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平成23年 第4回北海道議会定例会 予算特別委員会(保健福祉部所管)

平成23年 第4回北海道議会定例会 予算特別委員会(保健福祉部所管)
平成23年12月5日(月曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 社会福祉法人の授産事業について

小野寺委員

 それでは通告に従いまして、社会福祉法人の授産事業について伺ってまいります。
 道では、平成21年度から、第2期北海道障がい福祉計画の下、「希望するすべての障がい者が安心して地域で暮らせる社会づくり」を目指して、各種施策に取り組んできているわけですけれども、その中でも、障がい者の就労支援は、非常に重要な取り組みであると私は考えております。
 こうした取り組みを着実に進めるためには、道や市町村などの行政側の努力はもとより、実際にサービスを提供する施設などが果たす役割も極めて大きいものと考えております。
 しかしながら、平取の、ある知的障害者の授産施設では、会計処理が不適切で、授産工賃の配分や施設運営そのものに大きな課題があると疑わざるを得ない事態が発生しております。不満があっても、なかなか表現ができないという方が多く利用しているこの施設の事を考えると、障害者の権利を守るためにも、行政がしっかりとチェック機能を果たさなければならないと私は考えております。そこで、この知的障害者授産施設の運営に問題はないのかという事を、以下、伺ってまいります。

(一)授産施設の役割について

小野寺委員

 まず、そもそも授産施設とは、現行の障害者自立支援法では、就労移行支援事業所とか就労継続支援A型あるいはB型事業所と言い方が変わっているようですけれども、どのような役割を期待されている施設なのかをお伺い致します。
事業指導担当課長
 授産施設の役割についてですが、授産施設は、身体、知的障害者福祉に関する各法、いわゆる旧法におきまして、雇用されることが困難な18歳以上の障害のある方々を対象に、通所又は入所により、自活に必要な訓練及び職業の提供を行うことを目的とした施設として位置づけられているところです。
 また、この授産施設については、平成18年の障害者自立支援法の施行に伴い、平成24年3月31日までに、一般企業等への就労を希望する人に、必要な訓練を行う就労移行支援事業や、一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、必要な訓練を行う就労継続支援事業などに移行し、引き続き障害者の就労支援を担う事とされているところです。

(二)授産工賃の算出方法について

小野寺委員(指摘)

 わかりました。
 授産事業による収入でございますけれども、事業に従事する障がい者が工賃として、利益が上がった分は還元されてしかるべきだと思いますが、還元に当たってのルールはどのようになっているのかお教え下さい。
事業指導担当課長
 授産工賃の算出についてですが、国の定める「指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準」において、授産施設は、「事業収入から事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。」と規定されており、授産事業から得られる総収入から日々の授産事業活動の実施に直接的に必要な原材料費、光熱水費等、最小限度の必要経費のほか、事業収入の変動に伴う工賃への影響を緩和する工賃平均積立金や備品等購入のための積立金など、特定目的の積み立て分を控除した全額が工賃として支払われることとなっているところです。

(三)授産事業の余剰金について

小野寺委員

 必要経費を除いて、授産施設の利益がどのようなものかという説明は分かりましたが、私がみなさまにお示しをした施設、この施設では、今示された特定目的の積み立てをすることもなく、予算立てをした工賃を支給し、残りは次年度へ繰越金として処理をしています。
 このような会計は不適切と考えますが見解をお伺いします。5年間の今までの実態をお教え下さい。
事業指導担当課長
 授産事業の繰越金についてですが、当該施設の過去5年間の状況をみますと、平成18年度における授産事業の繰越金は、87,939円、19年度は、299,523円、20年度は、2,866,043円、21年度は、2,172,008円、22年度は、繰越金はなかったところです。
 平成22年度を除き、各年度において繰越金を計上しておりますが、工賃平均積立金などの特定目的の積み立てもなされず、工賃の再配分も行われないままに、安易に繰越金として会計処理をしていることは、基準に照らし合わせますと、明らかに不適切な会計処理であると考えているところです。

(追加)繰越金について

小野寺委員

 ここで確認しますが、今、単純に計算すると150万円ちょっとですが、実際にこの施設は、平成22年度に授産施設、授産事業においての経費として銀行に4,800万円現金、流動資産を持っているということでして、そういうことから考えると、本当に540万円は、施設の皆様にしっかりと配分すべきお金だったというのはこの帳簿から見て明らかではないかと思います。
 そのあたりはどうなのか、もう一度お教え下さい。
 普通預金と定期預金でこの授産事業に予備費という形で、現金で4,800万円持っていたというのは非常に大きい意味があると私は思っておりますし、この540万円、施設のみなさんに配った方がよろしかったのではないかなと、私は思っております。
事業指導担当課長
 繰越金についてですが、工賃平均積立金などの特定目的の積み立てが無いということ。また工賃の再配分も行われないままに、安易に繰越金として会計処理をしているということにつきましては、基準に照らし合わせ、不適切な会計処理というふうに考えております。

