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平成24年第1回北海道議会定例会 一般質問

平成24年第1回北海道議会定例会 一般質問
平成24年3月9日(金曜日)

(注:文章については、その趣旨を変えない範囲で読み易く訂正をしております)

一 アイヌ政策などについて

(一)アイヌ文化振興財団の助成事業について

小野寺議員

 アイヌ政策について質問をいたします。
 最初にアイヌ文化振興財団の助成事業について伺います。
 平成20年度、北海道アイヌ協会札幌支部は、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構から助成金を受け、「2008年アイヌ女性シンポジウム」を開催していますが、この事業完了報告書に添付された会場使用料の領収書は、私が開催会場に行き事実の確認をした結果、不当に水増し請求されたものである疑いが強まりました。
 さらに、同事業における千葉在住の女性講師は、アイヌ文化振興財団からアドバイザーとして委任されている方なのですが、その方が、こともあろうに、この女性シンポジウムと別の財団事業を組み合わせ、旅費を二重請求している疑いが極めて高いことも判明をしております。
 このほか、アイヌ協会札幌支部が推薦をしました、財団に申請をしている先住民族の10年市民連絡会の出版助成事業においても、事業完了報告書に添付された領収書の中には、改ざんの痕跡のあるもの、報告書の内容自体に不自然な点のあるものが多々あったのです。
 今日の質問までの間に、私は、平成20年度のアイヌ協会札幌支部が関与していた五つの財団助成事業のすべてにおいて、不正の痕跡があることを道側にご提示をしています。
 私がこの年度の札幌支部の財団助成事業を問題にしているのは、以前この年度の財団助成事業において、札幌支部は不適切な事案を指摘され、アイヌ文化振興財団から助成金の返還命令を受けているからなのです。
 当時の財団助成事業の不適切会計に関する調査に当たっては、不正が発覚した支部において、各支部がそれ以外にも不正がなかったかをしっかり調査し、アイヌ文化振興財団に報告をすることになっていたはずです。
 しかし、この年度の札幌支部の事業で、これだけの疑義が今なお出てくるのだとすれば、札幌支部は平成20年度に不適切な事案を指摘されていたにもかかわらず、支部としてそれ以外の調査を行わず、逆に不正を隠蔽していたと疑われても仕方のないことであると思います。
 アイヌ協会札幌支部の支部長は、アイヌ文化振興・研究推進機構の理事であり、財団の事業検証評価委員会の副委員長、事業運営委員会の委員であり、北海道アイヌ協会の副理事長であり、さらに国のアイヌ政策推進会議の委員を務める方です。
 その方が支部長を務めている支部が、この体たらくで、本当に財団事業をはじめ、多くのアイヌ政策の不正をなくすことができると、知事はお考えになりますでしょうか。
 過去において、数々の不正を指摘されていた札幌支部が、当時のアイヌ文化振興財団の調査に不誠実な対応をしていたとしたら、私は大変問題であると考えますが、この事案についてどうお考えになるのか、また、今後どう対応されるのか、知事に伺います。
知事
 アイヌ文化振興財団事業についてですが、議員ご指摘の、平成20年度のアイヌ協会札幌支部が実施をした「2008アイヌ女性シンポジウム」など財団助成事業については、会場使用料の領収金額が、使用施設が公表している金額に比べ大幅に高いことや、複数の事業完了報告書に添付されている領収書の内容に疑義があるものなどについて、実績報告の内容を確認する必要があり、現在、財団と連携しながら事実確認を行っているところでありますが、その結果によっては、札幌支部における財団助成事業に係る実地検査をする必要もあると考えております。

