ただいまホームページ移行準備中です。

こちらのホームページは2015年5月29日までのものです。

決算特別委員会第2分科会

平成21年11月10日

小野寺委員

 それでは、通告に従いまして、経済部に対して、アイヌ政策の質問をしてまいります。
 
私は、本年の第2回定例会でも、経済部所管の道のアイヌ政 策に関して質問をいたしましたが、その答弁の中で、知事は、7月中に事実関係の調査を行い、全体の状況を明らかにするとお約束されました。同時に、道民の 皆様方に説明責任を果たす、そういう決意も表明されたところであります。
 
そこで、以下、私が追及したアイヌ協会札幌支部に関する一連の不正問題について伺ってまいります。
 
まず、これまで、札幌高等技術専門学院とアイヌ協会札幌支部との間で締結された委託契約に基づき支払われた精算額について、事実と違う金額、つまり、き ちっと精算しないまま、契約額と同額で支払われた問題について、調査の結果が明らかになったと思いますので、それについての道の対応をお伺いします。
大崎人材育成課参事
 機動職業訓練の委託料についてでありますが、第2回定例会の議論を踏まえ、これまで、機動職業訓練の委託先であるアイヌ協会札幌支部の関係書類などについて、平成16年度から平成20年度まで5年間分の調査を実施したところであります。
 
その結果、関係書類の突合により確認できた平成19年度分及び20年度分につきまして、精算額と今回確定した額との間に47万3751円の差額が生じていることが認められたことから、その差額分について、現在、返還手続を進めているところであります。
 
今後は、領収書等の支出証拠書類を突合するなど、収支精算書の内容確認の徹底を図るとともに、収支精算に係るマニュアルを本庁が作成し、再発防止に向けて、全道の学院を指導してまいりたいと考えております。

小野寺委員

 道として、初めて、アイヌ協会札幌支部の方に47万3000円の返還を求めるということで、これに対する姿勢は私は高く評価をいたします。
 
次に、実施された機動職業訓練において、本来、届け出をしていた講師以外に、資格のない人物を講師として採用した件について、その事実関係をお伺いいたします。
大崎人材育成課参事
 機動職業訓練の講師についてでありますが、業務処理要領では、講師の資格について、職業訓練指導員免許等の国家資格を有する者、並びに、これらと同等以 上の能力を有すると学院長が認めた者のうち、指導員として適任と認められる者と定めているところでありますが、平成20年度の木工工芸科において、学院に 報告のないまま、3名の補助講師を採用しており、学院も確認を怠っていた事実が認められたところであります。
 
3名とも、過去の実績などを調べた ところ、訓練職種に関し、国家資格は有していないものの、他の講座等での指導経験を有しており、実習作品の完成度がほぼ例年と変わらないなど、明らかに講 師として適格性がないとまでは言い切れないものと考えておりますが、いずれにしても、業務処理要領に基づかない取り扱いを行ったことは問題があると認識し ております。
 
委託先であるアイヌ協会札幌支部に対して、講師については、事前に学院に報告することを求めている業務処理要領に基づき、適切な対応を行うよう注意するとともに、全道の学院に対しても、今後こうしたことがないよう、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

小野寺委員

 私は、それは非常に苦しい言いわけだというふうに思っております。確認もなく、免許がない者を講師として雇った、ただ、結果として、実習作品の完成度が ほぼ例年と変わらないというのは言いわけだと思っておりますが、今後このようなことがないように周知徹底を図ってまいるという部分に期待して、次の質問に 移ります。
 
道は、これまで、実習作品を訓練生に記念品として譲渡してきました。これは、あくまでも道が善意として行ってきたことであります。
 
しかしながら、この作品を支部が回収し、みずからの利益のために売却してきたとしたら、これは許せない行為であります。たとえ、道にとってこれが想定外の ことであったとしても、道にも責任はあるというふうに思います。札幌支部における取り扱いの実態と今後の対応についてお伺いします。
大崎人材育成課参事
 実習作品の取り扱いについてでありますが、アイヌ協会札幌支部では、これまで、実習作品についてリストを作成して管理し、一部の民族衣装については、行事や儀式の際に会員に貸し出すなど、支部活動に利用してきた実態が、このたび明らかになったところであります。
 
