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平成23年 第4回北海道議会定例会 予算特別委員会(環境生活部所管)

平成23年 第4回北海道議会定例会 予算特別委員会(環境生活部所管)
平成23年12月6日(火曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 アイヌ政策について

(一) アイヌ文化振興財団の会計について

1.伝統工芸複製助成事業の返還金について

小野寺委員

 今までアイヌ協会においては多々、問題が明るみに出ましたが、それでもまだまだ多くの問題が隠れていると私は思っております。
 しかもアイヌ協会自体が恐ろしい方向に進んでいるのではないかという危惧もあります。
 そこで最初に、アイヌ文化振興財団についてお訊きします。
 私は、平成21年の決算特別委員会において、アイヌ協会日高(旧門別)支部が実施したイタオマチップの伝統工芸複製助成事業にかかわって、支部に150万円のお金を払ったにもかかわらず、そのイタオマチップの現物がなく、実際にはお金も返ってきていないという事態が明るみに出た際、私はそれを追求しましたが、現在それがどうなっているかをお教え下さい。
アイヌ政策推進室参事
 伝統工芸複製助成事業への財団の対応についてですが、この案件につきましては、平成21年に委員から指摘があったように、平成16年度に日高支部において実施された事業に関し、当該支部から事業に着手できない旨の報告があったことから、平成17年3月、助成決定を取り消すとともに、既に支払った150万円の返還命令を行ったものです。
 その後、再三にわたりまして返還金の督促を行ってきましたが返還されないことから、平成19年1月に日高支部長を相手として訴訟をおこし、同年12月に、返還すべしと結審したところです。
 その後も履行されないことから引き続き督促を行ってきましたが、資産や支部運営の状況等を理由に返還が困難との回答があり、平成17年の返還命令から本年まで返還金の回収がされていないことから、本年7月、弁護士に強制執行について相談したところ、それも難しいとの結論でした。
 財団は履行を繰り返し求めましたが、本年10月に支部から本件に対する改善検討の申し出がなされ、財団はその結果を踏まえて、対応することとしているところです。
 今後、道としては、日高支部の対応を把握し、改善検討がなされるよう日高支部と協議させるなど、助言指導をしていく考えです。
2.国際文化交流書生事業の返還金について

小野寺委員

 舟を造るということで150万円を支払って舟がない。お金を返せと言っても結局返ってこない。そういう人たちへの対応は、それで本当にいいのでしょうか。
 もう一つお聞きしますが、ハワイの先住民族との国際文化交流事業、これにおいて74万円の返還をアイヌ協会に求めているはずですが、これへの対応もお聞かせ下さい。
須貝参事
 国際文化交流助成事業についての財団の対応についてですが、この案件につきましても平成21年に委員からご指摘があったように、平成16年度に日高支部で実施された事業に関し、平成17年10月、概算払額と確定額の差額74万円に対し返還命令を行ったものです。
 その後、再三にわたり返還金の督促を行ってまいりましたが返還されないことから、平成19年1月に日高支部長を相手として訴訟をおこし、同年12月に、返還すべしと結審したところです。
 その後も履行されないことから引き続き督促を行ってきたにもかかわらず、本年まで返還金の回収がなされないことから、本年7月、弁護士に強制執行について相談をしましたが、それも難しいとの結論でした。
 以上の事から、財団からの繰り返しの履行請求に対し、本年10月に支部から改善検討の申し出がなされ、財団としてはその結果を踏まえ、対応することとしているところです。
 今後、道としては、先程、答弁しました伝統工芸複製助成事業の返還金150万円と合わせ、合計224万円に関する日高支部の対応を把握し、改善検討がなされるよう日高支部と協議させるなど、財団に対し助言指導をしていくところです。

小野寺委員

 本当にそれでいいのでしょうか。
 知事は、「財団に対しても厳しく指導する」と、「アイヌ協会に対しても厳しく指導する」といったにも係わらず現物(舟)がない。お金だけを払ったものを返して貰う努力をしているだけで本当にいいのか。これはもう犯罪ではないのかと私は受け取らざるを得ませんが、多くの質問がありますので次に進みます。

