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平成24年 第2回北海道議会定例会 一般質問

平成24年 第2回北海道議会定例会 一般質問
平成24年6月26日(火曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 アイヌ政策などについて

小野寺議員

 それでは通告に従い、質問を始めます。
 初めにアイヌ政策について伺って参ります。
 私は今まで道議会の場でアイヌ政策における不正や問題を追及してきました。
 これは私が道産子として北海道に生まれ、北海道を愛しているが故にやり続けてきたことであります。
 偶然アイヌ政策の一事業の問題を追及したことにより、アイヌ政策を取り巻く多くの問題や不正の存在を知り、これらを正す必要性を痛感しております。
 私がこのアイヌ政策の問題を追及し始めてほどなく、あるアイヌのご婦人がわざわざ私を訪ねて来られ、こうお話しになりました。
 「私はイチャルパという先祖のお墓の前で仲間と踊り先祖供養をする儀式が大好きでした。しかし、ある時期を境に、アイヌ文化の保存伝承ということで、踊り手に謝金が支払われるようになってからおかしなことになってしまいました。見たこともないような人が儀式に来て踊ったり、何より実際の人数より多くの者が踊っていたことにして、自分の支部が謝金の申請を水増ししていたことを知り、先祖供養なのにそんなことをしたら先祖が悲しむ、正直に申請をしてほしい、と支部の幹部に意見を言ったところ、もうこれからはイチャルパに来なくてよいと言われ、仲間と一緒に踊れなくなってしまいました」というのです。
 そして涙ながらに、私に、「また踊れるようにしてほしい」と。
 このお願いをされたとき私は、アイヌ政策に根本的な問題があり、アイヌ協会のやり方やアイヌ政策で逆に苦しんでいる多くのアイヌの方々がいることを知りました。
 また、北海道アイヌ協会の幹部自らが、東京の通信制大学に入学するも、すぐに大学をやめ、返す必要も感じないのか年間100万円近いお金をただ貰い続けていたり、中には、10年以上も貰い続けていた事例もあったアイヌ大学修学資金貸付制度に関する質問をした際に、私は全道各地の多くのアイヌの方々からお叱りを受けました。
 しかし、そのほとんどが、そんな制度があることも、そんな不正が行われていることも知らなかったというお叱りであり、これによりアイヌ政策のお金の一部がアイヌの一部に流れ、さらにはアイヌ以外のアイヌを利用しようとしている者に流れていることを知ったわけです。
 私は今定例会でもこの問題の質問をしますが、アイヌ政策において、一部の者が自分たちのためだけに政策を利用している実態があり、またそれにより多くのアイヌが迷惑をし、さらには、利益のために、北海道の歴史でもあるアイヌの歴史をもねじ曲げようとしているという現状を、私は看過することができず、また、本道のアイヌ政策が国により全国展開されようとしている今、我々はアイヌ政策を一刻も早く正常な姿に戻し、アイヌの方々の尊厳や正しい文化や歴史を守る責任があると考えております。
 私がアイヌ政策の問題を、このような思いで追及することを知事にはご承知置き願いたいと思います。

