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平成23年第1回北海道議会定例会 予算特別委員会

平成23年第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(保健福祉部所管)
開催年月日 平成23年3月2日(水)
質問者 自民党・道民会議 小野寺 秀 委員
答弁者 保健福祉部長 高橋 幸雄、地域福祉担当局長 中野 孝浩、障がい者保健福祉課長 坂本 明彦

一 道立聾学校における乳幼児相談室について

小野寺委員

 それでは、道立聾学校における乳幼児相談室について質問をしてまいります。
 道立聾学校には乳幼児相談室がありますが、この事業は保健福祉部から道教委に委託している事業であります。

(一)乳幼児相談室の目的について

小野寺委員

 まずお伺いしますが、この事業の目的をお教えください。
障がい者保健福祉課長
 乳幼児相談室の目的についてでございますが、「乳幼児相談室」は、「子ども発達支援事業」の一環として、0歳から2歳までの聴覚に障がいの疑いのある乳幼児とその保護者の方々に対する個別の指導や遊びなどのグループ活動をとおした相談・療育事業として、7か所の道立聾学校において行っているものでございます。
 この乳幼児相談に来られる多くの保護者の方々は医療機関から紹介されて来られてきていることから、聞こえに不安を抱く保護者の方々に対し、お子さんのコミュニケーションに関する不安を取り除くため、個々のお子さんの聞こえの状態や発達の状況にあったコミュニケーション手段の選択や活用のために日本手話をはじめとする手話や聴覚口話などの多様なコミュニケーション手段に関する情報について提供を行っているところでございます。

(二)保護者からの苦情等について

小野寺委員

 つまりこの事業でございますが、子どもの聞こえに不安を持つ保護者の方々に日本手話や聴覚口話といった情報を分け隔てなく情報提供するいわゆるインフォームドコンセントをしっかり行って、どの手法を選択するのかを親御さんたちに選択してもらう非常に重要な事業だと認識しておりますが、次に伺いたいのですけれども、この事業に対しては、永年に亘って保護者から苦情や要望が学校にあがってきたはずであります。
 それらは何年から何年までどのような形でどのような内容であったのかお教えください。
障がい者保健福祉課長
 保護者からの要望等についてででございますが、道教委等に対する保護者の方々からの要望は、平成19年度から毎年度行われ、今年度までの5年間で道教委に対し、2回、札幌聾学校に対し6回、旭川聾学校に対し1回、合計9回、文書であったものと承知しているところでございます。
 その内容といたしましては、いずれも手話等、多様なコミュニケーション手段に関する適切な情報提供に関する要望内容でございまして、文書のほか、口頭により、同じ趣旨での要望も数回あったものと聞いているところでございます。

(三)苦情等に対する認識について

小野寺委員

 これは事業の根幹に関わることだと思いますが、毎年適切な情報提供がされていないという苦情が毎年毎年寄せられていたと、これは非常に驚くべきことでありますが、そこでお伺いしたいのですが、これらの苦情や要望を出し続けた保護者さんは、ずっと毎年この事業に裏切られ続けてきたということで、非常に問題だと思っておりますが、この点について、保健福祉部はどのように考えているのかお聞かせください。
障がい者保健福祉課長
 情報提供不足に対する部としての認識についてででございますが、乳幼児相談室を効果的に行うには、聴覚に障がいのある乳幼児の実態に合わせました「日本手話」や「日本語対応手話」、さらには「聴覚口話」などのコミュニケーション手段に関する情報を一部に偏らずに保護者へ提供していくことが重要であると認識しておりますが、道教委や聾学校の現場におきましてて、保護者の方々から、情報提供に対する要望が繰り返し行われていることは適切さを欠いた対応と考えているところでございます。