(二) アイヌ文化の普及について

1.歴史的事実に関する副読本の記載内容について

小野寺委員

 アイヌ文化振興財団が作っている副読本についてお訊きします。
 アイヌ文化振興財団は小学校四年生と中学校二年生、全道のすべての生徒にこの副読本を配って授業を行っているという話を聞いておりますが、私は実際にこの副読本に書かれている表記について多くの問題があると思っています。
 例えば『1869年(明治2年)に日本政府は、この島を“ 北海道 ”と呼ぶように決め、アイヌの人たちにことわりなく、一方的に日本の一部にしました』という表記があります。
 この記述では、明治2年当時、アイヌが北海道を支配していたと認めるような文書になっている。これは誤解を招く表記ではないのかと。この点について、私は歴史的事実と認識が食い違う、と考えているのですが、部の見解をお聞かせ下さい。
環境生活部長 
 副読本の記述内容に関連してですが、財団で発行している小学生向け副読本には、委員ご指摘の点が記述されていますが、北海道の帰属などについては、平成4年1月の、参議院議員からの質問趣意書に対する政府答弁書によりますと、『いわゆる北海道本島は、我が国の固有の領土であって、これが具体的にいつ我が国の領土となったかは明らかではないが、江戸時代末から明治時代初めにかけて、我が国とロシアとの間で国境の確定が行われた際、いわゆる北海道本島については全く問題とならず、これが我が国の領土であることは当然の前提であった』、『いわゆる北海道本島は我が国の固有の領土であり、アイヌの人々は本来日本国民である』、『いわゆる北海道本島において、アイヌの人々が古くから住んでいたということは、文献等からみて通説になっていると承知している』と記されており、そうした歴史的経緯を踏まえ、今日に至っているものと理解をしています。

小野寺委員

 では、この副読本に書いてある“アイヌの人たちにことわりもなく”という表記は必要がないのではないでしょうか。なぜことわりをいれなければならないのかと思いますし、そういった辺りのことはしっかり精査をしていただきたく思います。
2.北海道の帰属の考え方について

小野寺委員

 副読本についての質問を続けます。
 北方領土の件に関係してお伺いしますが、パンフレット【北方領土問題を学ぼう】の中に、『北方四島(北方領土)は一度たりとも外国の領土になったことがない』との記載があり、本道についても同じであると私は思います。
 平成19年に国連総会においてアイヌが先住民族であるという決議があり、この採択に当たって、我が国の考え方をしっかりと説明した上で国連の決議に採択をしたと捉えておりますが、その我が国の考え、アイヌ民族を我が国がどう考えているのかご説明願います。
環境生活部長
 北海道の帰属の考え方などについてですが、ただ今答弁したとおり、平成4年1月の、参議院議員からの質問趣意書に対する政府答弁書によりますと、『江戸時代末から明治時代初めにかけて、我が国とロシアとの間で国境の確定が行われた際、いわゆる北海道本島については全く問題とならず、これが我が国の領土であることは当然の前提であった』とされているところ、そうした歴史的経緯を踏まえて、今日に至っているものと理解しています。
 また、【先住民族の権利に関する国際連合宣言】の採択に際しての政府の考え方についてですが、平成21年7月に取りまとめられた、国における【アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書】においても、『我が国政府は、宣言にいう自決権については、宣言が明らかにしているように、「先住民族」に対して、居住している国から分離・独立する権利を付与するものではないこと、宣言にいう集団的権利については、宣言に記述された権利は個人が享有するものであり、各個人がその有する権利を同じ権利を持つ他の個人と共に行使することができるとの趣旨であると考えること、宣言に記述された権利は、他者の権利を害するものであってはならず、財産権については、各国の国内法制による合理的な制約が課されるものであると考えていることなどを説明した』とされているところです。