(二)アイヌ民族の伝統文化伝承事業について

小野寺議員

 次に、アイヌ緊急雇用対策について伺います。
 平成20年11月、札幌市のアイヌ文化交流センター・ピリカコタンに建てられていたアイヌ伝統家屋であるチセが火災で損傷しました。
 それを受け、札幌市はチセを修復したいとして20年度の末、北海道に対し719万円の緊急雇用対策の申請を行い、道はそれを承認致しました。
 しかし、同年6月の道議会において私はチセのメンテナンス中に火災を起こした業者の過失責任や火災保険等の議論を全くせずにチセの修復を行うのはおかしいと指摘をし、この緊急雇用対策の事業は取りやめになったと承知をしていましたが、調べてみると、その後に札幌市はチセの建設は行わないとして、別のアイヌ緊急雇用対策事業を道に申請し、その事業でチセを建設していた可能性が高いことが判明を致しています。
 現在、札幌市は市の単費95万円でチセを建設したと主張しているようですが、当初札幌市は、修復には700万円が必要としていたこと、関係種類にも整合性のとれない点が多々見受けられること、さらに、その事業で、チセを建てていたという複数のアイヌ協会の会員の証言もあることを考えると、札幌市の主張は不自然であると言わざるを得ないわけです。
 そこで伺いますが、道が取り止めたはずの事業を、事業内容や報告を偽って札幌市が行っていたとすれば、結果いかんによっては、国と協議の上、札幌市に対して補助金の返還を求める事態に発展する可能性がある、大変大きな問題であると私は考えておりますが、道の見解を伺います。
経済部長
 アイヌ政策などに関し、アイヌ民族の伝統文化伝承事業についてですが、本事業は、平成21年度に緊急雇用創出事業として札幌市が、工芸品作成等の伝統技術や踊り等の伝統芸術の解説や指導などにより、アイヌ民族独自の文化を伝承するために実施した事業です。
 道としては、札幌市が当初計画したチセの修復のための事業費と実際に要した事業費に大きな違いがあり、緊急雇用創出事業の雇用者の作業実態や文化伝承のために使用した物件等の取扱いと、チセ修復作業や材料との関係を確認する必要があることなどから、現在、市に対し説明を求めており、今後、十分に事実関係を確認した上、必要な対応をして参る考えです。

(三)札幌市委託事業と財団助成事業について

小野寺議員

 次に、札幌市委託事業と財団助成事業について伺います。
 平成20年度、札幌市は、北海道アイヌ協会札幌支部に対し、「第15回インカルシペ・アイヌ民族文化祭」の業務委託をしております。
 しかし、この文化祭の中に、なぜかアイヌ文化振興機構の助成事業であった、開催日時や場所がまったく同じであるアイヌ文化フォーラム、全道トンコリ、ムックリ大会&アイヌミュージックコンサート等が含まれており、アイヌ協会札幌支部の平成20年度の総会資料の中の決算書を見ても、不自然な会計処理がなされ、余剰金も計上されているなど不自然な点があると言わざるを得ないわけです。
 さらに、この文化祭の中にある財団助成事業の中には、平成20年度に北海道アイヌ協会札幌支部が、不適切だとして助成金の返還命令を受けていた事業が含まれている点を考えると、この札幌市がアイヌ協会札幌支部に業務委託をした「第15回インカルシペ・アイヌ民族文化祭」が実際にどのようなものであったのか、道としてもしっかりと把握する必要があると私は考えています。
 そこで伺いますが、この事案に関し、札幌市は、道に対しどのような回答をしてきているのかお教えください。
 また、この件に関する道の考え方、併せて、今後の対応について伺います。
環境生活部長
 アイヌ政策などに関し、札幌市委託事業と財団助成事業についてですが、北海道アイヌ協会札幌支部が、札幌市から委託を受け実施した平成20年度の「第15回インカルシペ・アイヌ民族文化祭」においては、アイヌ民族シンポジウムなど7事業を実施しているところでが、先般、札幌市の資料により確認したところ、札幌市からの推薦により、札幌支部が財団助成事業として実施した4事業について、日時、場所、講師等が同じ内容であり、その執行に疑問が生じたことから、札幌市に対して、委託事業と財団助成事業との関連について照会をいたしましたところです。
 札幌市からは確認調査を実施した結果、経費の重複はないとの回答をいただいたところですが、道としては、それ以上の情報を確認する必要があることから、引き続き、札幌市の詳細な調査結果を求めるなど、適切に対処して参りたいと考えています。