また、平成18年度の実習作品の一部について、札幌支部が売却し、支部活動に充当していた事実が認められたところでありますが、こうした取り扱いは不適切であったと考えるところであります。
 
今後、機動職業訓練の実習作品の取り扱いについては、例えば、すべての作品について道に移転させることとし、団体等から、行事や展示などで活用したいと申 し出があった場合には、作品の管理に関する厳格なルールを定めた上で、その作品を貸し出すこととすることなども含め、作品が売却されるようなことが再び発 生しないよう、徹底を図ってまいりたいと考えております。

小野寺委員

 この機動職業訓練についてですけれども、税金で、講師や助手の謝礼が払われ、場所も提供され、材料費も賄われ、しかも、訓練生に月に15万円以上のお金 が支払われている事業でございます。訓練生のつくった作品を札幌支部が売り払って利益を上げていたというのであれば、大問題でありますので、二度とこのよ うなことがないように、しっかりと監視をしていただきたいというふうに思います。
 
次に、訓練生に支払われた通所手当の問題についてであります が、この問題については、対象者があくまでも訓練生個人であり、交通機関への照会には本人の同意が必要なことは、2定でも議論になったところであります。 「正直者がばかを見る」というようなことでは、世の中は通らないと私は思っております。
 
道として、どれだけ汗をかいたのか、その結果、何人が同意をして調査に応じたのか。2定では、3割程度しか同意を得られなかったとしておりましたが、その結果と、同意を得られなかった方々についての今後の対応をお伺いします。
大崎人材育成課参事
 交通費の調査についてでありますが、これまで、平成19年度及び20年度の機動職業訓練受講者の40名を対象として調査を実施し、さらに、訓練手当受給 者で、かつ、交通機関を利用した23名に絞り込みを行い、理解を得るため、個別に自宅や事業所を繰り返し訪問するなどして、このうち、13名から調査の同 意が得られたところでございます。
 
交通事業者に照会した結果、4名が定期券を途中解約している事実が明らかになったところであり、この4名に関しては、支給済み額との差額について返還を求めることとしているところであります。
 
また、同意の得られていない残りの10名についても、引き続き、調査の同意が得られるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 
今後は、訓練手当支給要領を見直し、新たに様式を定め、毎月、委託先の業務処理責任者等が定期券を確認し、学院に報告させるなど、再発防止の徹底を図ってまいりたいと考えております。

小野寺委員

 4人の方のバス定期券等の不正受給が認められて、返還を求めるということでございましたが、先ほども質問の中で言ったように、この4名が「正直者がばかを見る」というような状況になることはしてほしくないわけでございます。
 
確かに、この4名のやったことは、社会的に見て余りよろしくないことだというふうには思いますが、もっと悪いのは、同意が得られない10名の者だと私は思っております。
 
この10名の方は、税金で職業訓練を受けさせてもらっているという意識が欠落しているように感じてなりません。これは非常に残念なことであります。万が 一、不正受給をしている一方で、この調査に同意しないのであれば、これは本当に悪質だと言わざるを得ません。道には、引き続き、しっかりと働きかけをして いただきたいということをお願いします。
 
次に、札幌高等技術専門学院の職員についてお伺いをします。
 
アイヌ協会札幌支部の委託料の問題については、札幌高等技術専門学院の職員が行った不適切な指導が大きな影響を与えたことは明白でございます。こうした職員に対して、どのような処分を行ったのか、あるいは行おうとしているのか、お教えください。
宮原労働局長
 職員に対する対応についてでございますが、札幌高等技術専門学院が行った機動職業訓練に関する委託料の額の確定に当たりましては、学院において形式的に 同額精算を行ってきたものと認められますが、契約額と精算額を同額に記載するよう学院から指示していた事例があり、また、精算額の根拠について十分な精査 を行っていなかったなど、職員の対応は適切さを欠くものであったものと受けとめており、道としての責任があるものと考えているところでございます。
 
現在、これを機に、全道の学院を対象に、アイヌの方を対象とするもののみならず、すべての機動職業訓練に関する事務処理の適正化を図るための確認調査を年 内を目途に実施しておりますことから、その調査結果を踏まえ、関係部とも協議しながら、適切に対応してまいる考えでございます。

