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平成22年第1回定例会

平成22年03月12日

小野寺委員

 (登壇・拍手)(発言する者あり)それでは、通告に従いまして、順次質問してまいります。
 まず初めに、アイヌ施策について質問します。
 昨年以来、北海道アイヌ協会の各支部において、不適正な会計処理や不明朗なお金の流れが明らかになっております。先日も、道と道教委は、アイヌ文化振興財 団の事業とアイヌ伝統文化伝承事業に関する調査のために各支部に検査に入り、北海道アイヌ協会は、総額で700万円以上の返還命令を受けたところでありま す。
 それを受けて、先日、7日に、道アイヌ協会は臨時総会を開き、釧路支部長の理事の解任と、釧路支部長の辞職勧告決議を行いました。このこと により、協会本部は、一連の不祥事の幕引きをしたいようですが、これだけ多くの問題が明らかになっているにもかかわらず、本部の一理事の支部長のみを解任 して、これで協会がきちんと責任をとったことになると、本部役員は本気で考えているのでしょうか。
 また、協会は、北海道に、今後このようなことを起こさないための改善策を提出する予定のようです。しかし、私は、今のアイヌ協会が実効性のある改善策を出してくるとはとても思えません。
 実は、先日の総会において理事を解任された釧路の支部長が、一通の弁明書を総会に提出していました。その弁明書において、この支部長は、自分の非を認めつ つ、勇気を持って、協会内部で問題視されている五つの疑惑について言及し、アイヌ協会の将来のために、それらの問題の究明が必要であると訴えておりまし た。
 しかし、協会の三役を初め、役員は、この件に関して議論を行おうとはせず、逆に、それらは事実無根であると、切って捨てるような対応をしました。私は、この本部の役員の姿勢を見たとき、この団体には本当に自浄能力があるのだろうかと、強い不信感を覚えました。
 そこで、きょうは、アイヌ協会には自浄能力がないのではないかという視点で質問をさせていただきます。(発言する者あり)
 まず初めに、私は、釧路の支部長が弁明書に書いた疑惑を、アイヌ協会の役員が、事実無根のことであるとして、切って捨てるような、信憑性のないものであったのかということを証明するために、書かれてあった疑惑の中から一つの疑惑を選び、以下、質問をしてまいります。
 その弁明書には五つの疑惑が書かれてありましたが、最後に書かれてあった疑惑は、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構などを利用した海外交流や工芸品の展示会での不正でした。
 そこで、まず初めに、この工芸品の展示会に関しての質問を行います。
 これは、アイヌの伝統的工芸品の展示事業と研修事業の二つの事業から成るアイヌ中小企業振興対策事業というものであり、道と経済産業省との補助金で、30年以上にもわたり実施をされております。
 道では、行財政改革の観点から、補助事業を含め、すべての事務事業の点検や見直しを行っているにもかかわらず、特定の団体に対する補助事業が、驚くほど長 期間にわたり、例外的に、何ら改善されることもなく、実施をされ続けているという事実に対して、私は強い違和感を覚えておりますが、ここでは、まず、この 補助事業の概要について伺ってまいります。
 私は、これまでも、予算特別委員会や決算特別委員会の場において、アイヌ政策にかかわる幾つかの問題 を追及してきましたが、この問題の調査においても、実は、多くの関係者からさまざまな情報提供があり、実際に、この補助事業の執行においては、不自然で不 適切であると思われる事例が多々あることがわかりました。
 例えば、毎年、新千歳空港のターミナルビルにおいて、アイヌ中小企業振興対策事業の補 助金による展示事業が実施をされておりますが、同じ場所において、アイヌ協会主導で、会員による工芸品の販売事業が行われております。この二つの事業の区 分が非常にあいまいであり、私は、問題であると考えております。
 また、展示事業と販売事業のスペースの大きさはほぼ同じであるにもかかわらず、補助事業である展示事業のほうが、販売事業の約4倍から5倍の会場使用料を払っており、これは、どう考えても不自然だと言わざるを得ないのです。
