第4回予算特別委員会第1分科会

平成18年12月11日-03号

小野寺委員

 それでは、時間がありませんので、端的に伺ってまいります。

 まず最初に、口頭審理が行われてきた期間──平成14年2月から17年9月までの間、86回開催されてしかるべきである定例会議がなぜ70回しか開催されなかったのか、お伺いいたします。

田雁総務審査課長

 定例会議についてでございますが、当委員会の議事規則では、「定例会議は、毎月第1週及び第3週の火曜日の午前10時から委員室において開催することを例とする。」とされております。

 しかしながら、現在就任をいただいている各人事委員につきましては有職者でございますから、運用上、各人の業務に支障を生じない日程を適宜調整しながら開催する方法をとっているところでございまして、その結果、審理事案の状況等の関係などから、このたびの事案で口頭審理が開催されていた3年7カ月の期間中において70回となっているものでございます。

 以上です。

小野寺委員

 規定で月2回という定例会議もまともに開催されていない、さらに臨時会議も開いていないということでございます。

 規定の中で、この2種類しか会議がないのですが、人事委員会がおっしゃっている協議というのはどういう規定になっているのか、どういう会議なのか、お教えください。

田雁総務審査課長

 協議についてでありますが、この協議につきましては、3委員の判断によりまして、最終的には委員会の会議に諮るための裁決の文案を作成するために行っているものでありますが、各委員が相互に自由な意見交換などを行う場として、任意に開催しているものでございます。

 以上です。

小野寺委員

 協議というのが任意ということがわかりましたが、人事委員会は3人の出席がなければ成立しないとされているところでございます。

 11回の協議において3名の出席があったことを証明できなければ、合議体としての意思決定を行ったと主張することはできないはずでございます。であるなら、3名によってこの協議なる会議が行われたという明確な証拠が必要であり、もしこれがないと、本件協議における大きな瑕疵であると私は思いますが、見解をお伺いします。

田雁総務審査課長

 協議における委員の出席についてでありますが、本件事案の協議につきましては、委員3名の出席によりまして、いずれも、人事委員会の開催日や他の不服申し立て事案の口頭審理などに合わせまして、それらの前後の時間を利用して行ったものですが、先ほども申し上げましたような考え方のもと、これまで、特に開催状況等を記録する扱いとはしていなかったところでございます。

 なお、協議の回数につきましては、事務局の業務を把握・管理するために作成されました日程表などから確認したものでございます。

 以上です。

小野寺委員

 このような重要な案件は3名で協議をしなければならないことは当然でございますが、その証拠もないということには非常に驚いております。

 次に、人事委員会の権限についてお伺いをいたします。

 さきの質問で、同僚議員が、人事委員会が憲法判断をしていると追及いたしました。人事委員会は、事実行為のみを判断したもので、違憲立法審査権の行使はしていない旨の答弁を繰り返しております。

 私は、卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱について判断する時点で既に学習指導要領を判断することであり、大問題だと考えておりますが、ここでは、時間が限られておりますので、別の質問をいたしたいと思います。

 人事委員会は、事実行為のみを判断したと答弁しましたが、裁決の中では、明らかに国旗・国歌について判断をしているものでございます。

 そこでお伺いしますが、事実行為でない国旗・国歌について違憲かどうかを判断することについてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

金野人事委員会事務局長

 国旗・国歌が違憲かどうかの判断についてでございますが、日の丸、君が代自体につきましては、委員が御指摘のとおり、事実行為ではございません。

 国旗や国歌が憲法に反しないかどうかの判断についてでございますが、今回の事案では、そのことに関して当事者からの主張がなされましたので、その主張に対して判断を行う必要があったことから、このたびの裁決で述べることとしたものでございますが、人事委員会がこのような判断を行うことについては可能であると考えているところでございます。

小野寺委員

 再質問いたします。

 可能であるというふうにお答えいただきましたが、人事委員会は、人事委員会が特定の法律を違憲か否かを判断することは望ましくないという水戸地裁の判例を遵守している、そういう姿勢を見せていただきましたが、では、国歌の可否は、元来、裁判所の司法判断に適合しないものであるとした平成4年の京都地裁の判決並びに同趣旨であります平成8年の大阪高裁の判決をどのようにお考えになるのか、お伺いいたします。

