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平成22年第8回水産林務委員会

平成22年6月1日(火)

小野寺委員

 それでは、通告に従いまして、森林所有者の把握について質問をさせていただきます。
 
本道の民有林ですけれども、最近「日本各地に森林所有者が誰なのか全くわからない森林がある」という話をよく耳にするところであります。また、実際にメディアの中には「中国企業等の海外資本が、日本各地の森林を大規模に買収しようとしている情報がある」というような報道をしたところもあるようでございます。
 
この件に関し、私はずっと強い危機感を持っておりましたが、知事部局においてはこの問題の深刻さをしっかりと認識をしていただき、広大な森林を有する本道こそが全国の自治体に先駆けてその実態の把握に乗り出すべきであると考えておりますので、以下質問をしてまいります。
 
まず、森林所有者情報の精度の向上についてでありますが、森林所有者、これの把握について伺います。
 
今まで水産林務部の考えは「森林の所有者の情報は、所有者が毎年策定・提出する森林施業計画や伐採届出等の確認で把握する」というものでございました。
 
しかし、そんな姿勢ではいつまでたっても本道の森林所有者を正確に把握することができないというふうに私は考えております。
 
本道の会社所有林の中で施業制限を受けない普通林の面積は39万ヘクタールでございますけれども、その中で林業・木材産業関連の以外の企業が所有している森林は約16万ヘクタールに上ります。私が問題であると思うのは、この16万ヘクタールのほぼ半分の森林が、施業計画すら提出をされていない森林であるということなのでございます。
 
実際に多くの森林所有者が森林施業計画を提出していないにもかかわらず、なぜ道が施業計画から所有者を把握していくと主張するのか私には理解できないところでございます。
 
そこでお聞きしたいですけれども、森林所有者は森林を取得する際、法令上の手続きで、土地売買等届出書などいろいろな届け出を行っているはずでございます。そこで、今後はこれらの情報を活用することによって、道内における森林所有者情報の精度の向上を図るべきだと考えますが、見解を伺います。
沓澤林務局長
 お答えいたします。森林所有者情報の把握についてでありますが、道では、地域森林計画樹立のために作成しております森林調査簿において、森林所有者の氏名・住所等の情報を管理しておりまして、森林施業計画や伐採届出書等を確認する際に、所有者に異動があった場合は、その都度データを更新しているところでございます。
 
委員からただいま御指摘がございましたように、施業計画が立てられていない森林などにつきましては、国土利用計画法に基づく土地売買等届出書や地方税法に基づく不動産取得申告書などの情報を活用することができれば、所有者の異動を把握することが可能でございます。
 
しかしながら、現在、こうした法令に基づいて提出された届け出書等につきましては、本来の目的以外への活用が厳しく制限されており、森林所有者の異動を確認するために、これらを直接参照することはできない状況となっておりますことから、道といたしましては、森林の取得に係る情報を森林調査簿に反映することができるよう、法制度の整備を国へ働きかけるなど、所有者情報の精度向上に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

小野寺委員

 次に、いわゆる原野商法のような売買についてお伺いをしてまいります。
 
現行の日本の法制度において、1ヘクタール未満の森林の売買は、自治体に届け出をしなくてもよいことになっております。ということは、森林を細切れにして買えば、誰にも気づかれず森林を手に入れることができるという話になります。
 
そこでお伺いしますが、道内における林地を細分化して分譲する、いわゆる原野商法のように売り出されている森林はどの程度あるのかお伺いします。
 
また、道民の安全・安心を確保していくためには、このような森林についても森林所有者を把握し、森林整備をしっかりと推し進めていく必要があると思いますが、見解をお伺いします。
森山森林計画課長
 原野商法のように売り出された森林についてでございますが、林地を細分化し、分譲された森林、これを私どもは「分譲森林」と呼びならわしておりますが、こうした分譲森林は、後志管内を中心に、平成20年末時点において全道で約2万5千ヘクタール存在しておりまして、その区画数は約113万筆で、個々の所有者につきましては、十分に把握しきれていない状況にございます。
 