小野寺委員

 札幌高等技術専門学院の職員が、契約額と精算額を同額に記載するように指示していたというのは大問題だと私は思っておりますが、今の答弁では、札幌高等 技術専門学院の中には処分相当の職員がいる、ただ、ほかの学院も調べなければならないので、もう少し時間をくださいというような意味合いだと解釈しました ので、ぜひ、処分者数についてもしっかりと把握して、しっかりと対処をしていただきたいというふうに思うところでございます。
 
次に、道と国の連 携についてでございますが、2定の議論の中で、機動職業訓練や職場適応訓練の実施に当たっては、北海道労働局と連携をして進めると答弁されましたが、今ま でどのような検討を行ってきたのか、そして、そうした検討を踏まえて、どう対応されようとしているのか、お教えください。
宮原労働局長
 国との連携についてでございますが、第2回定例会の議論を踏まえ、来年1月から札幌高等技術専門学院が実施する、アイヌの方々を対象とした機動職業訓練 につきましては、北海道労働局、ハローワークと協議を行い、より就職に結びつくことが期待できるOA基礎科に見直しを行ったところであり、今後、訓練生の 募集に当たっては、アイヌの方々に幅広く訓練が周知されるよう、ホームページの活用などを図っていくこととしているところでございます。
 
また、 職場適応訓練につきましては、ハローワークと支庁が合同で、訓練を実施する事業所を訪問し、訓練の実施状況や訓練生の通所状況などについて確認を行ったと ころであり、今後とも、国との連携を図り、制度の適正な運用に努めるとともに、就職が困難な求職者や事業主に対し、あらゆる機会をとらえ、制度の周知を 図ってまいる考えでございます。

小野寺委員

 これは非常に画期的なことだというふうに私は思っております。織布だとか木材工芸だとか和裁という科目があったにしても、本当に時代のニーズに合ったも のだったのかと考えると、このタイミングで、OA基礎科という、本当にアイヌの方々の就職に役立つ科目がふえたということで、これは私は高く評価をしてお るものでございます。しっかりとやっていただきたいと思います。
 
さて、私は、これまで、2定の議論を踏まえて、アイヌ協会札幌支部の一連の問題に対する調査の全容と道の対応について伺ってきました。
 
私は、ここで、こうした一連の問題が一部の支部だけで行われてきたことなのか、大きな疑問を持っております。そして、仮に、こうした問題が全道的かつ組織的に行われていたのであれば、これは大問題だと言わざるを得ません。
 
今回、札幌支部の件では、経済部が実際に調査に入り、初めて、アイヌ協会の支部に不適切な委託料を返還させるとの答弁をされましたが、今回の経済部の一連 の対応は、今までにない適切で迅速なものでありましたので、私は、部の勇気と行動力に敬意を表するところでございます。
 
しかし、残念なことに、私のところには、他の支部における不正行為に関する情報が多数入ってきております。私は、道議会議員として、こうした問題を放置するわけにはいかず、事実かどうか、確認をする必要があるのです。
 
アイヌ政策が大きく転換されようとしている中、北海道が、道のアイヌ政策を国で展開してほしいと主張している一方で、実は、北海道のアイヌ政策には不正の 疑いがある問題が数多く存在し、それらを道みずからが解決できないというのであれば、道が日本じゅうの笑い物になるのは必至であります。
 
そこで改めて、札幌支部以外の支部についての質問を行います。アイヌ協会釧路支部についてお伺いをしてまいります。
 
先般、アイヌ協会釧路支部が北海道アイヌ協会から脱退するという内容の報道がされました。同時に、別の新しい団体を立ち上げる計画があるとの報道もあった わけでございますが、これから、まさにアイヌ協会が一丸となって、アイヌ政策に取り組んでいかなければならないやさきの出来事でありましたので、私は非常 に驚きました。
 
この騒動の裏には、内部での対立などが取りざたされているところでございますが、実は、もっと大きな問題がこの裏に潜んでいるの だというふうに私は考えています。そこには、単に一部の不適切な取り組みというよりも、本部や他の関係団体を巻き込んだ大がかりな不正な構図が見え隠れす るからでございます。これが危惧だけに終わればよいと願わずにはおられません。
 