(一)アイヌ住宅改良促進事業費補助金について

小野寺議員

 アイヌの住宅改良促進事業について伺います。
 この事業は、生活環境等の整備が遅れている市町村におけるアイヌの人たちの居住地域の環境改善を図るため、アイヌの人たちが自ら居住する住宅の新築若しくは改築又は住宅用の土地を取得するために市町村が行う資金貸付事業に必要な経費の一部を道が助成しているものです。
 この制度に関し、昨年の第四回定例会の予算特別委員会で、私は免除及び滞納の状況について質疑をいたしました。
 その後、私が調べたところによると、市町村がアイヌの人たちに住宅取得の補助金の貸付を行った後、借受者が他の金融機関からも借り入れを行い、その際、抵当権設定の順位が下位に下げられていた事例や、土地や建物が差し押さえられている事例、さらには競売に出されていた事例、また返済途中で転売をされている疑いのある事例もありました。
 問題となる事例が多数あったわけですが、この事業はアイヌの方々たちのために税金で貸付を行っているものであり、これらの問題の事例は、この貸付資金の返還にマイナス要因に働くのに間違いありません。
 これらの状況について、道はどのように認識し、今後、どう対応していくのか、お考えをお聞かせください。
環境生活部長
 アイヌ政策に関し、アイヌ住宅資金等貸付事業についてですが、この貸付事業は、アイヌの人たちが、自ら居住する住宅の新築・改修や土地の取得のために必要な資金を貸し付ける市町村に対しまして、国と道が補助を行っているものです。
 国及び道の要綱においては、特別な事情があるものとして貸付主体である市町村が承認した場合を除くほかは、貸付金の償還前に、貸付金に係る住宅、土地を担保等に供してはならないと規定しているところです。
 このことから、議員ご指摘のように、市町村の承認を得ずに借受人が当該物件に対する担保設定等の処分を行うことは、要綱の規定に反する行為と考えられることから、制度の趣旨を踏まえた適切な取扱を行うよう、今後、市町村に対する指導を行って参る考えです。

(二)アイヌ民族の伝統文化伝承事業について

小野寺議員

 札幌市のアイヌ交流センターにあるアイヌの伝統的家屋であるポンチセの火災とそれに係る札幌市の対応について伺います。
 このポンチセの問題ですが、平成20年11月、アイヌ協会札幌支部が札幌市からの委託業務であるポンチセのメンテナンスの燻蒸作業中に出火をさせ、建物の上半分が火災により損壊をいたしました。
 ただちに札幌市はアイヌ協会札幌支部からの修復見積書を基に平成21年の2月、アイヌ民族の伝統的建造物修復技術伝承事業を719万8千円の金額で北海道に申請し、道は交付決定をしました。
 しかし、火災保険収入があるにもかかわらず、その話は一切なく、また、火災発生の責任と補償の議論が一切なされていない中でこのチセを税金で修復するのは問題であるとして、我が会派の同僚議員と私が議会でこの件を質したところ、札幌はこの事業の申請を平成21年9月に取りやめました。
 しかし、その同じ月に札幌市はなぜかチセの修復事業費とほぼ同額である719万5千円の金額でアイヌ民族の伝統文化伝承事業を道にあげ、その翌日には事業執行をしておりました。
 あまりに不自然であるため、これを調べると、この文化伝承事業において、チセの建設に必要な茅(かや)を大量に採取し、さらにチセに必要なパーツを多数作成しているなどしており、これは非常に不自然であると言わざるを得ません。
 私は札幌市がこの事業を使い、チセを復元していた可能性が極めて高いと考え、事実を確認するよう、本年の第一回道議会において、道に対応を求めたものです。
 札幌市は21年度末の3月に市の単費でチセを復元したと主張していますが、当初の復元には700万円が必要とされていたにもかかわらず、90万円で復元していることは不自然であると言わざるを得ません。
 札幌市は、茅はたまたまたくさん採取をしていて、タイミングよくチセを単費で建てる事業も年度末に急遽行うことになったので、その茅を運よく使っただけであり、何の問題もないと主張していると聞いていますが、こんな言い訳が通ると私は思いません。
 そこで伺いますが、道は今まで、どのような対応をしてきたのか。
 その中で何が明らかになり、そして今後どう対応していくおつもりなのかをお示しください。
経済部長
 アイヌ政策に関し、アイヌ民族の伝統文化伝承事業についてですが、道としましては、平成21年度に、この緊急雇用創出事業を実施した札幌市に対し、本事業で採取・作成した物件の取扱いなどについて調査を依頼したところです。
 札幌市からは、本事業の中で、伝統的な茅の刈り方や選別の仕方を習得する目的で、茅の採取を行い、廃棄予定だったその一部について、同年度末に市が急遽実施したチセを修復する単独事業に利用したこと。
 また、チセの柱については、火災で損傷を受けたためではなく、伝統技術を伝承する目的で、その一部を取り替えたことなどの回答があったところです。
 道としましては、この札幌市の回答内容を踏まえ、現在、緊急雇用創出事業を所管する国に対して、伝統文化伝承事業で取得した物件に係る市の取扱いの適否について照会をしているところです。