 会場設営などに係る経費についても、販売事業分を含めた形で、展示部分の補助金から支出している疑いがあり、さらに、この発注先も、イベント専門業者ではなく、アイヌ協会会員の個人になっており、非常に怪しいといううわさも後を絶たないのです。
 そこでお伺いしますが、このような事実やうわさがある中で、この事業の執行に係る不適切な事例など、これまで把握している事例があるのか、お伺いをいたします。
 私は、アイヌ協会釧路支部における補助金の不正受給などの問題についても、議会の場において議論をさせていただき、今般、道から、これに係る調査結果が議会に報告をされました。
 北海道アイヌ協会が、釧路支部の不適切な会計処理の問題を受けて、その再発防止に向け、まさに動き出そうとしていたさなかに、このようなことが起こってお ります。にもかかわらず、私のところに寄せられて、私が確認した多くの情報がもし事実であるとすれば、アイヌ協会本部の責任は極めて重たいものであるのは 当然であります。
 また、この問題は、本部の理事を解任された釧路の支部長の弁明書に書かれてあった疑惑であったにもかかわらず、それを一切無視したアイヌ協会役員の対応に、私は不信感を覚えておると同時に、この協会には自浄能力がないと感じてしまったわけであります。
 そこでお聞きをしますが、私は、道として、この補助事業の執行の実態をしっかり解明し、必要な対応をすべきであると考えるものですが、知事の見解をお伺いします。
 次に、アイヌ協会本部が行っている事業について伺ってまいります。
 まずは、芸能交流事業について伺いますが、これは、例年9月に、静内の地で、アイヌ協会の各支部にある踊りの保存会が一堂に会し、交流をするという、協会本部がアイヌ文化振興財団の助成を受けて行われている事業であります。
 しかし、今年度に限って、この交流会の前日に、協会本部が、道教委の助成を受けて、アイヌ民族伝統音楽祭が開催されたわけですが、それぞれの事業の所管が、道教委と道の環境生活部と別々であることから、両事業の整合性がとれなかったようであります。
 例えば、2日目に行われた芸能交流会には、前日のアイヌ民族伝統音楽祭に際し1泊2日分の旅費と宿泊費が会員に支給され、多くの保存会の会員の方々が参加 をしたわけですが、前日の事業において、多くの会員に宿泊を伴う旅費が支給されたにもかかわらず、翌日の芸能交流会の助成額は、前年度とほぼ同額となって いることに、私は違和感を覚えるわけであります。
 通常、このような場合であれば、芸能交流会における旅費の支出は抑えられるわけであり、事業費が減るのは当然であると私は考えるのですが、いかがでしょうか。
 また、特定の団体にとって都合のいいように事業が組み合わされて実施をされているということ自体、私は、問題があると考えますが、いかがでしょうか。あわせて見解をお聞かせください。
 次に、前日に行われたアイヌ民族伝統音楽祭について質問をいたします。
 この事業は、文化振興と文化活動を通じて地域経済の活性化を促すことを目的とした国の補正予算事業を活用した事業ですが、この事業にも多くの問題があることが判明しました。
 例えば、北海道アイヌ協会は、伝統音楽祭に出演をした保存会の口座に、10名分の交通費、宿泊費、謝金を振り込み、本部は、証拠書類として、10名分の個 人の領収書を事業報告書に添付しているわけですが、実際には、交通費や謝金は、各支部の判断で勝手に参加者に配分をしてしまっております。
 さらに、ほとんどの者がJRを使っていないにもかかわらず、全員に対してJR代が支払われたり、全員が泊まっているという確証がないまま、対象者全員に宿泊費を支払うなど、道の予算執行とアイヌ協会の会計処理は非常にずさんであると言わざるを得ないのです。
 実際に、自動車やレンタカーに相乗りで現地に行ったという証言や、宿泊代を使わなかったという証言も多々あるわけであります。
 その上、会員に支払われたはずの謝金を、踊りの保存会の会計に戻させるなど、支部が、個人に対して支払われた旅費や謝金を勝手に操作していることも判明しました。
 そこで伺いますが、道教委は、この事実を把握しているのか、お教えください。
 また、アイヌ協会や各支部が勝手にこのようなことをしていることに対し、どのように対応するおつもりなのか、教育長にお伺いします。
