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平成23年第1回北海道議会定例会予算特別委員会(農政)

平成23年第1回北海道議会定例会予特開催状況
開催年月日 平成23年3 月3 日(木)
質問者 自民党・道民会議小野寺秀委員
答弁者 農政部長東修二、農地調整課長西沢勉、農政課政策調整担当課長田辺利信

一 外国人による農地取得について

小野寺委員

 先月、東京財団提言に外資系の企業が北海道に広大な農場を所有しているという報告がありました。
 農地は聖域であると考えている方々も多くそれらの方々は大変大きなショックを受けているようでございます。
 道内の森林が外国資本に買われて問題となっておりますが、道は食料を作る上で非常に重要な農地もしっかりと守っていく必要があるというふうに考えております。そこでお伺いしますが、

(一)農地所有の可否について

小野寺委員

 今の農地制度で、外国人や外資系の企業が、農地を所有することは可能なのか。
 また、外国人が農地を所有し、その外国人が集まって農業生産法人を作ることは可能なのかお教えください。
(農地調整課長)
 外国人等による農地所有の可否についてでございますが、
 農業者又は農業生産法人については、国籍等を問わず農地を取得することは可能となっております。
 その場合、農業者にありましては、「農作業に常時従事する」「すべての農地を効率的に利用する」など、農地法第3条の要件を満たすこと、また、出入国管理及び難民認定法によります「永住者」、「日本人の配偶者」等の在留資格を持つことが条件となってございます。
 さらに、農業生産法人にありましては、農地法第2条第3項によりまして、その主たる事業が農業であること、そのほか、役員の常時従事要件や農業者以外の者の議決権の割合が全体の4分の1以下であるということ等の制限が設けられております。

(二)外国人等の所有実態について

小野寺委員

 まあ、いろいろ説明はありましたが、外国人も外国企業も農地を取得すると言うことが出来るということが解りました。
 そこでお伺いしたいのは、最近、道内で外国人等が農地の所有権を取得した事例はどの程度あるのかお教えください。
(農地調整課長)
 外国人等による農地所有の実態についてでございますが
 農地法では、国籍等による制限条項は設けられていないことから、また、許可申請書への法定記載事項にも国籍の記載は含まれていないことなどから、悉皆調査により把握したものではございませんが、道内で、ここ10年程度の間に外国人と思われる者が関係いたしまして新たに農地の所有権を取得いたしました事例としましては、個人では2人、また、外国人と思われる者が農業生産法人の構成員となっている法人は4法人と承知しております。

小野寺委員

 農地法で国籍等による制限条項は設けられていない。
 私は、これは大問題だと思いますが、これは後ほど質問することとしまして、この個人で2人、農業生産法人の4法人、この面積を併せて215ヘクタールになるはずでございます。
 森林これについても調査をしましたが水道保全林を有する民有林を今調査をしたところで、820ヘクタール。そう考えると、悉皆調査を行っていないこの段階で215ヘクタールもあると言うことは非常に大きい数字だというふうにいわざるを得ないところでございます。

(三)不測時の食料輸出の可能性について

小野寺委員

 次の質問にいきますが、
 その農地で生産された農産物を何処に売るのかという権利は農地所有者が持っているというふうに思いますが、そこでもし世界的に食料が不足傾向に陥った場合その所有者は日本でなくその所有者の自国に農産物を出荷する可能性があります。
 このことについて道はどのように考えるのかお教えください。
(政策調整担当課長)
 不測時の食料輸出の可能性についてでありますが
 農地の所有者が生産した農産物は、その生産者の所有物であることから、その出荷先については、基本的にその生産者が決めることが出来るものと考えております。
 このため、生産者が自ら生産した農産物を輸出することについても、相手国の輸入や検疫等の諸手続の許可が得られ、国内法を遵守している場合については、その可能性はあるものと考えております。
 しかしながら、食料は、人間の生命の維持に欠くことの出来ない基礎的なものであることから、不測の要因により需給がひっ迫するような場合においては、国民の安定供給を確保することに障害となるような輸出につきましては、国において、制限を課すべきものと考えております。