そこでまず、アイヌ協会釧路支部における訓練について伺ってまいりますが、アイヌ協会釧路支部や役員がこれまでかかわってきた、国の機動職業訓練や道の職場適応訓練の実績についてお伺いをいたします。
大崎人材育成課参事
 機動職業訓練等についてでありますが、アイヌの方々を対象とした機動職業訓練については、平成20年度まで、国の雇用・能力開発機構が実施しており、ア イヌ協会釧路支部が受託した訓練は、過去3年間では、平成18年度は1コースで受講者が7名、19年度は1コースで7名、20年度は1コースで6名の、計 20名となっており、今年度は、機構から業務委託を受けて、釧路高等技術専門学院が来年1月に1コースを実施することとしているところであります。
 
次に、釧路支庁及びハローワーク釧路が実施している職場適応訓練については、過去3年間では、地元の企業組合が訓練を受託しており、平成18年度は7名、19年度は5名、20年度は7名の、計19名となっているところであります。

小野寺委員

 そこで、職場適応訓練の効果についてお伺いをしたいわけでございますが、職場適応訓練は、言うまでもなく、障がい者などの就職が困難な方々に対して、ハ ローワークの受講指示に基づき、事業主に委託し、訓練修了後は雇用される見込みがあることを前提として行われるものであります。
 
私は、アイヌの方々に対する訓練が果たして本当に効果が上がっているのかどうか、疑問を持っております。
 
そこで、釧路支庁などが実施しているアイヌの方々に対する職場適応訓練での就職率はどうなっているのか、他の区分の方々と比較して多いのか少ないのか、お伺いをいたします。
大崎人材育成課参事
 釧路支庁管内における職場適応訓練での就職率についてでありますが、アイヌの方々については、平成18年度から20年度の過去3年間では、19名の方が修了し、就職者は1名であり、就職率は5.3%となっております。
 
一方、アイヌの方以外の障がい者等につきましては、この3年間で、14名の方が修了し、就職者は9名であり、就職率は64.3%となっているところであります。

小野寺委員

 アイヌの方々以外の障がい者等の就職率が64.3%なのに対し、アイヌの方々で健常者が多いと思うのですが、その方々の就職率が5.3%というのは、余 りにも低いと言わざるを得ません。これは、訓練を受けている方が就職する気がないのか、もしくは、受け入れ企業が受け入れるつもりがないのか、どちらかだ と思っております。これはしっかりと対応すべき問題だというふうに考えております。
 
次に、職場適応訓練の複数受講についてお伺いをしますが、お 聞きしたとおり、アイヌの方々の就職率は非常に低いということがわかりました。長年にわたって多くの税金が投入されているにもかかわらず、成果が上がって いないということであります。これでは、政策として問題があると言わざるを得ません。
 
アイヌ協会釧路支部によれば、毎年、多くの方が職業相談に行っておりますが、職場適応訓練を受講できるのは、その中のごく一部で、しかも、一度受けた方が何度も受講していると聞いているところでございます。
 
アイヌの方々の職業相談件数と職場適応訓練の受講者数についてお伺いをします。
 
また、釧路支庁などにおいて、アイヌの方々の複数受講はどういう実態になっているのか、お教えください。
大崎人材育成課参事
 職業相談数などについてでありますが、ハローワーク釧路によりますと、平成18年度から20年度までの過去3年間におけるアイヌの方々の新規求職申込者 数は、平成18年度が42名、19年度が21名、20年度が24名であり、この方々を対象とした職業相談の延べ件数は、平成18年度が198件、19年度 が169件、20年度が197件であり、釧路支庁及びハローワーク釧路が実施した職場適応訓練の受講者は19名となっているところであります。
 
このうち、複数回受講していた訓練生は、過去5年間においては、18年度は受講者数7名のうち4名、19年度は受講者数5名のうち4名、20年度は受講者数7名のうち5名であり、受講回数は、3回が4名、2回が9名となっているところであります。

小野寺委員

 今聞くと、3年間で大体550件の延べ相談件数があった、それで、受講者は19名しかいないということでございますが、その中で、13名の方が複数回受 講しているというのは、本当にこれでよいのか。私は、できるだけ多くの方に職場適応訓練を受けてほしいというふうに思っておりますし、やはり、制度上、問 題があると言わざるを得ないと指摘させていただきます。
 
