への影響を把握した上で、必要な対策について、沿線自治体や交通事業者などと連携をしながら、国に対応を強く求めていかなければならないと考えております。

小野寺秀

 次に、北海道新幹線の札幌延伸についてであります。
 JR北海道は、本年3月、北海道新幹線の札幌延伸に伴って、経営分離する並行在来線の区間を明らかにしました。
 しかしながら、函館市は、現函館駅から新函館駅へのアクセスが確保されない限り、経営分離には同意できないとしており、現状では、並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意を得るという新幹線建設着工の条件の一つが満たされておりません。
 これからの函館市とJRとの協議では、採算性が課題となっているこの区間の需要予測が重要な要素になると考えており、道には、需要予測に関与するなどして、事態打開に向けた対応が求められております。今後どのように取り組んでいくお考えなのか、伺います。
知事高橋はるみ
 次に、北海道新幹線の札幌延伸に係る、現函館駅―新函館駅間のアクセスについてでありますが、札幌延伸を実現する上で、運営主体となるJRの同意や、並行在来線の経営分離に対する沿線自治体の同意等は、整備新幹線の認可、着工に当たっての基本条件となっているところであり、これまで、函館市、JR北海道及び道で、並行在来線の取り扱いについて協議を進めてきているところであります。
 議員からも御指摘がございましたが、札幌延伸後の現函館駅―新函館駅間のアクセスを考える上で、当該区間の旅客需要を把握することは重要なことと考えておりますことから、今後、経済界を含め、幅広い関係者の協力を得て、両駅間の需要予測を行い、その結果も踏まえながら、両駅間のアクセスに関する協議を進める中で、早期解決に向け、全力で取り組んでまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、個人情報保護についてであります。
 個人情報保護法の全面施行から5年を経過し、行政の多くの場面で、このような運用が法律の意図するところだったのかと首をかしげざるを得ない事案をよく耳にいたします。
 福祉行政を例にとれば、市町村において、高齢者の見守りや災害時の避難支援などの活動を進めるに当たっては、行政の担当部局相互間や、協力してもらう民生委員、町内会などが、対象者に関する情報を共有化することが大切でありますが、一部では、町内会まで伝わるなら個人情報は見せられないという強い主張がなされていると聞くところであります。
 児童虐待事件や東京都足立区の事件に端を発した高齢者の所在不明問題なども、情報の伝達と確認が円滑に行われていれば、重大な事態にまで至らなかった事例もあるように思われます。
 行政が管理する情報の活用が明らかに本人の利益になる場合でも、個人情報保護に名をかりた責任逃れともとられる過剰反応が横行するようなことがあってはならないと考えております。
 ついては、道及び市町村における情報保護への過剰反応の実態を調査し、個人の権利と利益の保護という制度の目的が達成されるよう、道としてガイドラインを定めるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、個人情報保護についてでありますが、個人情報の保護に関する法律の誤解等に起因して、必要とされる個人情報の提供が控えられたり、各種名簿の作成が中止されるなど、いわゆる過剰反応と言われる状況も一部に見られると承知をいたしております。
 道といたしましても、法の趣旨の理解がより一層深められることが重要と考えているところであり、今後、議員が御指摘の趣旨も踏まえ、いわゆる過剰反応の事例など、個人情報保護の運用状況を調査し、市町村においても利用できるように、制度の運用について、QアンドAの形式で、わかりやすく整理したものを年度内に作成の上、個人情報保護に関する研修会で活用するなど、取り扱いの適正化が図られるよう、努めてまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、エゾシカ対策についてであります。
 エゾシカの生息範囲は全道に分布が拡大しており、その数は、これまでの推計を大きく上回る64万頭に及ぶとのことであります。
 また、昨年度の農林業被害額は、これまでの最大だった平成8年に並ぶ50億円に達しており、極めて深刻な事態と言わざるを得ません。
 全道の生息状況の的確な把握に努めるとともに、市町村に対する財政支援や駆除に携わる狩猟者の負担軽減など、実効性のある駆除対策を進めることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、エゾシカの捕獲対策についてでありますが、私といたしましても、エゾシカによる被害は極めて深刻な状況と認識をいたしているところであり、これまでの議会議論も踏まえ、今年度から3年間、緊急的な捕獲等の取り組みを全道で実施することといたしたところであります。
 このため、本年度は、捕獲数の上積み対策として、市町村が実施する有害鳥獣捕獲に要する経費に対して、地域づくり総合交付金を活用して支援するとともに、捕獲数の一層の増加を図るため、雇用交付金を活用して、市町村と道による、全道の越冬地における生息状況の調査を行うほか、出前講座の実施等による狩猟免許者の確保対策や、狩猟期間の延長などの規制緩和を行ったところであります。
 また、来年度以降の対策の実施に当たっては、引き続き、関係機関や市町村との連携のもと、広域的な捕獲体制の構築や、専門家による計画的な捕獲に向けた技術を確立し、さらなる捕獲数の上積みを図ってまいりたいと考えているところであります。
 さらに、エゾシカの捕獲数を確保するために、狩猟税も含めた、狩猟者の経済的負担の軽減策などについても具体的に検討し、エゾシカの増加を早急に食いとめるよう、スピード感を持って取り組んでまいる考えであります。

小野寺秀

 エゾシカ対策は、国の関係機関の協力を得ることも大切であります。国有林の入林禁止区域に逃げ込まれてしまうと駆除できないことから、弾力的な運用を求める声が寄せられております。
 森林管理局は、エゾシカ駆除のため、入林できる区域を一定程度拡大する方向と聞くところであります。より効果が上がるよう、十分な協議を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、自衛隊との間では、直接的な射撃以外の方法で協力が得られる方向での議論が進められていると承知をしておりますが、いつまでに取りまとめられるのか、あわせてお伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、関係機関との連携についてでありますが、エゾシカ対策を進める上で、北海道森林管理局との連携は極めて重要でありますことから、5月に設置をした、通称・エゾシカ包囲網会議にも参加していただいているところであり、その際に、エゾシカの捕獲に積極的に協力していくとの方針が示されたところであります。
 今後、各振興局に設置されている地域協議会等において、市町村や猟友会と連携をしながら、入林禁止区域の縮小や、冬期における林道の除雪などについて、個別具体に協議を進めてまいる考えであります。
 また、陸上自衛隊北部方面総監部とは、2月から3月に予定をしている捕獲事業に対して、ヘリコプターによる調査や、雪上車による捕獲したエゾシカの搬出など、具体の事業内容について協議しているところであり、11月をめどに取りまとめてまいる考えであります。

小野寺秀

 国の財政支援措置は、被害防止計画を策定することが前提でありますが、40市町村は、被害を受けていても、防止計画を策定しておりません。これらの市町村に対して、速やかに計画を策定するよう指導すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、被害防止対策についてでありますが、地域における被害防止対策を進めるためには、市町村が、法に基づく被害防止計画を作成し、国の支援制度を積極的に活用していくことが重要と認識いたしているところであり、道といたしましては、計画が未作成の市町村に対する働きかけを強める一方、計画作成の手引を配付するなどして、積極的な指導助言に努め、市町村における計画づくりを促進してまいる考えであります。

