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平成23年第2回北海道議会定例会 予算特別委員会(農政)

平成23年第2回北海道議会定例会 予算特別委員会(農政)
開催年月日 平成23年7月4日(月)

農地の売買等について

小野寺委員

 今年の2月ですけれども、道内のある町に住む酪農を経営されている方が私のところ(帯広)に来られ、こういう話をされました。
 「私は地域でずっと酪農をやってきた。生活は非常に豊かというわけではなかったけれども、それなりに酷農家として自負するような仕事を行ってきた。息子が帰ってきてくれて、実際にこの地域で二代にわたって酪農ができるという話をしていた。しかし、この地域において一つの企業が農地を買っていて、実際に多くの土地所有者の方がその企業に農地を売るという状況になった。自分の経営している酪農のエリア以外はほとんど売るような話になってしまい、実際自分の農地も売らなければダメだというように地元の人に言われて非常に困っている。このままではせっかく息子が帰ってきたのに酪農ができない」
 私は、こんな事があるのかと、調査に入りました。実際にこの方を助けたいという思いもありましたし、実際にこの方に降りかかっているこの問題はもしかすると、多くの道内の農業者にも同じように降りかかることがあると、調べながら判りましたので、今日この質問をすることにご理解を頂きたいと思います。 

(1) 世界各地における農業投資について

小野寺委員

 最初にこの農地の売買の問題ですが、まず国際的な観点から伺ってまいります。
 現在、世界各国で農地が争奪されているというようなニュースを至るところで聞きますし、実際に国連の発表や複数のマスコミも同様の報道をしているところです。そこでお伺いしますが、主にどのような国が世界各国で農地を取得しているのか、併せて何故このような事態になっていると道は分析しているのかお教えください。
農地調整課長 西沢勉
 世界各地における農業投資の状況についてですが 平成22年度の食料・農業・農村白書では、「自国内ヘの食料の安定供給のため、中国、韓国、中東諸国等が、アフリカ、南米諸国等に積極的な農業投資を行い、現地で農業生産を開始しているといわれている」と紹介されていす。
 こうした農業投資が加速している背景には、世界全体で耕作可能な土地が少なくなってきている一方で、人口の増加によって1人当たりの農地面積が減少するとともに各国の食生活の変化もあり、自国の農地だけでは生産が追いつかなくなっているといった事情があるものと思われます。道としては、今後、国際社会における農地の買収が進むことが懸念されることから、各国の開で、速やかに、秩序ある国際農業投資のルールが策定されるとともに、食料需要の増大等に対して、農地の保全等により農業生産力を維持・増大していくことが必要と考えています。

(2)国際社会における農地と食料供給の展望について

小野寺委員

 中国、韓国、中東諸国が、実際に農地を買っているという話を頂きましたが、まず国際社会における農地や食料供給の展望についてもお訊きしなければなりません。
 現在、世界人口約70億人のうち10億人以上が栄養不良状態にある、というように言われており、毎日4万4千人、年間1千6百万人の方が餓死をしているという報告もあります。今後、アフリカやアジアの途上国を中心に、世界人口は2050年には90億人を超えるのではというような推計もありますが、私はこのままでは国際社会において、安定的な食料供給は非常に難しい時代が来るのではないかと考えております。
 その点を踏まえ、道はこの農地の売買、それの国際社会における農地と食料供給の展望についてどのように分析をされているのか、お教えください。
農業経営局長 前田剛志
 国際社会における農地と食料供給の展望についてですが 世界人口は、現在の69億人が2050年には93億人に達するとされ、食料需要量が増大する一方、食料の供給面としましては、新興国における農地の砂漠化等や単収の向上ペースが鈍化すること等により、生産量の増大は必ずしも楽観できず全体としてはひっ迫傾向にあると言われていると承知しております。
 こうした中、一部の食料輸入国の企業等が、海外での農業投資を活発化しており、このような動きに対し、平成21年のG8ラクイラ・サミットにおいて、国際農業投資の行動原則を策定することが合意されたところです。

