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平成24年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会

平成24年 第1回北海道議会定例会 予算特別委員会
平成24年3月19日(月曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 ABC講座について

(一) 再確認の実施について

小野寺委員

 私は、本定例会の一般質問でアイヌ民俗文化財の伝承事業いわゆる『ABC講座』について質問し、対して道教委は、前回の調査で不適切な事案がないとした支部に対して、早急に再確認すると答弁しましたが、今後の再確認の日程及び確認内容を伺います。
文化財担当課長
 アイヌ関連事業に係る再確認についてですが、道教委としましては、平成21年から22年にかけて実施した調査において、不適切事案が確認されなかったとした10の支部について、再確認することとしたところであり、さる3月14日に苫小牧支部、16日に新冠支部とむかわ支部において確認作業を行い、残り7支部についても順次実施することとしているところです。
 今回の確認では、先に調査しました『アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業』に係る平成16年度から20年度の領収書、支出関係書類及び講座運営に関連する書類の真偽等について、支部責任者や担当者等から個別に聞き取りを行うなど、当時の事業の実施状況について、再確認を行うこととしているところです。

(二) 再確認の報告について

小野寺委員

 この件については、内部の者が情報提供しているということで、私も道教委の方にも情報提供しております。
 しっかりとしていただきたいと思いますが、その確認結果について、いつ頃までに取りまとめる予定なのかをお教えください。
生涯学習推進局長
 結果の取りまとめについてですが、今月中に10支部の現地確認を終えたいと考えておりまして、その後、関係書類や聞き取り内容の精査を行い、4月中を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

二 アイヌ文化振興財団の副読本について

小野寺委員

 アイヌ文化振興財団が発行する副読本について伺います。
 これは意見交換をしましたが、意見の一致をみなかったということで、本当に、道教委の姿勢をここで聞きたいと思っておりますので、質問をして参ります。

(一)活用状況及び道教委の対応について

 まず、道内の学校におけるこの副読本の活用状況及び、道教委として、この副読本について、どのような対応をしてきたのか、お教えください。
義務教育課長
 アイヌ文化振興・研究推進機構の副読本の活用状況及び道教委の対応についてですが、本道の小・中学校におきましては、アイヌの人たちの歴史・文化等に関する学習が、社会科の教科書をはじめ、推進機構が作成いたしました副読本や市町村教育委員会などが作成した様々な資料を活用して行われているところであり、推進機構が作成しました副読本の活用状況については、平成22年度においては、小学校が5割強、中学校が6割強であったところです。
 また、道教委の副読本への対応についてですが、道教委としましては、本道の子どもたちに、アイヌの人たちが自然等とのかかわりの中で育んできました文化や豊かな知恵などについて、発達の段階に応じて、正しく理解させ、認識させることが重要であると考えております。
 そのためには、指導に当たる教員の認識を深め、具体的な指導の在り方について理解を促す必要があることから、初任者研修や10年経験者研修において講座を設け、研修を行っているところであり、その中で、推進機構の副読本を活用した授業の指導案を紹介するなどして、この副読本が、各学校において効果的に活用されるよう働きかけてきたところです。

(二)副読本の精査について

小野寺委員

 この副読本には、色々と問題のある表記があると私は考えております。
 道教委はこの本の内容について、精査をしてこなかった、ということですが、その理由は、推進機構の副読本は、アイヌ文化振興法に基づく法人によって作成されたものだから、これを、精査しなかった、ということで確認してよろしいでしょうか。
義務教育課長
 副読本についてですが、学校で子どもたちが使用する副読本やワークブックなどの補助教材につきましては、各学校が市町村教育委員会に届け出ることで使用できるところです。
 推進機構の副読本につきましては、アイヌ文化振興法に基づく法人におきまして作成されたもので、その内容や表記については精査は行っていないところです。

小野寺委員

 質問は、「精査をしてこなかったのは、アイヌ文化振興法に基づく法人において作成された副読本だから」ということですが、よろしいでしょうか。
学校教育局長
 副読本についてですが、ただいま担当課長から答弁申し上げたとおり、学校で使用する副読本、ワークブック等の副教材もそうですけれども、各学校長が市町村教育委員会に届け出て、その承認を受けて使用できる、という制度になっており、そういったことが1点。
 もう1点は、推進機構の副読本ということで、アイヌ文化振興法に基づく法人が作成され、その責任をもって発行されていることもあり、精査を行ってこなかったところです。