小野寺秀

 また、今年度、道内の34地区から要望のあった、シカの侵入を防止するさくの設置などハード事業のうち、採択されたものは10地区にすぎません。残された24地区の事業費はおよそ12億円にも上り、市町村が単独で実施することは極めて困難であります。
 国に対して、来年度以降の対策の充実を強く求めていくべきだと考えますが、あわせて知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 また、国の鳥獣被害防止総合対策事業については、本年度、国の予算額が削減され、地域からの要望の増加にこたえ切れていない状況になっておりますことから、国に対し、来年度以降の本事業の継続と予算額の拡大などを強く要望してきているところであります。
 こうした中、さきに示された、平成23年度の農林水産省の概算要求において、本事業の継続のほか、緊急対策として、国直接採択による市町村へのソフト、ハード両面にわたる大規模な支援事業が盛り込まれたところであります。
 私といたしましては、これらの事業が来年度予算として成立するよう、また、本年度の未採択地区での整備などについて、市町村や農業団体と十分に連携を図りながら、国などに対し、積極的に働きかけてまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、アイヌ政策についてであります。
 私は、昨年の第2回定例会から、アイヌ政策に関する不適切な運営や会計処理について実態を究明すべきと指摘を続けてまいりました。
 さきの環境生活委員会においても、協会における新たな不適切事案として、アイヌ文化振興財団の助成事業などで多額の不適切な執行が報告をされましたが、これらは、ことしの3月に解任をされた協会本部の副理事長から提出された弁明書に記載された告発に対し、道が行った調査により明らかになったものです。
 また、道による修学資金の調査の際も、本部の副理事長が道の調査に対して全く協力しなかったという事実が明らかになり、常任委員会でも意見が出されたところであります。
 しかし、協会本部は、この間の一連の問題に対して何ら適切な対応をとっておらず、公益法人としてふさわしい団体なのか、本気で協会を立て直す能力と品格が現執行部に備わっているのかと、強い疑念を持たざるを得ないのであります。
 そこで、最初に伺いますが、さきの環境生活委員会において、アイヌ協会の役員も関与した補助事業の不適切な執行が報告をされましたが、この役員の中には、国のアイヌ政策推進会議の委員も含まれております。
 今後のアイヌ政策の検討にも影響を及ぼしかねない重大な問題と考えますが、知事は、この事実をどのように受けとめ、どう対応されるのか、お伺いします。
 また、このように数々の問題が発生する原因と責任の所在がどこにあるのか、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、アイヌ協会の責任等についてでありますが、このたびの調査におきまして、アイヌ協会の役員が旅費の不適切な支給を受けていたことが確認されましたことについては、極めて残念なことと受けとめているところであります。
 御指摘の点につきましては、いずれの役員も、協会としての対処や、御自身の判断により、責任の処し方が明らかにされたところでありますが、アイヌ協会は、今後のアイヌ政策の全国展開を進める上で極めて重要な役割を担っていることから、私といたしましては、このたびの不適切事案を踏まえ、組織運営や原因の総検証に取り組む必要があると考えているところであります。
 また、協会の重責を担う役員の方々には、これまでの調査結果をしっかりと認識された上で、社会通念に照らし、協会及び協会役員の責任について、協会において適切に判断されるべきものと考えております。

小野寺秀

 アイヌ協会がアイヌ政策の全国展開を図る上で重要な役割を担う中、多くの支部、さらには本部において行われていた多くの架空請求といった不適切な処理は、協会の組織そのものに問題があったと考えるものであります。早急にアイヌ協会本部の抜本的な立て直しを行っていく必要があると思いますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、アイヌ協会の今後の体制についてでありますが、このたびの不適切事案では、本部、支部における組織内のチェック体制が十分機能していなかったことなどの問題が明らかになっているところであります。
 協会においては、公認会計士による支部指導や、改善策の重要な柱として、外部委員を含めた、協会組織のあり方等検討委員会を設置し、再発防止並びに組織の機能の改善、強化に関する事項などについて検討を行っているところであります。
 道といたしましては、この検討委員会に関係部等が積極的に参画するとともに、助成事業の改善策を確実にするためにも、助成を行うアイヌ文化振興財団の事業運営について、国と連携を図りながら、一層かかわりを深めるなどして、アイヌ協会が道民の皆様方の信頼を得られるよう、強く指導してまいります。

小野寺秀

 次に、高齢者・障がい者対策についてであります。
 初めに、老老介護についてであります。
 知事は、昨年の第2回定例会における我が会派の代表格質問に対して、いわゆる老老介護対策は重要な課題であるとの認識を示され、実態調査を実施するとともに、市町村等とも連携をして、在宅で介護する方の支援を積極的に行ってまいりたいとの考えを述べられました。
 そこで伺いますが、まず、調査によってどのようなことが明らかになったのか、お示しください。
 在宅で介護を行っている人の多くが、心の不調など体調を崩していたり、社会からの孤立を感じていると、よく耳にするところであります。
 道として、このたびの調査結果を踏まえ、どのように取り組むお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。
知事高橋はるみ
 次に、高齢者が高齢者を介護する、いわゆる老老介護についてでありますが、道では、北海道社会福祉協議会と協力をし、介護者と要介護認定を受けている被介護者がともに65歳以上の世帯を対象に調査を行ったところであり、近く、最終的な取りまとめを行うことといたしているところであります。
 このたびの調査は、調査対象が限られているところではありますが、これまでの調査分析から、介護者と被介護者がともに75歳以上の方々の割合が6割以上と高いこと、被介護者の約半数に認知症の症状が疑われること、また、介護者の約半数が、御自身の健康への不安やストレスを抱えておられることなどが明らかになっているところであり、私といたしましては、高齢社会が進展する中で、高齢の方が高齢の方を介護する厳しさが浮き彫りになるなど、社会問題ともなっている老老介護の課題は深刻の度を増しているものと、改めて認識をさせていただいたところであります。
 道といたしましては、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、こうした調査結果について、市町村に情報提供をし、家族からの相談や支援への的確な対応を求めるとともに、今年度、外部の有識者も交えた検討会を設置し、市町村で実施する地域包括ケア推進モデル事業の成果や、このたびの実態調査も踏まえながら、老老介護の支援方策や地域包括ケアのあり方について検討してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 さて、国が、老人の日記念行事として実施している百歳高齢者等調査の結果、道内では7名の方の所在が確認できなかったとのことであります。
 全国でも、30年前に亡くなっていたなどの事例が相次いで発覚したことや、行政内部の連携が不十分であったことから、総務省は、各都道府県に対し、市町村において、必要な場合は、このような状況を踏まえた調査を行い、住民基本台帳の記録の正確性の確保を図るよう通知したところであります。
 ついては、この機会に、まずは65歳以上の状況について把握すべきと考えますが、道としてどのように対応するのか、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、高齢者の所在確認についてでありますが、全国的な高齢者の所在不明にかんがみ、道といたしましても、100歳以上の高齢者の方々について調査した結果、道内でも7名の方の所在不明が明らかになったところであり、また、本日、旭川市において、100歳未満の方の所在不明の発表もあったところであり、私といたしましては、そうした方々の安否も含め、大変心を痛めているとともに、住民基本台帳の正確性の確保について、改めて重大に受けとめたところであります。
 こうした中、国から、8月31日付で、住民票の確実な記載や、各市町村の実情に応じた調査の実施など、住民に関する記録の正確性の確保に努めるよう、通知があったところであり、市町村に対して、この旨、直ちに通知を行ったところであります。
 道といたしましては、市町村における調査の実施に当たって、今般判明した高齢者の所在不明に係る事案を踏まえ、特に、65歳以上の高齢者の方々の確認状況などの実態について、速やかに把握した上で、住民に関する市町村の記録の管理が適正に行われるよう、道の関係部局との連携も図りながら、総務省通知の趣旨も踏まえ、適切に助言指導を行ってまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、障がい者条例についてであります。
 北海道障がい者条例が本格施行され、全道で地域に根差した活動も本格化しているところであります。
 特に、地域づくり及び地域生活移行を担うそれぞれのコーディネーターは重要な役割を果たすものであり、先ごろ開催された、知事を本部長とする推進本部の席において、学識経験者からもコーディネーター制度が高く評価をされ、継続発展を望む意見が述べられたということであります。
 北海道が、全国に先駆けて、施設から地域へ、暮らしやすい地域支援体制づくりという取り組みを進めるためにも、この機能強化を図るべきであると考えますが、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、障がい者施策に関するコーディネーターについてでありますが、道においては、施設から地域生活への移行をサポートする、地域生活移行支援コーディネーターと、地域で暮らす障がい者を支援する、地域づくりコーディネーターを、それぞれ配置いたしているところであります。
 本年4月の障がい者条例の全面施行を受け、現在、両コーディネーターは、市町村や障がい福祉事業者など、地域の多様な関係者との密接な連携を図りながら、市町村の障がいのある方々に対する支援体制づくりを積極的に進めているところであり、専門的な支援の担い手として、大変重要な役割を果たしていると認識いたしております。
 私といたしましては、障がいのある方々が当たり前に暮らせる地域は、だれにとっても暮らしやすい地域であるとの基本的な考え方のもと、こうした地域づくりや、施設から地域生活へ移行する流れを加速するため、条例に基づいて設置をしている地域づくり推進本部において、学識委員の御意見もいただきながら、1人のコーディネーターが二つの機能を一体的かつ効果的に担えるよう、これらのコーディネーターの統合をするなど、機能強化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、環境産業の振興についてであります。
 道は、今年度から、成長力強化に向けた三つの視点の一つとして環境を掲げ、取り組みを進めております。
 依然として厳しい経済状況の中で、本道の成長を牽引する新たな産業を創出していくことは喫緊の課題であり、成長可能性の大きい環境産業の振興に向けた取り組みをより一層加速し、本道経済活性化の起爆剤としていくことが重要と考えております。
 国連関係機関が平成20年に公表した「グリーン・ジョブ報告書」では、世界の環境産業の市場規模について、平成32年には、平成18年に比べ2倍の2兆7400億ドルにも達するとしております。
 我が国においても市場規模は大幅に拡大すると見込まれ、こうした環境関連需要を道内企業が新たなビジネスチャンスとして生かしていくためにも、道として、環境産業の戦略的な育成、振興を図っていくべきと考えます。見解をお伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、環境産業の振興についてでありますが、世界的な低炭素社会の実現に向けた動きが活発化する中で、環境産業は、新たな成長産業として期待されるとともに、地域の活性化に資するものと考えているところであります。
 また、道として、地球環境問題に対し、積極的な貢献を果たしていく必要があることから、今後、これまで以上に、環境産業の育成、振興の取り組みを強化することが大変重要であると考えます。
 こうしたことから、寒冷地住宅技術といった国際的な市場競争力のある産業分野の育成、バイオマスや雪氷エネルギー等の地域資源を生かした産業の創出など、重点分野の設定と育成、NPOを初め、多様な主体の参加による仕組みづくりについて、北海道商工業振興審議会などから御意見をお伺いしながら、新たに環境産業振興戦略を策定し、環境産業の育成、振興に向けた積極的な取り組みを進め、本道経済の活性化や雇用の創出を図ってまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、農業の戸別所得補償制度についてであります。
 政府は、来年度から、畑作6品目も対象として実施することとしておりますが、これまで明らかにされた制度の骨格からは、多くの問題点があると指摘せざるを得ません。
 畑作物の交付金は政策コンテストで認められなければ予算化されないという、肝心な部分が極めて不安定な状況となっております。
 また、単位数量の支給単価は、現行の交付金に比べ、麦、大豆では高く、てん菜、でん粉原料用バレイショは低く設定されたことから、てん菜とでん粉原料用バレイショの作付が少なくなり、道内の製糖工場やでん粉工場への出荷量減少、それに伴い、輸送業などの関連産業も含めた雇用、地域経済への悪影響も懸念をされております。
 収穫量が多いほど補償額がふえる数量払いの比率が高められた結果、付加価値が高くても、栽培が難しく収量の少ない品種より、品質は落ちても、収量が多いものが優先されるということになれば、これまで築き上げてきた北海道ブランドへの信頼を失いかねないというおそれが指摘されております。
 知事は、このような制度をどのように受けとめているのか、お伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、戸別所得補償制度についてでありますが、さきに国から示された制度の骨子では、畑作物は数量払いを基本に、当年産の作付実績に対して面積払いを交付する仕組みとなりましたほか、全算入生産量をベースとした交付単価の設定や産地資金の創設が盛り込まれるなど、おおむね北海道の提案、要望が反映された内容となったと理解をいたしております。
 この制度につきましては、生産者の努力の成果が交付金の増額に結びつくなど、プラスの要素がある一方、畑作物の品質向上への意欲の低下といった懸念や、てん菜とでん粉原料用バレイショの交付金額が現行の経営所得安定対策を下回るなどのマイナス要素もあるところであり、こうしたことが、農業経営や地域の農業生産、さらには関連産業に及ぼす影響を分析することが必要と考えております。
 今後、道といたしましては、農業経営などへの影響のシミュレーションや、地域の要望、意見の取りまとめなどを行い、関係機関・団体等とも連携しながら、基本的な予算の一部が政策コンテストで配分されるという厳しい状況なども踏まえ、国に対して、予算の確保はもとより、制度の具体的な内容などについても、北海道としての提案要望を積極的に行ってまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、農業基盤整備事業についてであります。
 民主党政権は、国の食料・農業・農村基本計画が、我が国の食料自給率を50%にまで引き上げようとしているのにもかかわらず、今年度の予算において、農地の生産能力向上に必要な予算を前年に比べ6割以上も切り捨てるという、政策のイロハもわからない、支離滅裂な判断を行ったところであります。
 このほど明らかにした農林水産省の来年度の概算要求において、農業農村整備事業予算は、6割カットされた今年度に比べれば12%増となっておりますが、平成21年度当初予算の5割程度までにしか回復していないのであります。そのため、農家の方々からは落胆の声が寄せられているところであります。
 今回の概算要求をどのように受けとめているのか、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、農業農村整備における平成23年度概算要求についてでありますが、農業農村整備事業につきましては、国費ベースで、全国では、対前年度比105.2%の約2241億円、北海道分は、対前年度比111.6%の約564億円、うち、補助分が108億円となっているところであり、本道の伸び率は全国を6.4ポイント上回っているところでありますが、平成21年度当初予算と比べますと、おおむね5割の水準となっているところであり、厳しい予算状況と受けとめているところであります。
 また、このほか、地方に予算配分の裁量がゆだねられている農山漁村地域整備交付金につきましては、全国枠が、前年と同額の1500億円、北海道分も、前年と同額の約153億円となっているところであります。
 交付金の分野別配分は、現時点では未定でありますが、補助金、交付金を合わせた公共の農業農村整備予算としては、道要望の307億円、対前年比150%に対して、明らかに不足しているところであり、排水対策など、地域から多く寄せられております整備要望にこたえるためには、残念ながら、十分ではないものと認識をいたしております。