小野寺委員

 ということは、おそらく国連のいう“先住民”と我々がアイヌを先住民だとする意味が違うと私は思っておりますし、ともすればアイヌの方々が先に北海道に住んでいて日本人がそれを奪ったというような間違えた認識が広がっていると感じますので、「それは違う」ということを北海道としてもしっかり広報していただきたく思いますし、何よりそれは非常に重要なことだと思っております。
3.副読本の編集委員の選任について

小野寺委員

 次に副読本の委員の選任についてお聞きしたいのですが、この副読本を作った方――これは委員会を作っての編集なわけですけれども、この編集委員長がアイヌ協会のある支部の支部長であり、あと多くのメンバーが小学校の先生というようなメンバーでこの副読本を作っていますが、本当にこれで問題はないのか、専門家の編集員があまりに入っていないのですが、その点についてお聞かせ下さい。
アイヌ政策推進室長
 副読本の編集委員の選任に関連しての答弁となりますが――財団では、この副読本の作成に当たり、学校教育の場で活用する補助教材として道内外の小学校、中学校に配布するため、アイヌ文化伝承活動実践者3名、アイヌの歴史や文化に関する研究者2名、学校でアイヌに関する授業等に取り組んだ経験のある教員4名、計9名からなる編集委員会を設置しました。
 編集委員会では数次にわたる検討を行い、それぞれの専門分野ごとに分担執筆をし、相互にチェックして作成するなど、財団において、所定の手続きを経たものと承知しています。
 副読本が義務教育課程において活用されることを財団においては十二分に意識して作成されることは当然でありますので、このような視点の下で、選任手続きが進められることが必要ではないかと考えているところです。
4.副読本の発行の責任について

小野寺委員

 財団が作っているからと言って、北海道がその内容を知らないということにはならないでしょう。先ほど言ったように“北海道をアイヌにことわりもなく一方的に日本にした”というような表記は本当に問題がありますし、日本国民の概念についての表記にも、日本国民は多民族であり、その中にはアイヌ民族や和人や在日朝鮮人、韓国人が含まれるというようなことを書いてありますが、民族の定義も無くそのようことを書いていいのかと私は非常に疑念を持っております。
 もしこのような間違えた表記があった場合には、道はどのような責任をとる必要があると考えているのかお聞かせ下さい。
環境生活部長
 アイヌに関する小中学生向け副読本発行に係る道の対応などについてですが、委員ご指摘の副読本、その編集等については、ただいま答弁したように財団でそれぞれ編集委員等を選任し、編集委員会を設置して作成をしているところではあります。
 しかし、その記述内容や表現などについては、学校教育の場で利用される観点から、児童生徒の発達段階に即し、分かりやすく、より適切なものとなるよう不断に努めて行かなければならないものであり、そうした観点に立って、編集の進め方などについて、財団を所管する国と協議をし、適切に対処して参りたいと考えております。
5.財団の公開講座について

小野寺委員

 財団の次の事業に移りますけれども、公開講座についてお訊きします。
 実はこの公開講座において、北朝鮮関連の団体の講演会に参加をしてアイヌの人たちにチュチェ(主体)思想を広めている人を、財団の公開講座の講師として迎えて事業を行っているといった事実が明らかになりましたが、それは問題がないのか、お聞かせ下さい。
アイヌ政策推進室参事
 財団の公開講座についてですが、この事業は、東京にある財団のアイヌ文化交流センターにおいて、首都圏の人たちを対象にアイヌの伝統や文化についての理解を促進するため、開催しているものです。
 財団においては、アイヌの生活文化等の様々な分野における専門的な知識や経験を有する方を《アイヌ文化活動アドバイザー》として委嘱して実施しており、その委嘱に当たっては財団が判断しているものと承知しています。

