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第1回臨時会

平成21年02月20日

小野寺委員

 (登壇・拍手)私は、自民党・道民会議を代表して、先ほど提案のありました補正予算案及び条例案について伺ってまいります。

 まず、本道経済への 知事の認識などについてであります。

 原油高や、アメリカのサブプライム問題に端を発した世界同時不況は、我が国の社会、経済、国民生活にも大き な影響を及ぼしているところであります。

 多くの企業が、原材料価格の高騰と、円高の影響による輸出減退から業績悪化を招き、また、世界の一流企 業と言われる自動車産業や電機産業さえもが、大幅な減収、減益を余儀なくされ、輸出実績の不振に伴って生産規模の縮小に踏み切らざるを得ないなど、日を追 うごとに深刻の度合いを増しているところであります。

 国民生活においても、派遣社員など非正規雇用者に対する、いわゆる雇いどめに伴う大量失業 の問題や、新規採用予定者の内定取り消し、さらには、正規社員についても、生産調整による人員削減といった雇用問題を生じ、原材料価格高騰による物価高 と、所得減少による購買力低下が一段と消費の冷え込みを誘うなど、地域経済に大きな影を落としております。

 道内の経済状況は、企業倒産件数が8 カ月連続で前年を上回り、昨年の新設住宅の着工戸数は43年ぶりに4万戸を割り込むという、低水準にまで落ち込んでおります。

 また、昨年末に支 給された小・中企業の冬のボーナスの支給額は、ここ数年、前年比1%未満の増減という傾向だったものが、大きく変化をし、4.2%の減少となっておりま す。

 先日発表された平成20年のGDP実質成長率は、マイナス12.7%と、第1次オイルショック時に次ぐ落ち込みを示しており、今後さらに厳 しさを増すことも懸念されております。

 政府は、第1次補正予算と第2次補正予算、平成21年度予算を、3段ロケットとして、総額75兆円の経済 対策をまとめ、最大限の努力を傾注しておりますが、知事は、本道の経済状況をどのように受けとめ、どのように対応する考えなのか、見解を伺います。

 次に、経済効果などについてであります。

 我が党は、国政段階においても、政府に対して、第1次に続き、遅滞なく第2次の緊急経済雇用対策を進 め、地域の活性化を図り、国民の生活を守る施策を展開する必要があることを強く申し入れしてきたところであります。

 その結果、国においては、去 る1月27日、生活防衛のための緊急対策を柱とする第2次補正予算が成立したところであります。

 このたび知事が提案された総額834億円に上る 補正予算案は、本道の深刻な経済状況と雇用問題の重大性にかんがみ、道としても、国と歩調を合わせ、道民の生活を防衛するための予算であると受けとめてお ります。

 さて、平成20年度補正予算の総額は、昨年11月の臨時会で成立した補正予算202億円を合わせると、1036億円となり、平成14年 度以来、6年ぶりに景気対策予算の補正額が1000億円を超えることとなりました。

 知事は、このたびの景気対策予算が本道経済にどのような効果 を及ぼすものと考えているのか、伺います。

 国は、2次補正予算の中で、地域活性化・生活対策臨時交付金を創設し、地方公共団体が地域活性化等に 資する事業を実施する際に交付の対象とすることとしております。

 この交付金は、地方単独事業についても、人件費等の一部を除き、広く対象事業と するなど、地方公共団体が活用しやすい制度になっておりますが、道として、この交付金をどのように活用し、どのような考え方に立って、地域の活性化や道民 生活の安定を図ろうとしているのか、伺います。

 次に、雇用問題についてであります。

 我が会派といたしましても、先ほど申し上げました ような、雇いどめなどによる厳しい雇用環境を重大に受けとめ、一村一雇用おこし事業や道事業への臨時任用など、道としてとり得る最善の対策を講ずるべきで あると申し上げたところであります。