(四)北方領土対策について

小野寺議員

 次に、北方領土対策についてです。
 2005年、ピリカモシリ協会というアイヌ団体が、「北方四島を含むクリル諸島は、元々我々の土地であり、これらの領土問題は、ロシアは日本国ではなく我々と交渉すべき」という旨の書簡をロシア政府に送り、その事実が今年初めロシア国内で報道され明らかになりました。
 本来、領土交渉は政府の専権事項であり、我が国の国益に反するこの団体の行動は、北方領土返還交渉に悪影響を及ぼす可能性が高く、返還運動に水を差すものであると私は考えるものであります。
 道外の方々の中にも北方領土返還のために活動を続けておられる方がたくさんいることを考えると、このような北方領土返還運動を妨害するような団体が道内にあることは、道民である私にとっても非常に不愉快であり、北海道としてこのような団体には毅然とした対応をすべきであると考えますが、道の見解と対応をお伺いします。
知事
 北方領土問題についてでありますが、北方四島は我が国固有の領土であり、この政府の方針の下、国においてはロシアとの交渉を続けてきているところと認識をしております。
 道としましては、北方領土問題の早期解決に向け、国の外交交渉を後押しするという立場から、国民世論の結集・高揚を図るための様々な啓発活動に取り組んできているところであり、北方領土問題に係る我が国の立場と相容れない御意見をお持ちの団体などに対しては、政府の方針や北海道の立場を御理解いただくよう努めて参る考えです。

(五)道教委におけるアイヌ関連施策について

小野寺議員

 道教委では、北海道アイヌ協会に委託し事業を実施していますが、平成21年から22年にわたり本事業の実態を把握するために調査を実施した結果、複数の支部において不適切な執行が判明し、受託者である北海道アイヌ協会に対し、341万円もの委託料の返還をさせたところです。
 先程来、北海道アイヌ協会札幌支部に関わる事業にいての不自然と言わざるを得ない事案について指摘してきましたが、私の所に、道教委が、北海道アイヌ協会に委託し各支部において実施しているアイヌ民俗文化財の伝承事業について、前回調査において不適切な事案がないとした支部関係者などから、支出証拠書類について、偽造された架空の領収書があるなどといった、不適切な取り扱いに関する情報が複数寄せられています。
 そこで、不適切事案がなかった支部に対して、事業が適切に実施されていたか否かを今一度確認するべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
教育長
 道教委におけるアイヌ関連施策についてですが、道教委におきましては、平成21年から22年にかけて「アイヌ民俗文化財保存・伝承活動事業」の実施実態等の調査を行い、その結果、アイヌ古式舞踊など伝統芸能に関する講座などを受託した北海道アイヌ協会の19支部のうち9支部におきまして、不適切な事業執行があったことから、北海道アイヌ協会では委託料約341万円を返還したところです。
 この調査は、当初、講座実施の有無に主眼をおき、支出関係書類の照合や支部責任者からの聞き取り等を行ったところですが、その後、新たに、講師などの出張事実のない事案や、講座が他の事業と重なり、講座の実施実態が非常に曖昧な事案があるとの指摘があったため、旅費等の支出実態に関する本人への確認や他の事業と重複して実施している本事業の実施実態等につきまして再確認を行ったものです。
 こうした中、この度、当時の調査で「不適切事案」が確認されなかったとした支部の中に、不適切な取り扱いがあったという指摘がありましたことから、「不適切事案」が確認されなかった10支部に対し、支出関係書類の真偽など、当時の事業の実施状況について、早急に再確認をして参りたいと考えています。

