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平成24年 第2回北海道議会定例会 予算特別委員会第2分科会

平成24年 第2回北海道議会定例会 予算特別委員会第2分科会
平成24年7月3日(火曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 アイヌ問題について

(一) ABC講座の再確認状況について

1 国との協議の状況などについて

小野寺委員

 先日の本定例会の一般質問において、私はアイヌ民俗文化財伝承事業いわゆるABC講座に係る再確認状況について質問いたしましたが、その中で、道教委は、「今回の再確認の結果、不適切な事案が確認され、現在、これらについて国庫補助金の返還等の協議を進めている」との答弁がありました。
 そこで、これまでの協議の状況と今後の見通しについて伺います。
文化財・博物館課長
 国との協議の状況などについてですが、道教委では、アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業に係り、前回までの調査において、不適切な事案がなかったとした10支部について再確認作業を行ってきたところであり、本事業を所管する文化庁に対して、必要の都度状況等を報告してきたところです。
 そうした中、先般、文化庁が平成16年度から20年度の事業について確認のために道教委を訪れ、委託契約締結前の事業執行に伴う経費の支出、過払いとなっている講師謝金などのほか、講座実施日の修正を指示した支部内部のメモ、本部から指示されたとする内容を支部担当者が記録したメモ、などの不適切な事案に係る証拠書類やメモの写し等について、確認したところであり、現在、道教委と文化庁との間で、国庫補助金の返還金等の確認、精査作業を進めているところです。
 今後、文化庁において返還額の確定がなされ、道に対する返還命令があり次第、道教委としては、適切に対処してまいります。
2 今後の対応について

小野寺委員

 今、文化庁との間で確認、精査作業中ですので、これ以上詳しく言及しませんが、おかしな領収書あるいは疑いのあった事例は、不適切な事案がなかったとした10支部の半分以上に当たると思っております。
 本部の指示があったから不適切な事案がなかったとした支部があったとしたら、大問題であると私は思っておりますので、次の質問に移らせていただきます。
 今後の対応についてお尋ねします。
 本事業に関して、これまで二度にわたる不正が発覚し、その度に委託料の返還を行っており、今回、道教委が行った再確認により、返還金が生じることになれば三度目ということになります。
 こうした事態を踏まえ、さらに本部が支部に報告書の改ざんを指示していたとしたら、その罪は極めて重いと言わざるを得ません。
 道教委として、今後、受託者であるアイヌ協会にどのように対応するのかを伺います。
生涯学習推進局長
 今後の北海道アイヌ協会への対応についてですが、本事業に関わり、今回の再確認において、これまで不適切な事案がないとしてきた支部について、新たに不適切な事案を追加して確認する結果となり、こうした事態に至ったことを重く受け止めております。
 道教委としましては、今回の再確認の結果を踏まえ、本事業の受託者であるアイヌ協会から、これまで提出されている改善策についての検証を行ったうえで、必要な追加の対策を講ずるなど、指導を徹底するとともに、国との協議の終了後においては、アイヌ協会に対して、再度厳重注意を行いもに、こうした事態が繰り返されることの重大性を理解したうえで、責任の所在を明らかにするよう求めてまいります。

小野寺委員

 今までのアイヌの政策の問題で初めて、「責任の所在を明らかにするよう求めてまいる」という答弁を頂きましたので、これは、知事部局としっかり連携して対応して頂きたいと思います。

(二) 副読本の道立学校への配布について

小野寺委員

 小中学校向けの副読本【アイヌ民族:歴史と現在】について質問をさせていただきます。
 ここではっきりさせておきたいのは、昨日の予算特別委員会の第1分科会でも述べさせていただいたことですが、何やら巷では、私がこの副読本の内容を書きかえさせたというような話になっております。
 しかし、そもそもこのアイヌ文化振興財団が内容の書きかえを全国の教育委員会に通知した3月27日というのは、参議院での委員会の質問において、所管官庁の国土交通大臣が「誤解を招く表現である、私も思う」という旨の答弁をした日の朝であり、タイミングから見ても大臣答弁を知った財団が自ら取った行動と考えるのが妥当です。
 私にいろいろ文句を言っている方がおられますが、私に言うよりも民主党の国交大臣に文句を言ってもらいたいと、ここで強く申し上げまして質問に入りたいと思います。
 さて、アイヌ文化振興・研究推進機構が発行する副読本ですが、このことについては、先の一定の予算特別委員会において、副読本の内容について私が問題を取り上げ、道立の特別支援学校の小学校4年生と中学校2年生に配布をしているかどうか質問したところ、道教委は、「道立には配布していない。道立の盲学校、聾学校、の学校については、配布をしていないということを推進機構から聞いている」と答弁をされましたが、入手した資料では、特別支援学校の欄に、小学校144冊、中学校251冊配布と記されていることを知りました。
 改めて、事実をお教えください。
義務教育課長
 推進機構の副読本の配布についてですが、先の第1回定例会の予算特別委員会において、委員の質問について推進機構に問い合わせましたところ、道立の学校には配布していないとの回答があったことから、その旨を答弁したところです。
 このたびも指摘を受け、改めて知事部局を通じて推進機構に問い合わせたところ、道立の特別支援学校で小学部、中学部のある全41校のうち、学校名を養護学校としている30校のみに対して、小学部の4年生分、中学部の2年生分が送付されていたとのことでした。
 また、道教委において推進機構から送付したとされる学校で聴取をしたところ、30校のうち29校については副読本の受領を確認できましたが、1校については、受領記録も副読本もなく、受領の確認をできなかったところです。