 その結果、去る1月22日、我が会派の思いを受けとめられ、知事は、臨時職員の雇用などを内容とする緊急対 策を取りまとめ、迅速に対応されているところであり、臨時職員の募集については、延べ600人の募集を大幅に上回る応募があるなど、一定の効果を上げてお りますが、加えて、今回の補正予算案には、ふるさと雇用再生特別基金及び緊急雇用創出事業基金の二つの基金事業として135億円の予算が計上されております。

 そこで、緊急対策の執行状況はどのようになっているのか、また、二つの基金事業については、現在、それぞれどの程度の事業計画が見込まれて いるのか、伺います。

 基金事業は、平成20年度から平成22年度までの3カ年事業ということでありますが、最新のデータによれば、道内の雇用状 況は、平成20年平均の完全失業率が5.1%、同じく、道内有効求人倍率は0.41倍と、全国平均よりも悪い状態となっており、また、ハローワークに登録 している求職者数は14万2000人となっております。

 このような状況を考えますと、特に緊急雇用創出事業基金については、3カ年計画で取り組 むというような悠長なことではなく、初年度から全額を使い切り、国に対して追加交付を求めるぐらいの気概を持って、迅速に取り組むべきと考えますが、見解 を伺います。

 しかし、最も大切なことは、常用雇用の創出を図ることであります。

 新一村一雇用おこし事業は着実な成果を上げております が、さらなる雇用創出が必要とされているところであります。

 また、仕事がないと言われている一方で、本年1月、道が8261社を対象に実施した 「企業の経営・雇用状況に関する緊急調査」の中間報告によれば、サービス業で16.0%、運輸業では24.7%、医療・福祉分野においては30.9%にも 上る事業所が人手不足と回答しているのを初め、情報通信業の8.2%を除き、いずれの業種においても、10%以上の事業者が人手不足の状況にあると回答し ているのであります。

 このような事態をどのように認識しているのかを伺うとともに、いわゆるミスマッチを解消し、雇用の確保に向けどのように取 り組む考えなのか、知事の見解を伺います。

 次に、中小企業総合振興資金についてであります。

 「丸井さん」という呼び名で道民に親しま れてきた丸井デパートが民事再生手続を開始したことは、道民に大きな衝撃を与えました。

 この資金は、取引関係にある関連中小企業が連鎖倒産など に陥る事態を防ぐために、必要な資金需要に対応するセーフティーネット貸し付けの融資枠を拡大するものということであります。

 地域の中核企業や 中心商業施設が経営破綻を来した場合、関連業界や商店街への影響は極めて大きなものがあり、地域の疲弊が急速に進むなど、地域全体を揺るがす事態となりか ねません。

 丸井デパートの取引先は約2100社とも言われております。計上されている予算額で、これら関連企業への十分な手当てとなるのか、知 事の見解を伺います。

 次に、地域経済の活性化についてであります。

 今回の補正予算には、道単独の公共事業や、老朽化してきた施設の長 寿命化のための修繕、公園整備事業などが含まれており、いずれも、対象となる施設の周辺市町村にある企業が担当できる内容であります。

 しかし、 それらの企業の多くが、厳しい経営環境の中で、大変な苦労をしながら経営に当たっていると聞くところであります。

 事業の名称が示すように、まさ に、地域の活性化に資するような運用がなされなければならないのであります。地域の施設で行われた仕事に支払われた資金が、それぞれの地域で円滑に回転し ていることが地域に実感されるものでなければなりません。

 そのため、我が会派は、地域経済活性化の視点から、早期発注、及び、地元建設業者への 優先発注、経常JVにおける地域要件の設定などについて申し入れを行ったところでありますが、知事はどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。

 次に、妊婦健康診査支援基金についてであります。

 この事業は、現在、5回分の妊婦健診に対して国の財政措置が講じられているものを14回まで拡 充する事業と承知いたしております。

 安全な出産のために、胎児の成長と母体の健康を定期的に診断することが不可欠でありますが、道内では、16 市町村で5回未満の実施にとどまっていることや、130市町村では産科及び産婦人科を標榜する医療機関がないという実情を考えれば、せっかくの制度が目的 どおりに実施されるか、不安を覚えるところであります。どのように進めるのか、見解を伺います。