 私は、アイヌ協会本部が主催者である本事業においても、このようなことが起こっているということは、アイヌ協会本部自体に自浄能力がない証拠であり、同時 に、今回の不祥事の責任も釧路支部だけに押しつけて、本部が本質的な問題を何ら解決していないということを意味していると思っております。
 次に、アイヌの人たちが住む集落に設置しているアイヌ生活館についてお伺いします。
 生活館は、平成21年度現在、アイヌの人たちが住む集落を有する25の自治体に、それぞれ1館以上設置をされておりますが、ある町においては、アイヌ協会 の会員が35名しかいないにもかかわらず、11館ものアイヌ生活館が設置をされています。果たして、この数は適正と言えるのでしょうか。
 また、この自治体は、別の自治体と合併をしたのですが、その結果、この新しい自治体には31館もの生活館があることになってしまいました。驚くことに、その中には、年間の利用日数が16日しかないものもあります。
 生活館の維持管理費は、1館平均で約40万円かかっておりますが、これらは、すべてアイヌ生活館の経費として適正に使用されているのか、不透明な部分が残っております。
 そこでお伺いしますが、生活館全体の維持管理や活動の事業費として、年間2400万円ものお金を国と道から受け取っている自治体もありますが、これらの事業費は適正に執行されているのか、お教えください。
 また、生活館の設置数は、自治体によって、異常なばらつきが見られますが、アイヌ生活館を1館に抑えている自治体も多いという現状があります。
 そこで伺いますが、道は、これらをどのようにとらえているのでしょうか。あわせて、今後、この生活館の地域間のばらつきをどのようにしていくおつもりなのか、お伺いします。
 生活館については、設置数にばらつきがあるだけでなく、ほとんど稼働していないものがあり、市町村設置とはいえ、アイヌ協会の各支部長は、地域のこの現状 を十分知っているはずですし、協会本部でも、毎年、総会で報告を受けているはずですが、生活館をどう利用しようかとか、稼働率の低い生活館をどうしようか などという議論がされた形跡は全くありません。
 協会本部にしても、支部にしても、みずからのこととして、生活館の意義や必要性をもっと考えなければならないと私は思っております。
 次に、アイヌ協会本部に自浄作用がない証拠として、本部役員の資質に関する質問を行います。
 まず、アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業についてでございますが、昨年、ある支部において、機動訓練に関して、不正な会計処理が発覚し、補助金の返還命 令が出ていますが、この支部においては、さきの道教委におけるアイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業の調査に関して、実に不誠実な対応をしていたことがわか りました。
 この支部は、道教委の調査に対して、何ら問題はないと報告していたにもかかわらず、調査終了後、同支部の事業報告書に、偽造された架空の領収書があったことが関係者の証言で明らかになりました。道教委は、この事実を知っているのか、お伺いします。
 また、この事実は、道教委が先日出した調査結果に影響を与えるのは必至であります。このような事実がこんなにも早く出てきたことは、私は非常に遺憾であります。この調査方法には問題があったのではないかと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、この事実は、あの調査におけるアイヌ協会の支部の証言は信用に値しないものであり、実態の解明のために、再度、調査をすべきであると考えますが、見解を伺います。
 また、別の支部長は、本部の副理事長を兼務しておりますが、この者も、平成20年のアイヌ中小企業振興対策事業において、みずから、旅行代理店の領収書に手を加え、不正に助成金を手に入れた可能性がございます。
 これに対しての質問はしませんが、本部の役員クラスがこのありさまだということは、この団体には、不正を行わないような団体に生まれ変わる力があるのかということを疑わざるを得ないというふうに考えております。
 アイヌ協会の問題は以上です。
 次に、文協テストの問題に移ります。
 文協テスト、いわゆるABCテストでございますが、これをつくっている北海道教育文化協会は、もともとどのような団体で、なぜこの団体が学力テストを行うことになったのか、教育長にお伺いします。