(四)必要経費等の認定について

小野寺委員

 次ですけれども、必要経費等の認定ですが、先ほど色々、皆様からご説明を頂きましたが本当は、工賃をもっと支給できたのではないかという疑念も拭えないというところがあります。ルールでは、必要経費の控除が認められていますが、何が必要経費なのか、ということが非常に問題になってきます。
 授産事業を営む上で、様々な備品や原材料というものが必要ですが、この施設の会計処理を見ると、例えば、授産事業に必要な備品なのか、それとも、施設の運営上必要な備品なのか釈然としない、混然とした、ぐちゃぐちゃの状態になっている訳でが、道は、この点はどのように考えているのかお教え下さい。
事業指導担当課長
 必要経費等の認定についてですが、授産事業を行うに当たりましては、直接的に必要な原材料費、光熱水費等の経費のほか、授産事業の用に供する備品の購入や維持に係る経費につきましては、必要経費として認定して差し支えありませんが、授産事業以外の、施設運営上必要とする備品購入費等をその対象とすることは、出来ないところです。
 しかしながら、当該施設においては、ご指摘のとおり、授産事業に使用する備品か否か、厳格に整理をされていないことから、不適切な会計処理であると考えております。
 道としましては、支給された工賃の妥当性を検証する観点から、備品の経理区分を適正かつ明確にする必要があると考えており、現在、当該施設に対し、点検作業を実施するよう指導しているところです。

(五)工賃の精査について

小野寺委員

 会計処理が、あまりにぐちゃぐちゃのために、なかなか議論の出来ない状況になっておりますが、この施設が「会計事務の不手際があるだけで、支給すべき工賃は支給していた」というふうに主張するのであれば、それが立証できるように、積立金の内容ですとか、必要経費の妥当性、さらには増え続けてきた繰越金の理由なども含めて、過去に遡ってきっちりと精査をすべきであると考えますが、道の見解をお伺いします。
事業指導担当課長
 工賃の精査についてですが、これまで支給された工賃が、適切に配分されているか否かについては、必要経費としてみるべき備品や積立金などにつき、詳細に検証することが必要となりますが、こうした検証は、これまで、この施設において授産活動に従事した利用者が、不利益を被ることのないように、可能な限り遡って行わなければならないものと考えているところです。
 このため、道としましては、当該施設に対し、工賃平均積立金や備品等購入積立金など、特定の目的を持った積立金として積み立てるべきものがあったかどうか、また、授産事業用備品の経理区分が適切かどうかなどについて検証するとともに、当該施設においては、授産事業のみならず施設全体において、多額の繰越金が発生をしていることから、こうした実態と併せて精査をするよう求めているところであり、精査の結果、利用者に再配分すべきものと認められる場合は、適切に対応するよう指導することとしています。

(追加)繰越金について

小野寺委員

 ちょっとお聞かせ願いたいのですけれども、今、施設全体で多額の繰越金が発生していると。平成15年から異常に膨れあがっていますが、今どれくらいの繰越金があるのかお教え下さい。
 また流動資産がどれぐらいなのかも併せてお教え下さい。
事業指導担当課長
 平成22年度末における、繰越金の総額でございますが、251,769,529円となっております。

小野寺委員

 異常に増えているということで、平成15年度からいくら増えているのか、また流動資産はいくらなのかお教え下さい。
 皆さんから私が貰った資料によると、1億円、次期繰越金が増えているということです。
 それは、意見交換をしたので、すぐお答えいただけるのかなと思いましたし、流動資産に関しましては1億6千万円持っている。これは、異常ではないかと私は思っておりまして、そういう内容についても、私、しっかりと皆さんと意見交換をしてきたつもりです。次の質問にいきます。

