平成22年予算特別第2分科会
平成22年06月23日
小野寺委員
私は、一村一雇用おこし事業について質問をしていきますが、この事業は、申すまでもなく、高橋はるみ知事の公約の目玉であったというふうに認識をしております。
しかし、私が調査をしたところ、光と影の部分が混在をしていて、多くの問題があることがわかりました。
そこで、以下、質問をしてまいります。
まず、この事業の成果についてでございますが、この事業について、どのような目的、観点で行われたのか、そして、雇用だけ創出すればいいというわけではない事業であると思いますので、その点を答えていただきたい。
これまでの事業の件数や成果を、旧事業も含めて、どのように評価しているのか、お答え願います。
小畑保則委員長
石垣労働局長
平成21年度までに、道内の9割を超える164市町村で事業が実施され、359事業で1991人の雇用を創出したほ か、平成21年10月1日現在の事業者からの実施状況報告によれば、20年度までの311事業で2470人に約500人増加し、地域における雇用の創出、 維持安定に一定の成果を上げているものと考えております。
しかしながら、市町村の地域づくりの方針の趣旨に合致しなくなった事業も多く、また、 事業の定着、成長といった観点からは、中止事業や、経営が安定しないため、雇用人数がゼロとなっている事業も多く、全体としては、産業振興というねらいど おりとも言えない面があると考えております。
以上です。
小野寺委員
小畑保則委員長
中村緊急雇用担当課長
人数の確認などについてでございますが、補助事業の実施に伴う雇用人数につきましては、補助金交付時や補助金の額の確定時に、雇用保険被保険者資格取得等 確認通知書のほか、出勤簿、タイムカードの写し、賃金台帳等によりまして確認するとともに、実地検査により確定された人数を積み上げておりますが、それ以 降につきましては、実施状況報告により記載された人数を積み上げ、書類による確認などは実施していないことから、適切を欠く面があったと考えております。
以上です。
小野寺委員
石垣労働局長
以上です。
小野寺委員
次ですが、中止をしている案件もあるというふうに思います。実際、私も、全道を車で走りまして、なくなっている建物もございまして、非常にびっくりしまし た。すべての事業がうまくいくわけではないというのは十分に承知をしますが、実際に、事業が中止、失敗している案件、また、雇用がゼロになっている案件は どの程度あるのか、お聞かせください。
中村緊急雇用担当課長
中止等の案件に ついてでございますが、現在、こうした案件につきまして調査をしておりますが、平成15年度から平成21年度までに本事業で支援した359事業のうち、事 業の廃業、撤退、営業譲渡、休業などの、いわゆる中止案件は38事業、現在、事業は継続しているものの、雇用人数がゼロとなっている案件は7事業で、合計 45事業となっております。
しかし、今後の調査によって、中止等の案件がさらに出てくることも十分想定されますので、できるだけ早く最終的な件数を確定させるよう、努めていきたいと思います。
以上です。
小野寺委員
ちょっとここで確認をしたいのですが、今のところ、中止案件が38事業あ るということでございます。この事業は、もし、経営が行き詰まったり、経営に困難が生じた場合には専門家の派遣を行うとなっておりますが、ここ3年間で専 門家の派遣はゼロだったというふうに確認してよろしいでしょうか。
中村緊急雇用担当課長
専門家の派遣につきましては、平成19年度以降、ゼロとなっております。
小野寺委員
先ほどの答弁で、事業が 中止になった等の案件だけでも45件あることが明らかになりましたが、これも途中経過ということで、さらにふえていくのだと思いますが、この調査では、中 止等の案件はもちろんのこと、それ以外の事案においても、悪意を持って申請された申請者がいるやに私は感じるわけでございます。
私は、この事業における怪しい案件についても情報収集をしてまいりましたが、このような案件が最終的にどれだけになるのか、今のところ、本当に見当もつかない状況でございます。
この制度は、設備投資が対象になっているなど、斬新的というか、使い勝手のいい事業だということが、逆にあだになっているような気がしてなりません。
例えば、本庁が知らないうちに、補助金を拠出してから約1カ月で、施設を含めた経営権を売りさばいている申請者もいたり、本当に雇用が生まれているのかどうか、はっきりわからない状況で補助金を出していたり、本当に多くの問題があることが明らかになりました。