(三)札幌市委託事業と財団助成事業について

小野寺議員

 札幌市の委託事業と財団助成事業との関係について伺います。
 平成20年度に北海道アイヌ協会札幌支部に委託した『第5回インカルシペ・アイヌ民族文化祭』の七つの事業のうち、アイヌ民族シンポジウムなどの四つの事業がアイヌ文化振興財団が同札幌支部に助成した事業と開催日時、場所等が同一であるとして、先の一般質問及び予算特別委員会で質疑をさせていただきましたが、何故アイヌ文化振興財団の事業として自己完結している事業に対し、札幌市が自分の事業であるかのように委託事業にしている意味が私には理解できないのです。
 札幌市からの委託費が無くても事業は何ら支障がないはずであり、非常に不思議であると言わざるを得ません。
 札幌市の委託費がどう使われたのか明確にすべきだと私は考えており、そこで伺いますが、先の道議会の質疑の際、札幌市に対し、この件の調査をすると答弁をされていましたが、その調査の内容と結果をお教えください。
環境生活部長
 札幌市委託事業と財団助成事業についてですが、本年の3月上旬に、札幌市に対し、財団の助成事業が札幌市の委託事業の役務の履行内容に含まれるか否かの文書照会を行いまして、経費の重複はないとの回答をいただいたところです。
 その後、財団では、3月21日及び4月4日に札幌市職員立会の下、アイヌ協会札幌支部に現地調査を行ったところでして、道としても、4月26日に財団職員立会の下に現地調査を行い、支出証拠書類の確認を行うとともに、5月1日には札幌市に出向き、市委託事業と経費の重複がないことを確認をしたところです。
 なお、札幌市におきましては、本年度から道民に誤解を招くことのないよう、これまでの委託契約から補助事業へと変更する旨、報告をいただいております。
 道としましては、財団の事業が適切に行われるよう今後とも、的確に指導助言を行って参ります。

(四)道教委におけるアイヌ関連施策について

小野寺議員

 道教委は、先の第1回定例会一般質問でのアイヌ民俗文化財伝承事業、いわゆるABC講座に係る私の質問に対して、前回調査で「不適切な事案」が確認されなかった10支部に対し、当時の事業の実施状況について、早急に確認をすると答弁されましたが、その確認の状況について伺います。
 また、私は、先般の質問時に前回調査において不適切な事案が無いとした支部の関係者などから、「偽造された架空の領収書がある」などといった、不適切な取り扱いに関する情報が複数寄せられており、その中には、本部からの指示のもとに行ったとの情報も寄せられていることを示したところです。
 そこで、今回、道教委の再確認において調査結果はどうであったのか伺います。
 これは北海道アイヌ協会本部の事案であり、既に二度にわたって不正が発覚し、二度とも国庫補助金を返還しておりますことから、再度不正があった場合には、厳しく対処すべきと考えますことを申し添えます。
教育長
 アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業に係る再確認の状況についてですが、
 道教委では、平成21年から22年にかけて実施した調査において、不適切事案が確認されなかった10支部につき、支出関係書類の照合や支部責任者、当時の会計担当者、講師等から聞き取りを行い、本事業の実施実態等について、再確認を行ったところです。
 その結果、委託契約締結前の事業執行に伴う経費の支出、定められた時間に満たないことから過払いとなっている講師謝金の他、視察に係る車のガソリン代・運転手への謝礼等の諸経費を旅費として支出するため、実態のない領収書を作成した不適切な事案が確認されたところであり、現在、これらについて国庫補助金の返還等の協議を進めているところです。
 また、視察に係る諸経費を旅費として支出した事案について、支部担当者への確認において、北海道アイヌ協会本部の職員から、「旅費の領収書を作成し支出するよう指示された」と聞き取ったことから、本部での事実確認を行いましたところ、「会計指導の一環で、具体的な指示はしていない」との回答であったが、指示されたとする内容について、支部担当者が記録したメモの存在は確認したところです。