(3)外国人等による農地取得について

小野寺委員

 いま道側からG8ラクイラ・サミットにおいて、国際農業投資の行動原則を策定することが合意されたと。作るということが決定をした、それで道としては、このような原則がきっちりと作られることを願っている――というような答弁で、本当にそんなことでいいのだろうかと思い、次の質問をしますが、実際に農地法というのは、外国人や企業に農地を売らないような聖域を作っている、しっかりとした法律じゃないかというように多くの方々は錯覚をされているようなので、ここで改めて日本の農地は外国企業や外国人が買えるということを御答弁を頂きたいと思います。
農地調整課長
 外国人等による農地取得についてですが 農業者又は農業生産法人については、国籍等を問わず農地を取得することは可能となっています。その場合、農業者にあっては、「農作業に常時従事すること」、「すべての農地を効率的に利用すること」、「周辺地域の農業との調和を図ること」など、農地法第3条に定めます要件を満たすこと、また、出入国管理及び難民認定法にあります「永住者」、「日本人の配偶者」等の在留資格を持つことが条件となっています。また、農業生産法人にあっては、「すべての農地を効率的に利用する」など農地法第3条の要件に加え、同法第2条第3項により、その主たる事業が農業であることのほか、役員の常時従事要件や農業者以外の者の議決権割合が全体の4分の1以下であるなどの制限が設けられています。なお、相続の場合は、相続人が非農家や外国人であっても農地の取得が認められています。ただし、平成21年の農地法の改正により、農地の相続等の届出制度が創設されたことから、農地の所有実態を把握することができるようになったので、農業委員会による遊休農地の適切な管理の指導等が可能となったところです。

(4)北海道の農地の需給動向について

小野寺委員

 今説明を頂きましたが、結果としては国籍を問わず農地を取得することが可能である。いろいろ議決権割合がどうこうとありましたが、実際に外国人の方が農業に従事できるのですから、全てが外国の方でも農地を取得できると私は思っております。また相続の場合は、外国人でも農地の取得が認められ、しかも農業に従事していなくてもいいのであれば、実は「外国人の方が海外に住みながら日本人に農地を貸す」という可能性があるということは懸念すべきことです。先ほどの答弁ですが、日本人と同じように外国人も農地を買えるのは日本ぐらいのものです。
 他の国がしっかりと規制している中で、本当に国際的な行動原則、これができるのを待っていて良いのか、と私は思いますので、この点についてはしっかりと対応をして頂きたいと思います。

小野寺委員

 次ですが、今までの点を踏まえて今度は道内の農地の需要の動向、食料の供給の状況がどうなっていると分析をしているのか、将来的にどのように道は考えているのかをお示しを頂きたいと思います。
農業経営局長
 北海道の農地の需要動向についてですが、農地に対する需要は、国際的な食料事情も含めた経済社会情勢や物価動向等に大きく左右されることから、今後の見通しを立てることはなかなか困難ではありますけれども、北海道の農地は一般的に、冬季の積雪により耕作期間が限られる一方で、広大なまとまった土地が確保しやすいことや、価格が府県に比べて安いなどの特徴があることから、一定の需要が見込まれると考えています。

小野寺委員

 良くわかりませんでしたが、実際には先ほど御答弁頂いたように、人口は爆発的に増える。それで圧倒的に農地が世界的に足りない。そうすると、開違いなく農地というものの価値は上がるというふうに思っておりますし、実際に今年に入りまして中東の混乱がありましたが、これによって食料価格が過去最高を記録しております。これも大きく影響を来年あたりするのかと思っておりますし、世界的に天候の不順等々もあるかもしれないことを考えると、もしかすると北海道の農地というものは、非常に外国から注目をされるかもしれないと。もしかすると日本国内の企業もそうかもしれませんが、そういうような対象になり得るということを是非頭に入れていただきたいと思います。

(5)農地の所有と貸借の状況について

小野寺委員

 次に移ります。何故このような質問をしてきたかですが、私がいろいろ調査をすると、自分で農地を持っている方もいますけれども、農地を借りて――しかもその地域にいない地主の方に農地を借りて営農されている方も実際にいる。その方に関してはもしかすると、農地が売りに出されるということは、その地域にいない地主の方にとっては、売るということが大きな流れになると。 私のところに相談にきた方のように、はじき出されてしまうような可能性がある。ということで、お伺いしますが、本道において実際に農業者が所有し、耕作をされている農地と貸し出されている農地とは、どのような状態になっているのかお教えください。
農地調整課長
 農地の所有と貸借の状況についてですが 農林水産省の「耕地及び作付面積調」によると、平成22年における道内の耕地面積は115万6千ヘクタールでして、また2010年世界農林業センサスによる農業経営体の借入耕地面積は、23万1千ヘクタールであることから、農地全体のおよそ20パーセントが借地となっているような状況です。