(三)副読本の記述内容について

小野寺委員

 今の答弁でわかりましたが、道教委は前回の定例会の私の予算特別委員会の質問に対して、道立学校には副読本が配布されていないと答弁をし、その回答から副読本の内容については関与しないという姿勢を貫いてこられましたが、直轄しているはずの特別支援学校にアイヌの歴史に関する副読本が配付されているか否かすら把握していなかった道教委に私は心底驚いております。
 しかし、ここで前回の質疑において間違った答弁をしたことを責めるのではなく、もう一度道教委の副読本に関する考えや認識等について伺いたく思います。
 まず、アイヌ副読本が道立学校に配布されていたのであれば、道教委はその内容については関知しないとは言えないはずであり、アイヌ文化振興財団からも本の中に誤解を招く表現があり、修正を行うと道教委に通知文があった副読本の記述等について、道教委はチェックする必要があったのではないかと考えますが、見解を伺います。
特別支援教育課長
 副読本についてですが、この度、道立養護学校に副読本が配布されていたことが分かったため、改めて確認したところ、副読本の使用に当たっての事前の教育長への届出もなく、各学校に聴取しましたが、実際に活用されている事例はなかったところです。
 配布された学校においては、在籍する児童生徒の障害の程度が重く、重複している場合も多いことから、副読本の内容の理解が難しいため、活用されていなかったところです。

小野寺委員

 道立学校にて実際に児童生徒に配布されていたという事実は非常に重く、そこで活用されていたかいないかという問題以前に、配布されていた事実について私は話しております。
 昨日の私の第1分科会の環境生活部所管の質問に、環境生活部は「副読本は児童生徒への配慮、あるいは、分かりやすい表現といった点では、十分ではない点もあった」との答弁をしており、また北方担当大臣も「誤解を与える表現だと私も考える」という旨の答弁を参議院の委員会でしておりますが、なぜ本道の教育を担っている道教委が何の見解も持たないのか不思議でなりません。
 改めて、副読本の記述に関する道教委の見解を伺います。
学校教育局長
 副読本についてですが、本年度発行予定の副読本について、推進機構の編集委員会において、修整内容の調整を行っていると承知しているところですが、児童生徒への配慮、あるいは分かりやすい表現といった面では十分ではない面もあったからではないかと考えているところです。
 いずれにしましても、今後、知事部局において、分かりやすく適切な内容にする観点から、推進機構に助言・指導を行うと承知しており、道教委としても、知事部局とも連携しながら、学校教育を所管する立場で、適切に対応してまいりたいと思います。

小野寺委員

 ありがとうございます。
 私は何も副読本の内容がおかしいというふうに今まで追及をしたわけではありません。
 ある文章を読んで、AともBとも両方とれる文章が子どもたちにとってはふさわしくないというふうにずっと言っておりまして、その点においては道教委が見解を出してくれたということで非常に安心をしております。
 次の質問ですけれども、最後にこういう問題があったということを、道教委は「知らない」というわけにはならないと思っております。
 今回財団が内容を訂正する、しないで大きく揺れている、この副読本ですが、実際にその副読本を使って多くの児童生徒が学習をしてしまったという事実は非常に重たいと考えます。
 今後、この問題に対し、道教委はどのように対応していく考えなのかをお示しください。
学校教育局長
 今後の対応についてですが、今般、この度の確認で推進機構から、一部の道立特別支援学校にのみ配布されていたことについては、道教委としても送付に当たって事前の確認が十分ではなかったものと考えております。
 今後、知事部局において分かりやすく、適切な内容にする観点から、推進機構に助言・指導を行うと承知しており、道教委としましても、学習指導要領に基づき、活用できるかどうかを確認することなど、知事部局とも連携しながら、適切に対応してまいりたいと思います。