小野寺秀

 このような状況では、農家が予定している基盤整備事業は中止あるいは大幅な変更を余儀なくされるため、生産基盤の計画的な整備を前提とした営農計画が根底から覆されることとなり、我が国の食料基地である本道農業の将来を危うくすることは、火を見るより明らかというべきであります。
 知事は、ことしの第1回定例会において、我が会派の質問に、基盤整備事業の必要性について、北海道の総意を結集し、あらゆる機会をとらえて訴えていくと答弁をされましたが、来年度の必要な予算確保に向け、どのように対応しようとするのか、また、今後の農業農村整備をどのように推し進めようとするのか、お示しください。
知事高橋はるみ
 次に、農業農村整備の今後の対応についてでありますが、このたびの概算要求では、予算の重点配分を行う仕組みとして、元気な日本復活特別枠が設定され、本道分としては、補助金に98億円、交付金に15億円が内数で計上されており、今後、政策コンテストを経て決定されることとなっているところであります。
 また、排水条件の改良や老朽化施設の修繕などを緊急に実施する事業として、新たに、全国枠で220億円計上されたところであります。
 こうした予算状況の中で、地元要望にこたえながら、本道の農業農村整備を計画的に進めるため、ただいま申し上げた特別枠要望を含む予算総枠の確保や、新規事業予算の本道への優先配分など、引き続き、関係機関・団体と連携をしながら、私自身が先頭に立って、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 また、今後の農業農村整備の進め方についてでありますが、これまでの事業実施による農作物の収量、品質や、生産性向上などの効果を十分に検証するとともに、今後の予算動向や一括交付金化といった補助事業制度の見直しなどを踏まえ、地域の農業者や関係機関・団体の御意見も十分にお伺いをしながら、農業生産に効果の高い暗渠排水、区画整理などの農地整備や、用排水施設の保全整備が円滑に進められるよう、その効果的なあり方について検討してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、道営競馬についてであります。
 本道は、我が国最大の競走馬産地として、これまで、シンザン、ハイセイコー、オグリキャップ、そして、ホッカイドウ競馬に所属したまま、中央競馬や海外のレースで大活躍をしたコスモバルクなど、数々の名馬、優駿を輩出し、周辺産業も含め、地域経済に及ぼす効果は600億円にも上るとされております。
 また、現在、地元では、中国などへの軽種馬輸出を目指し、来年開催される中国国際馬博覧会への参加準備も進められているところであります。
 初めに、知事は、このことをどのように受けとめているのか、伺います。
知事高橋はるみ
 次に、ホッカイドウ競馬についてでありますが、北海道の軽種馬は、日高・胆振管内を中心に、全国の95%に当たる年間約7200頭が生産されているところであり、全国に競走馬として供給をしており、特に日高管内においては、関連産業を含め、600億円とも言われる経済効果を生み出していると承知いたしているところであります。
 こうした中で、ホッカイドウ競馬は、国内唯一の産地競馬として、多くの新馬を受け入れ、レベルの高い調教技術のもと、強い馬づくりという役割を担うとともに、その半数以上が、JRAを初め、全国の地方競馬に移籍し、活躍しているところであり、また、日高管内の門別競馬場における約400名を初め、全道では約1000名を超える雇用創出に寄与いたしているところであります。
 さらに、門別競馬場は、馬との触れ合いや美しい牧場風景などと一体となって、北海道における魅力的な観光資源の一つにもなっていると考えているところであります。
 こうした点から、ホッカイドウ競馬は、日高、胆振にとどまらず、道内のさまざまな経済活動と密接に結びついており、地域経済に極めて大きな役割を果たしているものと認識いたしております。