(四)事業に対する評価について

小野寺委員

 適切を欠いた対応だけで済むんですかね。実際にこの事業の趣旨が根本的に損なわれていたということでございますが、この事業は昭和63年から事業化されたものでありますが、なぜ、この事業においてこのような状況が続いてしまったのか、私は不思議でしょうがありません。
 これには原因があるのでしょうが、これは後ほどただすといたしまして、まず、この事業に対する事業評価はどのようの行われていたかお聞かせください。
地域福祉担当局長
 事業に対する評価についてでございますが、乳幼児相談室につきましても、毎年度の事業評価や予算要求のプロセスの中で、評価を行いまして、障がい者自立支援法など、関連法の改正等の動きを踏まえながら、道の果たすべき役割や効果的・効率的な事業を実施する観点で適宜必要な見直しを行いながら事業を実施していくとしているところでございます。
 ご指摘のあった、様々なコミュニケーション手段の情報提供が一部の学校におきまして十分に行われていなかったことなどを把握もできていない中で、評価を行うことや聾学校に事業の執行を委ねてきましたことは、担当部として大変に反省すべき点があったと考えるところでございます。

(五)情報提供の不足に対する認識について

小野寺委員

 例えがいいかどうかはわからないですけれども、建設部の事業で建物が建っていないのに建ったみたいな事業評価をしてきたということでございますから、これは非常に反省すべき点があるなと思いますが、そこでお伺いしたいのですけれども、このような苦情、これが出し続けられていたこということは、この事業の最も大切なインフォームドコンセントがずっとなされていなかったことを意味する訳でございます。
 この点について部はどのように考え、どのように反省しているのかお聞かせください。
地域福祉担当局長
 情報提供不足に対する認識についてでありますが、乳幼児相談室につきましては、聴覚に障がいの疑いのある乳幼児に対する相談や療育に関わる業務が一貫したシステムとして取り組まれることが望ましいとの観点で事業展開の基本的な考え方については、当部が示し、聴覚障害児教育を担う道立聾学校におきまして、事業執行がなされてきたものでございます。
 このため、具体的な実施方法や内容等についての検討、また、調整の多くを道教委等に委ねてきたことや本事業の課題や実施のあり方など、道教委との連携が十分でなかったことなどにより、ご指摘いただくことは子どもの療育事業の一環として予算化した当部として十分、反省しているところでございます。
 今後におきましては、逐次、執行状況の把握に努めるなど、道教委等と部としても積極的に密接な連携を図りながら、定期的な意見交換等を行う中で、委員ご指摘の点も踏まえまして、事業のより効果的な実施に向けて努力してまいりたいと考えております。

(六)聾学校への調査について

小野寺委員

 この原因はどこにあったんだという話に移りますが、道は今後このようなことが起こらないようにすべきというのは当然でありますが、問題の実態を把握するために聾学校に対して調査を行ったはずであります。
 この調査はどのように行われて、結果はどうだったのかお教えください。
障がい者保健福祉課長
 聾学校に対する調査についてでございますが、教育現場におきまして、コミュニケーション手段等に関する情報提供が十分でなかったことは、当部として誠に遺憾であり、委員からの指摘なども踏まえまして、障がい者保健福祉課と道教委の特別支援教育課の事務担当者や聾学校長会の代表者を構成員とするワーキンググループを設置いたしまして、聾学校の情報提供の状況や療育の状況等に関し、乳幼児相談室を利用している保護者の方々88名全員へのアンケート調査及び各聾学校に対し、事業内容等の調査や実地訪問による検証を行ったところでございます。
 その結果、保護者の方々からは、「親の心が軽くなるいい乳幼児相談室である」といった、事業に対して、一定の評価をいただいている一方、「日本手話に関する情報がない」といった意見があったほか、実地訪問をするなかで、一部の聾学校におきまして教職員が日本手話を説明したDVDを、保護者が自由に活用できない場所に保管していた事実も明らかになるなど、情報提供に関する指示が徹底されず、十分な説明が行われていない部分もあったと認識しているところでございます。