小野寺委員

 是非、よろしくお願いいたします。

二 学校給食について

(一)学校給食施設の改築について

小野寺委員

 学校給食について伺ってまいります。
 なぜ私がこの質問をするかなのですが、学校給食においては地元でそれぞれ色々な取組をするという動きがありますが、実際にその動きが【学校給食衛生管理基準】のしばりでなかなかうまく行かないという話も聞いているからです。
 そこでまず、学校給食施設の改築について伺いますが、学校給食を実施している道内672施設について、改築を考える市町村が多いというように思われますが、道教委では市町村が学校給食施設の改築を検討する際にどのようなことに留意すべきと考えているのかをお教えください。
健康・体育課長
 学校給食施設の改築時における留意点についてですが、道教委においては、市町村教育委員会が学校給食施設の改築等を検討する際には、適切な衛生管理のもと、安全に学校給食を実施することができるよう、文部科学省が定めた【学校給食衛生管理基準】に基づき、主に、【衛生的な場所に設置し、食数に適した広さとすること】、【ドライシステムの導入に努めること】、【施設内部の温度及び湿度管理を適切に行える空調等を備えた構造とするよう努めること】、【調理後2時間以内に食べることができるよう努めること】などに留意することが必要と考えております。

(二)学校給食衛生管理基準について

小野寺委員

 わかりました。
 ただ本当にここまで必要なのかなということを現場からもよく聞かれるところであり、実際に文科省が定める学校給食衛生管理基準があまりにも厳しく、弾力的な調理ができないというような声も聞くところです。
 【学校給食衛生管理基準】はどのような性格のものと理解すればよいのか、また弾力的な調理ができないものなのか、改めて道教委に伺います。
健康・体育課長
 【学校給食衛生管理基準】は、学校給食法の規定により、学校給食の実施に必要な施設及び設備の整備や、調理の過程をはじめ、学校給食の適切な衛生管理を図る上で必要な事項などについて維持されることが望ましい基準として定められたものであり、市町村教育委員会等の給食実施者は、この基準に照らして、適切な衛生管理に努めるものとされております。
 また、【学校給食衛生管理基準】等では、二次汚染防止の観点から、「野菜や果物などは、3層シンクを使用して流水で十分に洗浄すること」などとされておりますが、例えば、他県では、表面の汚れが除去され、割ったり、細かく切ったりせずに皮付きで提供する果物にあっては、地場産物の活用促進のため、洗浄回数を減らすなど、地域の実情に応じた取組を行っている事例もあるところです。
 このようなことから、道教委としましては、各学校給食施設が保健所とも連携し、安全性が確認された場合には、地域の自主的な取組が進めやすくなるよう、適切に指導・助言を行ってまいります。

小野寺委員

 答弁が長かったのですが、一点だけ確認したかったのは、この【学校給食衛生管理基準】というのは、あくまでも指針であるというように確認してよろしいのでしょうか。
健康・体育課長
 【学校給食衛生管理基準】は学校給食法の規定により、学校給食の適切な衛生管理を図る上で、必要な事項等について、維持されることが望ましい基準として定められたものであるので、市町村教育委員会等の給食実施者はこの基準に照らして適切な衛生管理に努めるものとされております。

小野寺委員

 ということは、維持されることが望ましい基準であり、必ずそれは守らなければならないというものではないということを確認してよろしいですか。
健康・体育課長
 【学校給食衛生管理基準】についてですが、市町村教育委員会等の実施者は、この基準に照らして、適切な衛生管理に努め、安全に実施するというものであります。
 ただしこの基準によらないものについては、保健所とも連携して、その具体的な事例を調査把握し、適切に指導してまいるということです。

小野寺委員

 これだけがすべてではないという答弁をいただければよろしかったのですが、次の質問に移ります。

(三) 大規模な調理場における学校給食の実施について

小野寺委員

 実際に大規模な調理場における学校給食の実施についてですが、大規模調理場では、配送する学校が多く、時間を要し、どうしても調理時間に制約があるということで、加工食品の使用の割合が多くなってしまい、魅力のある学校給食にならないというような話も聞いているところですが、道教委は、この大規模な調理場についてどのように考えているのかを伺います。
健康・体育課長
 大規模な共同調理場についてですが、共同調理場は、施設整備費や人件費等の財政負担が小さいなどのメリットがある一方で、単独調理場と違い配送に時間を要し、調理作業の時間が制約されるとともに、多くの学校に給食を提供することなどから、各学校や保護者からの献立に関わる要望にきめ細かく対応するといった面で、課題もあると考えております。