 また、この事業は平成22年度までの時限とされ ております。しかし、母親が、費用を心配せずに必要な回数の健診を受け、出産できるようにするという趣旨からすれば、今後も継続されるべきであります。事 業継続の必要性について、国に強く働きかけるべきであると考えますが、あわせて知事の見解を伺います。

 次に、安心こども基金についてであります。

 大都市を中心として、子供を預けたくても、保育所の定員が希望者数に満たないことから、あきが出るのを待たなければならない待機児童の解消 を図ることが課題となっております。

 そのため、国においては、新待機児童ゼロ作戦を展開しているところであり、この基金も、その円滑な推進を図 ることを目指すものと承知しております。特に、働く母親にとって、保育所は欠かすことのできない貴重な施設であります。この基金事業により、待機児童の解 消に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 また、基金事業には、認定こども園や保育所を初め、放課後の安全・安心対策として、放 課後児童クラブなどの整備促進が含まれております。

 しかし、事業採択に当たっては、地域が必要としているものが必ずしも対象とならない場合があ ると聞くところであります。

 例えば、認定こども園の整備については、保育所型あるいは幼稚園型から、幼保連携型に移行する場合に限られており、 地方裁量型からの移行は対象外ということであります。

 また、公立保育所の施設設備については、普通交付税の中でしかるべく積算をされており、一 般財源化されているため、補助対象外とされているとのことでありますが、これは、すべての自治体に一定のルールで積算されているものであり、不公平な一面 を持つものであります。

 この基金事業の実施に当たっては、地域の実態に即して運用されるよう、国に対して強く働きかけるべきと考えますが、見解 を伺います。

 次に、介護福祉士等修学資金貸付事業についてであります。

 先ほど申し上げましたように、道が実施した「企業の経営・雇用 状況に関する緊急調査」の中間報告によれば、医療・福祉分野で3割を超える事業所が従業員不足であると答えております。

 しかし、その人材となる 介護福祉士の養成を行っている道内の大学、短大、専門学校24校のうち、平成20年度入学者数が募集定員の60%にも満たないところが17校と、実に7割 以上に及んでいるところであります。このままでは、福祉分野への参入がますます減少していき、人材の確保がより一層困難になることが懸念されるところであ ります。

 このような中、補正予算案には、人材確保対策として、介護福祉士等修学資金の拡充のための予算が計上されておりますが、道としては、こ れをどのように活用し、福祉・介護人材の確保を進めようとしているのか、伺います。

 また、施設では、起き上がりが困難な入所者の移動などの介護 のために、体力のある職員を必要としても、確保が難しいとの声を聞きます。そのような声にどのように対応する考えか、あわせて伺います。

 また、 北海道社会福祉協議会が行った介護福祉従業者の就労に関する調査によれば、介護職を目指した理由として最も多かったのは、「働きがいのある仕事だと思った から」という回答で、4人に1人が答えております。

 しかし、賃金は仕事に見合ったものをもらっていると思うかという質問に対しては、4割以上の 人が「いいえ」と答えております。さらに、今の仕事につく前も介護職だった人に、前の職場をやめた理由を聞くと、最も多かったのは、「給与等収入が低かっ たから」というもので、4人に1人となっております。

 介護職の給与水準が低いことは、これまでも指摘をされており、国も、このほど介護報酬を 3%引き上げることとしたところでありますが、事業所によっては、厳しさを増している経営全体の改善を図らなければならないことから、介護職員の待遇改善 にどの程度つながるのか明らかでないと指摘をされているところであります。

 介護職を志す人材の層を拡充するためにも、国が予定している介護報酬 の改定が介護職員の待遇改善につながるのかどうか、道としても、事業者や関係団体などから意見を聞くなど状況を把握し、改善が必要な点については国に申し 入れるべきと考えますが、見解を伺います。