(6)農地価格について

小野寺委員

 これだけ広大な北海道の農地のすでに五分の一が借地になっているということに非常に驚きましたが、この借地ですけれども、もしかすると私のところに相談に来た方の地域では、農地の価格がバブルのような状態になっているかもしれないというような懸念を私は持っているわけです。
 それは、大きな資本がその地域に入ってどうしても農地を取得したいとなれば、長期間その地域で売買の実績がなくても是非欲しいということで、我々の感覚とは違うお金を積んでくる可能性もある、と考えておりますし、そうなると更に地主の方は農地を売りたいというような行動に出るだろうと思っています。その点について実際に私はこの話を北海道の平取で聞いており、これは、道内の政治経済を扱う月刊誌の7月号の記事にも、普通の価格の2倍のにもなるというような話にもなっていると載っていました。
 この状況を道はどのように考えているのか、また、農地の価格上昇はいろいろこれからそういう可能性があるということは、仕方がないことだと考えるのか、お教えください。
農地調整課長
 農地価格についてですが 北海道農業会議の「田畑売買価格等に関する調査」によると平成22年の平取町の田畑の平均取引価格は、中田は10アール当たり40万円、中畑は10アール当たり15万円となっており、全道平均より高い額となっています。農地の価格については、基本的に民間ベースの事項でして、価格の上昇を規律するのは困難ですが、農業委員会が農地のあっせんを行う場合は、「北海道農地移動適正化あっせん事業実施要領」等において、農業委員会は、農業経営の圧迫、農用地等の価格の高騰を招かないよう、当該地域における通常の農用地等の売買価格等を考慮して行うこととされており、道としても、必要に応じ農業委員会等を指導してまいりたいと考えています。また、今後の農地価格につきましては、地域における農地の需要、農産物の価格など、様々な状況に影響されることから、見通すことは難しいものと考えております。

小野寺委員

 各地の農業委員会がこの価格を決めるということで、道が高い低いとのコメントをできないことは十分に解りますが、私が地元の酪農関係の方々にいろいろ聞きますと、やっぱり高いという意見がほとんどでした。しかもこの地域は平取町の一番山奥にあって30年間農地の売買の実績がなかった地域のはずです。それが他の地域と全く同じような金額をつけているというのを私は不思議でならず、実際にこの農地を売る際に、不在地主の方が同時に地番の違う山林も買ってほしいというような申し出もしていると聞いております。
 これは、実際に農家の方にしてみたら農地の売買だけをしたいのに、そのようなセット販売がもし行われるような事があっては、私は大問題になると危惧しておりますので、早急に事実確認をして頂きたく思います。

(7)農業委員会のあっせん事業について

小野寺委員

 次の質問ですが、あっせん事業――先ほども言いましたけれども、セットで売って欲しいというものは非常に問題になるのではと、調べてほしいと考えていますが、これに対し、もしこのような事実があれば、道はしっかりと、毅然とした対応を示すべきであると考えております。
 このような話はいたるところで聞くと私の耳に入っており、農地は農地だけで売買をしていただきたいと思いますが、道はどのように対応されるのかお教えください。
農地調整課長
 農業委員会の行うあっせん事業についてですが 農業委員会では、農用地区域内の農用地等について、農業経営の規模拡大、農地の集団化等の農地保有の合理化に資するため、農地の権利移動に必要なあっせん事業を行っているところです。このため、あっせん事業の対象となる土地は、農振法第3条の農用地等であり、山林や原野のあっせんは行わないものです。したがって、農業委員会におきましては、農用地等の部分について「北海道農地移動適正化あっせん事業実施要領」等に基づきまして「あっせん基準」に沿って「あっせん事業」を行うこととされていることから、道としましても、地域農業の維持・発展に向けて、あっせん対象を含め、基準の適正な運用がなされるよう、必要に応じ農業委員会等を指導してまいりたいと考えております。 