(四)食料輸出の規制について

小野寺委員

 もう少し話をわかりやすくしたいと思いますが、
 もしその所有者が自国の国にその農産物を送るという行為に出ても、現在の法や制度でそれを阻止する術はあるのか無いのかお教えください。
(政策調整担当課長)
 食料の輸出規制等についてでございますが、
 お米につきましては、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づきまして、供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、適正かつ円滑な供給が相当の期間、極めて困難なときは、国は、この法律に基づきましてお米を生産した生産者に対しまして政府に売り渡す命令をすることが可能となっております。この措置によって、輸出を制限できると考えております。
 また、お米以外の食料につきましては、「国民生活安定緊急措置法」に基づきまして、国は特定地域において、食料の供給が不足することにより、その地域の生活の安定又は地域経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害される恐れがある場合については、その食料の生産者に対しまして売渡先を定めて指示することが出来るようになっております。
 また、さらに、「外国為替及び外国貿易法」に基づきまして、我が国の平和及び安全維持のために必要があるときは、特定の貨物を輸出しようとするものに対しまして、輸出の承認を受ける義務を課すことができることから、結果的に輸出にある程度の歯止めをかけることが可能ではないかと考えているところでございます。

小野寺委員

 歯止めとおっしゃいますけれども、基本的にこの法律を読むと指示をするだとか、ということで実際に拘束力は何もないと言うことで、私はそういう農地を所有している方が自国に農産物を送るということに関して、米以外は全く無力であるというふうに考えているところでございます。

(五)農地取得要件の緩和に対する道の認識について

小野寺委員

 次に、TPP今話題になっておりますが
 TPPに関連して、「食と農林漁業の再生実現会議」においては、一般企業による農地の権利取得のハードルを下げるべきと言った議論がなされております。
 私はこれについては反対の立場を取りますが、これに対する道の認識と対応についてお伺いしたいと思います。
(農地調整課長)
 農地取得要件の緩和に対する道の認識についてでございますが
 本年1月に開催されました「食と農林漁業再生実現会議幹事会」の有識者ヒアリングにおいて、「農業生産法人についての規制が企業参入を阻害しているため、農地取得条件を緩和すべき」といった意見が出されているところでございます。
 また、これまでも全国の経済団体から、一般企業による農地取得など、農地に関する規制の緩和の要望が出されてきたところもございました。
 しかしながら、平成21年12月に施行されました農地法の改正によりまして、一般企業も農地の貸借によって農業参入が可能になったところでございまして、一般企業や農外からの就農希望者の参入を阻害している状況にはあるとは考えてございません。
 また、農業生産法人における関連事業者の議決権割合の引き上げは、実質的に出資企業による農地所有と同様な効果に結びつきかねないものと考えておりまして、農地法の再改正の必要はないものと認識してございます。
 道といたしましては、一昨年の12月に施行されました改正農地法の効果が未だ明らかになっていない段階で、拙速な法改正が行われないよう、関係団体と連携いたしまして、国に求めてまいりたいと考えております。

小野寺委員

 私も全く同じ考えでございます。
 先ほどもご答弁いただきましたように、その土地で出来る農作物は外国に輸出をされる場合に何ら米以外は抵抗出来ないと阻止できないと考えると食料自給率にも大きく影響する訳でございますし、こういうハードルを下げると言うことは、本当に多くの外資系の企業が日本の農地を所有する危険性もはらんでいる。
 買ってもいい状況というのは多分輸出はしてはいけないとか、ある程度法整備だとか制度をしっかりと固めた上でならわかりますが、今の状況ではあまりにも無防備すぎることで国に対してはしっかりとこの点を要望していただきたいというふうに思います。