金野人事委員会事務局長

 御指摘がございました地裁及び高裁の事例についてでございますが、君が代を録音するために市販のテープを購入した公金支出の是非などが問われたものと承知してございますが、このたびの事案におきましては、請求者から、国旗・国歌については憲法等に反する旨の主張がございましたので、最終的には、委員の合議により、このことについての憲法判断が必要であるといたしまして、裁決において述べることとしたものでございます。

小野寺委員

 私が言っているのは、国歌そのものの判断をしてはいけない、それは司法判断に適合しないという判例があるということを言っているのでございます。それを判断してしまったということで、ここで確認をさせていただきます。

 次に、人事委員会の処分取り消しの判断についてお伺いをいたします。

 まず、本件における教職員の行動についてでございますが、処分取り消しの根拠の一つとして、抜き打ち的に校長が国歌を演奏しようとしたとされておりますが、校長は、式典の当日の朝まで、卒業式で国歌を演奏したいという主張は譲らなかったこと、また、もし校長が国旗の掲揚や国歌の斉唱を強行した場合にはどのような行動をとるのか、組合の中でしっかりと話し合いがされていたこと、既に、学事報告の中の式次第で国歌斉唱と印刷されていたことは、当該教員を含め、組合全体が知っていたこと、当該教師が、CDラジカセを式典前に教頭が会場に持ち込むのを目撃していたこと、当日の式典会場に、労使の打ち合わせでは行わないとされていた国旗が既に設置をされていて、この時点で労使確認は破られていたという事実があること、これら等々の事実が明らかになっている、そういう状況で、校長の行動が抜き打ち的だったと断定した理由をお教えください。

市原人事委員会事務局次長

 お答えいたします。

 抜き打ち的であるとの表現についてでございますが、このたびの裁決では、校長が、国旗・国歌の取り扱いに関する学校としての方針を明確にせず、国歌を演奏することとした場合に必要となる式次第の変更等についても具体的な指示等を一切行わず、君が代を演奏しようとしたことが抜き打ち的であると判断したものでございます。

小野寺委員

 この教師は、既に、そうするかもしれないと予見をしていたわけで、抜き打ち的という表現はふさわしくないと私は思っております。

 次に、この教員の行動についてでございますが、卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱は違憲、違法であるという教育上の信念に基づくものであり、式の進行を妨げることを目的としなかったという理由を挙げております。

 しかし、そうであるなら、この教師は、国歌斉唱については、式典最中にこれを妨害しようとする暴挙に出たわけでございますが、そもそも、式典会場に掲揚されていた国旗をまず撤収しようとして当然でございます。同教師がこのような行動に出たという教育上の理念そのものの定義が間違えていると私は感じております。影響が多いと容易に予見できる式典最中にあえて妨害行動に出たとも考えられるのではないでしょうか、見解を伺います。

市原人事委員会事務局次長

 請求者の行動の前提等についてでございますが、本件事案の審理過程では、委員が御指摘のように、請求者のとった行動をめぐって、請求者側から、教育上の信念に基づいたものであるとの主張がある一方で、処分者側からは、挙式中に行われたものであることから、その影響は大きく、処分については、それらの情状を考慮したものであるとの主張などがなされたところでございます。

 このたびの裁決では、請求者等の証言など、陳述された一切の証拠等を慎重に検討し、最終的に、合議により、請求者が本件行為に及んだのは、教育公務員としてこれを黙過することは許されないとの教育上の信念に基づくものであると判断したものでございます。

小野寺委員

 この教師に卒業式を混乱させたくないという思いがあれば、まず、式典前に、掲揚されている国旗を撤収されるのが当然だというふうに思っていますし、この教員の信念がどうなのか、私は非常に疑いを持つものでございます。

 次に、労使確認についてお伺いをいたします。

 この労使確認については法的拘束力はないというものでありますので、処分取り消しの理由の一つにはならない、私はそう理解をしておりますが、百歩譲って、労使確認が処分取り消しの理由になるというふうに仮定をして、以下、お伺いをしていきます。

 まず、校長と組合との間で、国歌を斉唱した場合には3ない運動という対抗戦術を組みますと、校長に対して分会長が発言をしております。また、校長によって演奏が強行された場合には3ない運動を行うということを分会内でも話し合っておりました。当該教師もこの話し合いに参加をしております。これは口頭審理で明らかになっております。