(8)企業による農地買収について

小野寺委員

 しっかり指導して頂きたく思います。
 この質問をしたのは、私のところに来た酪農経営者の方が、「農地だけを買いたいのだけれども山林も買ってくれと言われた。この山林を買うと非常に自分のところの経営が厳しくなる」というような話をされていたことによります。もし実際に大手の企業等がこの地域に入ってきて、地主の方に、我が社では山林も一緒に買うので農地を売ってほしいというような話があったとしたら、私はこれも問題であると思っています。
 実際に山林を買おうが買うまいが、個人的な話であって、道も農業委員会も農地をどうするのかという議論に終始をしていただきたいと思っております。
 次の質問ですが 道庁として、今私が言ったように、平取の一つの集落が丸ごと一つの企業に買われようとしている。山林も買われようとしており、農地も買われようとしています。
 大規模農業とは、メリットもあるかもしれませんが、実はリスクというものも相当あるものだと認識しておりますし、それを回避するための方策を、道としては事前に考えておく必要がある時期にきたのではないかと私は考えております。
 その点について、どう考えておられるのか見解を伺います。
農業経営局長
 企業による農地買収についてですが 農地については、農業生産の基盤であり、これがいったん遊休農地化等した場合には、その回復に膨大な時開と労力を要するところで。特に規模が大きくなればなるほど、その影響は甚大であり、農地の効率的な利用が確保されるよう、措置しておくことが重要なこととなります。
 このため農地法では、農地の農業上の利用が確保されるよう、農業生産法人の農地取得について、「すベての農地を効率的に利用する要件」、「地域との調和要件」等に照らし、農業を適切に実施する者に許可を行う仕組みとなっていります。また、許可後においても、農業生産法人については、事業の状況や法人の要件などを毎年、農業委員会に報告することが義務付けられるとともに、平成21年の改正農地法の施行後は、農業委員会が毎年、区域内にあるすべての農地の利用状況調査を行うこととされたところです。
 今後とも、農地法に基づき、市町村や関係機関・団体などと連携を図りながら、農業生産法人の事業の実施状況等を適切に把握し、農地の適正な利用を確保してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 そういう制度になったということで、それを聞いていると問題がないように感じますが、実際にこのような仕組みを変えたところで何が変わったのか、と私は考えます。
 実際に平成21年度の改正農地法施行後は、区域内にある全ての農地の利用状況調査を行うとした、 ということで、道内には多くの遊休農地があって適切に管理されていない農地も沢山あります。しかし、それに関する勧告が1件もでていないにもかかわらず、利用調査をどうやってしっかりと行ってきたのか、というような疑念も残りますし、実際に企業というものは、利益を上げなければすぐ撤退するというような事もあり、実際にある企業が農業をやったからといって、その農業はその会社にとって一つの部分・分野かもしれません。本業が駄目になると撤退をするという可能性もありますし、いくらその法人の事業の状況や内容を聞いても何もならないのではと私は思っておりますし、どのようなリスクがあるのかというような質問をしたのですが、あまりお答えいただけませんでした。
 企業が倒産をすると負債を抱えます。もしかすると農地が負債になってしまうということは大変なことだと思いますし、今までの概念とは大企業ですとか、企業が農地に参入すると違う概念を持って我々は対応をしなければならないということで、その点についてもしっかりと認識をして頂きたいと思います。
 どのように道は回避するのかというような話もしていただけませんでしたが、実際にこの平取の集落を買っている企業は神戸物産で、私はその企業が良いとか悪いとか言いません。ただ、この企業は数年の内に道内3千ヘクタールの農地を所有するとまで言っておりますので、3千ヘクタールの農地が将来経営がどうなるか誰も解らず、非常に大変な状況になる恐れもあるので、そういうような状況になるかもしれないというようなことをしっかり頭に入れて、対応をしてもらいたく、質問をしたわけです。

(9)外国人等による農地の権利取得動向の把握について

小野寺委員

 次に、外国人による農地の取得の動向把握ですが、実際に農地に関しては、まだ良くわかっていない部分が多々あるはずです。先ほども利用の状況調査を行うですとか、遊休農地はしっかりと指導する等の話がありましたが、実際に道はこの外国人等による農地の取得状況の動向、取得状況についても把握をできていないという状況にあり、私はこの点についてもしっかりと把握をしていくべきであると思います。
 それは、国際的な情勢や展望を皆さんがお答えになられたように、これから農地は大変な事になるかもしれないという危機管理の点で質問をしているわけです。私は、しっかり把握すべきだと考えますが見解を伺います。
農地調整課長
 外国人等による農地の権利取得動向の把握についてですが、農地法では、外国人等であることをもって農地の権利取得の制限が設けられていないことから、これまで農地の権利移動の許可等に係る申請時や各種実態調査においては、外国人等による農地取得かどうかの把握はしてきておりませんでした。
 しかしながら、改正農地法の施行等を契機として、農業委員が承知していない者からの申請が増加することも踏まえ、農業委員会においては、本年5月から農業経営を行うことが可能かどうかの要件を判断するため、本籍地や在留資格などの確認を行う取扱としたところです。また、道としても、外国人等による農地の所有権の取得動向を把握するため、該当事例が生じた場合は、農業委員会から報告を求めることとしているところです。