小野寺委員

 札幌でこのチュチェ思想について、アイヌの協会の関係者が講座を開いているという認識でおりますが、詳しい内容をお聞かせ下さい。
アイヌ政策推進室参事
 正確な情報は得ておりませんが、ある資料によると9月29日に札幌で開催されたと承知しています。

小野寺委員

 その主催した団体の名前を教えて下さい。
アイヌ政策推進室室長
 インターネットの資料によりますと、その資料の下の方の記載では、『日本キムイルソン主義研究会』という名称が記載されています。
6.財団役員の選任について

小野寺委員

 財団役員の選任についてですが、アイヌ協会のある役員が水増し請求して不適切な支給を受けていたことが平成22年9月に確認されました。同年9月にその方はアイヌ協会の役員を辞任されましたが、にもかかわらず、アイヌ文化振興法に基づきアイヌ施策を全国的に展開しているアイヌ文化振興財団の理事職は辞さず、ずっと居座っております。
 このようなことでよいのか、道の考えをお聞かせ下さい。
環境生活部長
 委員ご指摘の財団理事の在職についてですが、ご指摘のとおり、当該理事は、様々な議論の中で、特に重責であったアイヌ協会の役職について辞職したものと承知しているところです。
 財団理事については、当時、国と相談すべきであったかとも思いますが、そうした点での配慮に欠けていたことは申し訳なく思っているところです。
 今後については、国、財団と相談して参りたいと考えています。
7.財団理事の資質について

小野寺委員

 もう一人の方の問題についてもお聞かせ下さい。
 9月9日、天皇陛下が北海道に来道されましたが、この日に別の財団の理事が天皇制反対の集会を開催しております。憲法で認めている天皇を批判することは許されることではなく、このような団体の理事として相応しい行為ではないと私は思います。
 しかしこの理事は、10月13日に、一身上の都合ということで辞任届を提出し、10月24日に開催された財団の評議員会で辞任が承認されております。財団は寄附行為に基づき登記し大臣に届出を行う必要がありますが、これをしっかりやっていたのかをお伺いします。
 また、道義的、社会的責任が生じていると思いますが、財団はこれを一身上の都合という曖昧な形で整理をしていますが、それで良いとお考えなのかお聞かせ下さい。
環境生活部長
 財団理事の活動に関連してですが、委員ご指摘のような事柄については、先般委員からご指摘を受けるまで、私どもは承知していなかったところで。
 当該理事は既に辞任を申し出て、評議員会で承認されているところですが、公益法人の理事は、その目的である公益を実現するために職務を担っているところであり、その選任にあたっては、そうしたことも踏まえて、選任されるべきであると理解しているところです。
 なお、財団の寄附行為には、理事に異動があったときは、2週間以内に登記し、遅滞なく主務大臣に届け出なければならないこととされていますが、業務が輻輳したことなどから、手続きが遅れ、12月1日に届け出を行ったと聞いています。
8.今後の対応について

小野寺委員

 おそらく、私が指摘をしてから慌てて辞めたとのではと考えておりますが、実は平成21年の第二定例会の予算特別委員会において知事は、財団における事業の運営全般について改めてしっかりと指導していかなければならないと考えている。というように私の質問に答弁をしておりますが、その後、道として、きちんとした指示や対応を行ったのでしょうか。それでこのような結果であれば、本当に残念としか言いようがありませんが、今の財団の現状についてどのように対応するのかをお聞かせ下さい。
環境生活部長
 財団事業に関しての現状と、道としての指導についてですが、アイヌ文化振興財団の助成事業について、これまで委員からご指摘いただいた点について、道として、財団に対し、再発防止に向けた改善策の策定を求め、その実施について指導を行い、財団も改善策を策定し、それに基づき、財団役員が事業実施中の現地に赴き確認調査を実施し、また助成事業の申請及び実績報告書の審査を厳格に行うなど、不適切事案の再発防止に取り組んでいるところです。
 道としても、こうして現地に実際に赴き調査するとともに、財団にはその報告を求めているところです。
 いずれにしても、道としては、財団の事業が適切に行われるよう、今後とも、的確に指導助言をしていく考えです。