(六)施設外実習の工賃について

小野寺委員

 この施設において、2人の利用者がおりまして、その利用者は施設外で実習をしています。数年間にわたり同一企業で年間200日以上働いておりまして、1日8時間働いています。しかし、二人とも年額60万円しか貰っていないという状況でして、時給に換算すると380円で働いているという計算になります。
 本来、施設の会計を通して支給すべき賃金も企業から、直接、支払われているという、非常に疑わしい事例だという風に私は考えますが、これでは、地元企業に就職をさせるという施設の意味が無いのではないかという風に考えますが、このようなことで本当に良いのか、ということについて道の見解をお聞かせ下さい。
地域福祉担当局長
 施設外実習の工賃についてですが、施設外実習の場合、実習先企業から支払われる賃金を、一旦、施設の授産事業会計に受け入れた上で、実習工賃として支給することが必要ですが、当該施設では、働いて収入を得ることの意義や喜びを実感してほしいとの観点から、直接、本人に賃金を支払うよう実習先企業に要請したとしているところです。
 このような取り扱いは、会計処理基準上不適切であることから、道としては、工賃の支給方法の改善について、厳しく指導してまいりたいと考えています。
 また、当該利用者に係る実習先企業の評価は、現時点において、雇用契約を締結するまでには至っていないとされているところですが、この利用者が地域で安心して暮らしていくためには、一般就労の実現に向けて取り組むことが必要と考えているところです。
 しかしながら、当該施設においては、この利用者を長年にわたり継続した実習形態に置くなど、これまでは、一般就労への取り組みが不十分であったことから、11月に実施しました実地指導の結果として、本人の意欲を踏まえ、作業能力評価や実習形態の検証を的確に行うこと。その評価や検証結果を踏まえて、実習先企業に対し、これまで以上に、障害者の就労に関する理解を求めるなど、雇用の実現に向けて取り組むこと。について改善指導を行ない、期限を区切って改善報告を求めることとしておりまして、改善報告の内容を実地で確認するなど厳しく指導してまいりたいと考えております。

(追加)就業期間について

小野寺委員

 ちなみに、一番長く施設外の、直接企業で働いていた方は、何年間働いていますか。
事業指導担当課長
 最も長い方については、平成11年の10月からですので、12年間となっています。

(七)施設外実習生への支援について

小野寺委員

 多分企業は、問題のある生徒でしたら、そんなに長く雇用しないという風に思いますし、これだけ長い間働いているということは、もしかすると、しっかりとその企業で働けたということを考えると、本当にその生徒の賃金がそれだけで済んだのかな、と私は率直に思いますが、実際に、この方がこの授産事業に係る生徒だとして、じゃあ施設はどのような関わりを持ってきたのかお教え下さい。
事業指導担当課長
 施設外実習生への支援についてですが、11月に実施した実地指導の際に当該施設での施設外実習に係る取り組み状況を確認したところ、入所者園外実習実施要領に基づき、指導員は、実習者が施設に帰った後に、面談を行い、その日の様子や職場への適応状況等を把握し、相談に応じるとともに、必要な指導を行ったり、また、実習者の職場への適応を図り、実習の成果を高めるため、週に一回程度、実習先を訪問し、事業主からの聴取や実習者の実習状況等の把握を行った上で、相談や指導に反映していることについて、聴取をしているところです。
 しかしながら、当該指導や相談に係る記録の記載内容が不十分であったことから、改善に向けた指導を行うこととしており、今後、その改善報告の結果に応じて指導をしてまいります。

(八)就職に向けた取り組みについて

小野寺委員

 指導の記録がないということは、ほとんど問題がなかったのだろうと受け取れますし、週に一回しか施設に行っていないということは、本当に必要だったのかなとも思いますが、実際にこの施設が、日頃、どのような取組をして授産施設利用者の就職に向けて活動をしているのか、お教え下さい。
事業指導担当課長
 就労に向けた取り組みについてですが、当該施設では、地域の木工場や自動車整備工場などに対し、利用者の就労に向けた働きかけを行ってきたと聞いておりますが、これまで、一般就労に至った事例が無いことから、施設として、より積極的な就労支援に取り組むことが求められるところです。
 このため、道としましては、施設に対し、企業への継続した働きかけやハローワーク等との連携を図るなど、就労先の確保に向けた取り組みについて、指導をしてまいります。

(九)実効ある就労支援について

小野寺委員

 実効ある就労支援ということを、よく耳にしますし、今も答弁にありましたけれども、本当にそうなっているのかどうか。道はどのように、今後指導すべきであると考えているのかお教えください。
事業指導担当課長
 就労支援についてですが、障害者授産施設の利用者の自立の支援や日常生活の充実が図られるよう、施設においては、利用者の心身の状況等に応じた訓練や職業の提供等の支援。それとともに、指導や訓練を行っていく中においては、定期的に本人の作業能力や適性などを評価し、利用者の就労支援に向けた検討を行うとされているところです。
 また、道としましては、こうしたことが適正に実施されているか否かについて、施設の実地指導の際には、書類や聞き取りなどで確認する必要があると考えているところです。