小野寺秀

 道は、平成20年度から、北海道競馬改革ビジョンを策定し、収支均衡が図られるよう、運営改善に取り組んでまいりました。
 その結果、最終年度のことしは、他の公営競馬だけではなく、中央競馬も売り上げを減少させている中、収支の均衡が図られるような売り上げを確保する大健闘を見せております。
 さて、10月には、ことし最後となる馬の競り市が開催されることとなっていることから、関係者からは、道営競馬の存続について早期の判断を求める強い声が寄せられているところでありますが、知事の見解をお伺いいたします。
知事高橋はるみ
 次に、競馬事業についてでありますが、これまでの競馬改革ビジョンに即したさまざまな競馬改革の取り組みから、収支均衡を見通せる段階まで来たことについては、前向きに受けとめているところであります。
 こうした取り組みの成果については、北海道地方競馬運営委員会などからも一定の評価をいただいているところでありますが、一方で、本年度の発売額は計画を下回っているところであり、また、全国的にも発売額が大きく減少するなど、地方競馬を取り巻く環境は、依然として厳しいものがあることも事実であります。
 こうした中で、ホッカイドウ競馬は、日高・胆振地域など、軽種馬産地の活性化にとって不可欠な事業であるとともに、美しい牧場風景など、観光資源としても、その価値を高めているところであり、ホッカイドウ競馬を将来にわたって安定的に継続していくことが重要であります。
 このため、地方競馬主催者相互の協力体制のさらなる充実、中央競馬会との連携の強化などに引き続き取り組んでいくことが必要であり、私といたしましては、これらを総合的に検討し、今定例会中をめどに、馬産地振興の観点からも、最終的な判断をしてまいりたいと考えているところであります。

小野寺秀

 次に、水産問題についてであります。
 トドによる漁業被害は、毎年、10億円以上にも上っており、漁業者からは、捕獲枠について、年度単位で固定するのではなく、状況に応じ、弾力的に対応できる仕組みとするよう要望が寄せられていたところであります。
 こうした要望を踏まえ、国は、本年度から5年間を単位とするブロック・クオータ制に改めることとし、道連合海区漁業調整委員会において了承されたものと承知をしております。
 この結果、5年間の延べ捕獲頭数は、これまでの770頭から1060頭に増加するとともに、その年の来遊状況に応じた駆除が可能となり、被害に苦しむ漁業者の期待も大きい反面、なれない冬の海での駆除がハンターからも敬遠されるのではないかと危惧する声も聞かれます。
 今後、新しい仕組みを効果的に運用し、漁業被害の防止を図るため、道としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、水産問題に係るトドによる漁業被害防止についてでありますが、このたび、国においては、トドの捕獲について、新たに5カ年を単位としたブロック・クオータ制を採用したことから、来遊状況に応じた、単年度の捕獲数の持ち越しや前倒しにより、1年当たり、これまでの144頭から、200頭を超える捕獲が可能となったところであります。
 トドの捕獲は、冬期間の海上での厳しい作業が伴いますことなどから、ハンターの確保が厳しい面もあり、道としては、来遊数が増加した場合に迅速な対応ができるよう、実績のあるハンターを地域間で相互に派遣できる体制づくりや、猟銃等の許可を取得する漁業者の育成など、市町村や漁協に対する既存の各種支援制度の活用を検討しながら、新しい仕組みでの効果的な運用を図り、漁業被害の一層の防止に努めてまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、森林政策についてであります。
 全国の森林面積の4分の1を有する本道の森林は、先ほど申し上げた水源機能のほか、地球温暖化防止への貢献や木材供給源などの役割を担う重要な資源であることから、十分な管理のもとで維持をしなければなりません。
 しかし、木材需要を喚起し、経営を維持できる市場と木材価格を確保するなど、いわゆる川下対策を充実しなければ、所有者が経営意欲を失い、森林の手入れを怠ったり、容易に手放すことが危惧されるところであります。
 国においては、来年度から、施業の集約化を図り、森林経営に意欲的に取り組む者を直接支援する、森林管理・環境保全直接支払い制度の導入を予定していると承知しておりますが、林業の改善に結びつくものでなければならないと考えております。
 国が予定している直接払い制度の概要と、道として、この制度にどのように取り組もうとしているのか、伺います。
知事高橋はるみ
 次に、森林政策に係る新たな直接支払い制度についてでありますが、このたびの国の概算要求で示された森林管理・環境保全直接支払い制度につきましては、これまでの公共造林事業の枠組みを抜本的に見直し、間伐や作業道の開設を一定のエリアに取りまとめて効率的に事業を行うなど、計画的に森林経営を行う者に対して直接支援することを内容といたしているところでありますが、植林に対する支援の仕組みが明らかになっていないなど、課題もあると認識をいたしております。
 道といたしましては、この制度が本道の実情に合ったものとなるよう、関係団体とも十分に連携を図りながら、引き続き、国に対して働きかけを行い、集約化による低コストな森林整備を一層促進するとともに、新たな制度により、増加が見込まれる間伐材をバイオマスとして利用することや、公共建築物への地域材利用等を積極的に推進するなどして、水や木材などの資源の循環利用を進め、北海道にふさわしい豊かな森林を将来にしっかりと引き継いでいけるよう努めてまいる考えであります。

小野寺秀

 道内では、森林所有者が地元にいない、いわゆる不在村所有者が増加する傾向にあり、道の調査によれば、平成20年度における不在村者の所有する森林面積は、道内私有林155万ヘクタールの半数を超える86万ヘクタールにも上り、そのうち、11万ヘクタール余りは、間伐が必要であるにもかかわらず、放置状態に置かれているのであります。その中には、転居や相続などにより、所有者が明らかではない森林も多いということであります。
 森林を荒れるに任せて放置することは、近年、全国で発生しているゲリラ豪雨による土砂災害を防止するためにも見過ごすことのできないものであります。
 そのような森林は、例えば、一定期間の公示を経ても所有者が名乗り出ない場合、知事の権限で、道もしくは市町村が管理できるという仕組みを条例で定めるなど、実効性のある対応策を検討すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
知事高橋はるみ
 次に、不在村者が所有する森林の整備についてでありますが、現行の森林計画制度においては、長い間、手入れが行われずに放置され、早急に間伐等を実施することが必要な森林で、所有者が明らかである場合は、市町村長の勧告や知事の裁定を経た上で、間伐等の施業代行が可能となっているところでありますが、所有者が不明となっている森林においては、本制度を適用することが困難となっており、森林の整備を進める上で、大きな課題であります。
 このため、道といたしましては、所有者が不明となっている森林であっても、道や市町村による施業の代行が可能となるよう、必要な法制度の整備を国に要望するとともに、国における検討の動向なども踏まえながら、実効性のある対応について検討し、不在村者が所有する森林整備の促進に努めてまいる考えであります。

小野寺秀

 国は、低炭素社会の構築に向け、平成20年11月にカーボンオフセット制度を創設したところであり、道においても、昨年度から、森林バイオマスエネルギーの利用を対象としたカ-ボンオフセット事業をモデル的に実施しております。
 地球温暖化防止に加え、地域の振興を図る上でも、広大な森林を有する本道の優位性を生かした取り組みを積極的に進めるべきであり、道の事業に森林による二酸化炭素の吸収量を組み入れてはどうかと考えますが、知事の見解をお伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、カーボンオフセットの活用についてでありますが、道では、森林づくりにカーボンオフセットの仕組みを活用するため、公共施設での木質ペレットボイラーの使用などによる排出削減量を企業などに提供し、その対価として、森林づくりの資金提供を求める取り組みについて、今年度、帯広市など3地区でモデル事業を実施いたしているところであります。
 このような中、全国的には、企業が森林整備による二酸化炭素吸収量を排出削減に活用しようとする動きもあることから、道といたしましては、有識者などから成る制度設計委員会において、モデル事業の検証とあわせて、植林や間伐による二酸化炭素の吸収量も来年度から事業の対象とすることについて検討を進め、道独自のカーボンオフセットを活用した森林整備の仕組みを構築してまいる考えであります。

小野寺秀

 次に、教育問題についてであります。
 本年度の全国学力テストの結果が公表され、残念ながら、本道の成績を伝える新聞記事には、「低迷」「最下位」「地域が固定化」などの見出しが並びました。
 初めに、この結果をどのように受けとめているのか、知事及び教育長の思いをお聞かせください。
知事高橋はるみ
 次に、教育問題に関し、まず、学力テストの結果についてでありますが、先般公表されました全国学力・学習状況調査の結果において、本道の児童生徒の平均正答率が、過去の調査結果と同様に、全国に比べて低い状況にあったことは大変残念であり、非常に厳しく、危機感を持って受けとめているところであります。
 私といたしましては、本道のすべての子どもたちが、心身ともに健やかに成長し、将来の夢に向かって力強く歩んでいくことができるよう、教育委員会を初め、学校、家庭、地域の皆様方が、一体となって、学力の向上に向けて一層の取り組みが必要であり、道政上の最重要課題の一つとして、道教委と連携を図りながら、本道の教育環境の充実に努めてまいりたいと考えております。
教育長髙橋教一
 小野寺議員の代表質問にお答えいたします。
 初めに、学力向上対策に関しまして、まず、全国学力・学習状況調査の結果についてでございますが、本年度の教科に関する調査における平均正答率は、小学校、中学校とも、依然として全国より低く、また、長期休業中を利用した補充的な学習サポートや、授業公開日の設定などの取り組みも進んでいない状況が見られますことから、道教委では、これまでの取り組みが結果に結びついていないことを大変厳しく受けとめているところでございます。