次に、複数回受講に対する考え方についてお伺いをしますが、特定の人物の複数回受講については、以前から問題視をされてきました。
 
今回、多くの方が職探しに困っている中で、実は、職場適応訓練を受けているのは、その中のごく一部で、今回聞いたように、その多くの者は繰り返し受講をし ているという事実が明らかになりました。この点について、受講指示を出す国はどう認識しているのか、また、道はどのように対応しているのか、お伺いをいた します。
宮原労働局長
 受講指示に関する国の対応などについてでございますが、北海道労働局では、今年度から、公共職業安定所長が受講指示を行うに当たっては、原則として、職 場適応訓練を受けようとする事業所で過去に雇用されていないこと、過去に同一科目で訓練を受講していないこととの要件を設定し、適切に対応していくことと しております。
 
この要件設定につきましては、道と国の間で、訓練の実施状況について情報の共有を図り、意見交換を行った上でなされたものでござ いまして、新たな要件を厳格に適用することは、効果的な訓練のために極めて重要でありますことから、道といたしましては、今後とも、ハローワークと連携 し、訓練が効果的に運用されるよう努めてまいります。

小野寺委員

 ただ、抜け道があっては元も子もありません。例えば、ハローワークが近くにあるという状況も考えられますし、同じ事業主が複数の会社を持っている場合はどうなるのだというような問題もあると思っております。
 
できる限り厳格にこの制度が運用されるように、しっかりと制度設計をしてほしいと思いますし、私は、この点についてもずっとチェックをし続けるということは、ここで断言させていただきます。
 
次に、受講指示の考え方についてでございますが、複数回受講の問題はほかにもございます。過去に複数回受講していた者の中には、かなり高度な技術を身につけている者もいると聞いているところでございます。
 
平成20年度に職場適応訓練を受けている者の中に、既に平成15年度の時点で、アイヌ文化振興財団の伝統工芸複製事業で、講師として20万円以上もの講師謝金を受け取っている事例もありました。これと同様の事例はほかにもあるというふうに考えております。
 
このような者まで対象としていることに、私は大きな疑問を持っているところでございますが、過去にコンテストなどでの受賞歴があるような高い技術力を持った方の職場適応訓練の受講実績と、受講者の選定の考え方についてお伺いをいたします。
大崎人材育成課参事
 職場適応訓練の受講者の選定などについてでありますが、アイヌ文化振興財団により公表されている受賞者名簿と、職場適応訓練受講者名簿を照合したところ、平成18年度の受賞者1名が訓練を受講している事実があったところであります。
 
北海道労働局からは、職場適応訓練は、作業の環境に適応することを容易にさせることを目的としているものであり、受講に当たっては、その者が既に有してい る能力を踏まえるとともに、労働市場の状況を勘案し、適職につかせるためには訓練が必要と認められる場合に受講指示を行っているとの回答を得たところであ ります。

小野寺委員

 その労働局のコメントについてですけれども、何を言っているのだというふうに私は感じます。
 
本当に受講指示を適切に行っていたというふうに私 は思えないわけでございますし、本年度の受講生の中に、伝統工芸士みたいな資格を持っている方もいるやに聞いておりますので、そこら辺のことについても、 しっかりと確認をすべきだと思いますし、道としても、労働局のほうにこういう情報を出して、しっかりと働きかけていただきたいというふうに思うわけでござ います。
 
次に、職場適応訓練中の他の行事への参加についてお伺いをいたします。
 
職場適応訓練は、その対象が就職困難者となっているために、制度的にもかなりフレキシブルになっているようでございます。
 
中には、訓練期間中に、アイヌ文化振興財団の支援を受けて実施している支部の行事に、スタッフや観客として駆り出されているケースがあると聞いておりますが、こうした実態を道は把握しておられるでしょうか。
 
これが事実で、日常的に、訓練時間内にこういうことが行われているのであれば、明らかに訓練に支障を来すと考えますが、見解を伺います。
大崎人材育成課参事
 訓練生の行事への参加についてでありますが、平成21年度の訓練生1名が、支部行事の伝統儀式のイチャルパに参加していましたが、その日は、訓練が実施されていない日曜日であり、訓練に支障は来していなかったと承知しているところであります。
 