そこで伺いますが、事業認定の手続はどのように行っているのか、それは、悪意の申請者を排除するために十分であったと言えるのか、初めから、補助対象の資 産を転売して利益を得るなど、事業を悪用しようとする者がいないよう、どのような措置を講じたのか、お聞かせください。
中村緊急雇用担当課長
事業の認定手続についてでございますが、この事業は、市町村との協働による新たな雇用の創出などを目的としているため、総合振興局等は、市町村の推薦書を添えた事業者からの事業計画の提出を受け、経済部との協議を経て、認定手続を進めております。
次に、総合振興局等では、補助金の交付申請時に、認定された事業者から、雇用や事業内容、工事内容を確認できる書類の提出を求め、交付の決定を行っております。
しかしながら、今回の調査により、事業実施後の短い期間の中で、事業中止案件や、雇用人数がゼロ人となっている案件が判明し、事業計画の認定や、補助金の 交付の決定の確認に不適切な事務処理があり、これまで、さまざまな問題や疑問に適切かつ柔軟に対応するための、要綱やマニュアルの不断の見直しをしてこな かった点につきましては、素直に認めなければならないものと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、本庁と総合振興局等の役割分担はどのようになっていたのか、お答えください。
実際のところ、本庁は、制度と予算だけを決めて、あとは総合振興局等に丸投げをしていたような印象を受けますが、どうでしょうか。
地域の雇用は地域でとの考えは、私は否定するものではありませんが、すべての総合振興局等が同じやり方でしっかりと対応したのか、非常に疑義があるところでございます。特に、フォローアップはどのように進めているのかをあわせてお伺いします。
中村緊急雇用担当課長
経済部と総合振興局等の分担関係についてでございますが、経済部は、補助金の実施要綱や運用方針、事業の事務処理マニュアル等を策定し、総合振興局長等 は、事業に係る補助金等の交付の決定等を行うとともに、補助金交付後のフォローアップとして、交付の翌年度に現地調査を実施するほか、補助金交付後5年間 は、事業者から、毎年10月1日現在の事業実施状況報告書の提出を受け、事業の状況や雇用数などの実績を確認しております。
しかし、今回の調査 によりまして、経済部が策定した事務処理マニュアルに、事業実施後における休業や雇用人数がゼロになった場合の対応、処分制限財産の取り扱いを示していな かったことから、総合振興局等におきまして、例えば、飲食業者が、財産処分の承認を受けないで廃業し、営業譲渡してしまった案件が発生するなどの具体的案 件に対応できなかった面があると考えております。
また、総合振興局等が実施している現地調査や、補助事業者からの実施状況報告書の提出などの フォローアップ事業についても、事務処理マニュアルに具体的に示していなかったことから、総合振興局等の間において、撤退や営業譲渡などの具体的な対応に ついての統一性がとれなかった面があったと考えております。
このように、事業の実施体制、確認のための手続が不十分であったと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
ただ、私が思うに、本庁は、総合振興局、振興局からの報告をただ受けていただけなのではないのか。現在、各振興局から事業に関する調査報告が本庁に集まっ てきている最中だと思いますが、聞くところによると、経営者がかわっているとか、経営が悪化していて、その経営者と連絡がつかないとか、多くの疑義があり ます。
実際に補助対象の事業が行われたのかどうなのか、それすらも把握できないというような連絡もあるやに聞いておりますが、振興局が、申請者 から報告を受けて、補助金の返還など、適切な対応をとったのは、事業全体の中で2件しかなかったと私は伺っております。手続が不十分だったということでは なく、決められた手続すら、しっかりと行っていなかったのではないかというふうに考えざるを得ません。今後どのように対応していくお考えなのか、お聞かせ ください。
中村緊急雇用担当課長
調査の現状と今後の対応についてでございますが、総合振興局等では、毎年度、事業者から実施状況報告書の提出を受けておりますが、委員の御指摘により、今回、改めて調査を実施しているところでございます。