小野寺秀

 また、第1回テストの結果を受け、学校改善支援プランを作成し、毎年、さまざまな対策に取り組んできたにもかかわらず、遅々として改善が進まない原因はどこにあるのか、教育長の見解をお伺いします。
教育長髙橋教一
 改善が進まない原因につきましては、授業改善の取り組みや、教員の教科指導力、家庭学習の習慣など、さまざまな要因に加え、教育委員会や学校の学力に対する危機感の希薄さなどもあるものと考えているところでございます。
 こうしたことを踏まえ、道教委では、今年度から、若手教員の指導力の向上を図る取り組みや、退職教員や学生ボランティアを活用した学習サポートなどを進めているところでございますが、道教委みずからが、一層危機感を持ち、これまでの取り組みの効果をさらに検証し、学校における組織的、継続的な取り組みを強めますとともに、すべての子どもたちに基礎、基本を身につけさせることができるよう、つまずきの状況をつぶさに把握し、子どもたち一人一人の理解度に応じた、きめ細やかな学習活動を支援する新たな取り組みにつきましても、検討していく必要があるものと考えているところでございます。
 道教委といたしましては、さらに、行政、家庭、地域など、教育に携わるすべての人たちと課題を共有し、連携協力して、本道の子どもたちの学力向上が図られるよう、なお一層の努力をしてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 道教委が独自に実施している本年度の高等学校学力テストの結果が明らかにされましたが、その結果、すべての教科の平均点で、予測していた正答率を下回り、また、学習状況調査でも、学習方法がわからないといった生徒は62.4%と、ほぼ3人に2人となっております。
 この生徒たちのほとんどは、高校生になってから急に学力が下がったわけではなく、中学校あるいは小学校での基礎が身についていないことが高校の成績に反映されたのではないかと考えられます。
 小学校教育は、まさに土台づくりであり、小学校低学年の段階で基礎を身につけなければ、その後に追いつくことは大変難しいことであります。小学校教育の充実を図るべきと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
 また、第2回定例会で、教育長は、我が会派の質問に、小中連携モデル校の指定について検討すると答弁をされましたが、どのように進めるのか、お伺いします。
教育長髙橋教一
 次に、小学校教育についてでございますが、御指摘のとおり、小学校段階は、各教科等の学習や生活の基盤を築く重要な時期であり、学校における教科、生活面での指導の充実や、家庭との十分な連携により、基本的な学習習慣の確立を図っていくことが必要でございますが、本道の小学校は、このたびの全国学力・学習状況調査の結果におきましても、教科の平均正答率や、家庭で1時間以上勉強する児童の割合、長期休業日を利用した補充的な学習サポートの実施割合など、全国に比べますと、大きく下回っている点が見られますことから、さらに力を入れて取り組む必要があると考えているところでございます。
 このようなことから、道教委といたしましては、小学校における学力の向上を目指し、あらゆる学習の基礎となる国語、算数を中心に、小学校教員を対象とする研修内容の見直しや、特に課題の見られる小学校に対して、指導主事による重点的な学校訪問に直ちに着手いたしますとともに、早急にPTA連合会に対しまして、子どもたちの学力の厳しい状況を説明し、学習習慣の確立に向け、地区PTAの協力を得ながら、学校と家庭が連携して、宿題を基本とした家庭学習の取り組みの推進を働きかけるなど、危機感を持って、小学校教育の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、小学校の学力向上を図る上で、小中が連携して、児童生徒に一貫性のある教育を行うことは有意義なものであると考えておりまして、道教委といたしましては、今後、市町村教育委員会や校長会、PTA等を構成員といたします、北海道確かな学び推進協議会におきまして、効果的な連携の進め方などについて意見を伺い、来年度から、道独自のモデル校を指定できるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、学校での具体的な取り組みについてであります。
 道教委は、放課後や夏・冬休みを活用した補習授業は有効な方法であるとしておりますが、ことしの夏休みの実施状況と、実施しなかった学校はどのような理由によるものなのか、お示しください。
 また、さきの第2回定例会で、教育長は、我が会派の質問に、今後実施する調査の結果を踏まえ、土曜日の活用について検討したい旨を答えられましたが、どのように取り組んでいるのか、あわせてお伺いします。
教育長髙橋教一
 次に、学校における具体的な取り組みについてでございますが、夏季休業日を利用した補充的な学習サポートにつきましては、札幌市を除く小中学校を対象に、今年度の実施状況を把握いたしましたところ、小学校では約4割、中学校では約8割となっておりまして、全国と比べて、依然として低い状況にあるところでございます。
 夏季休業日を利用しない理由につきましては、地域の実情等によるもの以外は、明確な理由はなかったところでございまして、こうした取り組みの必要性に対する学校の認識が十分でないと考えられることから、今後、冬季休業日の補充的な学習サポートの実施に向け、一層の働きかけをしてまいりたいと考えております。
 また、土曜日の活用につきましては、現在、道内の小学校5年生と中学校2年生を対象に、子どもたちの土曜日の過ごし方に関する実態と意識に係る調査を実施しているところでございます。
 今後、この調査結果も踏まえ、北海道確かな学び推進協議会におきまして、市町村教育委員会、校長会、PTAなどから意見を伺うなどいたしまして、学力向上を初めとする土曜日の活用について、検討を進めてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 本年度の学力テストの結果を受けて、小中学校の全道校長会が緊急アピールを発表し、学校、保護者、地域が一体となって学力向上に努めていくという機運を高めるよう、最大限の努力を各校長に呼びかけたということでありますが、そのためには、保護者や地域の方々に学力の実態を正しく知らされていなければなりません。
 これまでも、我が会派はテストの結果を公表すべきであると主張してまいりました。その結果、道教委は、昨年から、市町村の状況について、工夫しながら公表することとしましたが、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。
 内閣府が行ったネットアンケートでは、およそ7割の保護者が、学力テストの結果は学校ごとに公表すべきと答えております。
 「全国より低いが、全道とほぼ同じ程度」などといったあいまいな表現で知らせるのではなく、保護者が、自分の子どもが通う学校は他の学校と比べてどうなのかをはっきりと理解できるように、点数を公表すべきであると考えますが、このことについて、知事及び教育長の所見を伺います。
 また、道教委は、保護者や地域に実態が明確に理解されるよう、市町村教育委員会や校長会、保護者の方々と公表のあり方について真剣に議論すべきと考えますが、教育長の明快な見解をお示しください。
知事高橋はるみ
 次に、学力テストの結果の公表についてでありますが、全国学力・学習状況調査は、国が、全国的な学力や学習の状況を把握、分析し、児童生徒の教育に反映させるために実施しているものであり、地域においても、調査結果を効果的に活用し、子どもたちの学力向上につなげていくことが重要と考えるところであります。
 こうした趣旨を踏まえ、その結果の活用や公表などの取り扱いについては、それぞれの市町村教育委員会において検討していただくことではありますが、私といたしましては、子どもたちの学力向上などに向けて、学校、家庭、地域の方々が課題を共有し、連携協力していくためにも、子どもたちの状況をきめ細かく分析し、保護者や地域の方々にわかりやすく説明を行うことが大切であり、このような観点に立って公表していただきたいと考えているところであります。
 私といたしましては、本道の未来を担う子どもたちが、確かな学力と規則正しい生活習慣を身につけ、自由濶達で大らかな気持ちを持って、生き生きと社会に旅立っていくことができるよう、できる限りの応援をしてまいりたいと考えております。
教育長髙橋教一
 次に、全国学力・学習状況調査の調査結果の公表についてでございますが、本道の子どもたちの学力向上を図るためには、保護者や地域住民の方々の理解と協力を得ることが大切であり、そのためには、市町村教育委員会や学校が、子どもたちの状況をきめ細かく分析して、保護者や地域の方々が十分理解し、課題を共有していただけるような内容や方法で、調査結果や取り組み状況などについてしっかりと公表し、説明責任を果たす必要があるというふうに考えているところでございます。
 そのため、今後、抽出調査と希望利用による調査を合わせた結果を公表する前に、市町村教育委員会や校長会、PTAと協議を行い、昨年度、道教委が作成した、市町村の各教科の平均正答率の分布の活用なども含め、市町村や学校における調査結果の公表や説明のあり方について、保護者や地域の方々の立場に立って、一層改善が図られるよう、強く働きかけてまいりたいと考えております。