 最後に、農業関連予算についてであります。

 本道経済の牽引車である農業の振興を図るため、 強い農業づくり事業費予算が計上されております。

 この事業は、農協等が行う農業機械・施設等整備に対する支援を内容とするもので、麦やバレイ ショなどの畑作物の集出荷施設の整備事業が対象となるものと承知をしております。

 今回、道が計上している予算額は、国が全国枠として確保した金 額の9割にも及ぶものであり、農業振興、とりわけ畑作振興にかける知事の並々ならぬ姿勢を感じるところであります。

 知事は、これらの事業を活用 して、どのような畑作農業を築き上げようとしているのか、お伺いします。

 今回提案されている予算案に盛り込まれた事業内容は、いずれも、直ちに 行うことにより、大きな効果が期待されるものばかりでありますが、国の交付金等を原資として行われることから、施行するためには関連法案の成立を持たなけ ればなりません。

 国会においては、日を追うごとに深刻の度合いを増す経済状況の中で、国民生活防衛のために、関連法案を一日も早く成立させてい ただくことを願って、私の質問を終わります。(拍手)

知事高橋はるみ

 (登壇)小野寺議員の質問にお答えをいたします。

 補正予算案に関し、まず、本道経済の認識などについてでありますが、昨年の道内の企業倒産件数 が、平成14年以来となる700件台となりましたほか、事業主都合による離職者が増加傾向にあるなど、道民生活や企業活動を取り巻く環境は大変厳しいもの と認識いたしております。

 また、先般、国が公表した、昨年の第4・四半期のGDPの実質成長率がマイナス3.3%となるなど、日本経済は急速に 悪化しているものと承知しており、本道経済も、ますます厳しい状況に直面していると受けとめております。

 道といたしましては、昨年11月の臨時 会における、緊急総合対策を初めとした一連の対策に取り組んできたところでありますが、現下の厳しい経済・雇用情勢に対応し、本臨時会に御提案申し上げた 補正予算を含めて、必要な中小企業金融対策や雇用対策を切れ目なく実施いたしてまいるほか、道民生活の安心、安全を確保するための投資単独事業を実施する などして、雇用の確保や景気の下支え、そして、道民生活の安定向上につなげてまいる考えであります。

 また、中長期的な視点に立って、農商工連携 事業などを活用しながら、食や観光といった、本道の優位性を生かせる産業の育成と振興に努めるとともに、ITやバイオ、環境関連の新産業や物づくり産業の 育成などに粘り強く取り組むことにより、バランスのとれた力強い経済産業構造の構築を目指してまいる考えであります。

 次に、補正予算の本道経済 への効果などについてでありますが、道におきましては、今回の臨時会において、本道の経済・雇用情勢の急激な悪化に対処するとともに、国の第2次補正予算 にも対応した予算案を提案いたしたところであります。

 この予算によって、経済・雇用対策としては、国の雇用関係の交付金を活用した基金の設置 や、公共事業、道の投資単独事業を追加実施するとともに、地域経済活性化対策としては、中小企業総合振興資金の新規融資枠の拡大や、国の第2次補正予算に 伴う農林水産業関連の事業を実施するほか、道民生活の安心確保に向けた対策としては、国の交付金を活用し、消費生活、福祉、子育てといった分野における各 種基金の積み立てなどを行うことといたしているところであります。

 私といたしましては、これまで取り組んできた一連の対策に、今回の補正予算に よる対策を追加し、来年度当初予算も含めて、必要な対策を切れ目なく実施することにより、厳しい経済・雇用情勢が続く道内における雇用の確保や地域の下支 えにつながるものと考えているところであり、道民の皆様方の不安や負担が少しでも緩和されるよう、最大限努力をしてまいる考えであります。

 次 に、地域活性化・生活対策臨時交付金についてでありますが、この交付金は、平成20年10月30日に決定された生活対策において、地域活性化等に資するき め細やかなインフラ整備などを進めるために創設されたものであります。