道としましては、このような膨大な数の森林所有者を全てにわたって把握することは、困難な作業を伴うものと考えておりますが、まずはその中で、森林整備を行う必要がある森林を抽出し、森林所有者が確認できる森林につきまして、市町村等と連携し、適切な森林整備を行うよう働きかけてまいる考えでございます。以上でございます。

小野寺委員

 この件に関する質問なんですけれども、例えばこの1ヘクタール未満の森林の売買における問題ですけれども、これは国の現行法上の欠陥・不備であると言わざるを得ません。
 
これ以外にも北海道が森林政策を推し進めていく上で、非常に不都合な法や制度が多々あるのが現状でございます。
 
国の領土や森林に対する認識と意識の低さと危機管理能力の欠如に驚きを禁じ得ませんが、私は、日本の森林面積の4分の1を有する本道の森林を守るため、そして世界環境サミットを開催した地域として、道庁が先頭に立って法や制度の改善を国に強く働きかけていくべきであると考えますが、見解を伺います。
森山森林計画課長
 1ヘクタール未満の森林所有者の把握についてでございますが、1ヘクタール未満の小規模な森林の売買につきましては、土地売買等届出書の提出義務がないなど、その実態を把握できる情報が極めて少なく、また、森林所有者数も非常に多いことから、現状では、これら所有者の異動を正確に把握することは大変難しいものと考えております。
 
このため、道といたしましては、こうした小規模な森林売買情報の把握が難しいことや、先ほど申し上げました、森林の所有に係る情報が直接参照できないといったことなど、課題を改めて整理いたしまして、より正しい所有者情報を森林調査簿に反映させ、森林計画制度の実効性をより一層高めることができるよう、法制度の整備を国へ働きかけるなど、対策を検討してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 次の質問ですけれども、私は、北海道は道内の森林における海外資本による所有・取得の実態の把握を早急に行うべきだと考えております。
 
そこで、まず道内における大規模な森林の売買の実態についてお伺いしたいのですが、平成20年7月、北海道は林野庁から「最近、水源地等において、大規模な林地取得が散見されるとの指摘が各方面からなされていることから、30ヘクタール以上の林地取得について調査をしてほしい」という旨の指示を受け、道はその調査を行ったはずであります。そして昨年の8月、道は林野庁に対し、
 
「平成18年、19年に30ヘクタールの林地取得のあったものについて報告をした」と聞いております。また、先の第1回定例会、道議会において大崎議員が海外資本による森林の売買についての質問を行った際、道は「林野庁によると、全国におきまして、海外資本による森林の売買の事例は、確認されなかった」との答弁をされておりました。
 
そこでお伺いしますが、本当に外国の企業が本道の森林を買っているという事例がないのか、お答えください。
沓澤林務局長
 海外資本による大規模な森林の取得・所有の実態についてでございますが、先の第1回定例道議会におきましては、林野庁からの照会に基づいて平成20年度に行いました調査に関する質疑があり、平成18年、19年の調査では道内で265件、合計約5万ヘクタールの森林取得があったところですが、この調査において、全国的に海外資本による森林の取得の事例は確認されなかったことを申し上げたところでございます。
 
しかしながら、その後、平成21年に行いました平成20年の取得に係る調査では、道内で159件、約2万ヘクタールの森林取得があり、その中に、所在地が海外となっている企業が後志管内において1件、57ヘクタールの森林を取得したことを確認しておりました。
 