小野寺秀

 さて、学力テストの結果を学力向上対策に生かすためには、抽出調査よりも精密なデータが得られる悉皆調査とすべきであります。
 先ごろ、文部科学省が都道府県教委を対象に行ったアンケートでは、北海道を初め、7割に当たる33都道府県が悉皆調査とすべきと回答しておりますが、知事はどのように考えておられるのか、お伺いします。
知事高橋はるみ
 次に、学力テストの調査方法についてでありますが、私といたしましては、すべての市町村や学校が、子どもたち一人一人の学習状況を把握し、教育指導の改善など、学力向上に向けた取り組みの充実を図ることや、各家庭において学習習慣や生活習慣の改善に生かすこと、さらには、子どもたち自身が、それぞれの学力の水準を含めた課題を知ることができるようにすることなどを考慮いたしますと、国において悉皆による調査を実施すべきと考えているところであります。

小野寺秀

 また、道教委は、他の都府県教委とも連携し、国に対し、悉皆調査に戻すよう、強く求めるべきだと考えますが、教育長の見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、国への要望についてでございますが、道教委では、道内すべての市町村教育委員会や学校が、全国、全道との比較におきまして、児童生徒一人一人の学力等をつぶさに把握し、学力向上の取り組みにつなげていくためには、国において悉皆調査を実施すべきであると考え、これまで、国に対しまして、その旨、要望してきたところでございます。
 そうした中で、国の平成23年度の概算要求におきまして、本年度と同様の方式で行うとの方針が示されたところでございます。
 国が本年5月に実施いたしました、全国調査の今後のあり方等に関する調査におきましては、33の都道府県教委が悉皆調査がよいと回答しているところでございまして、道教委といたしましては、本道の児童生徒一人一人の学力の向上のために、今後、考え方を同じくする各県と連携いたしまして、国に対し、引き続き、悉皆での実施を強く要望してまいる考えでございます。

小野寺秀

 学力向上対策を進めるに当たっては、適正な教員配置を図る人事も重要となります。小中学校の教職員の人事については、教育指導の核となるべき中堅層の都市偏在が問題とされ、議会においてもたびたび議論されてきたところでありますが、そもそも、公立小中学校の教員の人事異動は道内全域で行われてしかるべきであり、特定の都市や地域に居座り続けるということはあり得ないことであります。
 道教委は、先ごろ、全道的視野に立ち、バランスのとれた教職員人事を推進するため、全道人事調整会議を設置し、検討しているところと承知しております。
 ついては、年齢構成の適正化等、現在行われている教育局管内での異動では解決できない課題を解消するため、より広域に、都市、郡部の交流促進を重視するなど、抜本的な解決につながる対策を検討すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、小中学校におきます教職員の人事異動についてでございますが、道教委といたしましては、教職員の年齢や経験など、各学校における教職員構成の適正化は、全道的な教育水準の向上や学校の活性化を図るための重要な課題と考えておりまして、特に、学力向上などの教育課題に対応していくためには、バランスのとれた教職員の配置が必要と考えているところでございます。
 こうした課題を解決するため、今年度から、新たに、他管内と比べ、中堅職員の割合が低く、他管内への転出者が多い、日高、宗谷、根室管内を対象に、教員採用選考に地域枠を設定したところでございます。
 加えて、8月には、教職員の全道的な適正配置を推進することなどを目的とした、全道人事調整会議を設置いたしまして、平均年齢の高い管内の中堅職員を低い管内に、平均年齢の低い管内の若手職員を高い管内に異動させるなど、全道的な広域人事につきまして、市町村教育委員会などに意見を聞いて、検討を進めているところでございます。
 道教委といたしましては、今後とも、市町村教育委員会と連携いたしまして、都市部と郡部間の人事交流の拡大に努めるなど、教育水準の向上や学校の活性化が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

小野寺秀

 次に、北教組の活動についてであります。
 初めに、いわゆる校外研修についてであります。
 この問題については、さきの第2回定例会でも問題点を指摘しながらただしたところでありますが、この夏休みにおける状況はどうであったのか、また、自宅での研修を承認した事例はどの程度あったのか、お伺いします。
教育長髙橋教一
 次に、北教組の活動に関しまして、まず、長期休業期間中の校外研修の実施状況についてでございますが、今般、この夏の長期休業期間中の校外研修の実施状況につきまして、道内の札幌市を除く公立の小中学校、高校及び特別支援学校の全1867校を対象に調査したところでございまして、現段階での集計におきましては、校外研修を行った教員は、3万4224人中、1万125人であり、1人当たりの研修日数は、昨年度は4日と6時間であったものが、おおよそ3日と2時間、このうち、自宅での研修につきましては、昨年度は2日と5時間であったものが、おおよそ6時間と、いずれも減少しているところでございます。
 こうした状況は、本年の夏季休業期間を前に、校外研修のうち、自宅での研修につきまして、自宅での休養や自己の用務等の、研修の実態を伴わないものはもとより、職務と全く関係ないものや職務への反映が認められないものなど、その内容、実施態様からして、不適当と認められるものは、承認を与えることができないことにつきまして、改めて市町村教育委員会及び道立学校に通知したことによりまして、より厳格な取り扱いが行われたというふうに考えておりまして、今後とも、さらに適切な運用が図られるよう努めてまいる考えでございます。

小野寺秀

 次に、北教組の機関紙についてであります。
 本道第5区の小林前衆議院議員陣営に対する北教組の政治資金規正法違反事件は、道内はもとより、全国に大きな衝撃を与え、北教組に対する厳しい批判が寄せられたところであります。
 この事件にかかわった委員長代理と、組織としての北教組が有罪判決を受け、反省の弁を述べた直後でもあることから、多くの人は、参議院選挙については、しばらく静かにしているようにと言われるまでもなく、活動は控えるものと見ていたと考えます。
 ところが、北教組は、選挙公示後の7月1日付で、「参議院議員選挙が公示されました」として、比例区、北海道選挙区の特定候補者名を挙げ、「教え子への「親書」「電話」による支持の確認をもう一度お願いします。」「誰でもできる選挙活動(公示後)」など、どこから見ても、組合員に選挙活動を求めているとしか解釈のできない内容の「北教」という機関紙を発行したのであります。
 ある新聞は、「参院選で教え子取り込め! 北教組で「違法文書」発覚」という見出しでこれを取り上げておりました。
 そこで伺います。
 知事及び教育長は、この文書についてどのように認識をしているのか、見解をお示しください。
知事高橋はるみ
 次に、北教組の機関紙についてでありますが、この件に関しては、本年8月4日の参議院予算委員会においても取り上げられたところであります。
 その際、文部科学大臣から、7月1日付の機関紙の記述に関し、教育公務員が、政治的目的を持って、特定の候補者に投票を勧めるような行為は違法となるもの、また、教育者が、教え子に対して、教育上の地位を利用して、特定の候補者に投票を依頼するといった選挙運動するような行為は、公職選挙法違反となり得る旨、答弁されたと承知をいたしております。
 私といたしましては、北教組に対して、政治資金規正法事件で判決が下された直後であり、子どもたちや保護者の方々を初め、道民の皆様方に教育に対する不信、不安を招いているさなかであることを踏まえれば、文部科学大臣が指摘されたような行為を招きかねない活動が行われたことは、極めて遺憾なものと考えるところであります。
教育長髙橋教一
 次に、北教組の機関紙「北教」についての認識についてでございますが、昨年の衆議院議員選挙にかかわり、政治資金規正法違反により、子どもたちの教育に携わる教職員が加入しております職員団体の幹部が有罪判決を受け、子どもたちや現場の教職員はもとより、保護者、地域の方々に大きな不安や不信を与え、道民の本道教育に対する信頼を著しく損なう事態となったところでございます。
 こうした中、御指摘のあった北教組の機関紙「北教」には、「教え子への「親書」「電話」による支持の確認」と記載されておりますことは、信じがたい思いでございまして、極めて遺憾なことであると考えているところでございます。
 仮に、政治的目的を持って、教員が、選挙において特定の候補者に投票するように勧めるような行為が現実にあったならば、人事院規則に定める政治的行為に該当し、違法となるものでございまして、あってはならないことであると考えているところでございます。