今後、調査により、さらにふえることが想定されますが、現時点で、中止案件の38件のうち、補助金の返還につながる可能性がある、休業中を除いた処分制限財産を有している案件は20件となっております。
また、経営主体がかわっている案件の7事業者、事業者が所在不明で現状が確認できない案件の2事業者や、事業実施場所が変更となっている案件の2事業者が明らかとなっております。
今後におきましては、さらに精査を加え、事実関係を把握し、返還を求めるべき案件や、やむを得ない事情があり、その他の対応を行う案件など、1件1件、その対応を決めて、早急かつ適正に対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
ちょっとここで確認したいのですが、20件は補助金の返還につながる可能性があるというものの、道として、総額でどれぐらい補助金を投入したのか、お教え願えますか。
中村緊急雇用担当課長
20件に対する補助金の総額でございますが、事業費に対する補助金として4980万円、賃金に対する補助金として3660万円、合計8600万円の補助金を交付しているところでございます。
以上でございます。
小野寺委員
次ですけれども、すべての案件のチェックをこれから行うというように答弁をいただきましたが、もし問題が出たら、今後は、一つ一つチェックをしていく必要 があると思います。道として、今までの案件、これからの案件のすべてをチェックしていく考えがあるのかないのか、お答えください。
石垣労働局長
今後、調査結果によって、補助条件に抵触すると思われる案件については、さらに、現地調査や関係者からの聞き取りなどの詳細調査を行い、補助条件等の違反が判明した場合においては、補助金の返還を求める等、厳正に対処していく考えでございます。
以上です。
小野寺委員
指摘なのですけれども、地元以外の事業者が新たに進出した場合というふうにお答えになりましたが、できる限り、地元の企業、その地域に根差した企業を応援するというスタンスを持っていただきたいと思います。
これは、何のことを言っているのかというと、多分、皆さんは、大阪の企業が北海道のあるまちに、会社というか、支店を建てて、そこにお金を拠出して、知らないうちに、その支店もなくなっていたという事例があるのですが、そのことを言っていると思います。
なぜ、こんな企業にお金を払ってしまったのか。地元には、この地域で頑張ろうという人たちがたくさんいるのですから、そういう人たちにもっとしっかりとス ポットライトを当ててあげるような政策を行っていく必要があるのだろうなということで、これは強く指摘をさせていただきます。
次でございますが、審査や検査等の見直しについてでございます。
この制度は、最終年でございます。今さら制度自体を見直すということができないのであれば、審査や検査、フォローアップをしっかりと行っていく必要があ る。そして、有終の美を飾っていただきたい。知事の目玉の政策であるならば、余計、最後に、やはりこの事業はよかったというような成果を上げていただきた いと私は強く思うわけであります。
聞くところによると、事業の休止、代表者の死亡の案件であっても、文書管理規程どおりに文書を廃棄してしまっ ているという事例もあるのですが、実際は、10年間保存しなければならない書類を5年で廃棄してしまっていて、結局、問題がやみに葬り去られようとしてい る案件もあるというのも、私は、本当に、部の危機管理としてどうなのかなと強い疑念を持っているわけでございます。今からでも早急に、この制度の見直しを 行うべきだと考えますが、部の見解を伺います。
石垣労働局長
現在進めている調査によりまして、事業者からの毎年10月1日現在の実施状況報告に、廃業や休業、雇用人数がゼロとなったなどの記載があったにもかかわら ず、総合振興局等が確認の調査を実施していなかったこと、また、この補助事業によって取得した50万円以上の財産は処分を制限しておりますが、補助条件で 処分制限財産を特定していなかったことや、実施要綱において文書保存期間を明確にしていなかったため、関係書類を廃棄してしまい、営業譲渡などの案件にお いて不適切な取り扱い事例が見られ、こうした事例をなくすためには、委員が御指摘のとおり、見直しが必要と考えております。
このため、事業計画 の認定や補助金の交付決定が今後適切に行われるよう、処分制限財産を特定させるための、建設工事等における必要な書類の提出や、文書保存期間の明確化、事 業の実施状況や休業等の実態を把握するための、総合振興局等による計画的な現状調査の実施など、事務処理マニュアルを速やかに改正してまいりたいと考えて おります。