 そこで伺いますが、問題の卒業式が終わった後、分会長が校長に、このような事態が起きてしまったのは私の責任ですと発言をいたしております。分会長が謝罪ともとれる発言をしたことに関して、人事委員会は、この事実を重く受けとめ、裁決をしたはずであります。人事委員会はこの分会長の発言をどのように受けとめたのか、お伺いをいたします。

金野人事委員会事務局長

 御指摘がございました分会長の発言は、口頭審理において、処分者側の証人から証言があったところでございますが、このたびの裁決は、こうした証言も含めまして、審理にあらわれた一切の事情を総合的に考慮して判断したものでございます。

小野寺委員

 この分会長の謝罪についてでございますが、校長との話し合いで、国旗掲揚、国歌斉唱が強行された場合には3ない運動で対抗しますと話し合ったのに、当分会の組合員がそれ以上の妨害行動に出てしまい、申しわけありませんというものであるのは容易に想像ができます。この発言は、本件教師の問題行動に直接かかわる重要なものであり、人事委員会は、裁決を行う上で、この分会長の発言をどのように受けとめたのか、再度お伺いしたいと思います。

金野人事委員会事務局長

 分会長の発言についての再質問でございますが、先ほども申し上げましたが、口頭審理において処分者側から提出された証拠などから、請求者の行為に対して穏便な措置を求める分会長の要請があったことが確認されているところでございますが、こうした分会長の発言をどのように受けとめたかにつきましては、このたびの裁決では触れておらず、3委員の裁量であると考えているところでございます。

小野寺委員

 再度伺いますけれども、この教師が、事前の校長と分会との話し合いにもかかわらず、3ない運動を破ったことは責められるべきことでございます。

 労使協定が処分取り消しの理由になるというのであれば、労使のこの約束を破った当該教師の行動に関しても十分に考慮されてしかるべきであります。しかし、主文の中では、それに関する記述が一切ないのは不自然であり、恣意的であると考えます。見解をお伺いします。

金野人事委員会事務局長

 請求者の責任についてでございますが、御指摘の請求者の行為が3ない方針には含まれないものであることは、書証等で明らかにされているところでございます。

 裁決は恣意的ではないかとのお尋ねでございましたが、このたびの裁決は、審理にあらわれました一切の事情を総合的に考慮し、最終的に判断したものでございます。

 また、裁決の記載内容につきましても、3人の委員の合議にゆだねられているものと考えております。

小野寺委員

 では次に、本件行為による影響についてお伺いをしてまいります。

 本件行為が卒業式に与えた影響は軽微であるというのも処分取り消しの要因になっております。

 そこでお伺いしますが、人事委員会は、影響の対象とその範囲についてどう定義したのか、お伺いをいたします。

 あわせて、影響が軽微であったと判断した理由をお示し願いたいと思います。

市原人事委員会事務局次長

 本件行為が卒業式に与えた影響についてでございますが、このたびの裁決では、式そのものに対する影響や来賓らの感想、さらには学校などに寄せられた非難や抗議など、証拠調べの結果や審理にあらわれた一切の事情を総合的に考慮し、本件行為の影響について最終的に判断したものでございます。

小野寺委員

 実質上の混乱はなかったかもしれませんが、影響があったかどうかを考察する必要があります。子供たちの心理に与えた影響はこれに含まれるのかどうか、お答えください。

市原人事委員会事務局次長

 本件行為が与えた影響についての再質問でございますが、ただいま御指摘がありました子供たちの心理に与えた影響などにつきましても、書証や証言などを通じ、陳述されているところでございます。

 先ほども申し上げましたが、これらの点も含めまして、審理にあらわれた一切の事情を総合的に考慮し、本件行為の影響について最終的に判断したものでございます。

小野寺委員

 子供の心理に与えた影響というのは当然入るというふうに私は思っていますし、それらも勘案したという答弁をいただきました。

 そこでお伺いします。

 子供たちは、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明することができる権利を有しているという、子どもの権利条約について請求者側も言及をしております。

 では、逆にお伺いをしたいのですが、国歌は学習指導要領にも記載されているものでございまして、この国歌を習う権利も式典で歌う権利も子供たちは同時に有しているはずでございます。この式典における演奏中止は、少なからず子供に影響を与えたはずであり、この問題を考察する上で、このことに関し、子供たちに自由に意見を表明する機会を与える必要があったと考えますが、そういう場をつくったのかどうか、見解を伺います。