(七)問題が改善されない原因について

小野寺委員

 この調査で日本手話に関する情報がないといった意見があること事態、非常に驚きでございますし、さらに教職員が日本手話の説明をしているDVDを隠しているともとられるような行動を取っていたというのは、そう思われても仕方がないような行動をしているということは、私は非常に遺憾でございますが、この調査によって、これらの問題が何ら改善されずにきたと、この事業が何年間もそのような状況で行われ続けてしまった原因についても、調べたはずでありますが、その点はどこにあったのかお聞かせください。
障がい者保健福祉課長
 改善されていない原因についてでございますが、今回の調査などから、その原因として保護者の方々との意思疎通不足などにより、学校側の認識が十分ではなかったと考えているところでございます。
 具体的には、これまで全聾学校に対しまして、道教委とともに作成した様々なコミュニケーション手段を紹介するパンフレットやDVDの活用など、情報提供の重要性について文書により通知を行ってきたものの、一部の聾学校において校長からの指示が十分ではなく、教職員の情報提供に対する意識が低かったこと。
 さらには、「乳幼児期にきちんとした情報が与えられないのは疑問」といった保護者の方々からの意見もあり、担当窓口である教職員が保護者の方々が求めるニーズや本事業の趣旨を十分に理解していなかったことも原因の一つと考えているところでございます。

(八)今後の対応について

小野寺委員

 担当部の皆さんがいくら一生懸命やろうとしても、道教委の認識が低いと、校長もしっかりと指示を出さないと、挙句の果てに担当窓口の教職員がこの事業の内容を理解していなかったということで、本当にお話しになりません。
 私は、聴覚口話法を否定したことはありません。しかし、相談室で一部の教員が意図的に保護者に対し、日本手話等の方法を与えずに聴覚口話法の情報だけを与え続けていたとしたら、私は大問題だという風に考えます。
 そもそも聴覚口話法に関しましては、私が以前議会で明らかにしたように、不適切な教員によるオーストラリアの人工内耳メーカーの海外研修に参加した事例もあるはずでして、私はこの問題と今回の事例は無関係でないと考えております。
 そもそも教育長が、「日本手話を使った教育を行なって本道の聾教育を日本に誇れる聾教育にする」とまで答えているわけですから、しっかりと日本手話に対するインフォームドコンセントを行うのは当然であったはずであり、本事業においてそれがなされていなかったということは私には非常に遺憾であります。
 しっかりと説明を受けられなかった保護者さんや子どもたちに対して、私は本当に申し訳なく思っておりますし、できるだけ早くこの状況を改善すべきだという風に思っております。
 この事業において、しっかりと事業の目標が達成されるように、今後、部としてどのようにしていくお考えなのか、これを最後にお聞きして私の質問を終わります。
保健福祉部長
 今後の対応についてでございますが、2月18日に開催いたしました「北海道発達支援推進協議会」から「保護者と職員の行き違い、とらえ方の違いを少なくするため、日頃から関係者のコミュニケーションを図る。」などといった今後の方向性についてのご意見をいただいたところであり、まずは、これらのご意見やアンケートでいただいた保護者の皆様方からのご要望なども踏まえ、速やかに、手話等のコミュニケーション手段の全てを保護者に必ず提供することなどについて、道教委を通じ全聾学校に対し、再度指示を徹底してまいりたいと考えております。
 また、聴覚に疑いのあるお子さんや保護者の方々が職員と信頼関係を築くなかで、適切な情報提供が講じられるよう、道教委に対し強く要請してまいりますとともに、各聾学校の取組については適宜把握、検証し、必要に応じて聾学校への実地調査なども行っていく考えであります。
 さらに、様々な選択肢に関する情報が一部に偏ることなく的確に提供するため、各聾学校に委ねている説明資料や説明方法について統一化を図るなかで、道教委とも連携し保護者の方々からのご意見を聞く場も設定しながら、適切な情報提供に努めてまいります。
 いずれにいたしましても、より効果的な事業展開を図るため、道教委、各聾学校と密接に連携し、保護者の方々に対する適切かつ的確な情報提供に努め、聴覚に障がいがあるお子さんに対する支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

小野寺委員

 この問題は、保健福祉部がいくらしっかりやろうとしても、聾学校、教育現場がこの体たらくでは無理だという風に思いますし、この問題、幼稚部における教育に直結していることから、この部分についてもしっかりとチェックをしていただきたいと思います。
 本道の聾学校で学ぶ子どもたちの未来を明るいものにしていただけることを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。