ただいまホームページ移行準備中です。

こちらのホームページは2015年5月29日までのものです。

平成23年 第3回北海道議会定例会 予算特別委員会 第2分科会

平成23年 第3回北海道議会定例会 予算特別委員会 第2分科会
開催年月日 平成23年9月30日(金曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 道産木材の利用について

小野寺委員

 それでは、通告に従いまして、質問を行います。
 道産木材の利用についてですが、昨年、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、道においても、「北海道地域材利用推進方針」が策定されたところです。
 また、それ以前から高橋知事は2期目の公約でも地材地消をうたっており、道産木材の利用拡大に積極的に取り組んできたと私は認識をしております。
 しかし、本当にそうなのか、実際に公共工事において、道庁として道産木材が、どれくらい使われてきたかをしっかり把握してきたのか等について、以下質問してまいりたいと思います。

(一)北海道の木材需給について

小野寺委員

 まず、最初に、そもそも北海道の木材需給はどのように推移してきたのかお教えください。
飛岡 木材産業担当課長
 北海道の木材需給についてですが、本道の木材需給量は、昭和40年代から平成初期まで年間1,000万立方メートルを超える高い水準にありましたが、平成10年度に1,000万立方メートルを下回ってからは、さらに減少が続き、平成22年度は680万立方メートルとなる見込みです。
 また、道産材の供給については、国有林や道有林の天然林の伐採量が減少していく一方で、円高の進行により輸入材が増加したことなどから、道産材供給率が平成元年度には5割を下回り、平成12年度には34%にまでに落ち込んだところです。
 近年は、自国の産業を育成するため、世界的に、原木のままでの輸出が抑制されており、本道でも、丸太輸入が大幅に減少している中で、カラマツ等の人工林資源が充実して利用時期を迎えていることから、道産材の供給量は年々増加し、平成22年度の木材需給量に対する道産材供給量は、394万立方メートル、供給率は58%になると見込んでいるところです。

(二)北海道産銘木市売の取引について

小野寺委員

 需要が4割から5割減って6割の需要しか満たすことができないと言うことですが、これは針葉樹に限って言えばそうかもしれませんが、広葉樹の方はもっと大変な状況になっていると思われます。
で、次にお聞きしたいのが、北海道産銘木市売の取引についてです。
 道内ではカラマツ等の人工林資源が充実してきたことが今の答弁でもわかりましたが、道産の広葉樹は非常に貴重な木材になっています。
 ところで、旭川市では、この道産の広葉樹を販売する市場として、北海道産銘木市売が開催されております。
国内における一番大きい広葉樹を売る市だというふうに聞いていますが、この市ではどのような丸太が取引をされているのか、そこでは輸入材と道産木材の区別がしっかりとなされているのか、お教えください。
飛岡 木材産業担当課長
 北海道産銘木市売における丸太の取引についてですが、この銘木市は、家具や内装材などに用いられるナラ、タモ、カバなどを主体とした広葉樹原木の公開市場で、旭川市において年10回程度開催され、道産材のほか、これと同じ樹種で材質もほぼ同等のロシア材なども加え、平成21年度には1万3,460立方メートルの丸太が 取引されております。
 この市売では、全国から広葉樹加工業者等が集まり、展示会場で買受者が、必要な丸太の品質、サイズなどを直接確認し、入札によって購入する仕組となっています。取引される丸太のすべてに合法木材の表示がされていますが、輸入材と道産材の区別は表示されていないということです。

(三)木材の産地証明などについて

小野寺委員

先程も言いましたが、広葉樹は北海道において非常に貴重な木材になっている訳であり、ここで取引をされている丸太はかなりの部分が輸入材だと私は思っていますが、その輸入材と道産材の丸太がしっかりと区別をされていない丸太、これには合法木材のステッカーが貼られているのですが、しかも、北海道産銘木市売、ここで買った丸太を、誰が外国産だと思うのかということで、次の質問をいたします。
この市売ですが、今も言ったように合法木材が取引されているとのことでしたが、道内ではさらに産地を証明するような木材も流通していると聞いています。
 2つの制度が混在していると言うことになりますが、どのような目的で、どのような機関が、それぞれ認定しているのかお教えください。
飛岡 木材産業担当課長

 

 木材産地証明などについてですが、「木材産地証明」は、地材地消を進めるために、業界自らの取組によりまして、道内で加工された木材・木製品の原木産地を証明する制度で、平成16年度から北海道木材産業協同組合連合会、通称、道木連により、審査・登録が行われておりまして、平成22年度末で、道内の製材工場やプレカット工場など、道で把握している321工場のうち166工場が登録されているところです。
 また、「合法木材証明」は、世界的な違法伐採対策を背景に林野庁のガイドラインに基づき、木材・木製品が、適法に伐採されたものであることを証明する制度で、道内では、平成18年度から道木連のほか、北海道森林組合連合会など3団体が、審査・認定を行っており、道で把握している素材生産業者536事業者のうち409事業者、他に木材流通業者、加工業者を加え、696事業者が認定されているところです。 