市原人事委員会事務局次長

 子供の意見表明の機会についてでありますが、本裁決では、子どもの権利条約第12条の意見表明権は、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に意見を表明する権利を保障すべきと定めており、卒業式等において君が代を斉唱するか否かなどについては、それらに参加する生徒やその保護者である父母らにもその意見表明の機会が与えられるべきことや、そのために、日の丸の掲揚や君が代の斉唱の意義等について事前に学習する機会が確保される必要があるとしております。

 なお、御指摘の、国歌演奏の中止に関し、子供たちに意見を表明する機会が付与されたかなどについては、当事者双方からはこうした観点からの主張も特になく、裁決においても触れていないところでございます。

小野寺委員

 子供たちの心理状況の考察が、影響が大だったか小だったかということを考える上で非常に重要であるというのは、だれが考えても明らかでございますが、それをしなかったという答弁をいただきました。

 卒業式に出席した子供たちに意見を聞くことなしに、影響が軽微であったとはとても言えないのではないでしょうか。当然、内面にショックを受けた子供もいると思われるので、子供たちの権利を考え、意見表明の機会を与えるのは当然で、それらの影響を調査せずして、なぜ影響の大小がわかるのでしょうか。私は、権利条約に反するものではないかとも思っております。それらをしなかったのに、影響が少ないと言える根拠をいま一度お示しください。

市原人事委員会事務局次長

 ただいまの委員の御質問は、請求者の本件行為が生徒たちの内面にどの程度影響を与えたかについて、意見表明の機会を与えるべきで、影響の度合いの判断に当たっては、その点も考慮すべきであるというものであると理解しております。

 繰り返しになりますが、本事案では、審理の過程において当事者双方からこうした観点からの主張は特になされておらず、裁決においても触れていないところでございます。

小野寺委員

 子供たちの卒業式でこのようなことがあって、子供たちの意見を聞かないというのは非常に遺憾でございます。

 人事委員会の裁決で言う混乱が軽微であったというのは、本当に軽微だったかどうかは別にして、校長と教頭が機転を働かせたからにほかなりません。であるなら、該当教師の行為に対する処分を取り消す要因にはならないと私は考えますが、見解を伺います。

市原人事委員会事務局次長

 影響が軽微との判断についてでございますが、委員が御指摘のとおり、請求者の行為が、教頭らの機転により、結果として大きな混乱に至らなかったものであることは事実として認定しているところでございます。

 先ほども申し上げましたように、証拠調べの結果など、さまざまな事情を考慮して、本件行為の影響について判断した結果、式に与えた影響は軽微であったと最終的に判断したものでございます。

小野寺委員

 次に、処分の取り消しに関する理由として、類似事案との不均衡について述べられております。処分取り消しの理由として、類似事案と照らしても本件の処分は重過ぎるものであり、不均衡であることがその要因となっております。

 では、最初に伺いますが、類似案件に照らして不均衡であるなら、式典中に妨害行為をした事例が本件のほかに幾つあったのか、どのように比較したのか、お伺いをいたします。

金野人事委員会事務局長

 式典中の妨害行為事例についてでございますが、処分者側から示されました、同時期に発生いたしました16の事例では、妨害行為によって式の開始がおくれるなどした例はございますものの、妨害行為の発生した時刻はいずれも開式前で、式典中に妨害行為をした例はございません。

 しかしながら、裁決書にありますとおり、校務の運営に実質的な影響や混乱を与えた類似事案との比較で、懲戒処分に付された例がほかに1件もないことから、不権衡であるとしたものでございます。

小野寺委員

 再度お伺いしますが、式典最中に妨害をしたものはない、この理由は、労使の話し合いで3ない運動が決まっているからでございます。

 その3ない運動というおきてを破ったのは当該教師だけであり、3ない運動を破った事例がほかにないというのであれば、類似事例は一つもないと解するのが妥当であると思います。再度、見解をお伺いします。

金野人事委員会事務局長

 ただいま委員が御指摘のとおり、当時発生した類似事案では、挙式中における、いわゆる3ない運動を超えた例は報告されていないところでございます。

 繰り返しですが、このたびの裁決では、校務の運営に実質的な影響や混乱を与えた類似事例との比較で、懲戒処分に付された例がほかに1件もないことから、不権衡であるとしたものでございます。