小野寺委員

 的確に指導助言していないのですよ。
 的確に指導助言していないからこんなおかしな役員が二人も登場するわけで、しかもそれについて知らなかったということですから、本当に道は真剣に財団を適正な団体にしたいと思っているのか、私は道の対応に非常に疑念を持っております。

(三) アイヌ施策の推進について

1.アイヌ住宅改良事業について

小野寺委員

 次に、アイヌ政策の中のアイヌ住宅改良事業についてお聞かせ下さい。
 アイヌ住宅改良事業ですが、この事業は、市町村がアイヌの人たちの住居を快適にするための資金ということで、市町村を通してお金を貸すという事業になっています。
 先ずこの事業での、貸付件数と貸付額、これがいくらなのかをお教え下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ住宅改良事業の貸付状況等についてすが、本事業は、市町村が条例等を制定したもので、アイヌの人たちによる住宅の新築、改修又は住宅の用に供する土地の取得のための資金を貸し付けることに対し、国の補助を受け、道がこの事業費の一部を市町村に補助することによって、アイヌの人たちの居住地域の整備改善を促進することを目的として、昭和48年度から実施しているところです。
 平成22年度末現在、市町村が貸付を行ったこれまでの貸付件数は、51市町村におきまして3,184件、その貸付総額については、約145億円となっているところです。
2.免除及び滞納の件数等について

小野寺委員

 そのうち、免除した件数とその額、さらに、今までの滞納額はいくらなのかお教え下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ住宅改良事業の免除件数等についてですが、これまで、全道の市町村において免除をした件数は、35件であり、免除した総額は、約1億400万円となっているところです。
 また、平成22年度末における滞納件数は、全道の関係市町村総計で761件であり、滞納額は約16億5千400万円となっているところです。
3.今後の対応について

小野寺委員

 10分の1以上は返ってきていないということですけれども、市町村事業ではあっても、これだけの滞納額になっているということに対して、道としてもしっかりと指導していくべきと考えますが、今後の対応をお聞かせ下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ住宅改良事業制度についてですが、道としてはこれまでも市町村に対し、国及び道の要綱、各市町村の条例等関係規定の遵守、貸付決定の時の審査、制度趣旨の徹底、適切な償還計画の作成、滞納対策の強化、悪質滞納者に対する法的措置の検討について、指導を行ういます。
 それとともに、アイヌ協会に対し、償還状況が悪化している事実を踏まえ、住宅資金の償還金滞納に対する是正について申し入れを行い、当協会では総会等において、滞納状況の是正を各会員に対し指導しており、引き続き、市町村等に対し指導を行っていく考えです。

小野寺委員

 今まで、761件滞納があるということですが、その中に悪質な滞納者は1人もいなかったのか、法的に措置の検討がされた方がいなかったのか、それだけお教え下さい。
~答弁側、答えられず~

小野寺委員

 お答えできないのなら結構です。
 ただこういうことも確認しておかないで、本当に市町村にしっかりとした指導できるのかと、私は疑念を持っています。
 更にもう一点、お訊きしたいのですが、この制度において、『平成18年度 北海道アイヌ生活実態調査』を行っておりますが、この調査結果についてです。道民の持ち家比率と、アイヌの方々の持ち家比率がどのようになっているのか、さらにこの制度を使った方が過去5年間でどれだけいたのかお教え下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ住宅改良事業制度についてですが、 平成18年度に実施した北海道アイヌ生活実態調査によると、アイヌの人たちの住宅の持家率は66.8パーセントであり、一般の持家の全道平均の56.9パーセントに対して、9.9ポイント上回っているところです。
 この制度は、昔から地域に居住しているアイヌの人たちの住宅環境の改善を促進することを目的とするものですが、この5年では、10数件の利用にとどまっているところであります。
 道としては、今後この制度のあり方について国及び市町村の考え方を聞く必要があると考えているところです。