(四)証明制度の改善について

小野寺委員

 この旭川での道産銘木市売ですが、合法木材、これを証明するという資格は持っていても、産地証明をする資格、というのは持っておりませんので、もしここから木材を買った方が、市売りに、この合法木材はどこ産ですか、と問い合わせた場合、この市売は、どこ産だとは答えられない、という仕組みになっており、しかもこの両方の制度を扱っているのが道木連、同じ団体であるのに、なぜバラバラに運用しなければならなかったかというのが、私は非常に不思議になのですが、次の質問に移ります。
合法木材、産地証明ともに、事業者にとってはわかりづらい仕組みであります。
 例えば、市で販売された木材の合法性は証明されても、この丸太を加工した木製品には、道産材と輸入材が混在する可能性があり、きちんと産地を証明されていなければ、消費者は道産品と勘違いをして購入することになります。
これは消費者にとっても誤解の恐れのあるシステムというように考えており、この際、証明制度を改善すべきではないのかと考えますが、見解を伺います。
沓澤 林務局長
 証明制度の改善についてですが、道では平成8年に公共建築物の木造化を推進する方針を策定しておりますが、この当時は、道産材の供給率が4割に達していなかったことから、輸入材を道内で加工した製品が公共施設の建設等に用いられる場合もあり、こうした状況が昨年まで続いました。
 道としては、本年3月の「北海道地域材利用推進方針」の策定を機に、道内の森林から産出され、道内で加工された木材をあらためて「地域材」と定義しまして、公共建築物に使われる地域材には、産地と合法性の両方の証明が必要であるとしているところです。
 木材産地証明と合法木材証明の制度につきましては、関係業界の中に、両制度の違いが分かりづらいことや、両方の証明が同時に必要な場合など手続きが煩雑であるとの意見もあることから、事業者にも消費者にも分かりやすい仕組みとなるよう、関係団体と連携し、制度の改善について検討を進めてまいりたいと考えています。以上です。

(五)銘木市での産地証明について

小野寺委員

 ただいま、改善をしていただく、というふうに答弁されましたが、実はこの案件なのですが、私のところに「道産木材ではないようなものを、道産木材として扱ってしまったのか」というような事例があり、そこから調査を始めた次第です。
実際にその方は、直接買った訳では無いようですが、旭川の道産銘木市で丸太のステッカーを見て道産材だと思った、というような話ですが、実際に紛らわしい表示の事例があるなら、銘木市とも実際にしっかりと話をする必要があると思います。もう少し具体的な改善点をお教えください。
沓澤 林務局長
銘木市における産地証明についてですが、現在、旭川で開催されている銘木市では、合法木材証明のみを行っているところですが、ただいま委員からのお話にあったように公共建築物だけでなく「市売においても、産地と合法性の両方が証明されていることが望ましい」と考えましたことから、産地証明と合法証明の両制度を同時に簡便に取得できるよう制度の改善について、銘木市などを主催している団体と協議してまいりたいと考えております。

(六)地域材などの利用状況について

小野寺委員

 今までは、一般の市場に回った分でしたが、次は公共工事の話です。
 地域材の利用を推進して行くためには、道は自ら率先して地域材を利用していくとしております。 そこで伺いますが、道が発注する建築物や土木工事で使用される木材の量はどれくらいなのか。
また、その内訳として、地域材、輸入材の使用状況はどのようになっているのかお教えください。 
濱田 林業木材課長
 地域材などの利用状況についてですが、道では毎年度、道の公共施設の建設や土木工事について木材使用状況調査を実施し、使用された木材の数量を把握しており、平成22年度の実績は、丸太が7千4百立方メートル、製材が1万1千立方メートル、チップが12万立方メートル、合板が39万平方メートルなどとなっております。
このうちカラマツについては、ほぼ全量が道内で生産され、加工された「地域材」であると推定できる状況にあり、その全使用量に占める比率は、丸太が91%、製材が25%、チップが87%となっております。
また、カラマツ以外は、「その他針葉樹」と「広葉樹」として取りまとめており、地域材と輸入材に区別して使用量を把握することはできていなかったところです。 以上です。

(七)地域材の利用の推進について

小野寺委員

 北海道にたくさんあるカラマツが地域材として加工されたというのはわかりますが、そのカラマツ製材に関してでさえ、その75%がどこ産の製材を使ったのかわからないという点、カラマツでもそうですから、広葉樹に限っていえばもっと高い比率でどのような使用状況になっていたのかわからない、ということです。
 私は、建設業者が輸入材を地域材と誤認をしていれば、本来なら大問題だと思うのです。
地域材が入手できずに輸入材が使われるなら、それは仕方のないことだと考えられますが、輸入材は輸入材として、地域材は地域材としてしっかりと把握し、輸入材を補完的に使いながら、地域材の利用を進めるように是正していくべきと考えますが、見解を伺います。
沓澤 林務局長
 地域材の利用の推進についてですが、先程お答えしましたように、道が公共建築物の木造化の推進に初めて取り組んだ当時は、道産材の供給力が十分でなかったことから、輸入材を道内で加工した製品も、公共施設の建設などに用いられておりましたが、平成12年以降、道産材の供給率が上昇に転じてからも、こうした状況が昨年まで続いております。
例えば、体育館のフローリングで、ロシア材の丸太を道内で製材し、床板に加工したものは、施工業者や体育館を利用する方々に対して、道産材であると、そういう誤解を与えかねないことから、こうした状況は問題であったと考えています。
 最近は、本道の人工林資源が充実して利用期を迎え、森林資源の循環利用を進めることが可能になってきていることから、道では昨年の国における法律の制定や、本年3月の道の推進方針の策定を機に、あらためて“地域材”」を定義づけたところです。
 今後、道としましては、この定義により関係各部と地域材の認識を共有し、道の公共施設の建設や土木工事における地域材の利用量を正確に把握しながら、公共施設等における地域材の利用拡大に努めてまいりたいと考えています。