 道といたしましては、国から交付される見込み額の206億円について、こ の交付金の制度要綱に沿って実施計画を策定することといたしており、具体的には、今臨時会に御提案しております補正予算に計上した省エネ型設備への改修な ど、環境に優しい公共施設整備や信号機整備など、道民の皆様方の安全、安心に資する基盤整備に活用するとともに、交付限度額の3割相当額を、新たに北海道 地域活性化・生活対策基金を設置し、平成21年度における生活対策関連事業に活用するため、積み立てることといたしたところであります。

 このほ か、一部については、昨年の臨時会において予算措置した単独事業の財源に充当することといたしたところであります。

 私といたしましては、こうし たきめ細やかな取り組みを行うことにより、生活関連基盤の整備や充実が図られるとともに、地域経済の活性化や道民生活の安定向上に一定程度寄与するものと 考えております。

 次に、緊急対策の執行状況などについてでありますが、1月22日に決定をいたしました緊急雇用対策の追加実施による臨時職員の 任用につきましては、これまでに261名を採用し、道有林における、いわゆる緑の雇用などの請負業務についても、今月6日から順次事業を開始しております ほか、新一村一雇用おこし事業も、6件の応募があり、25名の常用雇用が見込まれるなど、ほぼ計画どおりの進捗となっているところであります。

 基金事業につきましては、現在、道が実施する事業について鋭意検討を進めておりますほか、市町村からは、地場産品のアンテナショップの運営事業や、枝打 ち、下草刈りなどの森林整備事業などの事業計画が寄せられているところであり、具体的な事業の取りまとめを進めているところであります。

 また、 ふるさと雇用再生特別対策事業につきましては、ほぼ基金配分額に達する事業計画となっており、緊急雇用創出事業については、基金配分額を上回る事業計画と なっているところであります。

 次に、緊急雇用創出事業についてでありますが、私といたしましては、現下の厳しい雇用情勢に機動的に対応するた め、去る1月27日に、国に対し、本事業の前倒し実施に取り組む考えを示すとともに、交付金の追加交付や、さらなる拡充を図るよう、要望書を提出したとこ ろであります。

 また、先日発表した予算案では、平成21年度において、国からの交付予定額の全額を執行できるよう、事業費を計上したところであ ります。

 いずれにいたしましても、今後も雇用情勢の悪化が懸念される中、道として、本事業により、現在とり得る限りの対策の集中的な実施に取り 組んでまいるとともに、機会をとらえて、国に対し追加交付を求めるなどして、本事業を最大限活用できるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。

 次に、雇用の確保についてでありますが、本道の厳しい雇用情勢に対応していくためには、将来にわたって安定した雇用の場を数多く創出していくとともに、地 域にある雇用機会を着実に求職者の雇用に結びつけていくことが何より重要であります。

 このため、雇用の受け皿づくりとしては、新一村一雇用おこ し事業に加え、国のふるさと雇用再生特別交付金を活用して、地域の実情に応じ、創意工夫を凝らした雇用の場づくりを支援するなど、産業施策と雇用施策を両 輪として、1人でも多くの雇用が創出されるよう、全庁挙げて取り組んでまいる考えであります。

 また、御指摘の調査結果についてでありますが、医 療、福祉などの業種では、就業環境や職業能力など、さまざまな面でのミスマッチがあることも背景にあり、必要な人材を得られないという回答につながってい るものと認識いたしております。

 道といたしましては、就職支援のためのセミナー、カウンセリングや、物づくり、IT産業の合同企業説明会などを 実施するとともに、離職者に対する機動職業訓練を推進するなどして、雇用情勢の改善に向けて、全力で取り組んでまいる考えであります。

 次に、中 小企業総合振興資金の融資枠などについてでありますが、道では、取引先の倒産などにより、事業活動に支障が生じることを防ぐため、融資制度の中で最も利率 の低いセーフティーネット貸し付けにより、企業に対し、必要な資金の供給に努めてきているところであります。