小野寺委員

 よくわからないのですけれども、実際にはそういうことだということですね。
 実際に精査をしていない副読本の活用を、各学校に働きかけていた、ということも確認させていただいてよろしいでしょうか。
義務教育課長
 副読本の活用についてですが、推進機構の副読本を活用した授業の指導案を紹介するなどして、この副読本が各学校に効果的に活用されるよう働きかけて参りました。

小野寺委員

 質問に答えてもらえますか。
 精査をしてこなかった副読本を各学校に活用するように働きかけてきた、ということで確認してよろしいでしょうか。
義務教育課長
 推進機構の副読本については、各学校に直接働きかけてきたということではなく、只今答弁いたしましたとおり、副読本を活用した授業の指導案を紹介するなどして、効果的に活用されるよう、各学校において働きかけてきたところです。

小野寺委員

 先ほどの答弁において、「各学校において効果的に活用されるよう働きかけてきた」とおっしゃったのでそう聞いたのです。答えてください。
学校教育局長
 副読本の取扱いについてのお尋ねですけれども、このたびの副読本を含め、道教委の方で特定の副読本を各学校にそのまま使いなさいというような働きかけはこれまでも行っていないところです。
 ですから、このたびも指導案の紹介、副読本を活用した授業の指導案を紹介、研修などで紹介するなどして、学校現場で副読本として使う場合に、効果的に活用するようにという働きかけをしてきた、というのが正しい言い方になります。

小野寺委員

 大丈夫ですか。結局はそういうことを目的にしてやったのですから、だからそういうことですかと聞いているのです。
学校教育局長
 学校現場で使用される副読本であることを前提として、取り組んで参ったということです。

小野寺委員

 だから、精査していない副読本を、各学校で効果的に活用されるように働きかけてきたということですが、このアイヌ文化振興法に基づく法人だとしても、財団が発行する図書に誤りがない、とは言えないはずです。
 そこでお聞きしますが、道教委はアイヌの人々の歴史文化等に関する教育の活動の充実を図るために、教師用指導資料や、子どもホームページの作成、初任者研修や指導主事による研修の実施など取り組んで参られていると思います。道教委のホームページにもそう書かれてあります。
 そこで、ここでは、アイヌの歴史や文化に詳しい方が座っていると思いますのでお聞きをしますが、北海道旧土人保護法により、アイヌには、1戸1万5千坪の土地しか与えられず、一方、和人の開拓者には、1人10万坪与えられた、というのは事実ですか、お答えください。
義務教育課長
 今、ご質問のあった数字等については、まだはっきりしておりませんので、この場ではお答えすることは差し控えたいと思います。

小野寺委員

 これは基本的な質問ではないかと思いますよ。専門家がおられるのならわかるはずです。
 もう1つ、お聞きしますが、明治政府は、農業者以外のアイヌには生活支援などの対策を何も行ってこなかった、というのは事実かどうかお答えください。
義務教育課長
 今の明治政府のことにつきましても、この副読本の記述につきましては、アイヌ文化振興法の指定法人である推進機構が作成したものであり、道教委としてその表記についての判断をお示しするのは難しいところと考えております。

小野寺委員

 そんな話なのですか。
 この副読本を全道の小学校4年生と中学校2年生全員に配り、60%の授業で使っているというその内容を、知らないで済むのですか。
 実際に、今例示したのは平成20年、財団が発行した普及啓発セミナーの報告集に書かれているもので、これは、明らかに事実誤認であります。
 この点についてどうお考えですか。
学校教育局長
 副読本についてですが、先程来、文化振興法の指定法人の推進機構が作ったもの、ということで答弁申し上げて参りましたけれども、昨年来、内容につきまして様々な御指摘をいただいております。
 道教委としましても、今後、国や推進機構等でどういう対応をしていくかということもありますけれども、分かりにくい記述ですとかその誤解を招くような記述がないかと言った観点から、国や推進機構などと連絡をとりながら必要な対応をして参りたいと考えております。

小野寺委員

 別な観点からも、精査をしてこなかった、おかしい点の質問をいたしますけれども、この本の編集委員の中に、現職の教員はいたのかいなかったのか、編集委員会の委員の構成をお教えください。
義務教育課長
 副読本の編集委員についてですが、推進機構では、この副読本の編集執筆にあたり、アイヌ文化伝承実践活動者3名、アイヌの歴史や文化に関する研究者2名、学校でアイヌ等に関する授業に取り組んだ経験のある教員4名の、計9名からなる編集委員会を設置し、作成したものと承知してきているところです。

小野寺委員

 現職の教員が編集に携わっていたということはわかりましたが、現職の教員が編集に携わっている副読本の内容を道教委が知らなかった、精査をしなかった、ということでよいのかお教えください。
学校教育局長
 委員ご指摘のとおりです。