小野寺委員

 3ない運動を破った教師がこの教師だけだから、処分が重いのです。ですから、類似案件と比較をしてというのは理由にはならないということを強く指摘させていただきます。

 次に、審理長は、審理中に、判定の際のメルクマールに言及をしております。この案件の場合のメルクマールに、式典最中の行為であるという事実は含まれたのか、いなかったのか、お伺いします。

金野人事委員会事務局長

 不均衡とした判断についてでございますが、委員が御指摘のように、処分者からは、式典最中の行為であることを理由に戒告処分を行ったものである旨の主張がなされておりますが、こうした主張も踏まえつつ、本件審理にあらわれた一切の事情を慎重に考慮し、権衡を欠くと判断したのは、先ほども申し上げたように、本件行為と同時期に発生した、校務の運営に実質的な影響を与えた教職員の非違行為に対して懲戒処分に付された例が1件もなかったことによるものでございます。

小野寺委員

 3ない運動を破ったのはこの教師だけでございます。事実、不服申し立て側の証人でさえ、式典最中の妨害行動は混乱を招きかねないと明言し、式が始まってからはそういう実行的な行動に出ないことは組合内で確認をしていたと明言しているわけでございます。

 当然、判断においては、この教師が3ない運動を破ったということに関して非常に重い判断をすべきであるというふうに思いますが、この教員の処分だけが他の事案と比べて重いとする根拠をもう一度お示しください。

金野人事委員会事務局長

 裁決に当たりましては、懲戒事由に該当する行為であるかどうかにつきまして、最終的には委員の合議により判断を行うものでございます。

 お尋ねの他の類似事案との比較についてでございますが、本件事案では、校務の運営に実質的な影響や混乱を与え、懲戒処分に付された例がほかに1件もないことから、不権衡であると判断したものでございます。

小野寺委員

 私は、類似案件は一つもなかったというふうに考えております。

 次に、校長の校務掌理権についてお伺いをいたします。

 まず、今後の各学校における卒業式等の国旗掲揚、国歌斉唱についてでございますが、裁決では、学習指導要領が定めた国旗掲揚や国歌斉唱の指導条項の法的拘束力を否定しておりますが、今後、各学校においては、卒業式、入学式を迎えることになっております。その際、各学校が、国旗掲揚、国歌斉唱を行うことまでも否定することなのか、見解をお伺いします。

中澤人事委員会委員長

 各学校における卒業式等の国旗掲揚、国歌斉唱についてでありますが、各学校が、学習指導要領や文部科学省の通知などを踏まえて、教育課程を編成し、卒業式等において国旗や国歌に関する指導を行うことを否定するものではございません。

小野寺委員

 続きまして、教職員の職務上の義務についてお伺いします。

 校長が、校務掌理権に基づき、学校の方針として、卒業式等における国旗掲揚、国歌斉唱を決定し、その旨を教職員に伝えた場合、教職員はそれに従わなければならないと考えるのかどうか、お伺いをします。

中澤人事委員会委員長

 教職員の職務上の義務についてでありますが、卒業式等において、校長が、国旗掲揚、国歌斉唱を行うことを決定し、教員に対してその旨を伝えた場合は、学校としての方針が正式に決定されるものであることから、教職員は、式の進行を妨害したり、他の教職員の職務の執行を妨げることとならないことはもとより、その方針に従って式を挙行すべき職務上の義務を負うものであります。

小野寺委員

 最後の二つの答弁を聞いて安心しましたが、最後に、まとめを述べさせてもらいます。

 まず、本裁決について、この過程で3名によっての話し合いがなされたという物証がないのは非常に問題だというふうに思っておりますし、また、判断してはいけない国旗・国歌について憲法判断をしていることも問題でございます。

 当該教師の教育理念の定義が間違えている点、また、3ない運動を無視した教師の責任を全く考慮していないこと、式典中の行動であるのに、その点について主文では全く言及をしていないこと、当該教師の行動による式への影響が軽微だったというのに、その式典に参加をしている生徒の気持ちすらも調べていないことなど、この主文には多くの問題があるというふうに私は考えております。この多くの問題点を強く指摘いたしまして、私の質問を終わります。

 国旗や国歌が憲法に反しないかどうかの判断についてでございますが、今回の事案では、そのことに関して当事者からの主張がなされましたので、その主張に対して判断を行う必要があったことから、このたびの裁決で述べることとしたものでございますが、人事委員会がこのような判断を行うことについては可能であると考えているところでございます。