(10)国への働きかけについて

小野寺委員

 私が何故、特に外国資本等による農地の売買についてこれほど言及するかということですが、実際に日本の今の法律の何処をみても、世界的な不作が起こったときに、食料が不足をしたときに、日本は、輸出規制をかけられない。かけられるのは米しかないという状況だからであるからです。
 農地を所有している国に、もしかするとその企業は食料を送ってしまうかもしれないという懸念を持っており、そういう事態になりますと、道民の生命を守れないという状況にもなりますし、日本の食料基地だと胸を張るのであれば、しっかりと議論をしておく必要があると考えております。また、日本のバックアップ基地になるというのでしたらその点についてもしっかりと議論をしておく必要があるという思いでこの質問をしております。
 実際に食料安保上重大な問題等と、現在の外国人の売買等と農地法には沢山の問題があると私は思っており、北海道の実態を国に是非伝えて、国に意見を言っていくべきであると考えますが、道の見解を伺います。
農政部長 羽貝敏彦
 農地の売買等に関し、国への働きかけについてですが、農地法においては、外国人等であることをもって農地の権利取得の制限が設けられておらず、農作業への常時従事や農地の効率的な利用などの要件を満たせば、農地の権利を取得することが可能となっております。
 また、取得をした農地において生産した食料についても、基本的には自由に販売、輸出等を行うことが可能ではありますが、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」等において、米の国内供給が大幅に不足する等の緊急時においては、国による規制が措置されることとなっており、販売や輸出に一定の歯止めをかけることが可能とされているところです。
 今後、道としては、外国人等による農地取得の動向を注視しながら、食料の安定供給上、懸念をされるような事態が生じた場合には国民の食生活を守る観点から、速やかに必要な措置を講じるよう国に働きかけてまいりたいと考えています。

小野寺委員

 いま、食料の安定供給上懸念されるような事態が生じた場合とおっしゃいましたが、懸念される事態が発生してからでは遅いと私は思っております。その危険性が考えられる限り、そういうことがないようにしていただきたい。それが、危機管理だと私は思っておりますし、実際に米しか輸出制限をかけられない。
 ただ先ほど中東の話をしましたが、小麦が主役です。小麦はいくら行政が言っても地主がここに輸出したいんだということを言えばその国に輸出をするのをストップできないということであれば、本当に問題になりえるということで、是非認識していただいて、懸念されるような事態が生じる前に、国に言っていただきたいと思います。

(11)本道における農地の現状把握について

小野寺委員

 最後の質問です、今まで議論をしてきましたが、道は農地等に関して一元的に情報を把握していないということも解りましたし、今回私は平取の方に調査に入り、それぞれの農地が異常な状況になっているということも解りました。
 実際に、現況と登記が全く違う状況もあり、畑のはずなのに実際は畑になっていないところも多々見受けられました。このようなことを考えると、道庁としてしっかり、農地の現状を把握する必要があると考えておりますが、道はそれをやるおつもりなのかどうなのか、お考えをお伺いします。
農政部長
 本道における農地の現状把握についてですが、農地については農業生産の基盤であることから、道内の農地の現状をしっかり把握することは、本道農業の持続的な発展を図る上で、大変重要であると考えていす。これまでも、道内では各地域の農業委員会において農地の一筆ごとの権利者、面積、地目等の基本的な情報を農地基本台帳として整備してきたところです。また、平成21年の改正農地法の施行後は、農業委員会が毎年、農地の利用状況調査を行うこととされたことから、遊休農地の状況等農地に関する情報がより適切に把握されることとなりました。道としては、これまで現場の農業委員会等と連携をしながら道内の農地の状況を把握してきたところですが、農地は農業の基本、根幹であるので、例えば、外国人等による農地取得の動向や農地貸付による一般企業等の参入状況、あるいは、耕作放棄地の状況など、農地の適切な管理を図る上で重要な情報については道としても、全道的な視野に立った一元的な把握をし、農地が効率的に利用されるようしっかりと取り組んでまいる考えです。

小野寺委員

 私の質問は終わりますが、北海道の農産物を海外に売るというような戦略を北海道がお持ちであれば、我々は出ていくだけではなく、実は攻められる可能性もあります。国際競争の渦の中に入るということはそういうことだと思っておりますので、農地の動向等とも国際的な動きをしっかりと見据えながら、今後は対応していただきたいということを心からお願い申し上げ、私の質問を終わります。