二 道産木材の利用について

小野寺議員

 次に道産木材の利用についてです。
 北海道が道産木材を公共工事でしっかり使っていくことは、一般の消費者の方々にも安心して道産木材を使用していただけるきっかけとなり、道産木材の需要拡大につながるものと考えます。
 また、公共工事や住宅等には信頼できる木材の使用が求められており、そのためにも、北海道地域材利用推進方針で定義されているように、道内で生産、加工された産地の明らかな合法木材が地域材として供給されることが重要なのであります。
 しかし、現在の制度では、合法木材が地域木材か輸入木材であるかどうかを判断するすべはなく、消費者は合法木材を地域木材と思い込み消費をしているという問題があり、さらには、使用されたとされていた地域木材の中には、かなりの合法木材という名の輸入木材が使用されていたという問題について、私は昨年、平成23年の第3回定例会の予算特別委員会において質しましたが、その際、担当部局から、木材の産地証明の合法木材の証明に関して、制度を分かりやすく、手続を簡便なものにするよう、道木連等の認定団体と連携して、制度の改善について検討を進めるとの答弁をいただきました。
 そこで伺ますが、この問題に関し、道はその後どのような対応をされ、この問題をいつ頃までに改善するおつもりであるのかをお聞きいたします。
水産林務部長
 道産木材の利用に関し、木材の産地や合法性を証明する制度についてですが、道では、昨年、公共建築物の整備に際し、北海道産であることや合法性が証明された木材の使用に努めることを内容といたします北海道地域材利用推進方針を定めておりますが、現行の制度では、産地と合法性の証明が別々に行われており、道の方針に沿って、これらを同時に必要とする場合などは、手続きが煩雑であるとの意見も出されているところです。
 道としましては、昨年の道議会における議論を踏まえ、事業者の認定や登録を行っている道木連など四つの団体に対し、産地と合法性の証明を同時に簡便に取得できるよう働きかけを行い、証明の手順や証明書の様式などの整備を進めてきたところであり、平成25年度からの施行に向けて、今後、認定や登録を受けている事業者の新制度への円滑な移行手続きを進め、二つの証明を一本化して同時に取得できるよう、制度の改善に努めて参る考えです。

三 職員の不適切な事務処理等について

小野寺議員

 次に、職員の不適切な事務処理などについてであります。
 道において、毎年、数多くの不適切な事務処理等について、監査委員から指摘、指導をされています。知事部局の例では、職員が物品購入や少額工事を行うに当たり、必要な決定書を作成しないなど、支出負担行為をせずに契約を結び代金を支払っていた事例や、発注した物品が実際に納品されていないのに代金を支払っていた事例の他、過払いや過不足など、毎年、同じ様な不適切な事務処理が繰り返し行われております。こうした状況は、知事部局だけではなく、道教委においても同じであります。
 また、多くの所属部署において、公用車による交通事故が発生し、賠償金や公用車の修繕費用により道に多額の損害が生じており、賠償しただけでも、過去5年間に、知事部局では303件、約3,900万円、道教委でも12件、約600万円に上っているはずであります。さらに、職員が、道の公有財産である公宅において火災事故を起こした事例も発生しており、過去10年に、知事部局で6件、約1,800万円、道教委では6件、約2,000万円もの損害を道に与えております。
 このような不適切な事務処理や事故の他に、今年に入り、職員が逮捕されるという不祥事も相次いでおりますが、こういった不祥事や不適切事務などが何度も繰り返されるのは、一職員の問題ではなく、道庁に、コンプライアンスの面で組織的な問題があるのではないかと憂慮するところでます。
 そこで伺いますが、このような事案や不適切な事務処理などを防止するためには、従来からの不祥事防止対策では不足であるとは思いますが、知事及び教育長の見解を伺います。
知事
 職員の不適切な事務処理等についてですが、議員ご指摘のとおり、道においては、毎年度、監査委員から、多くの不適切な事務処理などについて、指摘や指導がなされ、また、今年になって、職員による不祥事が相次いで発生しており、このような状況は、私としても憂慮をいたしているところです。
 これまでも、不適切事務や不祥事の防止を図るため、適宜、通達の発出や、職員に対する研修を実施してきているところですが、今後は、こうした取組に加え、より実効性の高い再発防止策を早急に検討する考えであり、コンプライアンスの強化に向け、組織的な取組を進めて参りたいと考えているところです。

四 聾教育について

(一) 日本手話による指導の評価について

小野寺議員

 最後に、聾教育について数点お伺いをします。
 本道の聾学校では、長らく聴覚口話法による指導が行われてきましたが、手話による教育を受けさせたいとの保護者のニーズや議会議論などを受け、各学校で教員の手話研修を計画的に行うなど、ようやく手話を活用した指導に取り組み始めたところです。
 こうした中、主に先天的なろう者が使用している日本手話による教育を希望する保護者のニーズなどに対応するため、札幌聾学校において、平成20年度から、日本手話による指導グループと聴覚口話・手話付きスピーチによる指導グループに編制し、それぞれのコミュニケーション手段に応じた指導を行っていると承知をしております。
 私は、それぞれのグループの学力の状況を比較検討することなど、コミュニケーション手段における指導の効果を検証し、聾教育における新たなカリキュラムの開発などに生かしていくべきではないかと考えています。
 そこでまず、道教委では、日本手話による指導の効果について、どのような評価を行っているのか、教育長に伺します。
教育長
 日本手話による指導についてですが、本年度、聾学校小学部6年生を対象に、全国学力・学習状況調査問題を活用して道独自に実施した調査の結果では、対象の数が20名程度と少ないものの、日本手話による指導グループにおいては、基礎的・基本的な知識の習得に、相当の成果が見られたと考えているところです。
 今後は、これまでの全国学力・学習状況調査の結果も含め、児童生徒一人ひとりに学習内容がどの程度身についているかといった観点からも分析を行い、その結果を聾学校における指導方法の改善に生かして参りたいと考えています。