さらに、事業実施後のフォローアップを強化するため、毎年10月1日現在の実施状況報告のほか、廃業や休業、営業譲渡、雇用人数がゼロとなった場合には、報告書の提出を随時求め、状況を確認できるよう、補助指令等を改正する考えでございます。
これらの調査に当たりましては、事業の推薦者である市町村との連携も密にしまして、現地の状況を素早く把握できるようにしてまいりたいと考えております。
以上です。
小野寺委員
特に、建物等にお金を投入した場合は、減価償却という概念で、10年ぐらいは書類を保管しておかなければ話にならないというふうに思います。
実際に、500万円以上のお金を投入して、その店舗を改装したにもかかわらず、今、その店舗が更地になっているという事例もありますし、ビルのテナント で、700万円ぐらい使って改装したのに、そのビル自体が取り壊されているという事例もあるはずでございます。しっかりとチェックをしていただきたい。
あと一つ、これも指摘にとどめますけれども、処分制限財産は50万円以上というようなことになっておりますが、例えば、ある申請者が、10万円のコン ピューターを25台、250万円分買った、それで、全然別なところで使っていた、それでも、返還しろとは言えないという話になるとのことで、私は、これは 大問題だと思っております。
この50万円という枠をなぜつけたのか、非常に疑問が残ります。国と横並びの話ではなく、これは、道の単費の事業でございますから、この点もしっかりと考慮していただきたいということで、指摘にとどめたいと思います。
次に、この事業の実施に対する認識についてでございますが、今まで、いろいろ質問をしてきましたが、私が気になっていることとして、これまでの事業の実施、フォローに当たって、振興局ごとにかなりの温度差があるということがわかっております。
今回、問題となったさまざまな案件について、知事部局も認識をしておられるようですが、経済部のこれまでの事業実施について、本庁、総合振興局等でそれぞれ不手際がなかったのか、どのように認識をしているのか、再度、しっかりとお答えください。
石垣労働局長
以上です。
小野寺委員
北海道補助金等交付規則に反するようなことを行ってきた、しかも、そういう制度だったということで、その点もしっかりと反省をしていただきたいと思います。
最後に、今後の実施に関して、部長の決意をお伺いしたいわけでございますが、この事業は、知事の評価にもかかわる大切な事業であります。知事の意図を正し く受けとめて、成果を出していくのは、まさに、経済部の皆さんの責務であるというふうに私は考えておりますし、道民へしっかりと説明責任を果たせるような 政策、事業にするべきだと思っております。
今年度は、知事の2期目の最後の年度でございますので、最後に、一村一雇用おこし事業の実施に当たって、部として、どういうところに問題があり、今後、どう改善し、成果を出していくのか、部長にお伺いします。
小畑保則委員長
坂口経済部長
これは、私ども、この事業に携わる者が、一般の道民の目線に立って、素直な疑問を掘り下げていく姿勢、また、現場に立ち返る姿勢というものが欠けていたのではないかと考えているところでございます。
今後は、問題があると見られる案件を一つ一つ検討しますとともに、不適切な取り扱いが再発しないよう、処分制限財産や休業等への対応、文書保存期間の明確 化を事務処理マニュアルに追加するなど、必要な措置を速やかに講じますとともに、すべての総合振興局、振興局に対しまして、改めて、適正な事務処理はもと よりでございますが、適切なフォローアップが行われるよう、徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。
道といたしまして は、この事業を通じて、市町村の地域づくりと連動して、1人でも多くの雇用の創出を図るとともに、地域における新たな事業として定着、成長させ、地域経済 への波及効果を高めるということが事業の目的でございますから、この姿勢に立って、今後、この事業が適切に運用されるよう、私ども職員の意識を徹底させる とともに、地域における雇用創出の取り組みが、より実効あるものになるように、最大限努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
小野寺委員
私の質問は以上で終わります。ありがとうございます。