小野寺秀

 この問題は、国会でも取り上げられ、我が党の追及に文部科学大臣は、この事案が違法行為につながっているかどうかは、具体的な事実関係に基づいて、任命権者、いわゆる教育委員会が基本的にはまず調査し、対応するものだと答弁しております。
 そこで伺います。
 本道においては、教員がそのような行為を行っていなかったのか、また、行われていた場合、道教委は、大臣が言うように、任命権者として対応しなければならないと考えますが、どのように対応するのか、教育長の見解をお聞かせください。
教育長髙橋教一
 次に、北教組の機関紙「北教」についてでございますが、現時点で、教員が、実際に教え子に支持確認行動を行った事例は把握していないところでございますが、道教委といたしましては、このような行為が現実にあった場合には、厳正に対処してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 また、先日の文教委員会で質問したところ、教員が、この機関紙に示されているような行為を行った結果、公職選挙法違反で起訴され、禁錮以上の有罪判決を受け、刑が確定した場合は、失職となるということであります。
 私は、かつて、ある教員から、教特法には罰則規定がないから心配ない、もし、選挙違反をしても、本部が法廷闘争で支援するから大丈夫だと役員が話していると聞かされたことがありますが、とんでもないことであります。
 かつて、我が党の聞き取りに対して、教員は他の公務員と比べ法律の知識が足りないという答えがありました。
 道教委は、国政選挙の前には、違反行為のないように通知し、指導しているとのことでありますが、内容によっては失職となるという具体的な指導をすべきであります。教育長の見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、政治的行為についての教職員への周知についてでございますが、選挙運動の禁止など、教職員の服務規律の保持につきましては、これまでも、国政選挙や統一地方選挙が行われる時期に合わせまして通知を発出してきており、また、本年5月には、違反行為の具体例について通知いたしまして、職員に改めて周知を図るなど、機会あるごとに、教職員に指導、注意喚起をしてきているところでございます。
 道教委といたしましては、本年度実施した教職員の服務規律等の実態に関する調査の結果を踏まえ、服務規律の厳正な保持につきまして、改めて通知を発出するほか、職員向けリーフレットを作成、配付し、各種の研修会で活用していく予定でございまして、これらの中に、御指摘のように、教育上の地位を利用した選挙活動は刑事罰の対象となり、禁錮以上の刑が確定した場合は失職となること、禁錮以上の刑に至らない場合でも、道教委として厳正に対処することを盛り込んで、教職員一人一人に、確実にその趣旨を周知徹底してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 さて、北教組は、8月に定期大会を開催しましたが、我が会派が入手したその議案書には、これまでの議会議論で、道教委が、そのような確認の事実はないと答弁しているものや、違法、不適切なものが依然として記載されております。
 道教委は、さきの文教委員会で我が会派の質問に、議案書の内容を精査すると答弁されましたが、その結果はどうであったのか、お聞かせください。
 また、事実と異なる部分などは、当然、強く抗議するとともに、訂正を求めるとのことでありましたが、どのように対応されたのか、あわせて見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、北教組の大会議案書についてでございますが、今年度の議案書につきまして、内容を確認いたしましたところ、全国学力・学習状況調査の実施の取り扱いなど、本庁・本部間での確認の事実がないものや、道教委として見解を示していないものの記述のほか、長期休業期間中の勤務の扱いについては、協定書どおり、原則、校外研修とさせるとの記述や、教頭昇任に関する6項目確認などの記述につきまして、いわゆる四六協定などの既に廃止されているものを使った取り組みが記載されているところでございます。
 道教委といたしましては、引き続き、内容の確認を行い、事実に反する記述が判明した項目につきまして、是正するよう、速やかに北教組へ強く抗議いたしますとともに、学校運営に支障を来たさないよう、市町村教育委員会や学校長に対しまして、正確な情報を周知徹底してまいる考えでございます。

小野寺秀

 次に、教職員の服務規律調査についてであります。
 このたびの調査で、勤務時間中の組合活動や政治的行為など、さまざまな事例が報告されました。その中で、勤務時間中の組合活動が明らかになったことから、会計検査院の検査が行われると承知しております。
 ついては、道監査委員においても、県費負担教職員として道が給与費を負担している札幌市の教員も含め、厳格な監査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
代表監査委員坂本人士
 小野寺議員の代表質問にお答えいたします。
 教職員の服務規律調査の結果に基づく監査についてでありますが、このたびの調査において、一部の教職員から、年休等を取得しないで、勤務時間中に組合活動を行っていたと回答がありましたことから、道が支出している市町村教職員等の給与の適正な執行に影響が及ぶことが考えられ、監査委員といたしましても、関心を持っているところであります。
 道教育委員会におきましては、現在、多数の無回答者に対する今後の対応を検討しており、また、勤務時間中に組合活動などを行った者について、日時、回数などの具体的な内容の把握や確認を行っていると承知しているところであります。
 監査委員といたしましては、これら道教育委員会などが行っている調査結果におきまして、具体的な内容の特定が困難であった場合や、特定できた場合でありましても、単に服務規律違反の問題となることも想定されますことから、これらの調査結果を精査し、検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

小野寺秀

 率直なところ、今回の調査ですべてが明らかになったとは考えられません。特に、質問に回答しなかった教員が5000名以上にも及んだことは、事の重大性を全く認識していないことのあらわれであり、道民世論を愚弄するものであります。これらの者に対して毅然とした対応が必要であると言わざるを得ませんが、どのように対応するのか、伺います。
 道教委は、札幌市及び服務監督権者である各市町村教委と連携し、今後、違法な活動が行われないよう、毅然とした態度で臨むべきであり、再発防止に向けた強いメッセージを発するべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、服務規律調査についてでございますが、このたびの調査におきまして、無回答であった教職員に対しましては、現在、法律の専門家とも相談をしながら、どのような対応ができるかを検討してきているところであり、そうした中ではございますが、このたびの調査におきまして、法令等違反の疑いのある行為を見聞きしたことがあるという結果も出ておりまして、今後、この具体的な内容を把握、確認する中で、無回答者にかかわる事実が出てくれば、本人に確認し、非違行為の実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
 また、法令等に違反する疑いのある行為を行った者につきましては、現在、日時、場所、回数、行為の態様など、具体的な内容の把握、確認を行っておりまして、非違行為が明らかになった者につきましては、事故報告書の提出を求めた上で、厳正に対処してまいりたいと考えております。
 道教委といたしましては、調査結果を踏まえ、勤務時間中の組合活動や政治的行為の制限、適正な勤務時間の管理など、服務規律の厳正な保持につきまして、改めて通知を発出いたしますほか、全教職員に対し、法令遵守を呼びかけるメッセージを含む職員向けリーフレットを配付いたしますとともに、保護者の方々に対しましても、こうした道教委の取り組みについて、広く周知し、今後、二度と法令等に違反する行為を起こさせないよう、教職員の服務規律の徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