なお、この訓練は、事業主がハローワークに提出する職場適応訓練実施計画書に基づき実施されているところですが、道としては、ハローワークと連携し、訓練 場所を訪問するなどして、訓練内容の確認を行い、計画と乖離している場合には、適切な指導助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

小野寺委員

 先ほど、私は、北海道労働局の受講指示はでたらめだというような話をしましたが、実は、実名は言えませんが、特定の人物が、驚くことに過去10回も繰り返して職場適応訓練を受けている事実がわかっております。
 
しかも、訓練期間中に、何度も、財団の行事として、平日に本州に出張している訓練生がいるという疑惑もあるわけでございます。もし、これが本当であれば、 訓練手当を受けながら、さらに財団から謝礼等のお金をもらっているということになりますので、これは大問題となるはずであります。
 
アイヌ政策と、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の事業は、そのかかわりが非常に強く、密接にかかわっております。
 
私は、今まで、アイヌ協会釧路支部の職業訓練に関連した質問を行ってまいりましたが、先ほど私が質問した、この支部の行事のイチャルパという伝統儀式は、 この財団法人からも多額の補助金を受けて実施されておりますが、補助金を受けるに当たって、補助対象人数を水増しするといった不正も取りざたされていると ころでございます。
 
このほかにも、財団からは、アイヌ協会の各支部にさまざまな支援を与えており、その事務処理についても、極めて不透明な部分が多々見受けられるところでございます。もし、これらが事実だとすれば、本当に大問題であります。
 
私のところには、関係者から多くの情報が寄せられておりますので、決算特別委員会において、平成20年度の本道のアイヌ政策が決算を認定するに値する政策であったのか、この機会に、すべての疑惑について解明をする必要があるというふうに考えております。
 
道アイヌ協会や財団の所管部は、総務部、環境生活部でございますので、この場で質問することは差し控えますが、釧路支部に関連したこれらの問題は、経済部 にとどまらず、多くの部に関連をしていることから、この件については、総括質疑において改めて知事に伺いたいというふうに考えておりますので、委員長、お 取り計らいのほどをよろしくお願い申し上げます。
 
最後に、職業訓練に関する一連の問題に対しての部長の決意を伺います。
 
アイヌ協会釧 路支部の問題については、組織的な関与が疑われており、全庁的な問題として、先ほど申し上げましたように、財団法人の問題を中心に、知事に対して総括質疑 で質問をさせていただきますが、経済部としても、これを一部の支部だけの問題としてとらえてよいのか、私は疑問に思っているところでございます。
 
単に、札幌支部や釧路支部だけが起こした問題として終わらせるのではなく、疑わしいところはしっかりと調べて、実態を把握した上で、これを改善しなければ ならないはずであります。その上で、今後のアイヌ政策に取り組むべきと私は考えますが、部長の決意を伺って、経済部に対する私の質問を終わります。
渡辺経済部長
 今後の、アイヌの方々に対する職業訓練についてでありますが、アイヌ協会札幌支部に関する御指摘につきましては、委託料の精算や、実習作品の処理などに おきまして、不適切な取り扱いがなされており、また、札幌高等技術専門学院の事務処理にも問題が見られ、道としても責任があるものと考えております。
 
今後は、委託料や交通費に関する返還事務を進めるほか、補助講師や実習作品の処理も含め、不適切な取り扱いが再発しないよう、必要な対策を講ずるとともに、全学院に対し、適正な事務処理が行われるよう徹底してまいる考えでございます。
 
道といたしましては、1人でも多くのアイヌの方の就職に結びつけるべく、訓練の効果的な推進を図ることが何よりも重要と考えておりますので、道内の訓練の 実施状況等について不断の把握に努めながら、釧路管内を含め、機動職業訓練及び職場適応訓練が、ハローワークとの連携のもと、適切に運用されるよう徹底す ることはもとより、訓練にかかわる公費の適正な支出が確保されるよう、改善すべき点は改善するなど、今後とも、訓練の効果的な推進に向け、努力を尽くして まいります。

小野寺委員

 最後に、部長から、道内の訓練の実施状況等について不断の把握に努めるという答弁をいただきましたが、これは、実質的に、全道の職業訓練等について調査 をすると言っているのと一緒であるというふうに私は解するところでございますので、しっかりと行っていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わ ります。
 
ありがとうございました。