第1回定例道議会では、この時点の調査もあわせて報告すべきであり、平成18年、19年の取得調査の結果のみにとどまっておりましたことは、大変申しわけございません。

小野寺委員

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、この海外資本が取得した森林ですけれども、所在地が海外になっていると、香港の企業だと思うのですが、この企業が取得した森林に水土保全林が含まれているのかどうか、含まれているとしたらどのくらいの広さなのかお答えください。
森山森林計画課長
 海外資本が取得しました森林についてでございますが、先ほど、お答えしました平成20年に海外資本により取得されました57ヘクタールの森林には、32ヘクタールの水土保全林が含まれておりまして、これらの森林は、水源涵養保安林に指定されているところでございます。

小野寺委員

 ええ、わかりました。そもそもこの調査で平成18年から平成20年の3年間で道内の森林を取得した企業がどのくらいあるのかをお教えいただきたいことと、あと、この企業が海外資本かどうかを判断する株主割合などを道としてはしっかり把握しているのかお教えください。
森山森林計画課長
 海外資本の確認についてでございますが、平成18年から平成20年の3年間で、道内におきまして、30ヘクタール以上の森林を取得したものが424件ございましたが、そのうち企業によるものは139社でございました。
 
このうち林業・木材関係の企業を除いたものは75社でございまして、うち国内資本の企業は4社、海外資本の企業は先ほどの1社となっておりまして、株式割合が確認できなかった企業が、現在のところ70社という状況になっておるところでございます。

小野寺委員

 30ヘクタール以上もの森林、これに関して林業・木材関係の企業を除いた会社が、過去3年で75社、その森林を買っていて、そのうちの70社の株式割合が確認できていない。
 
私はですね大変問題だというふうに思っておりますので、早急に対応する必要があるというふうに思いますが、次、この3年間におきまして、30ヘクタール以上の森林を買った林業・木材産業と関係のない企業。このうち70社に上るという事実に対してですね、道は早急に調査をすべきだというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか、お答えください。
森山森林計画課長
 森林を取得した会社の調査についてでございますが、先ほどお答えいたしました、林業・木材産業関係以外の75社につきましては、株式上場企業などが国への提出を義務付けられております有価証券報告書によりまして株式割合の把握を試みたところでございますが、このうち70社につきましては、現在のところ、株式割合等が確認できていないという状況にございます。
 
道といたしましては、森林の計画的な整備に当たっては、こうした情報を確認することも重要と考えておりまして、今後、これらの70社につきましては、さらに、企業情報の確認や市町村等からの聞き取り等によりまして、情報の収集・整理を進めますとともに、所有森林の状況や森林施業の必要性なども踏まえまして、森林整備が適切に進められるよう働きかけてまいる考えでございます。

小野寺委員

 あのですね、先ほど質問の冒頭で話したようにですね、大規模の森林を売買するという以外にですね、水源というのは本道にたくさんあります。 30ヘクタール以上じやなくてもですね、その水源の売買というものに関してはしっかり本道は目を光らせなければならないというふうに思っておりますが、ある会社が北海道の森林を所有している場合、その会社の株式の過半数が海外の企業に保有されているのであれば、北海道の森林が海外資本に買われてしまったという話になります。
 
本道の森林が海外資本に買われているという自体がすなわち大問題であるというふうに私は思っておりますが、海外資本が所有している森林が水源であった場合には、これは、将来大きな問題になりかねません。世界的に水が不足するかもしれないという状況の中で、多くの企業が水確保に走っている中で、本道の水資源が外国資本に買われているとしたら大問題であります。
 
道内の会社所有林の内、水土保全林における現在の状況、まずこれをお教えください。
森山森林計画課長
 会社所有林のうち、水土保全林における状況についてでございますが、現在、道内の民有林のうち、会社が所有する森林は約49万ヘクタールでございまして、このうち、河川の上流に位置する森林で、水源涵養機能の発揮を重視すべき森林として水土保全林として区分されております森林は、約34万ヘクタールでございます。
 
この水土保全林のうち、林業・木材産業関係以外の企業が所有いたします普通林で、かつ、森林施業計画が立てられていない森林は約4万ヘクタールございまして、所有企業数は約2200社となっており、これらの企業につきましては、現在のところ、株式割合等が十分把握しきれていないという状況にございます。