小野寺委員

 やはり問題だと思うのは、建設業者も道民も、「これは輸入材ではなく、道産材だ」と思って体育館を使用していることにあります。
また、道側も輸入材でありながら、道産材の単価をつけていたというように思いますので、実際にしっかりとした単価計算だったのか、という問題も発生すると思います。
さらに、この輸入材が道産材として、実際にどれくらい公共工事に使われていたのかわからない、ということですと、本当に道産材を使って利用を増やしていこうと思っていたのかという、道側の姿勢も問われるべきだと考えております。この点はしっかりと、対応をしていただきたいと思います。

(八)広葉樹の今後の対応について

小野寺委員

 次に、広葉樹への今後の対応についてですが、先程も答弁いただきましたが、制度のおかしな部分は正す、ということがまずは大切だと思います。
 そうして、別の側面でどう需要を増やして、どう供給を増やしていくのかという点も議論が必要だと思っています。
そこでまず供給の部分ですが、木造の道営住宅で、建築材として使われるカラマツ、トドマツなどの針葉樹は地域材の供給は確保できていますが、内装材として使われる広葉樹の供給は充分でないというふうに聞きます。
 地域材利用を推進している道は、この広葉樹の問題にどのように今後対応しようとしているのかをお教えください
沓澤 林務局長
 広葉樹材の今後の対応についてですが、道産広葉樹材の供給量が年々減少を続ける中で、道内の内装材やフローリングなどの加工工場では、原料を輸入材に依存していることが多いことから、道立施設の整備に広葉樹を利用する際には、すべてを地域材によってまかなうことは難しく、やむを得ず、輸入材を使用する場合もあります。
 国有林・道有林に分布している広葉樹資源の回復には、今後、長い年月を要すると見込まれていて、道としては、道内で道産広葉樹や南洋材を使用していた合板工場が、カラマツに樹種転換をしたことなども踏まえ、道総研等の研究機関と連携しながら、カラマツ・トドマツ等の針葉樹人工林材を利用した内装材の加工やシラカバなど未利用樹種のフローリングへの活用などの技術開発の取り組みを進めているところです。

(九)今後の取組について

小野寺委員

最後の質問ですが、需要に対する点です。
 道では推進方針として地域材利用の推進を掲げておりますが、地域材の需要を拡大するためには、地域材である木材を正しく証明し、道が率先して使用する仕組みをつくることが大切であると思います。
 今後は、間違いなく地域材を道の建築物や土木工事で使っていくべきだと考えますが、道はどのように取り組んでいくお考えなのか、部長の見解をお伺いします。
野呂田 水産林務部長
 地域材利用の今後の取り組みについてですが、本年3月の「北海道地域材利用推進方針」の策定にあたり、関連業界からは従来どおり「道内で生産・加工された木材」にすべきとの意見がありましたけれども、委員からご指摘のように、この定義では原材料となる木材の生産地が必ずしも道内に限られたものでなかったことから、改めて「北海道内の森林から産出され、道内で加工された木材」を地域材として定義し、明確に示すこととしたところです。
 道としましては今後、地域材の利用を進めるため、現在行われている産地証明と合法証明に関し、分かりやすい制度で簡便な手続きとなるよう道木連等の団体と連携をし、制度の改善について検討を進めるとともに、地域材の利用状況について、毎年度適切に把握しながら、道の工事における地域材の積極的な利用を進めて行く考えです。
 また、このような道の取り組みを市町村に対し普及指導し、市町村と連携した地域材の利用を進めることで、民間の住宅や事業所など公共建築物以外でも地域材の利用拡大に取り組んでいきたいと考えております。以上です。

小野寺委員

 この案件に関し、担当のセクションの方々には、問題点をきちんと認識していただき、しっかりと対応をしていただきました。まずは、このことに心からお礼を申し上げます。
 この“産地を示す必要がない”とする合法木材制度ですが、これは国の制度であり、合法木材から公共工事に使っていくように、という基準もあることから、この合法木材なるものが国産材か輸入材かわからないまま公共工事等々に使われていく――ということが全国ではまだまだ多く起こるでしょう。
しかし本道においては、全国の森林の4分の1を有するという土地であり、いち早くこの点を是正し、本道の木材産業と林業の整備にしっかりと尽くしていだだきたいと、そういう思いでこの質問をいたしました。
しっかりと、今後とも取り組んでいただけることをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。