 私が不思議に思うのは、この財団の成り立ちに関係して、この団体が、学力テストとは全く関係がない、農業経営を行っているという点でありますが、これまで、この農業経営に幾ら投資したのか、お伺いします。
 また、この土地の取得のために農業者に幾らお金を払ったのかも、あわせてお伺いします。
 さらに、今後どのようにする考えなのか、お聞かせ願います。
 加えて、財団の保有する財産の状況について伺いますが、当財団が保有する財産には、幾つかの積立金があるようですが、これらの積立金は適正なものであるとは言えないと私は思っておりますし、甚だ疑問を持っております。
 そこで、まずお伺いしますが、財団の資産運用について、平成20年度決算で多額の評価損を計上していますが、これはどのようなものなのか、お教えください。
 また、こうした評価損を計上しているということは、公益法人として行ってはならない、極めてリスクの高い、例えば、債券ですとか投資信託といった運用を 行っているのではないかとの疑問を持つのですが、この協会はどのような運営をしているのか、また、どのようなものを持っているのか、お教えください。
 次ですが、この法人の所管についてでありますが、昨年までは道教委の所管でありました。
 そこでお伺いしますが、実地検査はどのように行われ、どのような指導が今までなされたのか、お教えください。
 また、検査では問題がなかったのかも、あわせてお伺いをいたします。
 また、多くの債券や積立金、現金を持っていることを考えると、私は、もっと安価に学力テストを行えたのではないかというふうに考えております。
 私は、費用が発生することにより、本道の子どもたちの全員がABC学力テストを受けられていないのではないかと思っておりますが、その実態をお教えください。
 最後に、文協テストに対する道教委の認識をお伺いします。
 私は、学校や生徒にとっても、高校に進学する際に、この学力テストは非常に大切であると考えております。
 しかし、この法人の意識が低いと言わざるを得ません。1人でも多く受けられるようにすべきであります。また、この法人では、公益法人への移行も大変なこと が容易に想像できます。もし、公益法人へ移行できないとなると、本道の中学生は、地域で学力テストを受けられなくなってしまいます。
 そこで、道教委は、これをどのように考え、どう対処するお考えなのか、お伺いいたします。
 私の質問は以上で終わります。(拍手)
知事高橋はるみ
 (登壇)小野寺議員の質問にお答えをいたします。
 最初に、アイヌ政策に関し、まず、社団法人北海道アイヌ協会の補助金に係る今後の対応についてでありますが、道といたしましては、アイヌの人たちの経済的 自立のためには、伝統的民芸品の販路拡大や、工芸者の製作技術の向上を図ることが重要と考えているところであり、国の、アイヌ政策のあり方に関する有識者 懇談会においても、同趣旨の報告がなされているところであります。
 こうしたことからも、その推進役として重要な役割を担っているアイヌ協会本部 が補助を受けて実施したアイヌ中小企業振興対策事業において、今般、一部に不適切な事案が判明したことから、これまでの本事業の執行について、しっかりと 調査をした上で、補助金の返還を含め、必要な措置を講じるなどして、健全な事業運営を促してまいりたいと考えております。
 次に、生活館についてでありますが、生活館の運営は、光熱水費や施設修繕費、管理人の人件費などを対象として、国及び道の補助を受けて市町村が行っているものであり、市町村においては、その経費の使途に沿って、適正に執行されているものと考えております。
 道といたしましては、今後とも、生活館が適切に運営されるよう、担当者会議などを通じて指導してまいりたいと考えております。
 また、生活館の設置については、アイヌの人たちの生活環境や、住民の方々からの要望等により、市町村によって、集落ごとに設置している場合や行政区域内に1カ所設置している場合など、設置数に違いがあるところであります。
 今後の生活館の運営に当たりましては、施設の老朽化や利用の低下の状況が著しい生活館について、設置の経緯などの地域事情も考慮の上、隣接する生活館と統合することなどについても、関係市町村と相談をしてまいりたいと思います。