小野寺委員

 実際に、北海道の道民の平均よりアイヌの方々は9.9ポイントも持ち家率のポイントが高いということですから、この制度は本当に必要があるのかと思わざるをえません。
 更に、これだけお金を返さない方々がいるのなら、これは市町村の負担にもなります。
 以上の事から、この制度の根本的なあり方、これを見直す時期に来たと、私は思っておりますので、道にはきちんと対応をしていただきたかなければならないと思います。
4.北海道アイヌ協会の返還金について

小野寺委員

 これまでの一連の不適切事案に対してアイヌ協会は、平成23年2月に、国や道、アイヌ文化振興財団に対してすべての返還が完了したというふうに発表しております。
 その中で、本来関係支部等が支払うべきものを、協会本部が立て替えてお金を支払っているという状況にありますが、この立替分の返還がどのようになっているのかお訊きします。
 また、アイヌ協会日高支部が平成16年度に実施した国際文化交流事業に関連し、旅行代理店から航空代金の支払い訴訟が提起され、その代金の立替払をなぜか協会本部が行っていたのかお訊きします。なぜ協会本部が行う必要があったのか、またその原資は何であったのかお聞かせ下さい。
アイヌ政策推進室参事
 まず、アイヌ協会の立替金の返還について。
 立替金の返還に当たって、本来、不適切な執行処理を行った関係支部等から負担させるべきではあるものの、早急に返還すべきとの判断で、立替払いを行ったところです。
 本部が立替ましたものは、5支部、3団体、個人事業者、合計9件であり、総額は、約1,409万円となっており、平成23年11月末現在の立替金の返還・請求などの状況については、本部に完済したもの1支部約10万円、本部に分割払を行っているもの1団体及び個人事業者約524万円、支部が前釧路支部長に請求中のもの3支部約323万円、団体において取扱を検討中のもの1団体約54万円、支部・団体が求償方法等検討中のもの1支部及び1団体約498万円となっております。
 また、返還が完了又は一部返還がなされたものは、本部に完済したもの1支部約10万円及び、本部に分割払を行っているもの1団体個人事業者約524万円のうちの一部、約71万円の、合計1支部、個人事業者計約81万円となっているところであります。
 道としては、あくまでも立替金としての処理であるものの資産の保有目的を勘案すれば、早急に回収が図られるべきものと考えているところす。

小野寺委員

 日高支部に関する質問の答弁もお願いいたします。
アイヌ政策推進室参事
 日高支部に対する旅行代金の支払いについては、平成16年度に日高支部が実施した国際文化交流事業に係る、航空券代約225万円が未払いであったために、平成16年9月に旅行会社より本部である社団法人アイヌ協会及び日高支部長が提訴され、その後、裁判所から和解案が提示されたことから、協会本部が未払請求額全額を支払うことで、平成17年2月に原告である旅行会社との和解が締結したところです。
 同年3月、理事会で立替決定し、本部が立替えた未払請求額全額は、当時の理事長以下24名の全理事が、一定額を自己負担したものと聞いているところです。
5.アイヌ協会の報告について