小野寺委員

次に

(六)所有権の取得動向の把握について

小野寺委員

 外国人や外国資本による農地所有権の取得動向について、早急に北海道として実態を把握していく必要があると考えますが見解をお伺いします。
(農政部長)
 外国人等によります農地所有動向の把握についてでございますけども
 先ほどからも申し上げておりますけれども農地法では、農地法では法要件を満たし適正に農地を利用して地域農業の発展に寄与するものであれば、外国人等であっても農地の権利を取得することに制限を設けていないということで、農地の権利移動の許認可等に係る申請時や現在行っている実態調査におきましては、外国人等による農地取得かどうかの把握はしてきていないところでございます。
 しかしながら、国際化がますます進展していく中で、今後とも、北海道農業が、国民に安定的に食料を供給していくためには、その基盤となる農地につきまして、取得の実態を適切に把握することが必要であるというふうに考えております。

(六)-再

小野寺委員

 所有権の取得動向の把握について
 確認したいんですけれども、「実態を適切に把握することが必要であると」ということは、道として「実態を把握する」調査を行うという理解でよろしいのでしょうか。
(農政部長)
 取得動向の把握についてでございますけども
 さきほどからも申し上げておりますように
 北海道農業が、国民に安定的に食料を供給していく役割を果たしていくうえで、その基盤となる農地について、取得の実態を的確に把握することが必要と考えておりますので、今後、外国人によります所有権の取得動向につきまして調査してまいりたいと考えております。

(七)外国人等が関与する農業生産法人の実態把握について

小野寺委員

 次でございますが
 現行制度では、一般企業も一定の条件のもと農業生産法人への出資の形で経営参画ができるようになっております。
 今の時代あたかも日本企業に見える企業でありながら、実は、外国資本が相当に入っているというケースもあるというふうに思います。
 こうした法人についても実態を把握すべきだというふうに考えます。非常に難しい問題だということは解りますけれども、国民、道民の生命を守るという意味でしっかりやるべきだと考えますが見解を伺います。
(農政部長)
 外国人等が関与します農業生産法人の実態調査についてでございますけれども
 外国人等による農地取得と併せまして、外国人の資本が入っている農業生産法人の実態につきましても、適切に把握する必要があると考えております。
 しかしながら、委員ご指摘のとおり現行の農地法の規定では、農業生産法人に出資している関連事業者(一般企業)の資本構成や役員の構成の報告を法律上では求めていないことや、関連事業者につきまして情報が十分公開されていないケースも多々ありますので、こういったことも含めて具体的な把握方法等については、今後検討してまいりたいと思っております。

(八)北海道土地・水対策連絡協議会との関係について

小野寺委員

 私の最後の質問でございますが
 今、総合政策部を中心に、水資源の保全などに係る条例制定に向けた検討が進められているところでございます。
 また、各部横断的に設置されている「北海道土地・水対策連絡協議会幹事会」でも様々な議論がなされていると聞いております。
 私は、この問題は食糧を守るという意味でも、農地を守るという意味でも同じテーブルで議論すべきだというふうに考えておりますが、見解を伺います。
(農政部長)
 北海道土地・水対策連絡協議会での議論についてでございますけれども
 農政部としても、この協議会のメンバーとなっております。
 現在、この協議会の水資源幹事会においては、森林などの土地取引に係る所有実態の把握手法などを検討しているものと承知してございます。
 農政部といたしましても、農地についても森林と同様の検討が必要と認識しておりますので、関係部と十分に連携を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。

小野寺委員

 北海道の土地は国土そのものでございまして、その中の農地というのは命に直結をしてます。
 道民の命が危険にさらされるということの無いように、国に対してもしっかり、問題のある部分はものを申して、北海道として道民の命を守っていただきたいというふうに思っております。
 ある自治体のある集落では、本州の企業が集落毎農地と山を買おうという動きがあります。
 これは、日本の企業かもしれませんが、もしかしてその企業が将来経営的に行き詰まったときに外国企業になってしまう可能性もはらんでいるということも考えると本当に農地を全力で守って頂きたい。
 このことをお願い申し上げまして私の質問を終わります。