 なお、アイヌ協会の芸能交流会事業などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
 以上でございます。
総務部長多田健一郎
 (登壇)文協テストに関しまして、まず、財団法人北海道教育文化協会の事業についてでございますが、この財団は、昭和22年に、札幌市の教員への食料供 給を主な目的として設立されまして、昭和30年ごろまで、実際に農産物生産を行っており、昭和25年からは、現在の主たる事業でございます、中学生を対象 とした学力テスト事業を行っております。
 教員への食料供給事業を終了した後も、当該農地の有効利用のため、農園経営や牧草生産事業を継続されていたものの、平成5年以降は、農業生産の実績がなく、土地の譲渡も検討されましたが、引き受け手がなく、近年は、保有のみしている状況にあると承知をしてございます。
 この農業経営に関します事業費総額でございますが、財団においても把握はされておりませんが、記録のある最近10年間の財務諸表によりますと、収益はござ いませんで、農地の管理のため、管理人給与として、10年間の総額で約1000万円程度が支払われているものと承知をしてございます。
 このような法人事業と関係のない財産の保有につきましては、費用のみを要することから、望ましいものではなく、道としては、今年度の検査におきまして、この土地の譲渡など、処分について指導を申し上げたところでございます。
 次に、財団の積立金についてでございますが、平成20年度決算で、財団の保有する財産は約2億500万円となっており、このうち、約2億円は、退職給与引当資産や出版事業引当資産のほか、農地管理人の住居建てかえのためとして、積立金を保有しておられます。
 この積立金のうち、退職給与引当資産を除きます、約1億5000万円の積立金につきましては、財団においては、特定の使途目的を有する積立金として会計処 理されてまいりましたが、公益法人会計基準上は、内部留保に当たりますことから、今年度の検査におきまして、これの是正を指導申し上げたところでございま す。
 次に、財団の資産運用についてでございますが、平成20年度決算におきまして計上した評価損は、投資信託による運用で、時価評価が大幅に下落したために、簿価額との差額の約800万円を計上したものと承知をしてございます。
 また、これとは別に、一般的に、満期保有で元本は保証されているものの、運用期間が20年、30年という超長期で、その間の経済情勢によりましては全く運用益を生じないリスクのある、いわゆる仕組み債での運用を行っており、この額は約1億円となっております。
 当該法人の資産運用は、元本が回収できる可能性が高く、かつ、なるべく高い運用益が得られる方法で運用することと定めております公益法人指導監督基準に照 らしまして、適切さを欠くものであり、また、当該財団におきましては、運用の基準や責任が不明確なまま運用されている実態がございましたので、今後、資産 運用に係る内部基準の作成など、適切な運用に努めるよう、指導申し上げたところでございます。
 以上でございます。
環境生活部長稲垣利彰
 (登壇)アイヌ政策に関し、アイヌ協会の芸能交流会事業についてでありますが、例年、アイヌ協会は、アイヌ文化振興財団の助成を受け、芸能交流会を実施 しておりますが、助成金の限度額である100万円を超えておりますことから、旅費の一部が自己負担となっているところであります。
 ただし、平成21年度は、道教委の助成事業であるアイヌ民族伝統音楽祭と組み合わせて、2日間にわたって実施したことから、宿泊を伴う参加者の旅費につきましては、当該事業から助成されており、自己負担の額が大幅に縮小されたものであります。
 道といたしましては、事業を組み合わせて実施する際には、経費の面も含め、全体として事業が効率的に実施されるべきと考えますことから、アイヌ協会に対し、助成事業の申請に当たっては、事業が効率的に実施されるよう指導してまいりたいと考えております。
 また、財団に対しましても、助成事業を審査する際には、道教委など他の助成事業の状況も把握した上で、助成額を適切に決定するよう指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
経済部長渡辺健