小野寺委員

 不届き者がいるとして、その者からしっかりとお金を取らなければ、多くの会員が迷惑を被るということになりますが、実際には、毅然とした対応がどこにも見られない。
 様々な事案を見ても、なぜか理事が立て替えたり、なぜこのような事態になっているのか、私には理解しかねます。
 実際に多くの問題が――もしかしたら、訴えられるような事案もたくさんあるはずですが、それも1件もないということは、本当に社団法人への対応として相応しいのか、多くの税金がつぎ込まれている団体に相応しい対応なのかと、私は本当に疑問です。
 次に、アイヌ協会からの報告についてですが、一連の不適切事案に係る返還金に対するアイヌ協会や関係支部等の返還等に対する調査結果がアイヌ協会から道に報告があったというように聞いておりますが、どのような報告だったのか改めてお教え下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ協会としては、一連の不適切事案で返還対象となった事業の殆どが支部において執行された事業であり、支部に対して、その返還金の負担を求めたところですが、返還に当たっては、本来、不適切な執行を行った者から徴収すべきものであるとしました。
 このため、アイヌ協会は、返還対象となった関係支部に対し、不適切な事業執行の要因は何処にあったのかを解明し再発防止に努めるとともに、返還金は誰が負担すべきなのか支部で調査し、その結果に基づいて本来負担すべき者に求償すべきとして、平成22年3月、その旨指示をされたと承知しております。
 その結果につきましては、講師謝金の過払いなどの不適切事例及び、なぜそのようなことが起こったのかその要因、またその返還金額や、支部支払か本部立替かの返還者について、さらには、調査結果や負担理由に基づいた負担者の特定、納付済みか請求中などの状況、本部が支部に対し確認を行い、確定したものを理事会の決定を経て、平成23年5月にアイヌ協会から報告を受けたところです。
 道としては、この調査結果に基づき、協会本部と支部が連携を強めるなどしてこの返還の取り組みを着実に進め、早期に協会運営の健全化が図られるよう指導して参りたいと考えています。

小野寺委員

 この問題について、皆さんがはっきりと指導していないために、この事態がずっと続いているということを認識していただきたいと思いますが、時間の関係上、次の質問に進みます。
6.北海道アイヌ協会札幌支部の事業について

小野寺委員

 次はアイヌ協会支部の問題ですが、実はアイヌ協会の中で最も大きい支部札幌支部、この平成23年度の総会資料の議案に、「自治権獲得要求」というような項目があります。
 そこには自治憲法制定、議会開設、国歌、国旗これを作る等々の話し合いがなされているというように書いてあります。
 これが本当だとしたら大問題だと思いますが、道としてこの事実を確認したのか、またどう思っているのかお聞かせ願います。
アイヌ政策推進室室長
 アイヌ協会札幌支部の事業に関連してですが、私どもとしても札幌支部の総会資料で、平成20年度からそのような記載があるということは確認しているところです。
 北海道アイヌ協会は、アイヌ民族の尊厳を確立するため、その社会的地位の向上と文化の保存・伝承及び発展を図ることを目的に設立された法人で、その会員は市町村を単位とした支部と規定されているところです。
 委員ご指摘の点について、アイヌ協会は、今後のアイヌ政策の全国展開を進める上で、極めて重要な役割を担っており、その会員である支部においても、その役割は当然のことと考えられ、社会通念に照らし、協会において適切に判断されるべきものと考えているところです。

小野寺委員

 アイヌ協会の一支部が自治権の要求ということで、自分たちの憲法を作れであるとか、会議を作れであるとか、国歌国旗を作るというような議論をしていることに関して、道として、社会通念に照らしてこれは協会の役割からして当然のことと考えているのかいないのか、そこをお聞かせ下さい。
環境生活部長
 これまでの様々なアイヌに関する国際的な取り決め等議論は様々あろうかと思います。
 しかしながら、公的な役割を担いアイヌ政策を推進する上で、重要な役割を担っているアイヌ協会としては、その支部におきましても、そうした役割を担っているという認識の基に社会通念に照らし、適切に判断されるべきものと考えています。

小野寺委員

 何をやっても道は関係ないと、協会が考えて社会通念上やってくれればいいと考えられているように受け取れますが、それで本当に指導出来るのでしょうか。
 何を指導するのかということを、本当に皆さんに聞きたいところですが、次の質問に行きます。
7.アイヌ協会の体制強化について