(十)指導監査について

小野寺委員

 やはり、道が毅然とした対応を示すべきだと考えておりますし、今まで監査に入ってきて、この施設にも去年入ったはずですけれども、何ら問題を発見できなかったということは、もっと真剣に監査もしていただきたいと思います。当該施設ですが、運営主体である社会福祉法人に対し、いままで行ってきたその監査は、不十分であったと考えますが、これからももう少し、この施設をしっかりとチェックすべきであると考えますが、今までの監査、それと、これからどうしていくのか。道の姿勢ということでお教え下さい。
事業指導担当課長
 指導監査についてですが、障害者施設においては、サービスの質の確保や給付費の請求の適正化を図るため、「指定障害者福祉サービス事業者等指導監査要綱」に基づき実地指導を行っているところです。
 この実地指導については、2年に1度、定期的に行うほか、利用者からの情報提供などにより、必要に応じ、随時行うこととしており、当該施設に対しては、所管する振興局におきまして、直近では昨年9月に実施をしているところです。
 委員のご指摘を受け、11月に当課職員が振興局の職員に同行し実施した実地指導において、積立金と繰越金の処理状況や実習先企業からの工賃の支払状況などについて、事業活動収支計算書などの決算書類の確認や、職員からの聞き取りを行った結果、新たに、支給規定によらない工賃の支払いや本来区分すべき、授産施設とグループホームの会計が一体的に処理されていることなどが確認されました。
 近く同局から、文書による改善指導を行うこととしており、その改善報告の内容を実地で確認し、改善勧告等も視野に入れながら、厳しく対処してまいりたいと考えています。

(十一)指導監査の課題について

小野寺委員

 あと、去年指導監査を行っていながら、それを見逃したという点についてもお答え願えますか。
地域福祉担当局長
 指導監査の課題についてですけれども、委員ご指摘の当該施設については、本来、備品購入や修繕に備えるため積み立てすべきものを、次年度への繰越金として処理するなど、数年にわたり不適切な取扱いがなされていたものの、実地指導において、これを確認することができなかったことは、その対応に問題があったものと重く受け止めているところです。
 このため、道としましては、今後、こうした事態が二度と起こらないよう、振興局の実地指導を担当する職員を対象とした研修会を開催するとともに、実地指導の調書の見直しを行うなど、事業者に対する適正な指導監査の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。

(十二)今後の取り組みについて

小野寺委員

 最後の質問ですけれども、今回は特定の授産施設についての実態の質問をさせて頂きました。その結果、施設の問題点や道の指導監査にかかる課題が明らかになったところです。
 この施設以外で同じ様な問題を抱えている施設がないとは言えないのではないかと、私は非常に危惧しているところです。
 全道の授産施設の実態を把握し、指導を徹底すべきであると考えますが、見解をお伺いします。
保健福祉部長
 今後の取り組みについてですが、障害者授産施設においては、障害のある方々の自立と社会参加を促進する観点から、農畜産物の生産や食品加工など様々な作業により、必要な訓練及び職業の提供を行っておりました。こうした授産事業を適正に運営するためには、国が定める施設の運営基準により、工賃配分などが適切に行われることが重要であると考えているところです。
 このため、道としましては、委員ご指摘の点も踏まえ、早急に、全道の授産施設等におけます、工賃につきまして、施設外実習の取扱いを含め、調査を行い、不適切な事例が確認された場合には、実地指導により改善を指示し、その改善報告の内容に応じて改善勧告等も視野に入れながら、厳しく対処するとともにその内容を全道の授産施設等に周知するなどして、障がいのある方々が、安心して働くことができる様、授産事業の適正な運営の確保に、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

小野寺委員

 これで私の質問を終わりますが、 先ほど同僚議員が「北海道は障害者に優しい地域である」というふうに言っておりました。
 私もそう信じていますが、一方でこういった様な、自分の意志をなかなか表現できない様な知的障害者の方が、もしかすると、この制度を使われて、必要以上に安い賃金で働いているかもしれないという様なことがあるとしたら、これは大問題だと思っております。
 そこにしっかりと目を行き届かせて、チェックをしていくのが、皆さんの役目だと思っておりますので、北海道の弱者のために、これからも素晴らしい施策を行って頂きますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。