二 私立学校の運営について

(一)私立学校における問題事案等に対する対応について

小野寺議員

 私立学校の運営においてですが、私立学校の教員が生徒にセクハラ行為をした場合、公立学校で同じことをした場合とは明らかに処分や対応が異なっても、それは学校の独自性だということで、どこも指導権限がなく、指導ができないという状況になっております。
 私が問題にしたいのは、公立学校と私立学校において、このような事例があった際、対応や処分に大きな開きがあるということは、同じ教育機関として好ましい状況だとは言えず、私は私学においても、一定の対応の基準があって然るべきと考えております。
 現に、私の地元の高校においても、教員がセクハラ行為を行った疑いのある事例が発生をしており、生徒と複数の保護者は学校側の対応を良しとせず、半年以上が経過しても今なお、問題が解決していない状態が続いております。
 このような状況があるにもかかわらず、私学に対し意見をする第三者機関も指導をする権限を持つセクションもしっかりと生徒や保護者の不満を聴く窓口も北海道にはなく、問題を深刻化させていると言えます。
 そこで伺いますが、私立学校は、法令上、その自主性や独自性が尊重され、建学の精神と独自の教育理念に基づき、教育を行っているものと承知をしております。
 その意味で、教育委員会が設置する道立や市町村立の学校とは位置づけが異なり、学校における問題事案に対して、道自らが当事者として対応することはないものと認識をしております。
 しかしながら、生徒への指導方法などに関する学校の対応について、苦情や不満の声が寄せられることも多いと聴いています。
 そのような場合、道はこれまでどのような観点に立ち、どう対応をしているのかを伺います。
総務部長
(※:私立学校における指導上の問題に対する道の対応も含む答弁)
 私立学校の運営に関し、指導上の問題に対する道の対応についてですが、生徒への指導方法などに関して、私立学校で問題が生じた場合には、就学環境の維持や、健全な学校運営の確保といった観点に立って早期に問題を解決していくことが大切であると認識しております。
 このため、保護者の方などから道に対して、学校の対応について苦情などが寄せられた場合には、その内容を学校に対し伝えるとともに、必要に応じ、学校側に対し事案に関する報告書の提出を求めるほか、再発防止に向けた道の考え方を文書で通知するなどして、適切な対応を促しているところです。

(二)私立学校における問題解決のための方策について

小野寺議員

 最後に、私立学校における問題解決のための方策について伺いますが、私が承知している中でも、教員による不適切な行為があった事例において、教職員の処分はあったものの、学校側の対応が遅れたり、十分な説明がされないなど適切さに欠け、学校と生徒・保護者の間で信頼回復が図られていないという事例もあると聞いております。
 このようなケースばかりではないとは聞いていますが、私立学校という特性から、学校側の対応に対して強制力のある指導ができないという現状では、今後においても、同様のケースが生じかねないと考えております。
 私としては、私立学校の自主性ということは尊重しつつも、問題が発生した場合には、各学校において生徒や保護者の意見を踏まえ、早急に適切な解決が図られることが必要と考えておりますが、最後の見解を伺いし、私の質問を終わります。
 再質問はいたしません。
知事
 小野寺議員のご質問にお答えいたします。
 私立学校の運営に関し、私立学校における問題解決のための方策についてですが、私立学校での生徒への指導方法などに関わる様々な問題については、学校側と生徒や保護者との間で、適切かつ円滑に解決されることが望ましいことでありますが、学校側の対応によっては、保護者などの理解が得られないことも想定されるところです。
 道としては、今後は、必要に応じ、法律の専門家などからも見解を伺うこととし、学校への指導・助言に努めるとともに、私学関係団体の皆様とも意見交換をしながら、こうした問題をより適切に解決していくための対応方策について検討し、年度内に対応の方向を取りまとめたいと考えております。
 なお、私立学校における指導上の問題に対する道の対応などについては、担当の部長から答弁(※:前記、総務部長の答弁へ)させていただきます。