 このたびの丸井今井の民事再生手続 開始につきましても、取引先企業の連鎖倒産を防ぐため、同制度を適用し、融資枠についても、関連の需要を最大限に考慮して、200億円増枠したものであ り、取引先企業等の資金需要にこたえられるものと考えております。

 道といたしましては、セーフティーネット貸し付けの活用を含め、厳しい経営環 境にある中小企業に対し円滑な資金供給が図られるよう、金融機関などに対して繰り返し要請してきているところであり、引き続き、信用保証協会を初め、関係 機関との連携を一層密にしながら、中小企業者の経営安定に向け、万全を期してまいる考えであります。

 次に、このたびの補正予算に計上している単 独事業についてでありますが、本道の建設業は、良質な社会資本の整備に貢献するとともに、地域の経済や雇用を支え、さらには、災害時の対応など、地域の安 全、安心に寄与するといった役割を担っておりますが、道内経済が一層の冷え込みを増す中、特に、建設業界が大変厳しい状況に置かれていることは、私といた しましても、十分認識をいたしているところであります。

 このため、事業の執行に当たりましては、すべての工事を、年度内の発注に向け、可能な限 り、一般競争入札の手続に要する期間の短縮に努めるとともに、一部の工事では、指名競争入札による執行も考えながら、速やかに対応してまいりたいと考えて おります。

 また、入札参加の地域要件につきましては、このたびの事業規模を十分に勘案し、発注機関が所管する地域内に本社がある企業に限定する ことや、経常JVを活用する場合には、構成員に一定の地域要件を設定するなどして、地元中小建設業の受注機会の確保に努めてまいる考えであります。

 私といたしましては、このような取り組みと前払い金制度を活用し、市中への円滑な資金供給を行い、このたびの補正予算の効果が最大限に発揮されるよう努め てまいる考えであります。

 次に、妊婦健康診査支援基金についてでありますが、道といたしましては、妊婦健康診査臨時特例交付金をもとに、妊婦健 康診査支援基金を設置することとし、これまで、北海道医師会、日本助産師会北海道支部を初めとする関係団体の協力を得ながら、拡充に向けた取り組みを進め てきているところであります。

 本年1月に行った市町村の実施意向調査においては、道内の全市町村が、公費負担による妊婦健診を、本年4月から 14回まで拡充する意向を示しているところでありますが、妊産婦の経済的負担の軽減のみならず、定期的な健診を安心して受診することにより母子の健康を確 保するため、道といたしましては、今後においても、公費負担による妊婦健診の拡充が確実に図られるよう、各市町村に対し強く働きかけていく考えでありま す。

 また、近隣に産科医療機関等がないなど、本道の状況から、妊産婦の方々に心身両面の負担があるものとの認識を持っており、さらに、この支援 策につきましては平成22年度末までとされておりますことから、引き続き、妊産婦の方々が安心して妊婦健診を受けられるようにするため、市長会や町村会と も連携をしながら、平成23年度以降の支援の継続や、北海道の産科医療の実情を踏まえた、市町村に対する十分な財源措置について、全国知事会を通じるなど して、国に対し強く要望してまいりたいと考えております。

 次に、待機児童の解消についてでありますが、今般、待機児童を早期に解消するため、国 においては、新待機児童ゼロ作戦の前倒し実施を図ることを目的に、保育所等の整備等を推進する、子育て支援対策臨時特例交付金を各都道府県に交付すること といたしているところであり、道といたしましては、この交付金をもとに、北海道安心こども基金を設置することといたしております。

 平成20年 10月1日現在、本道の待機児童は1026人であり、約9割が札幌市と旭川市に集中しておりますことから、道といたしましては、両市に対し、保育所の新規 設置や増改築について、基金を活用し進めるよう働きかけるとともに、各市町村に対し、基金事業の内容や、今まで以上に整備の迅速化が図られるなどのメリッ トについて周知を図り、保育所等の計画的な整備や、認定こども園等の新たな保育需要への対応等を通じ、子供を安心して育てることのできる体制の整備を図っ てまいる考えであります。