 (登壇)アイヌ政策に関しまして、初めに、アイヌ中小企業振興対策事業についてでありますが、この事業は、アイヌの伝統的工芸品の販路拡大と、アイヌ文 化を普及啓発するための展示会の開催や、新製品の開発、製作技術向上を図るための後継者の技術研修を行うことを通じ、アイヌの方々の中小企業の健全な発展 と経営の安定に資することを目的としており、昭和50年度から、北海道アイヌ協会に対し、補助を行ってきているものであります。
 平成20年度におきましては、大阪と北九州の百貨店や新千歳空港ターミナルビルにおいて展示会を開催するとともに、大阪の国立民族学博物館などにおいて、工芸者5名がアイヌ民族の伝統的工芸品の製作技術向上を図るための技術研修が実施されたところであります。
 次に、事業執行の実態についてでありますが、道といたしましては、このたび、平成20年度におけるアイヌ中小企業振興対策事業につきまして、補助事業であ る展示会にあわせて、アイヌ協会が独自に実施をした販売事業も含め、帳簿や協会関係者のヒアリングなどにより、事業実施に係る調査を行っているところであ ります。
 この調査の中で、補助対象経費である展示会に係る備品のレンタル費用、ブースなどの会場設営料及び警備の経費の中に、補助対象外である 販売事業の一部経費が含まれていたことが判明し、補助事業として不適切な事案が見られたほか、会場使用料について、補助事業と販売事業の面積を比較したと ころ、その算出方法に差異が見られたところであります。
 以上でございます。
教育長高橋教一
 (登壇)小野寺議員の御質問にお答えいたします。
 初めに、アイヌ協会本部が行った事業に関しまして、まず、アイヌ民族伝統音楽祭などについてでございますが、国の予算事業であります北海道地域文化芸術振 興プラン推進事業の実施のために設置された北海道実行委員会では、その事業の一つであるアイヌ民族伝統音楽祭を北海道アイヌ協会に発注したところでありま して、事業終了後、アイヌ協会から実施報告書に添付されました出演者の領収書や、実施会場である公民館の使用に係る町の納入済通知書などの証拠書類によ り、事業経費の支払いの事実を確認しているところでございます。
 このうち、旅費につきましては、国の実施要項によりまして、国または道の旅費支給基準を適用することとされているところでございます。
 実行委員会の事務局である道教委といたしましては、御指摘の点につきまして、アイヌ協会に確認いたしましたところ、協会といたしましては、伝統音楽祭に出 演する各保存会に対し、道の基準に基づいて、鉄道利用の交通費と、必要に応じて宿泊費用を合算し、10名分を上限に算出した旅費を支払っているが、実際に 利用した交通手段や宿泊の事実の有無など、旅行の実態等を確認しないまま、実行委員会に実施報告書を提出したとの回答を得たところでございます。
 道教委といたしましては、事実と異なる実績報告が行われていたのであれば、大変遺憾なことであり、公費の執行上の疑義もあるものと考えられますことから、 アイヌ協会に対し、伝統音楽祭に出演した保存会の関係者等を対象に早急に調査を実施することを強く求め、その結果を踏まえ、請負費の返還を検討するなど、 適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業の調査についてでございますが、本事業の調査結果報 告後におきまして、北海道アイヌ協会の1支部が実施した講座に関連した講師の出張旅費の取り扱いにつきまして、実績報告と実態が異なるのではないかという 新たな情報が寄せられたところでございます。
 道教委といたしましては、直ちに、出張者本人及び当該支部への聞き取り調査を行ったところ、本人からは、この時期に講座関連調査の出張に行ったこともなく、旅費も受領していない、また、領収書に押印されている印鑑は自分のものではない旨の証言を得たところでございます。
 また、当該支部からは、講座の他の経費と一緒に支払ったと回答を得ておりますが、領収書につきましては、本人から受け取ったものかどうかの明確な説明がなかったところでございます。
 この2月に取りまとめた、さきの調査では、A、B、Cの各講座の実施の有無に主眼を置いた確認調査を行ったところであり、講座の資料収集、事前調査などの 出張旅費の受領につきましては、領収書と会計帳簿などの関係書類の照合、支部責任者からの聞き取りなど、現地確認を行ったところでございますが、本人への 確認は行っていなかったところでございます。