小野寺秀

 また、教職員の選挙活動などの違法行為について、保護者などから情報の提供を求めることは、不当労働行為や教員の基本的人権を侵害するものではありません。
 生徒指導でも、一つ目の非行を防ぐことが、第2、第3の非行防止につながるのであります。残念ながら、情報提供制度は、一般にはほとんど知られていないように思います。改めて、周知を図るべきと考えますが、どのように取り組むのか、教育長の見解を伺います。
教育長髙橋教一
 次に、情報提供制度の周知についてでございますが、情報提供制度の実施に当たりまして、取り扱いを定めた要綱を決定した後、直ちにPTA団体に制度の趣旨、内容をお知らせし、円滑な実施への協力を求めますとともに、各市町村教育委員会に対しましても、保護者や地域住民への周知を依頼したところでございます。
 また、道教委におきましては、6月に、月平均で9万件のアクセスがございますホームページのトップに情報受付窓口を開設いたしますとともに、メールマガジン臨時号を発行いたしましたほか、7月には、児童生徒を持つすべての家庭に本制度の概要を掲載した広報誌を配付したところでございますが、必ずしも周知が徹底したとは考えていないところでございます。
 このため、今後は、12月に発行を予定しております広報誌を活用し、児童生徒を持つすべての家庭に改めて周知いたしますほか、道のホームページを活用したり、PTAを初め、各種団体に対して説明を再度行うなど、あらゆる機会を通じて、本制度の趣旨、内容をしっかりと周知してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 さて、さきの北教組の定期大会において、前委員長代理は、子どもや保護者、道民に多大な影響を与え、教育に関する信頼を損ねたと謝罪し、また、新しく選任された委員長も、組合員や保護者、道民に大変な心配をかけたことを真摯に受けとめ、信頼回復と再発防止の確立に努力すると述べたということでありますが、謝罪の言葉で上辺を取り繕う一方、法令違反を問いただす声には、組織への破壊攻撃だと開き直り、真実をやみに葬ろうとする姿勢に終始しているのであります。これでは、保護者や道民の方々から失われた信頼は回復されないものと考えます。
 北教組が本当に反省し、信頼を回復したいと願うのであれば、まず、道民の前に、今回の政治資金規正法違反事件を初め、教職員の政治的行為などの実態を明らかにし、その上で、再発防止策を示すべきであります。
 知事及び教育長はどのようにお考えでしょうか、所見をお聞かせください。
知事高橋はるみ
 次に、北教組の信頼回復についてでありますが、北教組による政治資金規正法違反事件は、先般、有罪が確定したところであり、本道の教育に対する道民の皆様方の信頼を著しく損なったことは大変遺憾なことと受けとめているところであります。
 また、その後の対応や、道教委が行った調査によって明らかになった実態は、保護者の方々を初め、道民の皆様方の不信や不安を招いているところであり、子どもたちへの影響も強く懸念をいたしているところであり、北教組がみずから事態の全容を明らかにし、道民の皆様方に説明責任を果たすとともに、法令に反するような事態を繰り返すことなく、道民の皆様方の信頼を早期に回復することを強く望むものであります。
 私といたしましては、北海道にとってかけがえのない子どもたちのだれもが、安心して教育を受けることができる環境を整えていくことが何よりも大切であると考えているところであり、道教委においても、このたびのような事態の再発防止に全力を挙げるとともに、教員との確かな信頼関係のもとで、すべての子どもたちが健やかに学び、成長することができる環境づくりにさらに取り組むことを望んでいるところであります。
教育長髙橋教一
 次に、北教組の問題についてでございますが、さきの衆議院議員選挙にかかわり、子どもたちの教育に携わっている教職員が加入しております北教組の幹部が、政治資金規正法違反の罪により有罪判決が確定いたしましたが、このことは、本道教育に対する道民の信頼を著しく損なう事態といたしまして、まことに遺憾なことと受けとめているところでございます。
 過日の定期大会におきまして、北教組は、信頼回復に向け、再発防止や法令遵守に努めるとしておりますが、これまでのところ、具体的な取り組みは明らかにしておらず、その大会議案書におきましても、従前同様、学習指導要領に反対する主張を繰り返しているところでございます。
 また、参議院議員選挙にかかわって、機関紙に、教え子への支持の確認との記載がされているところであります。
 私といたしましては、北教組には、職員団体の活動に関する説明責任をしっかりと果たすことが強く求められており、また、職員団体本来の目的に沿って、法令を踏まえた適正な活動を行っていくべきものと考えているところでございます。

小野寺秀

 また、道教委が北教組に説明を求めていた、教職員の政治的行為などの活動に関して回答があったと承知しておりますが、教育長は、その内容をどのように受けとめているのか、あわせて伺います。
教育長髙橋教一
 道教委では、勤務時間中の組合活動や政治的行為などにかかわって、職員団体の活動との関連につきましての状況を確認するため、7月以降、北教組に対して、事情の説明を求めてきたところでございますが、9月6日に、文書により回答があったところでございます。
 しかし、私どもの個々の質問に答えることなく、服務規律等調査の不当性を訴えるなど、従前どおりの主張でございまして、具体的な回答になっていないことから、大変遺憾に思っているところでございます。
 今後、服務規律等調査結果にかかわって、法令等違反の疑いのある行為などにつきまして、具体的な内容を把握、確認する中で、職員団体の指示などが明らかになった場合には、厳重に抗議してまいりたいと考えております。

小野寺秀

 最後に、公安問題についてであります。
 初めに、道警職員による不祥事についてであります。
 道警は、道民の安全で安心な生活を守るべく、本部長以下、組織を挙げて取り組み、交通事故の抑制に努めるとともに、お年寄りの生活を脅かす振り込め詐欺の押さえ込みなどに成果を示しているところであります。
 しかしながら、本年に入って、警察官が刑事事件を起こすなど、職員の不祥事が相次ぎ、道民の信頼も揺らぎかねない状況であります。
 この事態をどのように受けとめているのか、また、信頼回復に向けてどのように取り組むお考えなのか、見解を伺います。
警察本部長殿川一郎
 小野寺議員の代表質問にお答えいたします。
 初めに、職員の不祥事案についてでありますが、本年に入り、警察に対する道民の信頼を損なう重大な不祥事案が連続して発生しましたことにつきまして、極めて重く受けとめているところでございます。
 道警察といたしましては、これまで、緊急の署長会議を開催し、幹部職員に対し、危機意識の共有と不祥事案の絶無を指示したほか、職員、家族に向けた緊急メッセージを発出し、全職員が共通認識のもとに、再発防止に取り組んでいるところであります。
 また、事案発生要因の分析、検証を踏まえ、より実効ある再発防止の取り組みとして、所属長等幹部職員に対する意識づけの徹底、中高年職員に対する職務倫理教養の徹底、警察学校及び職場における若手職員に対する育成指導の強化、各種業務管理システムの見直しなどの諸対策を講じているところであり、今後さらに、職務倫理の確立と厳正な業務管理、人事管理を行い、再発防止の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 さらには、全職員が一丸となって道民の安全を守るという、警察本来の活動に全力を尽くし、道民の皆様の期待と信頼にこたえてまいる決意であります。

小野寺秀

 次に、暴力団排除条例についてであります。
 大相撲の野球賭博問題は、その背後に暴力団がかかわっていることなどが指摘され、国民の大きな批判を浴びました。
 相撲協会は、反社会的勢力との一切のしがらみを断ち切るため、相撲界始まって以来とも言える大きな犠牲を払いながら、暴力団排除宣言を行うなどの取り組みを進めているところであります。
 地域の安全、安心を守るためには、違法、不当な反社会的活動を徹底的に取り締まり、住民の日常的な安寧と子どもたちの健全な成長を阻害する環境の根絶を図ることが大切であります。
 さきの常任委員会において、暴力団排除条例の制定の基本的な考え方が報告されたところでありますが、条例制定に向けた道警本部長の決意をお聞かせください。
警察本部長殿川一郎
 次に、暴力団排除条例の制定についてでありますが、近年、暴力団は、伝統的な資金獲得犯罪に加え、企業活動を仮装し、あるいは暴力団と共生する者を利用して、建設業、不動産業等への進出を図るなど、一般社会での資金獲得活動を活発化させている現状にあります。
 このため、国内では、相撲界を初め、建設業や金融・証券業等の各業界において、反社会的勢力である暴力団の排除に向けた取り組みが進むなど、社会的にも暴力団排除の機運が高まりを見せているところであります。
 暴力団排除に対する社会的な関心が高まる中で、北海道から暴力団を排除し、安全で平穏な道民生活を実現するためには、警察による暴力団の取り締まりを徹底することは当然のことながら、社会対暴力団という構図への転換を進め、社会全体で暴力団を孤立化させることが極めて重要であります。
 北海道警察といたしましては、道民の皆様を初め、北海道議会の皆様の御理解と御協力をいただきながら、道や関係団体等とのより緊密な連携を図り、引き続き、年内の条例制定に向けた取り組みを進めてまいる所存であります。
 以上でございます。

小野寺秀

 また、この条例の制定をどのように受けとめているのか、知事及び教育長の見解を伺います。
 以上、再質問を留保して、私の質問を終わります
知事高橋はるみ
 最後に、公安問題に関し、仮称・北海道暴力団の排除の推進に関する条例についてでありますが、道では、これまでも、産業廃棄物処理業及び建設業、また、道営住宅などからの暴力団の排除に努めてきたところでありますが、近年の暴力団の活動は、高齢者の方々をねらった振り込め詐欺など、資金獲得方法を多様化させて、日常の道民生活や社会経済活動に深くかかわってきているため、暴力団排除の機運を醸成する啓発活動や、道の公共工事等からの暴力団関係事業者の排除などに、さらに積極的に取り組んでいかなければならない、このように考えているところであります。
 私といたしましては、犯罪のない安全で安心な地域社会を目指し、社会全体で暴力団の排除に取り組んでいくことが大変重要であると認識をいたしているところであり、年内の当該条例の制定に向け、道警察と連携をして取り組んでまいりたいと考えているところであります。
 以上であります。
教育長髙橋教一
 最後に、暴力団排除条例の制定についてでございますが、道教委といたしましては、これまでも、北海道警察本部との間で、子どもの健全育成サポートシステムの協定を結び、児童生徒が、暴力団員と交際するなどの非行や、その前兆がある場合には、学校と警察との間で相互連絡して情報を共有し、非行の未然防止や犯罪被害の防止に努めてきたところでございます。
 こうした中で、暴力団排除条例を制定し、学校周辺区域における暴力団事務所の規制を含め、道や道民等が一体となって暴力団の排除に取り組むことは、子どもたちの安全、安心を確保する上で、大変重要なことと考えておりまして、早期の制定を期待しているところでございます。
 以上でございます。