小野寺委員

 施業計画が立てられていない水土保全林、これを保有している企業の数がですね、2200社と。その2200社の会社の株式割合が道は十分に認識していないということ自体もですね、大問題だというふうに思いますが、これらの所有者に関する情報をしっかりと私は確認する必要があるんだろうというふうに思っております。
 
今後、この点について、道はどのように対応するお考えなのか、お教えください。
沓澤林務局長
 水源地域の森林を所有・取得している企業の把握についてでございますが、河川の上流に位置している水源地域の森林は、道民生活や産業振興に欠かすことのできない水資源の保全に大変重要な役割を果たしており、こうした森林をきちんと維持・管理していくためには、所有規模にかかわらず、海外資本による森林売買情報の把握に一層努めていく必要があると考えております。
 
このため、道といたしましては、先ほど森林計画課長がお答えいたしました道内で水土保全林を所有する約2200社や新たにこうした森林を取得した企業について、情報の収集・整理を進めるとともに、計画的な森林施業を働きかけるなどして、水源地域の森林の整備・保全を図ってまいりたいと考えております。

小野寺委員

 最後の質問になりますけれど、本道の水土保全林というものをですね多くの企業に買われていて、その会社の実態がよくわかっていないということがよくわかりましたが、最後にですね、世界的に見ても海外資本による水資源の売買が、まあ買収が非常に活発化しているということを考えますと、本道においても特に海外資本による森林取得状況の把握は喫緊の課題であるというふうに私は考えるところでございます。
 
本道として、今後さらに関係機関との連携を強化するなどしてですね、その対応の強化をしていく必要があるというふうに思いますが、どのように取り組んでいくお考えなのか、最後に部長の見解をお伺いします。
野呂田水産林務部長
 海外資本による森林取得状況の把握に関する今後の取り組みについてでありますが、近年、中国やインドなどの人口大国が経済発展を遂げている中で、森林や水資源の重要性に対する認識が世界的に高まっており、我が国の森林が、安定的に水や木材を供給する貴重な財産として、海外資本による買収などの対象として注目されているものと認識しているところでございます。
 
私といたしましては、今後、本道の森林整備を進めていく上で、森林資源の適切な管理体制の構築が最も重要な課題と考えており、これまで大面積皆伐の抑制や伐採跡地の確実な更新などに取り組んできたところでございますが、今回、委員から御指摘をいただきました森林所有者の把握や、海外資本による買収の動きなど森林情報にかかわる部分は、資源管理の根幹をなす重要な課題と考えております。
 
道といたしましては、森林施業計画の認定など森林に関する許認可権限のほとんどが市町村に委譲されていることを踏まえ、市町村との連携を一層密にして、森林所有者の異動や海外資本の動向の把握に努めるとともに国に対しても必要な法制度の整備を働きかけながら、しっかりとした資源管理体制の構築に取り組んでいく考えでございます。以上でございます。

小野寺委員

 最後に、指摘ですけれども、この案件に関しましては、去年から何十回となく担当部と意見交換をさせていただきました。
 
この問題はですね、多分道民の命だとかですね、安全・安心を守る上でどうしても重要な問題であるというふうに考えております。
 
高橋知事もですね、北海道の資源というものを有効に生かしながらという話もされておりますし、北海道価値という話もされておりますが、道庁においてですね、水というものを資源としてとらえていないというのは問題だというふうに思っておりますし、水というものがどれだけ大切なものなのか、もし世界的に水がなくなったときにですね、道民がそこに水が湧いているといったときにもですね、もしかすると外国の企業が「ここから先は入ってはいけないと。君たちの水じゃないんだ」というような事態も発生しかねないということは大問題であるということで、水産林務、水源の涵養の森林政策を行う部としてもですね、この水の大切さといったものを十分理解して政策を展開していただきたいということで私の質問を終わります。