小野寺委員

 知事は、平成21年決算特別委員会において――今の私の意見に関連しますけれども――アイヌ協会の法人運営や定款の見直し等、抜本的な指導をしていくというように答えておられたにもかかわらず、今の皆さんの答弁ではそのような意気込みがありませんでしたが、現在どのように進められているのか改めて教えて下さい。
アイヌ政策推進室参事
 アイヌ協会の体制強化についてですが、アイヌ協会においては、一連の不適切事案の要因等を踏まえ、平成22年3月に、「アイヌ文化振興財団助成事業等の実施に係る改善策」を取りまとめるとともに、外部有識者や、道の関係部の課長職もオブザーバーとして参画し、「協会組織のあり方等検討委員会」を設置して、平成23年5月には、報告書として取りまとめたところです。
 それらの主なものとしては、役員を「地区監理役員」とした指導体制の強化であるとか、公認会計士による支部への指導、協会の組織運営の透明化などを行い、組織体制や内部統制などの改善に取り組んでいるものと承知しています。
 また、協会にいては、新法人への移行の課題として、支部のあり方の見直しや理事任期、役員数、会計処理などについて改善を行うこととしていますが、道としてなお様々な課題があると認識しており、厳しく指導助言を行って参りたいというふうに考えています。
8.アイヌ協会に対する対応について

小野寺委員

 何を、どう厳しく指導していくのでしょうか。
 検討委員会というのが出来た経緯は、実際、アイヌ協会について多くの不正や多くの問題があって、どうにかこれを立て直さなければならないということで、出来た会なわけですから、明らかに多くの問題がある、というのが前提になっているわけです。
 その前提の中で、例えば札幌支部でこのようなおかしな会議がなされていると、さらに先ほど財団について話をしましたけれども、財団においてもおかしな動きがあるということでしたら、道としてしっかりと財団や協会に対して指導していく、その責任があると思いますし、納税者に対してもしっかりと説明責任を果たすその役割を道が担えるんだと思うからこそ、今まで、多くの質問をしてきました。
 私はこれら全般を知事に問うべきと考えておりますが、その前に環境生活部長にお答え願いたく思います。
 アイヌ協会についてはまだまだ多くの問題をはらんでいると思っておりますし、私のところにも「ある事柄」について情報提供がありました。今それの精査をしている最中ですが、間違いなく問題が発生しているのだろうと考えております。 
 協会に対し、「あり方検討委員会」設置までをし、道が厳しく指導をしているにもかかわらず、更に多くの問題が発生した場合には、アイヌ協会の存続の問題に繋がると考えておりますが、道として今後アイヌ協会とどう対峙していくのか、今後の取組の状況についてお聞かせ下さい。
環境生活部長
 アイヌ協会では、これまで種々の批判をされ、不適切事案の再発防止の改善策として、役員等による指導や監査の徹底、倫理規定の設置など、様々な事項について取り組むとともに、組織運営のあり方等検討委員会を設置しています。
 その上で今後、適正な助成事業の執行体制の確保や新しい法人制度への移行に向けた組織運営の改善策について取りまとめ、現在、信頼回復に向け鋭意努力しているものと承知をしていますが、今後とも協会の運営や事業の執行について批判を受けることのないよう、道としては引き続き、協会からの改善策の実施状況について随時報告を求め、取組が適切かつ確実に実施されるよう、指導監督を徹底していく考えです。
 なお、今後支部などにおいて、不適切な事案が発生した場合には、協会本部はもとより支部運営のあり方や定款の見直しをはじめ、法人運営体制の抜本的な改革について関係部と協議し、厳格に対応していく考えです。

小野寺委員

 この一連の流れは、例えばアイヌ文化振興財団において様々な問題があったことから、道は指導すると言っていたにもかかわらず、成果が出るような指導もしておらず、役員についてはとんでもないことを行っていた。
 アイヌ協会に関しても、アイヌの支部で不適切な会議を開いていたり、アイヌの政策についても、まだまだ多くの問題があるということを皆さんに指摘させていただきました。
 一連の問題は、今後アイヌ政策をどうしていくのかという知事の思いをしっかりと聞かなければ議論出来ないということで、この点について知事総括に上げたいと思いますので、委員長のお取り計らいのほどを宜しくお願い申し上げます。