(二)日本手話の研修の充実について

小野寺議員

 次に、日本手話の研修について伺います。
 現在、日本手話による指導は、札幌聾学校を中心に行われていると承知をしていますが、他の聾学校において、本人・保護者から日本手話のニーズがあった場合には、札幌聾学校と同じような対応ができるよう、全道で同じ教育環境を整備すべきであると私は考えています。
 しかし、現実には、日本手話のできる教員が少ないために、全ての学校において十分に日本手話における聾教育を実施できる環境にはないのが現状です。
 そのために、私は早急に、日本手話で指導のできる教員を増やしていく必要があり、ろうの教員の採用・配置はもとより、現職教員に対する研修を積極的にしていくことが重要と考えていますが、実際には、道教委では、これまで手話の研修を実施はしているものの、その内容や事後の評価が十分に行われているとは言い難いものであることから、今後は、より一層研修等を改善し、充実を図っていくべきだと私は考えますが、教育長の見解を伺います。
教育長
 教員の手話研修についてでが、道教委としては、これまで、日本手話を含め教員の手話活用能力の向上を図るため、道立特別支援教育センターが中心となって、平成20年度に作成した手話研修プログラムに基づく校内研修のほか、各学校の研修の推進役となる教員を対象に、平成22年度までは道外の研修機関の講師を招へいした研修会を、今年度からは道外の研修機関への教員の派遣などを行ってきたところです。
 道教委としては、聴覚障がいのある子どもたちに多様なコミュニケーション手段を身につけさせるため、日本手話による指導ができる教員を増やしていく必要があると考えていますので、今後、これまで実施してきた研修の内容について、日本手話の習得にどの程度役立っているか事後調査を行い、その結果をもとに、必要な見直しを行うとともに日本手話が堪能な外部講師を各聾学校で積極的に活用するなどして、研修の充実に努めて参りたいと考えています。

(三)本道における聾教育の在り方について

小野寺議員

 最後に、本道における聾教育の在り方についてです。
 前任の教育長は、聾教育に対し、日本手話を使った教育を行って、本道の聾教育を日本に誇れる聾教育にするとまで答えておりますが、あれから5年以上が経過した今、本道の聾教育の状況は、本当にそのような方向に向かっているのか、私は、はなはだ疑問に感じております。
 先ほど申し上げた札幌聾学校が行っている聴覚口話、日本手話に分けたコミュニケーション手段による学習グループの実践は、全国で唯一の試みであります。今後においても、道立特別支援教育センターや本州において日本手話で授業を行っている学校とも連携し、現在の実践研究を深めたり、その研究結果を道内の他の聾学校はもとより、全国に発信したりするなどの取組をもっと積極的に行うべきだと考えています。
 道教委として、今後、本道における聾教育をどのように充実させようと考えているのか、見解を伺います。
教育長
 本道の聾学校における教育についてですが、聾学校においては、聴覚障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向け、一人ひとりの教育的ニーズに応じた専門的な教育を推進することが大切であり、札幌聾学校における日本手話の学習グループによる実践は、公立学校における日本手話のニーズに対応した、全国的にも先駆的な取組であると認識しているところです。
 こうしたことから、議員ご指摘のとおり、道教委としては、こうした実践の成果をもとに、特別支援教育センターや他の聾学校関係者のほか、国の研究機関等からの助言もいただきながら、来年度内を目途に、日本手話による効果的な指導方法について取りまとめた指導資料を作成し、全道の聾学校に普及するなどいたしまして、本道の聾学校における専門的な教育の一層の充実を図りますとともに、その取組を、道教委のWEBページに掲載し、広く情報発信して参りたいと考えています。