 次に、基金事業に対する国への働きかけについてでありますが、私といたしましては、子供を安心して育てることができる 体制の整備を図る上では、地域の実態に即した事業についても支援の対象にする必要があると考えており、そのため、来年度において、要望の強い地方裁量型の 認定こども園への単独支援などについて、別途、検討いたしているところであります。

 道といたしましては、国の事業に関する運営要領等が示され次 第、その内容を精査しつつ、市町村の意見や要望も踏まえながら、地域の実態に即した事業を対象とするなど、効果的に基金を活用できるよう、国に対し強く要 望してまいりたいと考えております。

 次に、介護福祉士等修学資金貸付事業についてでありますが、国においては、介護福祉士養成施設等への入学者 が、近年、全国的に大きく減少していることを踏まえ、若い人材や離職者の福祉・介護分野への参入を促進する観点から、介護福祉士等修学資金貸付制度につい て、貸付限度額の引き上げなどの条件緩和を行ったところであります。

 道といたしましては、今回の国における修学資金貸付制度の改正を踏まえ、養 成施設への入学者の増加が図られるよう、養成施設と連携をしながら、高等学校やハローワークを通じて、貸付制度の周知を十分に行うなど、この制度が積極的 に活用されるよう取り組んでまいる考えであります。

 また、道といたしましては、これまでも、福祉人材の就労あっせんなどを行う、福祉人材セン ター事業などを行ってきたところでありますが、今後については、特に、女性に比べて就業割合が低い男性に対して、福祉や介護に関する理解と認識を深めてい ただくよう、高校などを訪問し、福祉、介護の魅力の啓発や、職場体験の機会の提供、さらには、地域の事業所が共同して求人活動を行う事業なども検討し、各 種施策を一体的に展開することにより、施設等のニーズに沿った人材の安定的な確保に向けた取り組みに努めてまいりたいと考えております。

 次に、 介護職員の待遇改善についてでありますが、平成21年度からの介護報酬の改定につきましては、昨年12月26日に出された社会保障審議会の答申を踏まえ、 現在、国において関係省令の一部改正等に関する準備を進めていると承知いたしております。

 その内容といたしましては、一定の資格や経験のある職 員を配置した場合や、夜間勤務などの負担の大きな業務に対応する職員を配置した場合の加算の創設など、介護従事者の人材確保や処遇改善につながることを基 本として改定するとされているところであります。

 道といたしましては、今後、国の動向を注視するとともに、改定後の介護報酬が介護従事者の人材 確保や処遇改善につながっているかを含め、できるだけ早い時期に、事業者や関係団体から意見を伺うなど状況を把握し、必要に応じ、国に提言してまいりたい と考えております。

 最後に、畑作農業の振興についてでありますが、本道の畑作農業は、地域における基幹産業であるとともに、生産資材の供給や、 生産された畑作物の集荷、加工、流通など、多くの関連産業を通じて、地域経済・社会の発展に重要な役割を果たしていると認識いたしております。

 一方、近年は、国際化の進展のほか、担い手の減少や高齢化、肥料を初めとした生産資材価格の高騰など、畑作農業をめぐる情勢は大変厳しい状況にあり、ま た、制度面においては、水田・畑作経営所得安定対策の導入など、大きな転換期を迎えているところであります。

 このような状況の中、道といたしま しては、平成20年度の国の当初予算や1次補正、さらには、このたびの補正予算における強い農業づくり交付金など、一連の国の事業制度を効果的に活用し、 地域における小麦やバレイショなどの集出荷施設を初め、加工施設の整備や高能率な農業機械の導入を進め、消費者の方々や流通・加工業者の皆様方に支持され る、安全、安心な農作物の安定的な供給と、本道畑作農業の持続的な発展に努めてまいりたいと考えております。

 以上であります。