小野寺委員

 現職の教員が、作っていようがいまいが、道教委は全く関係ない、という話ですね。
 それでは、その教職員の中に、北教組の組合員はいたのかいなかったのか、お教えください。
学校教育局長
 編集委員に関わってのお尋ねでございますけれども、道教委では、特定の教職員が、特定の組合の組合員か否かということは把握しておりません。

小野寺委員

 把握しているはずですよ。
 私、関係書類と「北教」の新聞のようなものをお渡ししましたから、そこに名前が書いてあって、バッティングしているはずです。
 ただ、それを認めないなら認めないでもいいですけれども、実際にこの「北教」の中に、本当にアイヌ文化や歴史をしっかり守っていくのか、という観点以上に、おかしな主張が入っている、ということを指摘せざるを得ません。
 例えば、アイヌの、その教育とは明らかにかけ離れたような表記があります。
 アイヌ民族につながる人々が差別をされない国家、社会をつくり出していくという意味でも、その点では、在日コリアン、同一性障害、被差別部落の人々が、差別されない国家社会をつくっていくのと同じ角度で考えること、と書いてありますが、私はこの考えは差別しませんが、なぜアイヌの教育とこれを一緒にしなければならないのか、私は理解できません。
 そこいらあたりのことについても、しっかりと考えていただきたい、というふう思っております。
  もう1つですけれども、道教委は平成20年に北海道教育推進計画を策定しております。
 アイヌの教育の充実を図ろうとここには書いてありまして、指導に関しても、副読本の活用にあたっては、歴史文化等に関する内容が適切に取り扱うこととすることとなっている、と書いてありますが、そうであれば、精査をしていなかったことも実に問題である、と考えますがいかがでしょうか。
義務教育課長
 副読本につきましては、市町村や学校が使用する場合は、市町村、学校が責任をもってそれを選んで、活用するということになっており、道教委での判断としましては、例えば道立学校での副読本の活用になれば、道教委が、学習指導要領等々のいろんな観点から判断をして、活用していく、ということになろうと考えております。

小野寺委員

 これは全道の小学校4年生と中学校2年生に配付をされているのだとしたら、道立の学校にもいっていると考えますが、いかがですか。
義務教育課長
 市町村立の小中学校に配付ということで、道立には配付されておりません。

小野寺委員

 では例えば、聾学校、盲学校等には配布されていない、ということでよろしいでしょうか。
義務教育課長
 道立の聾学校、養護学校等の学校については、配付されていない、ということを推進機構の方からお聞きしているところです。

(三)道教委の対応

小野寺委員

 それはそれで逆に問題なのではないでしょうか。それを聞いて非常にびっくりしております。
 聾学校や養護学校の子たちにアイヌ文化を教えなくていい、ということにはならないと思いますし、そういった中途半端な姿勢が、このようなおかしな問題を生んでいるのだと思っております。
 実際、道教委は「このアイヌの文化や歴史を北海道の子どもたちに伝えたい」という真剣な思いがあるのかないのか、私は非常に今、疑義を感じておりますし、その熱意も、意見交換では感じられませんでした。
 現に、おかしな表記が副読本にあるとの、複数の情報が寄せられていても、関係ないのだというような姿勢で、本当に皆さんが望むようなアイヌの教育ができるのか、私は非常に疑問に思っておりますし、いかにもと、感じているところです。
 最後の質問をしますけれども、道教委は、この副読本について、道教委自らが、しっかりとその内容を精査するなど、対応していくべきだというように私は考えておりますが、今後どのような対応をしていくのか、教育長に伺います。
教育長
 今後の対応等について、昨年来、様々な御指摘をいただいているところですが、現在、国におきましては、この副読本は、教育現場で用いられるという性格上、その記述は正確を期すべきであることから、推進機構に対し、誤解を招きかねない表現を精査・修正するとともに、内容の正確性を担保するための対応を検討するよう指導しているところと承知をしています。
 道教委としましては、こうした国の検討状況について、市町村教育委員会や学校に情報提供するとともに、国の対応やそれを受けた推進機構がどのような対応をとるかということにもよりますが、 知事部局との連携を密にし、副読本の記述の正確を期すための対応について、著作権はむこうにありますので、国や推進機構とも連絡をとりながら、道として必要な対応について検討して参りたいと考えているところです。

小野寺委員

 アイヌの政策についての非常に簡単な質問について、そこで答えられないような状況というのもおかしい、と思っておりますし、この質問をするのであれば、そういう方に答弁側へ座っていただきたい、というふうに思っておりました。
 実際にこういった質疑になりましたけれども、道教委の主体性をしっかりと見せていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。