(四)大規模な調理場における食育について

小野寺委員

 なぜ、この大規模な調理場の質問をしたかというと、多分これから多くの地方自治体で給食センターの建て替えが行われるように思いますが、財政難の地方自治体が多い中でおそらく、一カ所でまかなえる給食センターを造ろうというような話も多数出てくるのではないかと思います。
 しかしそれではおそらく、文科省と道教委が進める食育という概念から見ると、非常に厳しい状況になると思っておりますし、文科省は自校式を推奨している点においても、本当にそういうような話になっていくのだろうかという疑念をもっているため、この質問をさせていただきました。
 実際に大規模な調理場では、受配する学校が多いために、栄養教諭が直接学校に出向いて、子どもたちに食に関する指導をするという時間も非常にないというように聞いております。
 道教委では、このような大規模な調理場を設置する市町村における食育の推進の課題等々がたくさんあると思いますが、どのように考えているのかをお教えください。
健康・体育課長
 大規模な共同調理場を設置する市町村における食育上の課題についてですが、共同調理場を兼務する栄養教諭は、複数の学校を担当していることから、各学校の食に関する指導に、時間的な制約があることや、学校との打ち合わせが十分にできないといった課題があると認識しているところです。
 このようなことから、道教委としては、国に対し、栄養教諭等の定数措置の拡充について要望しているところです。

(五) 地産地消の推進について

小野寺委員

 最後の質問です。
 地産地消の推進について、先ほども触れましたが、学校における食育を推進するためには、地産地消の取組が非常に大切であり、地元市町村で生産された食材を学校給食に使用し、生産者との交流を行うなど地元の農業や産業への理解を図ることが食育を推進する上で、大変に重要であることから、今後、食育の充実についてどのように道は取り組もうとしているのか、最後に教育長にお伺いをいたします。
教育長
 食育の充実についてですが、地場産物を取り入れた学校給食は、子どもたちに自然や文化、農業、水産業といった地域の産業等に対する理解を深めさせるとともに、郷土を愛する心を育ませるなど、学校における食育を推進する上で大きな教育効果が期待されているところです。
 道教委でも、これまで知事部局と連携し、生産者団体や学校給食関係者などからなる『地場産物活用促進検討会』を設置し、地域が抱えるさまざまな課題の解決策の検討に取り組んできたところです。
 こうした中、留萌管内においては、栄養教諭と生産者などが連携し、地元産の牛肉などを活用し管内統一の献立を作成したという取組も見られるところです。
 今後とも、全管内で実施する『栄養教諭を中核とした食育推進事業』などを通し、地域における組織づくりなどの実践事例の普及啓発を図るなど、学校給食における地場産物の活用を一層促進するとともに、給食の時間や各教科、総合的な学習の時間における生産者との交流など、さまざまな機会をとらえて食に関する指導がさらに推進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

小野寺委員

 今、教育長から答弁をいただきましたが、『地場産物活用促進検討会』なるものがあるということですが、実はこの件に関して、私は以前質問をしたことがございます。
 その際は和歌山のみかん農家の話をさせていただきました。
 みかんを3回、別々のシンクで洗って、最後はへたをとらないと学校給食に提供できないということから、和歌山の子どもたちは、和歌山で学校給食を食べる時に、自分たちのみかんを食べられずに、冷凍みかんを食べていたということで、和歌山のみかん農家が声を上げたという事例についてでした。
 最終的には今、和歌山では和歌山のみかんを提供しているというように聞いておりますが、このことは北海道にも当てはまると考えましたので、質問させていただきました。
 本当に、この農業王国・北海道の我々の子どもたちの給食に、我々の農産物が配給されているのかというは話をさせていただいたので、この検討会ができたというように私は考えております。
 今の答弁をずっと聞いていて、道教委としては、文科省のこの【学校給食衛生管理基準】を守るべきだという姿勢は崩さないまでも、この基準が明らかに、地産地消の足かせになっているんだとしたら、私はもう少し弾力的にこの基準を運用しなければ、このままでは北海道の農産物を子どもたちにしっかりと食べさせてあげられないままだと考えたため、あえてこの質問をさせていただいた次第です。
 実際に今まで道教委が発表していた、例えばお米に関する地産地消の割合も、魚介類色々、パーセンテージ9割以上というような話になっておりましたが、細かく調べると、稚内の子どもが函館の魚を食べていても地産地消ということでカウントしていたという事例がありますし、本当に地元のものを地元の子どもたちが食べられる、そういうような食育をしっかり進めていただきたいということをここで強くお願い申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。