 こうした中、調査をしなった部分から、新たに疑義ある事案が見つかり、まことに遺憾であるというふうに認識しているところでございます。
 いずれにいたしましても、道教委といたしましては、御指摘のあった当該支部につきましては、実態を解明するため、追調査を早急に実施してまいりたいと考えております。
 次に、文協テストに関しまして、まず、財団法人北海道教育文化協会についてでございますが、財団法人北海道教育文化協会は、北海道における教育の振興を図 り、教育の充実に寄与することなどを主たる目的として、昭和22年6月に設立されました財団法人であり、その主な事業は、中学生の学力育成のための出版事 業、青少年育成活動援助に関する事業などでございます。
 そのうち、中学生の学力育成のための出版事業、いわゆる学力テストにつきましては、北海道教育文化協会が、昭和25年から問題を作成し、出版しているものであり、生徒の学習内容の習得状況を把握する資料として活用されているところでございます。
 また、中学校の進路指導における業者テストの活用のあり方などについて示した、平成5年の文部省通知におきまして、公益法人が行うテストにつきましては、 進路指導の一つの参考資料を得るために行うものとして位置づけがなされたところであり、この通知以降につきましても、北海道教育文化協会の学力テストにつ きましては、道内において、継続的に活用されてきているところでございます。
 次に、公益法人に対する指導についてでございますが、道教委におき ましては、平成20年度まで、法人から毎年提出される事業報告書及び事業計画書の審査を行いますとともに、おおむね3年に1回を目途に、担当者が法人事務 所において、会計、財務、会務の運営状況、その他法人運営等に必要な関係書類を確認するなど、実地検査を行ってきたところでございます。
 この間、道教委としましては、北海道教育文化協会に対しまして、幾つかの指導を行ってきたところでございますが、現在までに、農地の問題や内部留保水準の問題などにつきましては、解決が図られていないところでございます。
 また、昨年9月に知事部局が実施した検査におきましても、引当金に該当しない費用を引当金に計上していること、資産運用に係る詳細な規定が定められていないことなどの指導があったところでございます。
 このことは、当該法人に対し、道教委がこれまで行ってきた検査及び審査が不十分で、至らなかったと考えているところでございます。
 次に、北海道教育文化協会が作成するテストについてでございますが、北海道教育文化協会では、中学生用に、国語、社会、数学、理科、英語の5教科のテスト問題を学年別に作成し、5教科を1組として、1回270円で頒布しているところでございます。
 発行回数は、学年により異なり、年間で、1年生、2年生は各4回で、3年生は8回発行しているところでございますが、道内の中学校の利用状況は、例えば、 3年生で、全8回のうち、4回の利用が約2割、5回の利用が約3割、6回の利用が約3割となっておりまして、学校によって利用回数に違いが見られますが、 道内のすべての中学校が利用しているところでございます。
 最後に、教育文化協会の学力テストについてでございますが、このテストにつきましては、道内のほとんどの中学校で長年にわたり活用されてきており、学習指導や進路指導において、一定の役割を果たしているものと認識しているところでございます。
 こうした状況を踏まえ、道教委といたしましては、1人でも多くの生徒が受けられるよう、保護者負担の軽減や、先ほど申し上げました内部留保水準の適正化の 観点からも、利用料金を含めた学力テスト事業の見直しを加えますとともに、青少年の健全育成や学力及び体力の向上などといった公益事業の拡充により、適正 な財団運営が図られるよう、知事部局を通じて、教育文化協会に対して指導してまいりたいと考えております。
 なお、現在の公益法人につきまして は、平成25年11月30日までに、公益財団法人か一般財団法人に移行しなければならないとされておりますが、北海道教育文化協会におきましては、公益財 団法人の移行を視野に、現在、検討を進めていると聞いておりまして、こうした場合は、公益性を高めるような事業の展開が必要と考えているところでございま す。
 以上でございます。